[96]ラフマニノフ自演のオリジナル盤 - 投稿者:taro
これはラフマニノフ自演のピアノ協奏曲1番と4番だ。 レーベルはRCA/英国盤 私はRCAというレーベルの粗悪さにうんざりしている。ただし、それは米国盤の話だ。「リビングSTEREO」はたくさん所有しているがとても品質が悪いため聴く気にはならないのだ。米国ではこの程度のレコードがもてはやされていたのかと、いささかあきれてしまう。同時にこのレベルのジャズ音楽で満足するジャズファンがいるとすると、やはりジャズはダンピングの効いた音であればそれでいいということなのかと思ったりする。アメリカ人のことを悪く言うつもりはないが、いつだったか旅行でニューオーリンズに行ったときに橋の袂でまだ中学生と思えるような子供のひとりがバイオリンを弾いていたのを思い出した。近づいてみると、彼が弾いていたのはバッハの無伴奏バイオリンソナタだった。驚いた。ジャズの本場でまさかバッハを聞くとはおもわんかった。それは実に印象的だった。 日本人とは違って、繊細さに欠ける彼らにとってはしんみりとクラシック音楽を聴くことなどとても考えられないが、たまにへそ曲がりの人物もいるのだろう。そういえばアメリカには一流のクラシック音楽学校もあるのだからヨーロッパほどではなくとも結構な数の専門家がいるのだろう。だが彼らの大衆文化の感覚はジャズそのものであることは確かで、クラシック音楽とは異質のものなのだろう。 レコードの繊細な音の変化に対する彼らの感覚はあまりにもラフで、例えばフランス音楽であればドビッシーの内面的な音の表現などとは無縁でもあろうし、せいぜいサン・サーンスの力任せのピアノ演奏がお似合いなのかもしれない。 もちろん米国にも優れた音楽学校があることは知っているが、彼らの国民性の点からも彼らは自由奔放な大衆音楽で満足するのである。その点から考えてもアメリカ人とはおよそ精神面の伴わない表面的な事物しか理解することはできないのだろう。コンピュータの2進数こそがかれらの精神面を形作っている要素だと言いたいほどである。
さて、ラフマニノフに戻ろう。 このレコードは英国番としての敬意を兼ね備えた優れた制作を感じる。 モノラルであるにも関わらず、音楽表現の中に遠近効果を含むところが素晴らしい。単なるローレベルとハイレベルの音の強弱だけではなく、空間表現としての 演奏の技術がレコードの中に感じられて 聴き手が演奏に集中する。何とも素晴らしいレコードの仕上がりを見る思いがする。モノラル録音の中にそのような立体風な効果を盛り込んでいるということだ 。ラフマニノフは作曲家であるだけでなく、大変優れた演奏家であったそうだが、その技術がいかんなく発揮された一枚であった。
最近youtubeなどで、高額のステレオで聴くジャズ音楽の比較などあるようだが、 あんなのは全く無意味でパソコンに取り付けたスピーカーで比較するようなものではない。しかも色気たっぷりの女性ボーカルなどをサンプル音楽として流しているが、あまりにもばかばかしい限りである。 クラシック音楽を専門に聴く私は、そんなお色気音楽で音を競うようなことはやめて、弦楽四重奏曲をかけてみろ!とでも言いたい。左から第一ヴァイオリン、第2、ビオラにチェロを並べて、その音の出方を比べてみろと言いたい。 果たしてどんな音楽が聴けるか、あ、そうそう、曲はベートーヴェンでなくてはならないが。
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2022年12月14日 (水) 11時59分 )
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