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(154)投稿日:2005年02月04日 (金) 15時05分
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[兜町ウォッチャー]日経平均が軟調、中低位株活況で体感温度は冷めず 05/02/04 14:40
4日の東京株式市場は、ハイテク企業の収益見通しに対する懸念が再燃し、京セラ <6971.T> 、キヤノン <7751.T> などのハイテク株が軒並み安となっている。トヨタ自動車 <7203.T> や武田薬品 <4502.T> などの主要銘柄にも利益確定売りが先行し、日経平均は一時100円を超す下げ幅となった。しかし、個人やディーラーを中心とする中低位株物色は引き続き活況、出来高も日々増勢にあり、投資家の体感温度は冷めていない。
ここ数日の日経平均だけみると、株式市場は低調との印象も受けるが、東証1部の売買高は2月2日に18億8052万株と2004年5月10日以来の水準を記録、3日はさらに増え、18億9716万株に達した。市場のエネルギーは低調どころか増加傾向にある。東証1部の単純平均も年初から一貫した上昇を続け、3日には432円24銭と昨年8月2日以来の高値を付けている。市場からは、「体感温度では日経平均1万3000―1万4000円の感覚だ」(準大手証券ディーラー)といった声も出ている。 売買高と単純平均の上昇は、個人の中低位株物色を象徴している。「昨年末に税金対策を済ませた個人はリスクが取りやすくなっている。ハイテク株に左右される日経平均だけ見ていても市場の熱気は伝わらない」(丸和証券・小林治重調査情報部長)という。
日経平均の上値を抑えている最大の要因は、ハイテク株の低調だ。株式市場では2月相場入りしたころから、来期の収益見通しを意識し始める。液晶、プラズマなどディスプレー市場の価格低下が続き、「当面の間、市況の回復が見込めない」(小倉正道・富士通CFO)ような状況では、来期への明るいシナリオを描きにくい。 為替の前提レートについてもハイテク企業の今期実効レートが1ドル=107―108円と推定される一方で、「来期は100円が中心になる。輸出企業は期初から為替のハンデを背負うことになる」(新光証券・申谷昇エクイティ情報部長)。IT企業の在庫調整は「陰の極」とみられているが、現時点では積極的な買いを呼び込みにくい。 一方、個人投資家向けの「リスク限定型ファンド」が好調なことも日経平均の上値を抑える要因とみられている。同ファンドは、銀行の投信窓販開始とペイオフ解禁を背景に急速に売上げを伸ばし、この半年だけで6000億円以上設定された。純資産残高は約1兆3000億円に達している。 リスク限定型ファンドは、原資産にオプションを組み込んだ仕組み債で、最も人気があるのは、日経平均連動型の商品だ。投資期間中の日経平均が設定時より20%(25%以上の商品もある)下回らなければ、オプションのプレミアムがクーポンに上乗せされる。現在設定されているファンドの多くは、日経平均が9000―9500円程度まで下げなければ、一般の金融商品より高利回りが得られる仕組みだ。 投資家はファンド設定時にプットの売りでプレミアムを受け取るが、引き受け側の証券会社はデルタヘッジの関係で、日経平均が上昇すると先物や現物を売り、日経平均が下がると買うという行動を取る。このため「ファンドの残高が増えれば、増えるほどインブライド・ボラティリティが低下する」(欧州系証券デリバティブアナリスト)という構造になっている。リスク限定型ファンドは年初以降も残高は拡大傾向にある。「個人が儲かり続けるかぎり、残高も増え続けるだろう」と同アナリストはみている。 個人の中低位株物色や高配当銘柄物色で、市場のエネルギーは高水準だが、ペイオフ完全解禁を控えて、個人による「リスク限定型ファンド」の買いが増えると、日経平均のボラティリティが低下するという皮肉な構図も浮かび上がる
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