| 【論評12/15】 雅宣総裁の発言とその論理を分析すると、「雅宣総裁は護憲の原理主義者である」との結論が出る。その反対に、「雅宣総裁を『護憲の原理主義者』と見ることはできない」という結論は出ない。3分の2番目。 (15533) |
- 日時:2025年03月10日 (月) 13時25分
名前:勝手に論評家
【論評12/15】 雅宣総裁の発言とその論理を分析すると、「雅宣総裁は護憲の原理主義者である」との結論が出る。その反対に、「雅宣総裁を『護憲の原理主義者』と見ることはできない」という結論は出ない。3分の2番目
京子 次郎さん。約束どおり、雅宣総裁の護憲原理主義的な発言を提出しなさい。
次郎 総裁が今から二十年ちかく前の2006年5月18日に、「小閑」に投稿した記事、「化石燃料の“呪縛”を断て」 http://masanobutaniguchi.cocolog-nifty.com/monologue/2006... がその一つだ。この記事は総裁が「論理が倒錯した反日の護憲原理主義者」であることを示している。
京子 論理が倒錯した反日の護憲原理主義者…。なんだかややこしいわね。
次郎 まず、総裁はこの記事の冒頭で、日本政府が掲げた「化石燃料の自主開発」に猛反撥して、次のように述べている。
化石燃料が自由に使えない原油高騰の時代に、日本政府は“自前”の化石 燃料開発に力を注ぐ方針らしい。私にはその理由がさっぱり分からない。 地球温暖化の被害がこれだけ明らかになっているというのに、中東の政治的 安定がとても期待できないというのに、隣国の中国や韓国と資源エネルギー を含む政治問題で対立しているというのに…。 (傍点と青色は引用者)
この総裁の主張は不可解な点が多すぎる。たしかに「地球温暖化の被害がこれだけ明らかになっている」のだから、「たとえ“自前”であっても化石燃料の自主開発などを進めるべきでない」という総裁の主張は一応理解できる。しかし、「中東の政治的安定がとても期待でき ない」から「たとえ“自前”であっても化石燃料の自主開発などを進めるべきでない」という総裁の主張は理解できない。
京子 なぜ理解できないの?
次郎 中東の政治的安定がとても期待できないからこそ、日本は“自前”の化石燃料を自主的に開発して国家と国民の安全を確保するべきなのだ。
京子 なるほど。…しかし総裁はこの記事で、「自然エネルギーを利用しろ。自然エネルギーを利用すれば、必要な電気を発生させることができる」と言いたいのではないの?…この記事のなかで総裁は、「私は…平和実現のためには化石燃料から自然エネルギーへの転換を急ぐべきだと主張してきた」とも述べている。
次郎 そのとおりだ。しかし総裁は「小閑」のなかでも「唐松」のなかでも、「今の人類の技術が太陽光や風力などの自然エネルギーを利用するだけで人類に必要な電力を作ることができる」という具体的で確実な説明を行っていない。たとえば総裁は「小閑」2009年5月27日の記事、「自然エネルギーは無限? (2)」 http://masanobutaniguchi.cocolog-nifty.com/monologue/2009... のなかで、
太陽エネルギーの利用技術を開発することで、人類のエネルギー問題は解消 してしまうことになる。…単純計算をすれば、太陽は、現在の人類のエネル ギー需要の実に「5,700倍」もの莫大なエネルギーを、常に地球に降り注い でくれているのである。
と、希望に満ちた発言をしておられる。しかし…難癖をつける気はないが…ここで総裁は具体的で有効な太陽光エネルギーの利用法を提示していない。とても今の人類の技術では「人類のエネルギー問題は解消してしまう」とはならないのだ。
京子 へえ…。
次郎 ついでに、「小閑」2010年10月28日の記事、「谷口清超大聖師二年祭にあたって」 http://masanobutaniguchi.cocolog-nifty.com/monologue/2010... もある。総裁はこの記事のなかでも、
自然から奪い、他国から奪い、貧しい人々から奪う結果となる化石燃料の 使用をやめて、豊かにある自然エネルギーの利用を通して、人々や動植物 と共存し、さらには与える生活の実現を目指していかなければなりません。
と、自然と環境に優しい主張を行っておられる。
この主張は大変結構な主張だ。しかし総裁はここでも、「自然エネルギーをどのように利用するのか」、さらに「その利用法によってどれほどの電力を発生させることができるのか」といった具体的な説明をまったく行っていない。総裁は、「どこかの国の何とか言う学者が、このような具体的説明を行っている」という紹介さえも行っていないのだ。
京子 へえ…。
次郎 だから、ここで話をもどすが、中東の政治的安定がとても期待できないからこそ、日本は“自前”の化石燃料を自主的に開発せざるをえない。これが現実だ。それなのに総裁は、「中東の政治的安定がとても期待できないから、たとえ“自前”であっても化石燃料の自主開発などを進めるべきでない」という。総裁のこの発言は極めて無責任な発言だ。この発言を実行したら、中東から石油を輸入している世界中の国々は石油を手に入れることができなくなる。総裁の発言は無責任きわまりない。…というよりも、総裁のこの発言は中学生レベルの幼稚な感傷的発言だ。僕は機会が合ったら総裁をつかまえて、「あなたは本当にコロンビア大学院を修了したのか。社会科学を勉強したのか」と尋ねてみたいね。
京子 なるほど。たしかに無責任な気がする。しかし次郎さん。総裁の主張を「論理が倒錯した反日の護憲原理主義」というのは言い過ぎでしょう。
次郎 そのお気持ちはもっともだ。しかし、やはり総裁の主張は「論理が倒錯した反日」の主張だ。なぜならば総裁は、隣国の中国や韓国と資源エネルギーを含む政治問題で対立しているから、たとえ“自前”であっても化石燃料の自主開発などを進めるべきでない…と、断言したからだ。
京子 なぜそれが「論理が倒錯した反日の主張」になるの?
次郎 おや…。意外なご質問をお出しになるものだ。それでは僕のほうから京子さんにうかがうけれども、京子さん。日本が隣国の中国や韓国と資源エネルギーを含む政治問題で対立していたら、日本は東京湾沖で自前の石油や天然ガスの採掘・利用を行ってはならないの?日本は石油や天然ガスを採掘する自前の技術開発を行ってはならないの?
京子 ん…?
次郎 くりかえして伺うけれども、日本が東京湾沖で自前の石油や天然ガスの採掘・利用を行ったら、中国や韓国との対立が激化するの?
京子 はて…。
次郎 総裁の意見は逆立ちしている。東京湾沖で中国や韓国が勝手に石油や天然ガスの採掘・利用を行ったら、それこそ中国や韓国との対立が激化するのだ。
京子 ふ~む…。
次郎 繰り返しになるけれど、隣国の中国や韓国と資源エネルギーを含む政治問題で対立しているのならば、なおのこと日本は自前で化石燃料の自主開発を進めるべきだ。なにも日本政府は中国や韓国の領海に侵入して石油や天然ガスの採掘を行おうとしているのではない。日本政府は日本の領海内で採掘を進めようとしている。その結果、中国や韓国の化石燃料を奪うことはない。
京子 ふむ…。
次郎 しかも日本が自前の開発を行うことによって、日本が中韓と同一輸出国からの奪い合い(買い入れ競争)を行う頻度が減少する。これは「奪い合いを減少させる」という意味で結構なことだ。それなのに総裁は、「中国や韓国と資源エネルギーを含む政治問題で対立しているから、自前であっても化石燃料の自主開発を進めてはならない」などと発言した。これは論理が倒錯した発言だ。
京子 ふむ…。
次郎 しかもこの発言は、「日本だけが悪いことをする」と前提する立場に立っている。総裁は、「中国や韓国が悪いことをするかもしれない」いう前提を完全に排除している。この理由で総裁の発言は「反日発言」だ。「日本だけは必ず悪いことをする」という「反日発言」だ。
京子 ふ~む。…それでは、なぜ「護憲原理主義」だと言えるの?
次郎 総裁はこの記事の後半でこのように語っている。
イラク戦争への支援で、自衛隊の海外派兵は既成事実化しており、折から 憲法改正の動きも現実化している。私は憲法改正一般に反対しないが、 地球温暖化を促進する化石燃料を確保するために憲法を改正して、自衛隊 を国軍化することには反対である。かつての日米戦争が、インドシナの 石油資源の封鎖によって始まったことを人々はもう忘れてしまったのだろ うか。今度はすぐに日米戦にはならないだろうが、中国や韓国との対立は もう始まっている。…。既得権への執着は戦争への道であることは、昭和 も平成も変わらないのである。 (点線は引用者による省略部分)
…と。この主張は、総裁が「反日の護憲原理主義者」であることを示している。
京子 なぜこの主張が、総裁が「反日の護憲原理主義者」でもあることを示しているの?
次郎 総裁は、日本国が化石燃料を確保するために憲法を改正して、自衛隊を国軍化することには反対であると言い出した。しかし少し考えてほしい。一体、世界中のどの国が、自前の化石燃料を確保するために憲法改正を行っているのか。どの国も行っていない。
京子 ほう…。
次郎 世界中のどの国が、自前の化石燃料を確保する技術を開発するために憲法改正を行っているのか。そのような国もない。
京子 たしかに…。
次郎 世界中のすべての国は憲法改正も軍備増強も行わずに、「自国のエネルギー資源」を確保して「自国のエネルギー資源を確保するための技術開発」も行っている。…そもそも、あらゆる国は、「自国の化石燃料を利用する権利」を持ち、さらに「自国のエネルギー資源を確保するための技術開発を自前で行う権利」を持っている。いちいち憲法改正を行ったり、軍備増強を行ったりする必要などない。
京子 なるほど。
次郎 それにもかかわらず総裁は、「(日本は)化石燃料を確保するために憲法を改正して、自衛隊を国軍化する」などと、現実にありえない姿を蜃気楼のように描き出し、その蜃気楼に向かって「私は反対だ~」と叫んでいる。この論理構造は、総裁の憲法思想が「論理が倒錯した反日の護憲原理主義」であることを示している。
京子 ふむ…。
次郎 まだある。しつこいけれども続けるネ。
京子 どうぞ。
次郎 もし、もしもだが、総裁の言葉、「化石燃料を確保するために憲法を改正して、自衛隊を国軍化することには反対である」の意味が、「日本は外国の化石燃料を軍事力で奪い取るために憲法を改正して、自衛隊を国軍化するに違いない。そのようなことに私は反対である」という意味ならば、その理屈は一応筋が通る。
京子 ふむ…。
次郎 しかし、「日本が外国の化石燃料を軍事力で奪取するために憲法を改正して、自衛隊を国軍化する」などという総裁の発言には根拠も証明もない。かえって今の中国の方が外国の石油や天然ガスを軍事力で奪取するために法律の改正や軍備の増強を図っている。
京子 それ、本当?
次郎 本当だ。現在、南シナ海の島々の領有権を巡ってフィリピンと中国が争っている。それで2016年7月12日にオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が判決を下した。その判決は中国の完敗ともいえるものだった。それなのに中国は今も強力な軍事力を背景にして南シナ海に人工島を建設しつづけている。これは中国が領海外の海洋資源を奪取することを狙っている悪質な行為だ。
京子 へえ~。
次郎 その中国以上に危険な侵略国家がロシアだ。ロシアは今のウクライナ侵攻を見るまでもなく、昔から外国の土地と資源を狙って何度も軍事侵略を行っている。そのロシアや中国を無視して日本だけを「すぐに軍事侵略する可能性がある悪い国」と前提した論理を平気で語る総裁の憲法思想は「論理が倒錯した反日の護憲原理主義」だ。
京子 なるほど。たしかに総裁の憲法思想が「論理が倒錯した反日主義」であることは間違いない。…しかし「護憲原理主義」だと断言するのは無理じゃないの。だって、総裁先生は今回の記事の中で、「私は憲法改正一般に反対しない」と言っている…。
次郎 たしかに総裁は「憲法改正一般に反対しない」と言っている。しかし「一般に」が曲者なのだ。なぜならば、「憲法改正一般に反対しない」という言葉の意味が、
①「憲法改正という一般的な概念」や、「世界中の憲法の中に改正条項(現憲法ならば第96条)が存在すること」に反対しないのか、 ②「今の憲法を改正すること」に反対しないのか、 ③「憲法改正にいつも一般的に反対する」わけではないのか、 これらの区別が曖昧だからだ。
京子 たしかにわかりにくい…。
次郎 ともあれ京子さん。総裁が言った「私は憲法改正一般に反対しない」という言葉の意味がどのようなものであっても、総裁は憲法に関する発言のなかで、今まで一度も「今の日本国憲法のこの部分を変更したほうが良い」と言っていない。また、「今の日本国憲法にこのような条文を追加したほうが良い」とも言っていないのだ。総裁は新しい改憲案が出て来ると、必ずその改憲案を否定・批判する主張を行っている。
京子 具体的には?
次郎 今回の記事がその一例だ。今回の記事のなかで総裁は、根拠も証明もない「日本は化石燃料を確保するために憲法を改正して、自衛隊を国軍化するぞ~」という主張を蜃気楼のように描き出して、その蜃気楼を非難していた。これは白日夢を読者に見せる詭弁の論理だったが、たとえこれが正気の論理であったとしても、結局は「護憲の論理」だ。
京子 ふ~む。総裁は白日夢を見ても「護憲の原理」は揺るがない…。
次郎 そのとおり。…このほかにも総裁は「緊急事態条項の追加記入」の改憲案に関して、無責任な反対と批判を語っていた。総裁の反対論がどれほど無責任な反対論であったか。それは「生長の家classics」さんの14851記事、「『地方講師研修会テーマ』に対する解釈学的論理分析 (試論)」 https://bbs6.sekkaku.net/bbs/kaelo... を読めば、だれでも納得するはずだ。
京子 それに対する合理的な反論は、総裁や総裁ファンから出たの?
次郎 出ていない。ぼくは見たことがない。
京子 ふ~ん。…しかし…だからといって総裁先生を「護憲原理主義者だ」と決めつけるのは、まだ無理があるのでは…?
次郎 そのお気持ちもわからないことはない。しかし、やはり総裁の憲法思想は「護憲原理主義」だ。その決定的な理由は最近の日本国民の憲法意識だ。
京子 なに。それ。
次郎 ここ十年ぐらいのあいだに日本国民の世論は「憲法改正に賛成する意見」が「改正に反対する意見」を上回っていて、その傾向が若い世代ほど強くなっている。それなのに総裁はそのような変化を無視して相変わらず「憲法改正に反対~」だけを主張している。このような総裁の態度は、自分がひごろ主張している社会の変化に応じた「教義の解釈」…を拒否する原理主義(本冊子11頁)そのものだ。総裁の憲法思想は、総裁の定義通りの「護憲の原理主義」なのだ。
京子 …証拠をあげて説明しなさいよ。
次郎 次の記事で説明する。
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