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[94] - 投稿者:ステレオの音
一般的にステレオのいい音というのは、楽器のリアルな音が定位感を伴って、しかもダンピングの効いた歯切れのよい響きを指して言うのだろうと思っている。 その段階では、ステレオに対して不満は少ないはずで、いまひとついい音が欲しいなどとは思わない。 ところが、私の場合下の画像の真空管式プリアンプを使って聴くと、さすがにもう一段高い音のレベルを感じてならない。 それはどんな音かというと、本当のステレオの音と表現していいと思うが、つまりまるで3次元の奥行を伴った音だ。普通のステレオも理屈で言えば確かに3次元風に聞こえてくるのだが、その奥行き感がひときわ素晴らしいのだ。 まさしく立体的な演奏状況が眼に浮かぶような気がするのである。 そのように考えると、なぜ真空管式プリアンプが良いと人は言うのかその理由がわかるような気がする。
私は現在3台のプリアンプを使用しているがダイオード式アンプもマランツの定評のある高級品だ。音が悪いわけはない。しかし、アンプを切り替えて真空管式アンプに変えてみると、この細かい音のニュアンスが出ていないことがわかる。例えば真空管式アンプでオペラの合唱の付いた音楽を聴くと、主役の後ろで合唱が歌われていることを見事に感じ取ることができるのだ。要するにこれは声の高低の低い声が後ろで発しているようにリアルに聞こえるからなのだ。 その独特のリアルさが半導体アンプではいくらマランツでも感じ取るのは困難である。 真空管と半導体の違いはこのような些細なことなのかもしれないが、クラシック音楽を聴くときこのニュアンスの違いは 大切な要素と考えている。もちろん、そのニュアンスをとらえきれない人もいるかもしれないが...
ところで、このプリアンプは米国製だ。 メーカーは「ミュージック・リファレンス」という聞きなれないメーカーだ。 今から25年近く前にオークションで6万円程度で入手した。 大変に軽いアンプで数キロという片手でも軽すぎるようなアンプで、見たとたんにこれは騙されたと思って倉庫のゴミの中に放り込んでいたものだ。 聴くところによると、当時は60万円位はしたと出品者は言っていたが、私はこれがそんなに高いわけがないと思ってしまった。ところが古い「ステレオ」誌をめくっていたら、確かにその中に掲載されていたので驚いた。定価は56万円だった。この壊れかかったアンプがそんなに高いのかと、ゴミダメから取り出し テストしてみたところ、これが素晴らしいパフォーマンスだった。驚いた。 それ以来オーディオ棚に置いて色々と聴いてきた。 ある時、ヒューズを飛ばしてしまい、蓋を開けてみると、まさにがっかりするよううに部品が貧しく取り付けられていた 。日本のアキュフェーズなどと比べるとわずかな部品数だった。
しかし、私はこの頼りないアンプを一番の宝として今も使っている。とにかく音が良いのだ。あれから同じメーカーの商品をオークションで捜すが出会ったことがない。
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2022年11月26日 (土) 18時57分 )
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