[232]共に老いたり「2S-305」 - 投稿者:taro
私の部屋には40年以前に買ったダイアトーンの2S305が今も鎮座している。
このスピーカーは私が単身赴任中も手放すことはなく、あちこちの狭いアパートで私と同居してきた。ある時は置き場所がなかったので、アパートの押し入れの半分を利用して押し込めて聴いたこともある。 現在の家に越してからはさすがに現役から一歩退きタンノイにに自分の場所を明け渡した。しかたなく今はリビングの飾りとなっている。 思い出せば共に年老いた40年だった。このスピーカーは昭和27年にNHKと三菱電機が協力して開発したスピーカーだ。評論家の菅野氏によれば国産のスピーカーの中では最も日本的な音色のスピーカーと賞賛するほどで、奏でる音は純度の高い響きだった。 ウーファー30センチとツイーターの二本立てだが、ネットワークのないシンプル構造だった。本体は前面を覗いてピアノ塗装の美しい仕上げで40年経った今も昔の風情をそのまま残している。インタ0ネットでは下記のように説明されています。
ダイヤトーンの名を広く知らしめることになったプロ用モニタースピーカーの名器です。 NHKの放送用モニターとして納入され,その後ロングセラーを誇ったモデルでした。 30cmと5cmの2ウェイバスレフ形で,決してワイドレンジではないが正確な位相とバランスの良さがすばらしいモデルでした。そこには,ウーファーの高域特性をメカニカルにコントロールして,トゥイーターはコンデンサー1発で下を切り,能率はネットワークによらず,ユニットの能率で合わせるというシンプルな作りがネットワークの害を避け,素直な音につながっていたようです。エンクロージャーの作りの良さも見事でした。 1台1台に無響室での実測データを添付するというのもいかにもプロ用という感じでした。 出力はわずかに20wながらバランスのとれたその音は高い評価を受け、まさに戦後の代表的なスピーカーとしての地位を築きました。当時のカタログには『2S-305を知らない人はオーディオのもぐりである』と大きく書かれていたのが印象的です。 私が買った価格はたしか1台15万円だったと記憶しています。当時としてはとびきり高い商品でした。1980年代の終わりまで生産が続けられ、最後の価格はセットで70万円でした。
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2024年07月04日 (木) 16時47分 )
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