今週一週間、NHKFM放送 の午後一時から島倉さんがゲスト出演され、デビュー50周年の思い出を語っておられました。「この世の花」から最近の曲まで年代順に曲を聴いていて思ったのは、この人は童謡に救われているということでした。島倉さんが童謡歌手だったということを知って、改めて曲の数々を聴くと、くどさ、しつっこさ、ひねくりまわしたところがないということに、気がついた。ほとんどの演歌歌手は、歌うにつれ、年を経るにつれ歌がしつっこく、くどくなっていく。残念ながら森昌子も---。そのような歌い方のことを演歌の業界用語で「土つぼにはまる」といいます。「あの歌手は土つぼにはまった」とか「土つぼにはまった歌い方」というような使い方をする。「土つぼにはまる」とヒット曲が出なくなる。そうなると、あせってますます歌をひねくりまわして歌うようになる。悪循環に陥ってますます、歌が売れなくなる、「土壷に落ちる」という言葉はそういう状態をあらわす言葉です。そこから抜け出るには「原点に帰る」ことが大切なのですが、演歌歌手のほとんどは正統な音楽教育を受けていない。森昌子も---。何が自分の原点かということがわからないのです。森昌子はレコードが売れない歌手でした。なぜ売れなかったか、答えは簡単です。ファンが望む歌を歌わなかったからです。森昌子ファンのなかには「森昌子は好きだがそれは、『おかあさん』まで---。」というひとが多い。曽我ひとみさんもその一人です。私もファンの一人として(自分ではそのつもりです)だんだん、くさくなる森昌子の歌を悲しく思っていました。「この歌手がデビュー前に童謡を歌っていたら---」といつも思っていた。倍賞千恵子さんも童謡歌手でした。「ハウルのうごく城」でもすばらしい主題歌を歌っておられます。森昌子が童謡歌手であったなら---いまでも残念でなりません。