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[7]ターンテーブル周辺の改善 - 投稿者:taro
長くターンテーブルと付き合ってきてつくづくと思うことがある。 要するに私のオーディオの歴史は、考えればターンテーブとの闘いのようなものだった。 それほど色々と手を替え品を買えるなど、試行錯誤を繰り返して思い悩んだことが多かったのである。ここでターンテーブルと端的に書いているが、それはカートリッジやターンテーブルに敷くプラッターなどの関連部品を婦埋めての話しである。 つまらない道楽ではあったが、まるで数十年を深い森の中に迷い込んでいたのだ。寝ても覚めても思うことは如何にしてターンテーブル周りの音を改善するかが頭から離れなかった。 そして、ターンテーブルの物理的改善に関してふたつのことに辿り着いた。
■空間固定レコード方式ターンテーブル(写真参照) これはレコード盤をターンテーブルの上に持ち上げて浮上式に近づける方式のことである。 ターンテーブルの上に銅、真鍮、カーボン、その他の素材で作ったプラッターを敷き、レコードを載せてはみたが決して満足な音はでなかった。原因はレコード盤の溝をカートリッジの針でこする時に発するプラッター素材の共振周波数の問題だ。プラッターの素材が真鍮なら真鍮の特性の影響を受けたカートリッジの周波数を発するし、それが銅なら銅の特性の音に変わる。結局それらの音は決してフラットな特性ではなく、素材の癖がそのまま音に顕れるのである。
そうした難点を克服するため、かってマイクロ社の造った「空気浮上」式はまさに理想的な方式だった。私も1台sx?555を使っているが、エアーを用いてレコード盤を持ち上げるのである。私はこの方式を改善し、レコード盤を持ち上げるために点接触のための円錐を使用した。この三角形の円錐を何個かをターンテーブルの上に円形に固定し、その円すいの頂点を接点としてレコードを載せることにした。これでそれまでの金属の材質の特性に左右されないフラットな音のレコードの音を達成した。しかもこの円すいは旋盤の使用者に頼めば僅かな金額で小型旋盤で加工して貰えるためかかる経費も格安である。 こうしてこれまで悩んできた音の歪みが改善された。カートリッジはこれでトレース時に純然たるレコード盤の共振周波数を引き出すことが出来るのである。結果は大満足で以後3年を経過した今も使用している。(円錐の代わり壁に貼る「鋲」でもいいが、私の実験では若干音に違いがあった)
■ターンテーブル駆動ベルトによってレコードの音が変わるとは数年前までターンテーブルのベルトはマイクロ社のFSベルトや市販のベルトを使用していた。それ自体には別段不満らしきものは感じたことはなかったが、ある時知人の薦めで工業用の厚いベルトを使用してみて大変驚いた。聴く音楽が実に生き生きと芯のある音となって聞こえて来るのである。ベルトは「モノタロウ」のサイトをみながら展示されている最も幅の狭いものを選んだ。過去にマイクロ社の糸駆動も試してみたことがあるが、あんなありきたりの音ではない。 まさかベルトを替えてこんないい音がするとは思いもよらなかった。 ついでにもう一台別のマイクロ製の空気浮上式のターンテーブルにも使ってみた。やはり断然良い音がするのである。おかげでレコードの浮上式は殺して使用する羽目になったほどだ。
ベルトで音が変わるとは、これは一体どういうことなのか。メーカーはこれまでベルト選定の原理に照らして力学の計算に応じたベルトを選んできた訳だからその点は問題はない。だがモーターの回転トルクによってプーリーを回し、その回転を更に伝達してターンテーブルのプラッターを動かすという仕組みに、どうやら誰も気が付かない抜け穴があるのだと思われる。つまりあってはならない「ターンテーブルの回転むら」がレコードの音圧の変化に応じて発生しているのだろう。 おそらく、ベルト駆動式ターンテーブルでは、我々が想定する以上に駆動モーターのプーリーによる、テーブル摺動面の接触抵抗の変化があるのだろう。考えれば、それは当たり前なのかもしれない。決してモータープーリーとターンテーブルのベルトをぱんぱんに張っているのではないのだから。ある程度緩やかに、余裕を持たして張っているはずだ。これは仕方がない。 とすればターンテーブル摺動面の接触抵抗は常に変化していると考えるべきだ。 そのため厚いベルトを使うとそれだけ強い張力で引っ張ることができる。接触抵抗は薄いベルトよりも増すので、回転の変化が少なくなって太い音が出るのであろう。要するにこの工業用ベルト使用の問題は、昔から言われていたようにある意味でモーターダイレクトドライブ型ターンテーブルが音が良いと言うことを実証するようなものだ。
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2020年07月29日 (水) 16時08分 )
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