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(82)投稿日:2005年01月05日 (水) 02時23分
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【タイトル】新しい潮流
堅調なスタートとなりました。
年初の米国市場では、原油相場の下落やウォルマートの年末の売上 見通し上方修正など好材料に一旦は買われましたが、その後は利益 の確定売りから下落に転じました。
これを受けて、一時は11570円台後半まで上昇していた日経先物も、 昨年末の大阪の終値を下回る水準まで売り込まれた。
また、昨年の大納会あたりからは、為替市場では円高が進行してお り、東京株式市場にとっては、むしろ逆風となる材料も多かったの ですが、それにもかかわらず、売り込む動きは限定的でした。
昨年末から続く日本株の上昇トレンドはなお続いており、昨年ほぼ 1年間続いた保ち合い相場から上放れるとの期待など、先高感がそも そも強くなっています。
そういった視点からは、米国株式の下落も先週末の上昇に対する利益 の確定に過ぎないということになるでしょう。
また、ドルは対ユーロでは上昇しており、その意味では円の上昇も 限定的と見ることもできます。
したがって、上昇トレンドの変化を予想させる材料は直ちには見つか らないとして、相場の底堅い動きは続きました。
結局、先物は大口買いをまじえながら、昨年末の高値11530円を突破。 日経平均株価は11517.75円+28.99と続伸しました。
終値で11500円台乗せとなったのは、昨年7月13日以来。夏以降の長い 保ち合いレンジを上放れた可能性が強くなってきました。
また、4月26日の高値12195円と7月1日の高値11988円を結ぶ上値抵抗 線を超え、長期にわたるトライアングル(三角保ち合い)からの上放 れの形にもなっています。
したがって、このまま11500円台の値固めができれば、次は12000円台 に向うことになりそう。
一方、本日は11431円まで下落しましたが、5日移動平均線11434円の 水準で下げ止まりました。
同移動平均線は、12月半ばからの上昇トレンドの下値支持線となって おり、この線を明確に下回る場合は調整入りと見た方がよさそうです。
閑話休題 為替の方に目を転じると、最近のドル円相場では、感覚的 ですが、東京時間の夕刻からの動きが特に目立ちます。
すなわち欧州時間であり、東京時間では比較的静かだった相場が、こ の時間になると動意づいてくることがしばしば見られます。
実は、ある外国銀行の調査では、ドル円相場の取引市場別のシェアは、 最大のマーケットはロンドンで30%超。次がニューヨークで20%弱で す。
これに対し、本来はドル円相場の主たる市場(マザー・マーケット) であるべき東京は8%に過ぎません。
実は、すでにシンガポールが8%と、東京に肩を並べている状況。さ らに、香港も4%程度であるから、東京時間とほぼ同じ時間帯に取引 されているアジアにおいても、東京市場の地位低下が目立っています。
この原因については、バブル崩壊による邦銀の信用力の低下だけでは 説明できないでしょう。
やはりデフレの進行や膨大な公的債務、そして進まぬ構造改革などに よる日本経済全体の地盤沈下によるものと言わざるを得ないところ。
金融の超量的緩和や膨大な公的債務を抱え、金融政策、財政政策は手 かせ足かせの状態。
しかも構造改革も本質的な部分には届かないとすれば、国民の経済活 動にも急激な好転は期待できません。
そうだとすれば、日本の景気の浮沈は、単に米国や中国の景気状況の 反射効にしか過ぎません。したがって、何もない東京市場で取引をす る必要はなく、材料のある欧米時間で取引するのは必然でしょう。
しかし、そんな閉塞感の強い状況ですが、年初の為替相場の動きを見 ると、“あるいは”と思わせるものもあります。
これまで、一方的に強含んでいたユーロが軟化する一方、円がドル、 ユーロの両通貨に対し堅調な動きとなっています。
もちろん、このあたりは、人民元の切り上げ観測もくすぶっており、 必ずしも額面通りにはとれないものもあります。それでも、円への関 心が、ふたたび強まり始めている兆しなのではないかとの期待を持つ ことは乱暴でしょうか。
と言いますのも、東京株式市場が、バブル崩壊後の最安値をつけてか ら足掛け3年目。企業はリストラなどを通し、経営指標は国際的な水 準に近づいてきました。
不良債権問題も峠を越え、ここからは資金が以前よりも市中に流れや すい状況にはあり、その意味ではデフレ脱却の可能性も否定できない でしょう。これを受けて、昨年末の東京株式市場では、とりわけ銀行 株が連騰となっていました。
ペイ・オフが始まる時期は、また海外からのM&Aが制度的に緩和される 時期でもあります。これがうまくいくとすれば・・・。
これらを背景にすると、年初の円の強さは、新たな資本の潮流の始ま りにも見えてきますが、いかがでしょうか。
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