[91]類まれな演奏と音質 シベリウスVL協奏曲 - 投稿者:たろう
ジュリアン・シトコベッキー チェコフィル シベリウスのヴァイオリン協奏曲である。おそらく日本ではお目にかかることのない10インチオリジナル盤だ レーベルはスプラフォン。 1953年の制作と書いてある。 もちろんモノラル全盛時代の作品だ。 私のタンノイの中心のわずかに上部にこのヴァイオリンの音がしっかりと固定して、少しもぶれがないため、序盤からヴァイオリンの強烈な響きで集中させられる。あたかも指の動きが見えて来るような音がする。普段は10インチ盤はほとんど聞くことがないが、こうして70年前の優秀盤を聴くとステレオの進歩などどこにあるのかわからなくなる。
毎日の生活で、目の前の事象の全てが大衆化してしまい、私はいつの間にか愚かなテレビ番組から遠ざかってしまった。 あのNHKですら、アメリカのウクライナのプロパガンダ垂れ流し報道専門の鬱陶しい存在となってしまった。そうした大衆洗脳を繰り返す今の現実の中に生きて居ると、人間の築いた気高い文明が崩れ去ろうとしているような気分にもなってしまう。 誰かが「大衆芸術」などと訳の分からない造語を持ち出したりもするが、大衆と芸術の精神は真逆のものである。 芸術はこれまで長い年月をかけて人間の文明の中でひっそりと息づいてきたのだ。 このモノラル盤はまさにそうした音楽の気高い存在を象徴する名盤の中の1枚だ と思う。
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2022年11月11日 (金) 10時58分 )
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