[210] 最高!無伴奏バイオリンソナタ - 投稿者:taro
今日のレコードは「アッカルドの無伴奏バイオリンソナタ」 なんと素晴らしい演奏だったことか。この曲は他に何人かのレコードを 所有している。なかでもジョセフ・スークとシェリングのバッハは確か に際立っている。だが、このアッカルドを聴けば、単なる楽器の演奏と いうより、優れた音楽家の精神性そのものを感じ取ることができる。 かって福岡の音楽会で聴いたチョン・キョンファの無伴奏を思い出すが 、その演奏は速いパッセージをまさに追いかけるように弾く彼女の演奏 には何の感慨も生まれることはなかった。 だがアッカルドの場合はこうしてレコードを聴くだけで彼の演奏への想 いが伝わって来る。バッハのこの曲は楽曲に何の演奏上の指定もないの である。ゆっくり弾こうが速く弾こうが演奏者の解釈任せなのだ。 これは楽曲に何の指定もない楽譜に向かって独自の演奏表現を施すので ある。そのようにして曲の音楽性を作り上げるのだ。 そしてこのアッカルドの演奏には終始一貫した曲の気概が満ちていた。 いたずらに曲の速さを追うのではなく、バッハの遺した世俗音楽の境地 に一条の安らぎのひかりを指し示したのである。 実に素晴らしい演奏であった。
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2024年06月01日 (土) 15時41分 )
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アルバム
スビャフトラフ・ アッカルド バッハ 無伴奏バイオリンソナタ&パルティータ
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