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[67]山内進著「北の十字軍」を読んで欲しい - 投稿者:taro
何のきっかけだったか、50代であの11世紀の十字軍の史実を調べようと思い立った時期があった。結局約10年間は本屋と図書館を調べ回る結果となったが、途中でタイトルの「北の十字軍」という本に出合ったのである。著者は山内進氏。 この本で注目すべき点は、中世のローマ法王による異端弾圧に抵抗して立ち上がった、同じキリスト教国のポーランドとリトアニアだ。 ドイツ騎士修道会を使ってバルト海沿岸の国を荒らしまわるローマのやり方に異を唱えて、ポーランド国王は自分の娘をリトアニアに差し出してまでして同盟を結び、このドイツ修道会に対抗したのである。 それで注目すべきは、この事件際、ポーランド国王が主張した「異端も人間である」という考え方である。当時のバルト海沿岸はそれほど異端に対する弾圧はひどかった。 この異端も人間であるという考えは、キリスト教ではタブ―であり、それを世界で初めて示した事件であったということだ。 結果として両者の戦いが決着がつかなかったため、両者は今度はローマの仲裁のもとに公開の議論を開いたのだが、そこで登場するのが、ポーランドの神学教授「ウラディミリ」だ。彼は先ほどの「異端人間」説を唱え、ローマに正論を持って立ち向かったのだ。 このように、キリスト教からすればとんでもない抵抗を示したのはこれが始めてで、歴史上の出来事として記録されている。
こんな話は日本人にとって全く知らされていない話で、本屋を回ってもなかなか資料を入手することはできなかった。だが、この事件は、当時13世紀のヨーロッパではまさしく画期的な事件であり。歴史に振り回されたポーランド人の正当性を知る上でも重要な事件であった。まさに彼らの歴史は戦いの歴史であり、そのようにして積み上げた国の歴史であることを知る必要があるだろう。
十字軍に対してはまだまだどっぷりつかって 調べた史実があるが、我々日本人のまるで知らないヨーロッパ文明の本質として、この中世のキリスト教がしっかりと居座っていることを知るべきだ。何せローマ法王は当時ドイツ騎士修道会に対し、異端国を「根絶やしにせよ」とまで号令を発したのだから。
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2022年01月06日 (木) 15時07分 )
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