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すいません、そろそろページが重くなってきましたのであたらしいレスで行きます。改造ゾイドレッドボマー全長:17.0m 全高:6.0m重量:49.0t 最高速度:マッハ2.0可変レーザーブレードストライククローX4腹部大型爆弾X4空対地ミサイルX4(通常爆弾X18)(レーザー誘導爆弾X8) 頭部30ミリバルカン砲爆撃機型に特化したレドラーであらゆる爆撃任務をこなすが空戦は苦手ランディック全長:21.0m 全高:5.2m重量:52.2t 最高速度:200.0km/h水中最高速度:95.0kt パイロット ニナ・ハリアーソニックブラスター AZミサイルランチャー中口径ビーム砲X2 推進用メインエンジンX2 強化コックピットハイドロジェットノズル 大型マグネーザーX2イオンブースターX2ウオディックの量側面に巨大なドリルを装着し、地中を驚異的なスピードで掘り進み、真下から敵を攻撃することができる。また使いこなせばイルカのようにジャンプすることができる。ルイコング全長:11.5m 全高:17.7m重量:200t 最高速度:125km/hパイロット ジャージン・ラファールTVM地対地2連装戦術ミサイル10連発自己誘導ロケット弾ランチャービームランチャーアイアンハンマーナックルX2特殊電磁波発生装置エネルギータンクビーム反射装甲特殊実験機として開発されたアイアンコングで電磁波を発生させてミサイルや砲弾の軌道をそらし、ビーム反射装甲は荷電粒子砲すら跳ね返す。稼働時間が短いことから開発が中止されていたがエネルギータンクを装着することで補っているがコストがかかりすぎるため、現存するのは一機だけである。ロイヤルセイバーデュアルステルス全長:15.8m 全高:11.5m 重量:99t 最高速度:225km/hパイロット ユウキ・ミラージュ最高速度:260km/h対ゾイド30mm2連装ビーム砲地対地ミサイルポッド AEZ20mmビームガンX2小口径対ゾイドレーザー機銃(左) 対ゾイド3連衝撃砲複合センサーユニットTEZ20mmリニアレーザーガンX2キラーサーベルx2 ストライククローX48連ミサイルポッド 高軌道飛行ウイング 安定尾翼レーザーライフルブースターエネルギータンク光学迷彩セイバータイガーホロテックに皇帝専用のユニットと光学迷彩を装着し、ホロテックと光学迷彩を組み合わせることで熱探知を使わない限り、発見することは不可能である。
第二十六話 クロフィアスレイ達は絶望的な気分になったあのディスクが戦火を消すどころか拡大させることになってしまった。「オイオイ…まるであれが嘘っぱちだと言ってるっぽいな…。」「そんな…あたし達はなんのためにディスクを…。」絶望的になるセリーナをあざけ笑うかのように周りは歓声がさらに上がった。「何て奴らだ共和国の連中は!これではあの子達を裏切るのと同然だ!私の娘や孫を危険にさらすつもりか!?」拳で机を叩くスレイザーに他の兵士達はビクッとする、当然のことだ。それにこれがきっかけで多くの若者が軍に志願し、戦地へ出かけるだろうそして多くの若者達が命を落とすと親や兄弟が仇を取ろうとする。この憎しみは無限に広がり止めようがなく人類が滅亡するまで永遠に続くだろう、スレイザー自身も何人もの未来のある命を殺めてきたが彼自身は生き延びるためにはそうするしかなくそれ以前軍人である自分達どんな命令だろうと従わなければならなかった。「レイ…あたし…。」セリーナはレイに何かを訴えるかのようにまじまじと見つめるレイは何かに怯えていると悟った。「トレイロ…セリーナをアーカディア王国へ連れて行こう…セリーナに人を殺せるはずがない」「ああ…そうだよな…そうと決まれば早くここを出てニューヘリックシティの港へ行こう…アーカディア行きの船があるはずだ」「うん…もうすぐ夜の点呼がある寝静まった頃に行こう!セリーナ…消灯になって寝静まったらワイツウルフの所に来るんだいい?」「うん…ごめんなさい…あたしのために…。」「気にするなって元々僕達は安全な所を探してここまで来たんだ。」トレイロは謝るセリーナに元気づけるように言った。午後11時55分そろそろ寝静まった頃だ外は少し強い風が吹いてる、携帯のぶーんという音を立てて震えると携帯を取りセリーナからそろそろ行こうというメールが来た。レイとトレイロはお互いの目を見てうんとうなずきレイはブラックダイヤを取り、サプレッサーを装着すると寝静まった難民キャンプを警戒しながら進む、すると誰かの足音がした。「レイ!誰かいるぞ!」トレイロは小声で言うとカリサだった。「カリサ先生?ん?ハコルス先生もいる…何か話してる」「レイ…まさか脱走するのがバレたか?…まずい!こっちに来る!」小声で慌てるトレイロだがレイはブラックダイヤを2人の教師に向けて躊躇いもなく発砲した。ハコルスとカリサの後ろに空き缶が何かに当たる音がして振り返ると空き缶転がり落ちた。カリサとハコルスは不審に思ったがただの空き缶が転がり落ちただろうと思い、巡回を続けてレイとトレイロがいたT時の通路に来るとそこに彼らの姿はなかった。その彼らは2人の教師が空き缶を調べている間に通り過ぎてそそくさとゼロの所へ行ったがセリーナの姿はなかった。「いない…。」「何…どうせすぐ来るさ」楽観的に言うトレイロ、だが10分経っても来ない。レイはしびれを切らして「トレイロ…ここで待っててすぐ戻る」「ああ…ちゃんと戻って来いよ」トレイロは真剣な目でうなずくとレイは静かに走り出した。その頃セリーナは静けさと暗闇の中を怯えながら歩いていた迂闊に携帯で明かりを点けたらバレる可能性だってある、さっきから誰かに見られている気配がするがいくら周りを見回しても見つからないが強い風が吹くたびにビクッとする、「ひゃあっ!」セリーナは何かにつまずいて転ぶとバケツが倒してしまい音が響き渡った。すると誰かが走り去る足音がした。レイはバケツが倒れた音がした方向へ歩くとセリーナがいた。レイはホッとして、「セリーナ!こっち…早く」「はい…。」安心した表情のセリーナに手を差し伸べるた瞬間、首に何かが刺さり気が遠くなってその場で倒れた。どれくらいの時間がたたったのだろうレイは目を覚ました。何か拘束具で固定されてるようだ。「気が付いたか?レイ・アトミックコア…。」「あなたは…アーセナル大佐?ここは…どこですか?」「君は一度クロフィアスで身体検査をした後…このエレミア基地に移送した。君の仲間もな…手荒な扱いはしていない…安心しろ」「なぜ俺達をここに?クロフィアスって研究所ですか?」「うむ…面白いことを教えてやろう、クロフィアスは世界一巨大かつ突破不可能な巨大要塞都市だ…クロフィアスとは発案者であるジェイコブス・ロイド・クロフィアスから取っている…ニューヘリックシティはその一部分だ…知っての通り旧ニューヘリックシティは300年以上前デススティンガーによって破壊され、放棄された…新たなニューヘリックシティを建設する際、隣接する山にある広大な天然のドームを発見した。そこには地上と変わらない数のゾイド達が存在し、そこに要塞を作ることを発案したのがクロフィアスだ。250年前に建設が始まり、今年の7月に完成した。」「今年の7月?そうだ…セリーナと出会った時だ…。」「安心しろ…そのお嬢さん…いや…お姫様と言ったほうが良いかもな彼女は無事だ…帝国軍に兄がいるとは……君にもいろいろ聞きたいことがある、いいか?」「何を聞くんですか?」「簡単だ…あのライガーゼロをどこで手に入れた?」アーセナルが質問すると レイは覚えている限り詳細を話した。ジャック・ガーランドのことや7・14事件のこともするとアーセナルは納得した表情になり、「なるほど…君はガーランドに似ていい目をしている…ガーランドは私の部下だったが…マーガレットというゼネバスの女のために軍の…いや!国への忠誠心を捨てた!さて…次の質問だ…あの時どこへ行こうとした?」「アーカディア王国です…。」「そうか…ガバメント(政府)は徴兵令を出している…それにあそこは共和国から流出した難民達を嫌な顔をせず快く受け入れてる…まさか…戦地で戦うのが怖くてアーカディアへ逃れようとしたな…違うか?」見下すような目つきで見るアーセナルにレイは答えようとしない、しばらく睨み合った後、レイは拘束具を外してもらったが、人質になってもらうと言ってトレイロと一緒に収容所に投獄された。
第二十七話 監禁レイはブラックダイヤを取り上げられ、共和国兵にM35を突きつけられて収容所に監禁された。収容所にはトレイロも監禁されていた。「レイ…大丈夫だったか?」「うん…俺達は今、エレミア基地にいるみたいなんだ」「そうか…ここはどうりで砂漠のど真ん中にいる訳だ…。」「ここはエレミア砂漠か…確かこの近くにバン・フライハイトの故郷の村があるんだよな…だけどセリーナはどこにいるんだろう…。」「俺達は人質だから多分セリーナに用があるんだろう…。」トレイロの言うとおりだった。セリーナは目を覚ました。ベッドで寝ていたようで周りはクマやうさぎのぬいぐるみに机、年頃の女の子の部屋で、鏡を見ると汚れた服は着替えられてパジャマ姿の自分がいた。(ここはどこ?そうだ!あたしはレイが誰かに撃たれて倒れた後あたしも…撃たれて急に眠くなってそれで…。)不安が一気に襲いかかりドアを開けて出ようとするが鍵がかかっていて開かない、監禁されてることを悟ったセリーナはドアを破ろうとするが華奢な彼女の力ではぶち破ることができない、「開けて!あたしをここから出して!」ドアを叩くが反応はない、ドアに寄りかかりながらセリーナはすすり泣こうとすると鍵が開く音がして慌ててベッドの所へ逃げて身を隠そうとする、入って来たのはギルネイだった。「目が覚めたようだな…靴ぐらい履け…汚れるぞ…それとシャワー浴びろ」「ギルネイさん……ここは?」「共和国軍エレミア基地だ…基地とは言っても研究所に近い、それと君の仲間は我々の監視下にあり人質となってもらっている…生かすも殺すも君次第だ」ギルネイの冷徹な言葉に愕然とした。するとセリーナは大事な物が懐にないことに気づく、手当たり次第に探すが見つからない、「どこ?あたしのペンダント…どこ?」「安心しろ…ブルースが預かっている…シャワー浴びたら格納庫へ来い、見張りの兵士が案内してくれる…逃げようなんて考えるな……すぐに貴様の仲間を射殺からな…。」ギルネイがそう言って部屋を出るとセリーナはひとまずシャワーを浴びる、ここ何日もシャワーを浴びれずに同じ服を着ていて気持ち悪かった。おとなしくしていればレイとトレイロの心配はなかった。同じ頃、収容所では誰かが入ってくると警備兵は敬礼して、入ってきた士官は意外にもジムだった。ジムを見た途端にトレイロは、「ジム、ここから出してくれないか?」「トレイロお前馬鹿か!?久々に話すのにこれか!?お前ら人質だぞ狙いはセリーナだ!」ムキになるジムにレイは怒鳴りつける、「それより!セリーナはどこにいる!どうしてセリーナを狙うんだ!」「教える義務はねえよ…セリーナのことでムキになりやがって…そいつのことが好きなのか?」「くっ…(コイツ…入学した時から嫌な奴だったがやっぱり嫌な奴だ!)」睨み付けるレイ、ここが収容所じゃなかったら間違いなく殴り合いになってただろう。だがジムは腰にグロック19がある、地球移民の古式銃とはいえ殺傷能力や性能は抜群だ。そのため今も古式銃を採用、生産している国も多くある。ジムは勝ち誇った顔して部屋を出た。(レイがあんなに怒るなんて中学以来だなユウガの腕を骨折させたし…人殺しそうだな)トレイロは冗談半分で考えていたが同時に嫌な予感がした。セリーナはシャワールームを出て用意された共和国軍のパイロットスーツを着ると自分の靴は無く、仕方なく部屋にあった履き慣れないブーツを履き、ドアを開けるとセリーナより年下くらいの少年兵、ブルースがいた。「君は…確かギルネイさんと一緒にいた…。」「はい…ブルース・レミントンです。アーセナル大佐がお待ちです私についてきて下さい」「あ…あの…あたしのペンダント返してくれない、お母さんの形見なの」「すいません…これですね」「ありがとう」ブルースはセリーナに紋章が掘られ、装飾が施されたペンダントを受け取るとアーセナルの所へ歩く、セリーナは自分より年下のブルースが軍服を着て軍人でいる、自分達もそうであるように彼もまだまだ遊びたい年頃なのにどうして厳しい軍隊にいるのか気になり、「ブルース君…どうして君は軍にいるの?本当はどうしたいの?何になりたかったの?」唐突な質問に戸惑いながらもブルースは答えようとすると、「ご苦労、レミントン少尉…自分の持ち場に戻っていいぞ」「は…はいっ!」ブルースはアーセナルに敬礼して持ち場に戻るとセリーナは名残惜しそうに去って行くブルースを見る、「さて…まず君のゾイド、ワイツウルフだが…あれは完成体ではないことは知っていたかな?」「いいえ…。」「よろしい…素直でいい目をしている。あのゾイドは本来、ZOITECのワイツタイガーとして作られた。だが凄まじい力を恐れた開発者達はブロックスであるサビンガとワイツウルフに分割したが…それでもワイツウルフを乗りこなせるパイロットはいなかった…だが君は優れた才能を持っている。このワイツタイガーを乗りこなせるか…試してみてくれないか?」アーセナルはセリーナを格納庫に招き、すっかり様変わりした愛機に搭乗する、コクピット内部は変わっているが操縦しかたは変わらない、セリーナは慣れた手つきで起動させて、日が照りつける砂漠に出た。装甲式のコクピットなので日が当たることはなく、難なくワイツタイガーを自分の手足のように動かす試しにエレクトロハイパーキャノンを撃つと凄まじい砂柱が立つ以前より破壊力が増している、ブースターを吹かすと凄まじい加速にGがかかるあっという間に時速340キロにまで加速した。セリーナは初めは格段に性能アップした機体についていくのがやっとだったがすぐに扱いなれた。自分は利用されていることを知っていながら従ってしまうことに自己嫌悪を抱いていた。
第二十八話 本当の自分午後2時、レイとトレイロが監禁されてる牢屋では突然、看守が殴り倒された。誰かと思えばビクトリアだった。「あなた達、大丈夫?怪我はない?」「ビクトリアさん…どうしてここに?」「話しはあとでよ、レイ…これはあなたのでしょう」ビクトリアは鍵を開けて解放するとレイにブラックダイヤとマガジンが納められているホルダーを渡す。換気ダクトに入り、格納庫を目指す前からビクトリア、トレイロ、レイの順に音を立てないように慎重に進む格納庫に進むと数人の兵士が警備している、テストを終えたワイツタイガーが入って来た。セリーナはコクピットから降りるとブルースが出迎えてくれた。「御苦労様です…どうでしたか?」「大丈夫だったわ、ありがとうブルース君」セリーナは愛らしい笑顔を見せるとブルースは頬を赤くしながら背筋を伸ばした。「いいえ…自分はその……さっきの質問に答えていませんでしたね…僕が軍に入った理由は愛国者の息子として認められたかったんです。父も母も代々国のために働いていましたから…。」「そう…でも本当はどう思ってるの?本当の…あなたは?」その言葉にブルースはハッとした。それは今まで何人もの人達にこのことを話したがこの言葉を聞かれたのは初めてであり誰かに言って欲しかったものでもあった。ブルースはセリーナに震える声で話す、「僕は…ほ、本当は……軍に行くのが…戦争に行くのが…嫌だったんです。戦争に行くのが…死ぬのが…死ぬのが……怖い、お父さんやお母さん……友達に会いたい」「それが…本当のあなた?」「はい…僕は……臆病者です。」ブルースは泣きじゃくりながら話すとセリーナはブルースを抱きしめ、「大丈夫…あなたは臆病者なんかじゃないわ…本当のことを話すのってすごく勇気がいるのよ」「あなたの…名前を教えて下さい…。」「あたしは…セリーナ、セリーナ・サン・アーカディア…それが本当のあたしの名前…。」セリーナが本当の名前を言った瞬間、爆発音が聞こえて基地内に警報が鳴り響いた。基地の外ではデスレイザー、デュアルステルス、ランディック、ルイコング、BFにロードゲイルの6機だ。「アスハル大尉、いいか…目標は基地の占拠だ。破壊は避けろ、あとは迎撃機を相手しろ!」スレイザーが指揮し、アスハルの紅いBFはスラスターを吹かして砲台やミサイルランチャーをバスタークローで破壊、基地から次々とアロザウラーやレオストライカーが発進するがここは砂漠、つまり砂の海を泳ぐランディックには格好の獲物だ。突然真下から現れてレオストライカーを真っ二つにする、無論、パイロットもドリルに巻き込まれて血肉を飛び散らした。ガンナーモードのレオストライカーが砂に潜るランディックをマルチプルキャノンを撃つが無意味だ。次の瞬間には既に真下を通り、機体の重みで砂が陥没して動けなくなった隙にイルカのように飛び跳ね、レオストライカーを上からドリルで貫いた。「ヒャハハハハッ弱すぎて話になんねえよ!」ニナは心の奥底から戦闘ではないこの一方的な虐殺を楽しんでいた。迫って来るルイコングにアロザウラーがビームを放つとルイコングのビーム反射装甲が跳ね返し、レオストライカーがミサイルを撃つが寸前の所でそれる、「こいつら馬鹿か?いくら撃っても無駄なんだよ!」ジャージンはルイコングを駆り、ナックルハンマーで片付けて取り残された別のレオストライカーに、「アイアンビート!!」拳を両手を握り締めて、高くジャンプして叩き潰す。潰れたレオストライカーのコクピットには異様な角度で腰が曲がり、圧死したパイロットの姿があった。次々と出撃する共和国ゾイドにギルネイも、「くそっ!ジム!ブルース!迎撃に出るぞ!」「はい!…セリーナさん、ここは危険ですから逃げて下さい!何があっても生き延びて下さい!」「あっ、ブルース君!」セリーナを振り切り、ブルースは走り去って行った。慌ただしさに紛れて3人はそれぞれのゾイドに搭乗し、レイもゼロに乗ろうとすると足元の床に銃弾が、SIG P226を持ったユウガだ。「ここを出るんならそのライガーを置いてってもらおうか」「ユウガ…俺を撃つ気か?トリガーを引いたら人が死ぬんだぞ…。」「お前のことなんかどうでもいい…。」「安全装置が外れてないぞ」レイの言うことは正しく、ユウガはすぐに外そうとした隙にレイはブラックダイヤを抜きながら安全装置を解除して向ける。やはり銃に関してはレイが上だった。レイはユウガをホールドアップして後退しながらコクピットに入り起動させるとBFがバスタークローで壁を破壊して現れた。「あっ、うわああああああー!!」叫ぶユウガの真上から瓦礫が落下して頭から叩き潰された。「君とはつくづく縁があるようだな!レイ君!」「くっ…アスハルさん!」狭い格納庫の中でゼロはBFのバスタークローをかわすがそのたびに瓦礫が落ちて逃げ惑う兵士達を下敷きにする。ゼロとBFが一進一退の攻防戦をしている頃、外に出たワイツタイガーはデュアルステルスとルイコングの砲撃を疾風ごとくかわして右側面に回り込み、ルイコングにエレクトロハイパーキャノンを撃ち込むが反射装甲で弾かれてセリーナは一瞬戸惑いながらもルイコングのナックルハンマーを余裕でかわし、鋭い爪で背中の電磁波発生装置を切り裂き、至近距離からエレクトロハイパーキャノンでとどめを刺した。あっという間にやられたジャージンは通信し、「何て奴だ…ラザ!ユウキ!ニナ!こいつ手強いぞ!」通信を聞いたユウキはデュアルステルスに光学迷彩とホロテックを発動させようとすると「させるかよー!!」トレイロのTSウルフが右側面からロングレンジライフルを撃ち込み、デュアルステルスの周りに砲弾が炸裂する、上空からロードゲイルがエクスキャノンを撃ちながらTSウルフの左側面から来るとトレイロは気付いたが既に遅くエクスシザースで挟まれ、ランディックがドリルを回転させながらイルカのように高くジャンプした瞬間、ワイツタイガーのエレクトロハイパーキャノンに撃ち抜かれた。「あり得ねえよ!あいつムカつく!」初めての敗北にニナは屈辱を味わい、ランディックは地面に叩き付けられた。
第二十九話 エレミア基地にてゼロとBFは戦場を格納庫から外の砂漠へと移していた。BFは185mmビームキャノンを撃ちながらゼロに接近し、バスタークローで突くとゼロはすり抜けてジャンプするとBFはスラスター全開でゼロから離れる、ゼロは着地すると砂に足を取られて思うように動けない、その間にBFはアンカーを降ろして姿勢を低くしてチャージする。セリーナの視界に荷電粒子砲発射体勢のBFが入り、射線上にはゼロが、「兄さん!やめて、レイを殺さないで!」セリーナの叫びも虚しく、BFは収束荷電粒子砲を発射した時、ゼロを庇うかのように凱龍輝が荷電粒子砲を受け止めて集光パネルで吸収した。「ギルネイ…。」「勘違いするなアトミックコア!私は貴様を助けようとは思っていない!射線上に基地があっただけだ!」「ギルネイ…助けてとは言ってないけど…ありがとう」お互い素直にならない二人に上空から飛行モードのエヴォフライヤーで支援しているジムは呆れて、「ったく素直になれよ頑固者…ってあぶねっ!」ロードゲイルがマグネイズスピアで突いて来てエヴォフライヤーがギリギリでかわすと下にいたワイツタイガーがエレクトロハイパーキャノンで対空砲火を仕掛けた。「あれは…ワイツタイガー?まさか…さっきの叫び声も」「あなたは…スレイザ―さん!?」「やはり…あの時のお譲さんか!まさかこんな所出会うとわな…!お嬢さん後ろ!」スレイザーが叫んだ瞬間、後ろからデスレイザーが尻尾を振り回してきた。ワイツタイガーは弾き飛ばされて転倒した。「セリーナ!」アスハルはワイツタイガーの方に目をやり、BFに数秒間隙ができてしまった。ギルネイはそれを見逃さなかった。「今だぁぁぁー!」「アスハルさん!」レイの声にアスハルは我に帰った瞬間、凱龍輝はBFに向かって集光荷電粒子砲を発射、咄嗟にBFはEシールドを受け止めた。「ウザイんだよ!ちょろちょろと!」マジギレのユウキはデュアルステルスのレーザーライフルを撃ち、ちょろちょろ動き回るTSウルフを一撃で仕留めた瞬間、デュアルステルスもバッテリータンクを撃ち抜き、爆発、「くっそ!!ステルスが…。」デュアルステルスは光学迷彩が解けてしまい、姿があらわになった。「とどめだあぁぁぁ!」トレイロは叫び、TSウルフは最後の力を振り絞ってロングレンジライフルを撃ち込んだ。「貴様!今何をしたかわかるか!?今戦ってる敵を助ける奴など聞いたことないぞ!」ギルネイは怒鳴り、レイは躊躇いがちに、「そんなことは分かってる…けど、BFには…セリーナのお兄さんが乗ってるんだ!」「何だと!?そんな馬鹿げた話しあるか!」「あるんだよ!アンダーソン大統領の演説で広げた戦火の結果の一つがこれだ!この戦争は共和国が起こしたことは知っているのか!?」口げんかしている2人にBFは姿勢を低くして拡散荷電粒子砲を発射、凱龍輝は集光パネルで防いだがゼロは回避行動するどころかBFに向かって突撃する、拡散した荷電粒子砲の弾丸の何発かゼロに命中する。「馬鹿な…正気か!?」アスハルはBFに回避行動をさせようとした瞬間ゼロが跳びかかって来た。「ストライクレーザークロー!!」BFはあと一瞬遅かったらゼロにわき腹を深く切り裂かれていただろう、それでもかすり、BFは着地の瞬間を狙ってバスタークローを突くとパターンは読めているようでことごとくかわされる。「なぜ私を助けた!今殺し合っている敵を助けて何になる!?」「じゃあ、あなたはあのまま死んでもよかったんですか!?」「私はゾイド乗りである以前、軍人だ!死ぬ覚悟はできている!」アスハルはそう言いながら、BFの尻尾を振り回してゼロの頭部に叩き付けるとゼロは転倒してBFに脇腹を踏みつけられながらも、「俺はあなたが死んで欲しくないんです!生きてセリーナと向き合って欲しいんです!」レイは叫びBFはゼロの腹部を蹴ると、「ユニゾンするぞ!ブルース!」「はい!」ギルネイとブルースはゼロに気を取られている隙にBFを倒そうと凱龍輝とディスペロウがユニゾンして凱龍輝デストロイになり、BFは右足でゼロの足を踏みつけて押さえ、バスタークローでとどめを刺そうとすると凱龍輝デストロイは姿勢を低くして集光荷電粒子砲発射体勢になり、レイはそれに気付いた。「アスハルさん逃げて!早く!」(アトミックコア…余計なことを…たが終わりだ!)ギルネイはそう思いながらトリガーを引いた。集光荷電粒子砲やロンクレンジキャノンとインパクトカノンが発射されて、反射的にBFはゼロの腹部を蹴り、バスタークローを開いてシールド全開で張った。スレイザーのロードゲイルは まだ出撃していない共和国ゾイドを破壊しながら基地内部に潜入するとZOITEC社のロゴが、(ZOITEC社のロゴ?ここは軍事基地というより民間企業の研究所か…ここの敵は民間企業の私設軍隊かもしれないな…。)スレイザーがそう思いながらロードゲイルを歩かせると最深部にゴジュラス・ジ・オーガとレイズタイガーが、しかも2機共起動してロードゲイルに襲いかかって来た。「ジェーン・ドゥ少尉、目の前にロードゲイルがいる!排除しろ!」「はっ!」ラバーマスクで顔を隠した女はアーセナルの命令を受け、ロードゲイルに襲いかかり、スレイザーは急いで来た道を戻るが後ろからレイズタイガーが追いかけて来た。
第三十話 追撃戦日が照り付けるエレミア砂漠の研究基地、ワイツタイガーは208ミリショックカノンを撃ちながらデスレイザーにあっという間に接近し、デスレイザーは尻尾を振り回すとワイツタイガーはあっさりわし、空振りしたデスレイザーにワイツクローで深々と切り裂くとデスレイザーは悲鳴を上げた。「チィッ!こいつ強すぎんだよ!」ラザは体勢を立て直させてエレクトリックディスチャージャーで反撃するとワイツタイガーは鋭い牙と強靭な顎で尻尾に噛みつき、「はあああぁぁぁぁ!」セリーナの叫び声と共にデスレイザーは投げ飛ばされて地面に叩き付けられた。BFはさっきの一斉砲撃でシールドを破られてバスタークローの片方を失い、ダメージが45パーセントまで達していた。凱龍輝はとどめを刺そうと素体になり、飛燕と月甲が襲いかかる。「チィッ!」アスハルは舌打ちしながらBFの尻尾と残ったバスタークローで追い払うがまるで意志を持っているかのように攻撃をかわす。「兄さん!逃げて!」セリーナは飛燕と月甲に狙いを定めて、エレクトロハイパーキャノンで正確に撃ち落とすと邪魔されたギルネイは怒鳴り、「セリーナ!!貴様まで邪魔する気か!?」「ギルネイ!聞こえなかったのか!?BFのパイロットはセリーナのお兄さんなんだ!」「余計なことを言うなレイ君!」アスハルはBFのバスタークローでゼロを貫こうとした瞬間、ワイツタイガーはBFの左側から突進して来た。パワーは小柄なのにも関わらず予想以上だった。「アスハル大尉!撤退だ!基地の最深部にゴジュラス・ジ・オーガとレイズタイガーが動いてる!今の戦力では勝ち目はない!撤退するぞ!」「了解!」スレイザーの報告にアスハルは作戦失敗したと悟った瞬間、ロードゲイルが現れて、追跡してきたレイズタイガーも現れるとそそくさと退却していった。ホッとする2人にビクトリアから通信が入る、座席の後ろにはトレイロもいる。「レイ!セリーナ!私達も逃げるわよ!何も言わずについてきて!」レイとセリーナにとってビクトリアは信頼できる人だった。何も言わずに3機は逃走を開始するとギルネイとジムは素早く反応し、「ジム!ユニゾンして追跡するぞ!」「了解ギルネイ中尉!」凱龍輝はエヴォフライヤーとユニゾンして凱龍輝スピードになり、「ビクトリア…顔を見せに来たと思ったらこれか…。」憤るアーセナル、オーガはゴジュラスキャノンを撃ち砲弾がガンスナイパーの横で炸裂する、ビクトリアは起爆スイッチのような物を押すと突然足元に爆発音がしてオーガは自分の体重を支えきれずに転倒した。「くっそ!サボタージュ(破壊工作)か!ジェーン少尉!すぐにプテロレイズを射出してジェットレイズタイガーになり追跡しろ!」「駄目です!さっきの戦闘でプテロレイズが破損しました。」「くそっ!」アーセナルは完全に屈辱感に打ちのめされていた。ジェーンは地平線を眺めながら、(焦る必要はないわ…奴の息の根を止めるチャンスはまた来る…待ってなさい!)(セリーナさん…生きてアーカディアに帰って幸せになって下さい)ディスペロウのコクピットの中でブルースはもう二度と会えないかもしれないセリーナの優しい笑顔を思い浮かべつつ心から祈り、走り行く3機に向かって敬礼した。凱龍輝スピードに追跡される3機、ガンスナイパーにはTSウルフを失ったトレイロが乗っている。ゼロはBFとの戦闘でかなり損傷し、セリーナは監禁や脅迫、戦闘で精神的疲れ果てている。後ろから迫って来る凱龍輝スピードにトレイロは振り向き、「くそっ!いい加減に見逃してくれたっていいだろう!」徐々に凱龍輝スピードとの距離は縮まる一方でついに凱龍輝スピードはアサルトライフルを発砲、弾丸がゼロをかすめる、「ギルネイ…ライガー、回頭して迎撃しよう」「待って!あと少しで味方の射程内に入るわ!……もう少しよいい子だから頑張って…。」愛機を励ますビクトリア、高機動ブースターを噴射するが縮まることはなく、凱龍輝スピードは迫って来る。照準ロックしてトリガーを引くギルネイだが高速で走るゼロやワイツタイガーは後ろに目が付いてるかのようにことごとく射線をかわしていく、「ちょこまかと動き回りやがって!このまま逃がすかよ!」「中尉!俺が前へ出て足を止める!そして一気に仕留めるぞ!」苛立つギルネイにジムは提案した。凱龍輝スピードはエヴォフライヤーと分離し、飛行形態のエヴォフライヤーは3機の真上を通り、反転してアサルトライフルで機銃掃射して足を止めようとするとゼロは急ブレーキをかけて射線の手前で止まるがワイツタイガーは機銃掃射を浴びて転倒した。「あうっ!」「セリーナ!」レイは我慢しきれずゼロを反転させて迫って来る凱龍輝を睨み付け、威嚇すると凱龍輝は飛燕と月甲と分離してゼロの両側面から向かって来る。ゼロはギリギリまで引き付けて、タイミングを見極めてブースターを噴射し、飛燕と月甲は対応しきれずに激突して墜落した。ゼロは素体凱龍輝に急速に接近して、素体凱龍輝は尻尾を振り回そうと体を回転させた瞬間にゼロはタイミングよくしゃがみ込んで空振りに終わるところに首に噛み付こうとした。「うおおぉぉぉぉー!」「遅い!」ギルネイはこの攻撃を呼んでいた。逆に噛みつかれてゼロは悲鳴を上げ、なんとか振りほどいたゼロだがダメージは限界に達していた。その時だった。全周波数通信が入り、「戦闘中の共和国軍ゾイドに告ぐ!直ちに戦闘を中止してその場から退去して下さい!さもなければこれを中立地域への侵略行為とみなし武力を持って対峙し、排除します!」ビクトリアを除いて全員戸惑った。
第三十一話 星空の下でギルネイは意外なことに憤りをみせる、「中立地域だと!馬鹿な!」「そういえば中尉、反戦運動のため地域ぐるみで軍を一切侵入させなかったり支援を拒否する地域が僅かながら出ている噂を聞いたことがある……まさか本当にあったとはな、この先に何機かゾイドいる、それにセンサー式対ゾイド用大型地雷、ビッグモア……俺達だけじゃ無理だな」「チッ!引き揚げるぞジム!アーセナル大佐に報告だ!」ギルネイは屈辱感を味わいながらジムと共に引き揚げた。「みんなもう大丈夫よ……セリーナ大丈夫?」「はい……大丈夫です」ビクトリアの呼びかけに答えるセリーナ、トレイロは安堵の表情を浮かべ、「やっと安全な所に着いたって訳か…そういえばビクトリアさん中立地域にアーカディア行きの船とかあります?」「あるわよ、他にゼネバスや東方大陸連邦に西エウロペ連合様々な国が支援物資や義援金を難民に送ってるわ…国外へ行く人もいれば残る人もいるわ。亡命して二度と国へ戻れなくなる可能性があるからね…。」ビクトリアの言葉に現実を突き付けられるレイとトレイロ、トレイロは考え込んでいるとレイはハッキリと言った。「俺はアーカディアに行きます。例え二度と戻れなくなっても……セリーナをアーカディアまで連れていきます。」「大丈夫よレイ、あたしだけでもアーカディアに行けるわ…。」「でも、中立地域に入ったからと言ってそこが絶対安全とは思えない…トレイロはどうする?」「お…俺は…。」答えられないトレイロ、トレイロは成績優秀でスポーツ万能、明るく、正義感も強いが反面、優柔不断さがあり、本人もそれを自覚していた。「もう少し考えてていいよ…。」レイはそう言って通信を切った。夕方になり英雄、バン・フライハイトの眠る地、ウィンドコロニーに到着、レイ達は村の外れにゾイドを駐機して今夜眠る宿を見つけてそこで夕食を食べてレイとトレイロは何日振りのシャワーを浴びた。「あー生き返った気分だ…やっとフカフカのベッドで寝られる」「トレイロ…ちょっと外行ってくる」レイは外に出て、村を歩き回っているとこの地方特有の民族衣装を着たセリーナがいた。村人達は彼女に注目している。レイもその中にいた。(すごい似合ってる…セリーナがこの村の人だったら村一番の美人で有名になってたかも)そう思いながら見ているとセリーナはこっちに気付き、恥ずかしそうに頬を赤らめながら乙女チックに微笑んだ。「セリーナ…」「レイ…ビクトリアさんがくれたの……やっぱりちょっと…変かな?」「いや…そんなことないよ…すごく……えと…似合ってて…かわいいよ」「えっ!?あっ…ありがとう」ぎこちない口調で言葉を交わしながら、レイとセリーナは村を歩き回り村の外れの丘に登り、星空を見上げる。「レイ!あたしこんなに綺麗な星空見たことないわ…。」「うん、俺も星空がこんなに綺麗だなんて思わていなかった…。」すると流れ星が一瞬現れて消えた。「セリーナ!今流れ星が見えたよ!」「ええっ!?」「どうしたの?」「知ってる?…流れ星に願い事をかけると願いが叶うの…。」星空を見ながら言うセリーナにレイは質問した。「どんな願い事をかけるの?」「えっ!?…ごめんなさい……それはちょっと恥ずかしくて言えないの…今は…。」「そうだね…俺も恥ずかしくて言えない…。」頬を赤らめるレイとセリーナは星空を一緒に見上げているとレイはこんな話しをする。「知ってる?人間は他の星から来たっていう話し…。」「うん、知ってるわ、遠い星から惑星Ziに移住して来たっていう話し、地球っていう星に住んでたけど環境破壊か何かで地球が住みにくくなったらしいわよね…。」「そう…その中には戦争も含まれていた……古文書で読んだことがあるんだ……昔地球っていう星に住んでた人達は3回も世界中を戦争に巻き込んでた過ちは二度と繰り返してはいけないのに…どうして人間はまた戦争を起こすんだろう?」「そうね…どうしてあんなに怖いことができるのか…そんなことしても……何もならないのにね」「うん、どうしてだろうね……もしかしたら…今地球でも俺達のようにこうして二人っきりで星空を見上げて語り合っている人達がいるかもしれないね…。」「語り合う…そうね…こうして二人っきりで……レイ、あたし…!」「セリーナ?」「……本当にアーカディアに来てくれる?」レイはうなずき本当の気持ちを話す勇気が出ないセリーナはしばらくの間黙って星空を見上げた。夜のそよ風にセリーナのクリーム色の長い髪がミルクのように白い顔の周りに吹かれ、儚げな表情を浮かべて星空を見上げる姿にレイはいつの間にかセリーナを護らなければならないという気持ちから護りたいという気持ちに変わっていた。
第三十二話 自由の海賊レイ達は早朝からウィンドコロニーを離れて港町、ベイサイドタウンに到着したがそこは難民で埋め尽くされていた。開戦から13日経ち、各地からの難民達がベイサイドタウンに集まり、留まる者もいれば外国船に乗って他国へ逃れる者もいる、レイ達4人はゾイドを降りてビクトリアはレイ達を連れて港に行き、アーカディア国籍の船を探す。するとフリーダムパイレーツ号と書かれたドラグーンネストがあり、それはアーカディア国籍の船だった。「あったわ!やはり来ていてくれたのね」「知り合いが乗っているんですか?」トレイロがビクトリアに言うと、「そうよ…フリーダムパイレーツ号は運び屋で私が共和国へ行くときよく乗せてもらっているわ」「フリーダムパイレーツ(自由の海賊)…海賊船みたいな名前ですね」「ええ…レイの言うとおりよ海賊がよく出る海域にも行くから自衛用に戦艦並の武装をしているし、最新鋭のコンピューター制御で動くから最低14人いれば動かせるわ」「凄いですね…ビクトリアさん、あの人達ですよね?」「あっ!いたわ、オーイ!ブレビス!ブレビス・オーソン艦長!」ビクトリアは無精髭を生やし、30代半ばぐらいで茶色の髪に右目に眼帯をかけた屈強そうな男に向かって叫ぶとブレビスはレイ達に気付き、「ビクトリア!久し振りじゃないか!またいい女になったな!みんなよく聞け!看板娘が帰って来たぞ!」艦内電話でブリッジに報告すると次々と老若男女25人が集まり、帰りを喜んだ。「ビクトリア…あの3人は?」「夏休みの個人戦トーナメントで知り合った私のかわいい友達よ…。」「そのうちの一人は今風の兄ちゃんだな」ブレビスは3人を見て笑みを浮かべる、今風の兄ちゃんとはトレイロのことだろう、するとレイはブレビスに、「あの…すいません」「え…男!?」「そうよ、かわいい男の子でしょ?レイ・アトミックコアって名前なの」「初めまして…レイ・アトミックコアです…。」レイが自己紹介するとトレイロとセリーナも、「僕は友達のトレイロ・ハーティナルです」「セリーナ・ヘプシオンです」「よろしく、俺はフリーダムパイレーツ号の艦長、ブレビス・オーソンだ…ところでレイ君……ビクトリアに抱きつかれたことあるだろう?」「ええっ!?」レイは夏休みの時にビクトリアに抱きつかれた時の胸の感触が蘇り、赤くなると、「図星だな…なんせビクトリアはGカップだからな」「Gカップ!?」驚くトレイロ、セリーナは自分の胸を見下ろした。「なるほど…事情はよくわかった。大変だったな、それで?これからどうするつもりだ?」レイ達は事情を話し、ブレビスは納得して質問すると「アーカディアへ亡命します…俺は今追われている身です」「亡命か…だが二度と国に帰れなくなるかもしれないぞ…トレイロはどうなんだ?」キッパリ答えるレイにブレビスもキッパリと重い現実を突き付けるトレイロは亡命するか残るか悩んでいる。「トレイロ…自分の意志で決めて、残ると言っても誰も君を冷たい目で見ないし、むしろ大変なのは俺の方だ…もう決めてしまったから後戻りできないけど…後悔しない」「レイ……僕は……お前と何年も友達やってきた…残ったらもう会えなくなると考えると怖くて……正直最初は女みたいな顔で…シャイで変な奴だと思ってたけど…今はいい奴だと思ってる…お前が遠い国に行っちまうなんて心配だ…俺もアーカディアへ行く…後悔しない」「トレイロ…本当にいいんだね?」レイがそう言うとトレイロは真剣な眼差しでうなずきレイとトレイロは手を叩き合い、握り合い、お互いの友情を確かめ合った。「決まりだな…それとセリーナ…君はアーカディア王家の人間だろ」ブレビスの言葉にセリーナの額から汗が出て周りは唖然とする、「はい…あたしはジェラード・ロン・アーカディア王の長女、セリーナ・サン・アーカディアです」正体を明かしたセリーナ、レイとトレイロは茫然と立ち尽くしていた。「出発は72時間後だ…ビクトリア、姫さまと若いのの世話を頼むぞ」「ええ…勿論よ」ブレビスとビクトリア、レイ達は宿に泊まりゾイドを取りに行くため、町の中に入ると突然ラジオでこんなニュースが入った。「昨夜、アンダーソン大統領は国内の中立地域に対し、共和国軍を派遣すると発表しました…これを述べ…」「共和国軍が来るのね…攻撃されなければいいけど」「大丈夫…すぐに来るかどうかわからないけど、自分達の国の町を攻撃することはないと思うよ」不安げなセリーナにレイは安心させようとするがレイ自身嫌な予感がした。その時だった。うなり声が聞こえ、それがアロザウラーであることがすぐわかると爆発音と銃声が響き渡り、トレイロとセリーナは反射的に耳を塞いだ。「共和国軍だああぁぁー!!」屋根の上で叫んだ男は次の瞬間にはライフル弾に蜂の巣され、屋根から落ちて息絶えた。
第三十三話 奪った命共和国兵はグスタフのコンテナから次々と降りて来てM35を構えながら進む、「何だって!?共和国軍が警告を無視してに攻撃してきた!?くそっ!共和国軍が攻撃してきたわ!」携帯の電話を切り、ビクトリアはSIG P226を出すとレイもブラックダイヤを出すと、「レイ!あなたは戦う必要ないわ!早くライガーゼロの所に行きなさい!」「わかってますけど!このまま無事にライガーの所へ行けるかどうかわかりません!」レイが言った瞬間、銃撃がビクトリアはP226で反撃すると一発で共和国兵の頭を撃ち抜き、慎重かつ迅速に進むとアロザウラーとバッタリ鉢合わせになり、火炎放射を浴びさせられる一瞬前に二手に分かれて避ける。あと一瞬遅かったら全員黒こげになっていただろう。4人はトレイロとセリーナ、レイとビクトリアに分かれてしまった。お互い道の向こう側にいる、下手に出たら即黒こげにされる、「トレイロ!セリーナ!早く逃げて!」「レイ…」セリーナは今にも泣き出しそうな表情でレイを見る「セリーナ!俺は大丈夫!トレイロ!セリーナのこと頼む!」「ああ!任せろ!」叫んだトレイロだが彼は銃を持ったことすらない、(参ったな…そこらじゅう敵だらけだし)「そこの兄ちゃん!丸腰じゃキツいでしょ!」トレイロと同年齢ぐらいで気の強そうな若い女がトレイロにAK47を投げ渡す。「うわっ!重い!」「ほらっ!そこで泣いてる暇があったらさっさと逃げな!」「はっ!はい!」セリーナは立ち上がり、トレイロと一緒に飛び交う銃弾を逃れてワイツタイガーのある駐機場を目指した。レイとビクトリアは酒場に入るとマスターから難民に次々とAK47が手渡され、レイとビクトリアも受け取ると駐機場へ走り、だんだん銃声が近くなっていく、レイ自身AK47は撃ったことはありるが生身の人間を撃ったことはなかった。駐機場に通じる道が4人の共和国兵で塞がれている、応戦する民兵だが両肩にブローニングM2を装備したバトルローバーに蜂の巣にされる。ビクトリアもAK47をフルオートで撃つが歯が立たず、あっという間に弾が切れた。「チッ!レイ!私があれを引き付けるからその間にすり抜けてライガーに乗って!」「ビクトリアさん!無茶です!」レイの制止を振り切りマガジンを交換してAK47をフルオートで弾幕を張るが、足をひねると同時にM35の5.56ミリ弾が肩を貫通して飛び込むように木造の建物に影に隠れる。「うおあああぁぁぁぁぁぁぁー!!」レイは叫びながらAK47を震える手でフルオートで撃つと共和国兵は断末魔を上げて倒れた。レイは震えながらAK47を落とした。ギルネイの時は頭の中には怒りしかなかったが今回は違う、レイに人を殺めてしまった罪悪感が一気に襲いかかり、バトルローバーの若いパイロットは叫びながら機銃を乱射する、「うわあああぁぁぁー!!よくも!よくも!みんなを!」レイは我に帰ってブラックダイヤを抜き、震える手でパイロットに向けて4発撃つとそのうちの1発が急所に命中し、断末魔を上げて崩れ落ちた。「レイ…行くわよ…ボーっとしているとまた敵が来るわよ」ビクトリアはひねった足と銃創に耐えながら歩く、ゼロはもう目の前だ。だがレイは倒れ、既に事切れた共和国兵の顔を見ると意外にも、だが残酷な現実だった。今さっきレイに命を奪われてしまった兵士はまだあどけなさが残る少女だった。(そんな!どうして女の子が戦場に!?)レイにはそう考えている時間はなかったまた銃声が聞こえて来るとAK47を拾い、急いでゼロの所へ走り、コクピットに入るがゼロは先の戦闘でボロボロになっており、ブースターは故障していて使えない、するとビクトリアから通信が入る、「レイ!大変よ!フリーダムパイレーツのレーダーが共和国軍大隊を捉えたわ!早くこの国を逃げないとやられるわ!」「わかりました!」レイはそう言うと、ガンスナイパーと一緒にゼロをベイサイドタウンに向けて市街地に入って行き、火炎放射機で難民を一方的に焼き殺すアロザウラー部隊に襲いかかる、「こいつら!一方的にやりやがって!最低よ!」憤るビクトリア、ガンスナイパーはビームマシンガンで撃ち抜き、ゼロは爪と牙で喰いちぎり、切り裂いた。3人はゼロとガンスナイパーを見つけて叫ぶ、「レイ!レーイ!」「レイ!あたし達はここよ!」「トレイロ!セリーナ!」わずかながら安心するレイ、知らない人もいるが見たところ大丈夫だろう、だが油断は禁物だ。「へぇ〜トレイロの知り合い?」「ああ…ガキの頃からの友達、レイだ」ゼロとガンスナイパーは3人の所へ歩き、コクピットを開けると、「トレイロ!乗って!そこのあなたも!共和国軍の大隊が来るわ!」「ビクトリアさん!セリーナをワイツタイガーの所へ連れて行きます!さあセリーナ…乗って」レイは手を差し伸べると、「はい…。」セリーナは頬を赤らめ、微笑みながらうなずくとレイも頬を赤らめながらセリーナの手を握りコクピットの座席の後ろに乗せた。ガンスナイパーの座席の後ろに入る褐色の肌で黒のショートの少女とトレイロがぎゅうぎゅう詰めで入り、「ちょっと!そんなにくっつかないでよ!」「仕方ないだろラワンダ!狭いんだから(近くで見ると結構かわいいなラワンダって)」顔を赤くするトレイロ、どうやらこの娘はラワンダという名前らしい、「さあっ行くわよ!」ビクトリアはコクピットを閉じてブースター全開でフリーダムパイレーツ号へ向かう、「あなたラワンダとか言ったわねフリーダムパイレーツ号の新人でしょ?」「そうよラワンダ・アバンギルド、今年用心棒として雇われたわ…でもあのセリーナって人超羨ましい!あたしもかっこいいカレシ欲しい〜!」「危機感ゼロかよ…。」ラワンダに呆れるトレイロだった。
第三十四話 脱出(前編)セリーナはワイツタイガーに乗り、フリーダムパイレーツ号に向かおうとした時、砲撃が来た。「レイ!来たわ!」「セリーナ!早くも逃げよう!」「だ…駄目…まだ残されてる人達がいるの!放っておけないわ!」セリーナの言う通りだった。路上には逃げ遅れた人達が必死に港を目指しているし、迫って来る共和国軍に抵抗しようとレッドホーンやゴドス、セイバリオン等のゾイドが迎撃体勢を取っているが数は40機ぐらいだ。相手はオーガを中心に100機はいる。「全機砲撃開始!町を焼き払い皆殺しにしろ!」指揮するアーセナル大佐、オーガやディバイソン、シールドライガーDCSが一斉に砲撃しセイバリオンやレオストライカーが一斉に突撃して上空のプテラスボマー部隊が一斉にミサイルを発射する。ベイサイドタウンは火の海になり、ワイツタイガーは上空のプテラスボマーの羽根を狙ってエレクトロハイパーキャノンを撃ち戦線離脱させ、ゼロは敏捷に動き回るレオストライカーやセイバリオンをショックカノンで倒すが数が多い、1機のレオストライカーを倒すと背後からセイバリオンが高周波ブレードでゼロの左側面を切り裂きゼロは悲鳴を上げた。フリーダムパイレーツ号に戻った3人だが、「ブレビス!あの2人が戻ってないわ!」「何だと!?あの若造と姫さまが戻っていない!」レイとセリーナが戻ってないことにブレビスはセリーナに何かあったら本国にどう話せばいいかわからなくなり、決断を下した。「総員戦闘配置に付け!全砲塔及び対空機関砲展開!ミサイル発射用意!相手は共和国軍だ!これまでとは桁違いの強敵だ!気を引き締めていけ!目標!共和国軍!」フリーダムパイレーツのハサミの上部から主砲が現れ、尻尾から各種ミサイルランチャーが現れ、あらゆる部分から対空機関砲が出る。ブレビスは呟いた。「大艦巨砲主義は古いが…こいつの精度を甘く見るなよ主砲発射用意!デカい奴を狙え!」叫んだ瞬間プテラスボマーのミサイルがどこかに命中したらしく艦橋が揺れた。ゼロはショックカノンを撃ち尽くして装甲やブースターを強制排除して素体になり、さっきより身軽になったため巨体にも関わらず、素早く動けるようになった。次々と仲間がゼロに倒される光景にレオストライカーのパイロットは茫然として、「さ…さっきより動きが…うわあああぁぁぁー!!」彼のレオストライカーはゼロの爪によってコクピットごと引き裂かれた。ふとレイはハッとしてゼロを右に旋回させると今自分がいた所に砲弾が通りかかった。前を見ると凱龍輝デストロイがいた。「見つけたぞアトミックコア!中立地域に逃げ込むとは卑怯な!」「ギルネイはわからないのか!?どれだけ戦争が怖くて悲しいのか!だからここの人達は戦争に反対したんだ!」「貴様は単なる臆病者か!?ブルース!コイツとは1対1でケリを入れる!」「はい!」凱龍輝デストロイは分離すると猛スピードで向かって来た。「何をしている!主砲を撃て!」「さっきの衝撃で主砲の配線が切れてしまいました!急いで修復しています!」火器管制官の男、ガウディが言うとビクトリアとラワンダは目を合わせてうなずき、艦橋を出てそれぞれのゾイドに搭乗する。「ラワンダ、あなたの腕見せてもらうわよ!」「勿論よ!さあレイノス!行くわよ!」フリーダムパイレーツ号の後部甲板からレイノスが離陸するとガンスナイパーも正面のハッチから出て向かって来るセイバリオンやレオストライカーをビームマシンガンで迎撃し、上空のレイノスも急降下して襲いかかり爪で切り裂いた。セリーナは必死に向かって来るセイバリオンやレオストライカーの急所を外して次々と倒すと青い虎型ゾイド、レイズタイガーが爪を閃かせて跳びかかって来た。「やっと見つけたわ!セリーナ・サン・アーカディア!お前には消えてもらうわ!」「あなたは誰?」「私はジェーン・ドゥ!アーカディア王家に復讐を誓う者!」セリーナはジェーン・ドゥ(女性の身元不明遺体)という名が本名ではないことを知っている、尋ねようとするが問答無用で攻撃して来る。エレクトロハイパーキャノンで撃っても集光パネルで吸収されてしまう、(効いてない?ギルネイさんの凱龍輝と同じ集光パネルがあるのね…。)セリーナはやむを得ず格闘戦に挑むがワイツクローで切り裂こうとするとあっさりかわされ、レイズタイガーも爪を振りかざすとセリーナの優れた反射神経で瞬時にかわしてショックカノンで反撃すると同時にレイズタイガーもショックカノンを撃ち2機共被弾する、すぐに立て直して同時に跳びかかる、セリーナはまるで自分自身と戦っているような感覚がした。ワイツタイガーはレイズタイガーに押し倒された。パワーは相手の方が上でレイズタイガーの牙からエネルギーが帯びてセリーナは寒気が走った。「終わりよセリーナ!エクスプロードバイトを喰らったら機体が粉々に吹き飛ぶわ…無論…あなたもね…。」「セリーナ!」ジェーンが左を向いた瞬間素体ゼロが凄まじいスピードで迫って来てレイズタイガーに突進して突き飛ばした。ワイツタイガーはすぐに大勢を立て直すとゼロは体ごと後ろを向くと抵抗するレッドホーンを倒した凱龍輝がいた。ゼロの奇襲攻撃にジェーンは一瞬隙ができる、「ライガーゼロ!?レイ・アトミックコアか!うわっ!」レイズタイガーの無防備な腹部にエレクトロハイパーキャノンが撃ち込まれ、システムがフリーズした。「くそっ!…さすがと言うところか…。」「アトミックコア!我々と来ないならここで貴様を討つ!」「俺もだ!」レイとギルネイに躊躇いはなく、ワイツタイガーがゼロを援護しようとするとディスペロウが砲撃してきた。「割り込まないで下さいセリーナさん!」「ブルース君…。」ロックオンされ、ワイツタイガーを停めるセリーナはロックオンされたよりもブルースが二人の殺し合いをやめさせないことの方にショックを受けた。レイとギルネイに躊躇いはなく、ワイツタイガーがゼロを援護しようとするとディスペロウが砲撃してきた。「割り込まないで下さいセリーナさん!」「ブルース君…。」ロックオンされ、ワイツタイガーを停めるセリーナはロックオンされたよりもブルースが二人の殺し合いをやめさせないことの方にショックを受けた。
第三十五話 脱出(後編)凱龍輝はビームバルカンでゼロを牽制し、イオンブースターを噴射してゼロに接近して噛み付きかかるとゼロは一歩下がって頭突きで凱龍輝の顎を叩きつける。凱龍輝はよろよろしながらも尻尾を振り回してゼロの頭部に叩きつけて首に噛み付くとゼロは強引に首を振り回して引き剥がし、凱龍輝を押し倒す。野性的な戦い方にアーセナル大佐は嘲笑的な口調で、「トンプソン少尉…今のうちに抵抗勢力に対して掃討作戦を実行するぞ」「大佐…抵抗勢力は既に戦意はありません、兵を送って―」「彼らは国の反逆者だ!大統領からの直命を受けているのだぞ!」アーセナル大佐は怒鳴りながらゴジュラスキャノンを難民船に照準を合わせようとする。トレイロは艦内の配電室にある配電盤のカバーを開けて切れた配線を見つけた。「あったぞ!この緑色の配線だな!」「ああっ!!コイツだ!気を付けろよ!高圧電流が流れてるから感電するんじゃないぞ!」手引き書を片手にブレビスの副官のロベルト・バールドが言うとトレイロは配線を繋げて火器管制システムを回復させるとロベルトは艦内電話で伝える、「艦長!切れた配線が繋がりました!」「よし!主砲照準!目標!ゴジュラス!」主砲の二連装大口径ビームキャノンが動き、照準を合わせる。こうしている間にも上空のプテラスのミサイルやオーガの砲撃で次々と難民船が沈められていく、そしてブレビスが猛々しい声で叫ぶ、「撃てぇぇぇー!!」主砲からエネルギーの塊が吐き出されるとオーガは咄嗟にEシールドで辛うじて防いだ。「ふん!効かんな…。」嘲り笑うアーセナル大佐は照準をフリーダムパイレーツ号に向けるとすかさず上空からレイノスがビーム掃射でゴジュラスキャノンを破壊して護衛機の対空砲火を難なくよけた。「やりやがったな…あのレイノスのパイロット…。」ジムは微笑みながら一方的な難民の虐殺を止めたレイノスに心から感謝した。ゼロは凱龍輝の喉元に噛み付きかかると凱龍輝は突進して頭突きで跳ね飛ばす。「貴様はなぜ私があれほど警告して!戦争が始まっても軍に来ないんだ!貴様がいれば私と一緒に国を護れたはずだ!」「君はそんなに戦いが好きなのか!?もし俺が戦っても何になる!これ以上やってもたくさんの人が死ぬだけだぞ!」「戦争を終わらせるには多少の犠牲はやむを得ない!これがこの星で最後の戦争になることを世界中の人達が祈ってるんだ!それがわからないのか!?」レイとギルネイは全周波数通信していることを忘れてこれを全ての人が聞いている。次の瞬間レイはついに言いたいことをぶちまけた。「これが最後の戦争にはならない!終わってもまた戦争は起こる!人が存在する限り戦争は続く!人が滅ばない限り戦争は終わらない!!」その言葉にここにいる全ての人間が衝撃を受けた。確かにレイの言うとおり人類の歴史は果てしない戦いの歴史だ。戦争で世界が焼き尽くされて何度も滅びかけたことがある、前の大戦も例外ではないそれで平和は続いたが西エウロペの発展途上国では紛争がたびたび起こり、終わってはまた別の所で戦争や紛争、テロが起きていて、所詮は上っ面の平和だった。セリーナも薄々そう感じていて共感していたがレイが意外にも、あんなことを言うとは思わなかった。ギルネイはレイの言葉にブチ切れて全身の血や体液が沸騰し、喉が裂ける程叫びながら駆る、「貴様は全人類を敵に回すつもりか!?この裏切り者ぉぉぉー!!」凱龍輝は凄まじい剣幕で迫り、「うああああぁぁぁー!!」レイとゼロも唸り声を上げてお互いの金属のボディをやすやすと引きちぎり、噛み砕き、えぐり合う、ゼロは脇腹をえぐられてゾイドコアの半分が露出し、左前足は欠損し、背中の部分を深々と切り裂かれ、コクピットも傷ついていた。一方の凱龍輝も尻尾の半分と左腕を欠損し、右足は骨折したかのように不自然な方向に曲がっていた。立つことがやっとで口にはゼロの前足をくわえているとゼロは最後の力を振り絞り、爪を閃かせて凱龍輝に跳びかかった。「ストライクレーザークロォォォー!!」レイは重傷を負いながらも鬼のような形相で叫び、凱龍輝を切り裂き、コクピットを噛み潰してギルネイの息の根を止めようとした時、「やめてえぇぇー!!」セリーナの叫び声にレイは我に帰ると同時に全身に激痛が走ったがスピーカー越しに伝わるセリーナの泣きじゃくる声が痛かった。(この子を泣かしてしまったのは…俺か…。)「撃てえぇぇぇー!!」ブレビスの叫び声と共に左右の2連装ビームキャノンがビームを放ちオーガの護衛機を次々と撃ち抜き形勢は逆転していた。セイバリオンやレオストライカーはゼロやワイツタイガーによって全滅し、上空のプテラスもあのドラグーンネストやレイノスに撃墜されてしまい、もはや勝ち目はなかった。フリーダムパイレーツ号のデッキから狙撃体勢のガンスナイパーがオーガに狙いを定めて、「さっさと帰りな…親父」ビクトリアはトリガーを引き、弾丸がオーガのゾイドコアを外して腹部に直撃した。「ぐおっ!ビクトリアか!…全機撤退!これ以上戦ったら全滅するぞ!」「「チッ!!」」ほぼ同時に舌打ちするギルネイとジェーン、ブルースとジムはひとまずホッとして撤退した。逃亡編 完
第三十六話 アーカディア王国へレイはコクピットの中で意識を失ったらしく目が覚めると医務室のベッドの中にいた。トレイロは目が覚めたレイにいつものような口調で、「おはようレイ、気分はどう?」「トレイ…ロ…俺は…ここは?」「フリーダムパイレーツ号の中だ今アーカディア領セントマリア島に向かっている、お医者さんの話しだと一週間で直るんだってさ…あの時大変だったぜ…ライガーゼロはゾイドコア丸出しだわ…とにかく大変だった…。」「そう…ごめん…トレイロ…セリーナにも…謝らなきゃ」「さっきからそこにいるぜ」セリーナはレイのベッドに上半身を乗せ、ぐっすり寝ている。「一国のお姫様がお前のために徹夜して治療してたんたぜ……お前のこと好きなのかもしれないな…。」「ええっ!?痛!」レイは頬を赤くした途端痛みが走った。「冗談だよ…しばらく動かないほうがいいぜ」「うん…。」レイはゆっくりうなずいた。ベイサイドタウンを出て数日後、アーカディア領、ダレイド諸島で一番大きな島、セントマリア島の港にフリーダムパイレーツ号が入港した。港には王室警護隊が周辺を警備していて多くのマスコミも来ている、前後に黒い車に護られながら港に入るリムジンの中にいるのは口髭を生やし、がっしりした体系の国王ジェラード・ロン・アーカディアと赤い髪に小柄な少年は王家の末っ子、アレス・ラン・アーカディアだ。「王家の娘が共和国の学生と帰って来るとは思わなかったな…。」「ビクトリアの話しですと二人の学生のうち一人は怪我をしていると聞いています」「そうか…共和国からの難民かもしれないな…。」ジェラードは重い口調で言った。フリーダムパイレーツ号から降りると多数のマスコミが殺到し、レイ達は王室警護隊に護られながらリムジンでホテルに向かった。王室御用達の高級ホテルのロビーに着き、セリーナはビクトリアに連れられていき、レイは心配そうに、「セリーナどこ行くんだろう?」「すぐ戻るさ、とりあえず着替えるんだって」「そうだね…まさかセリーナがお姫様だったなんてビックリしたよ」レイはそう言ってエレベーターの方を向くと、そこにはずっと会いたかった3人がいた。レイに文化祭の前の日を思い出す、あの日の朝は晴天でユミリはルンルン気分で修学旅行に出かけて行き、両親も研究所の人達と旅行に出かけて行った。その明後日に戦争が始まるなんて夢にも思わなかった。(父さん?母さん?ユミリ?)「どうしたんだレイ?」だがレイには友の声も聞こえなかった。「父さーん!母さーん!ユミリ!」「お兄ちゃん!」真っ先に気付いたユミリはレイの所へ走り出すと、「レイ!」父親のシュンもレイを見つけて母親のアヤも目に涙を浮かべながら自分達の所へ走って来る、血の繋がらない息子だがそれでも愛する息子にまた会うことができた嬉しさに言葉も出ない、レイは嬉しそうにユミリを抱き上げて家族の所へ走る、「レイ…よくここまで来れたわね!」「大丈夫だったか?こんなに怪我して…。」「俺は大丈夫…心配しないで」レイは涙をこらえながらうなずいた。「そうか…もう共和国には帰れないのか…。」事情を話したレイに肩を落とすシュンだががっかりした表情はしていなかった。「あなたを責めるつもりはないわ…女の子を守って亡命するなんてあなたが決めたことでしょう?それに…休みの日になれば会いに行けるわ…隣りのロブロン島は共和国領だし…橋を渡れば会いに行けるわ…。」レイはこの島に来る途中に大きな吊り橋を見た。ヘヴンゲートブリッジは全長15キロもある長い橋で簡単な手続きで国境を越えられるのだ。トレイロは邪魔にならないように離れて感動の再会を見守っていると後ろから肩をポンと叩かれて振り向くとラワンダだった。「一人で寂しい?」「余計なお世話だ」「強がっちゃって…ホントは嬉しいくせに!」二カッと笑いながらおでこつんつんするラワンダ、するとビクトリアはセリーナの手を引っ張りながら、「ほら大丈夫だって…お姫さまが恥ずかしがることはないから」レイが振り向くと白いドレスにクリーム色の長い髪を装飾された髪留めでまとめ首には王家の紋章のペンダントが飾られていて、正に一国のお姫さまだが、本人は初めてなのか恥ずかしそうだ。ドレスを着たセリーナにレイは心臓の鼓動が速くなり、ユミリは憧れの眼差しで見つめる、「綺麗…あの人お兄ちゃんと夏休みの花火大会でデートしたでしょ?」「うん…そうだよ」レイは夏休みの時、初めてセリーナとデートした時のことを思い出し、うなずくとユミリはキョトンとした後、無邪気な微笑みを浮かべて、「お兄ちゃん頑張ってね!」「ええっ!?」レイはユミリに自分の気持ちを悟られたらしく頬を赤らめるとユミリに背中を押されてセリーナの所へ歩み寄ると、「レイ…ごめんね…今まであたしが王女だってことを黙ってて」謝るセリーナにレイはぎこちない口調で言った。「あ…謝ることは…ないよ…その…綺麗だよ」「ありがとう…あたし…これから本国に帰らなきゃいけないの…お父さまから伝言があるわ、娘を助けてくれてありがとう、今は仕事で忙しくてお礼をする時間がなくてすまない…って」「世界情勢があれだからね…」「あたしにも…王女としての仕事があるから…ごめんね…今まで…ありがとう…時々メールするから…。」セリーナは寂しげに言うとビクトリアも、「そういうことなの…レイ…ごめんね…あたしも三獣士の一人としてセリーナの弟の所へ戻らなければいけないの」「ええっ?セリーナもビクトリアさんも行ってしまうんですか?」トレイロは困惑した口調で言いながら走り寄って来て、セリーナは2人に謝る、「そうなの…あたしには仕事があるの…ごめんなさい…。」「また…会える?」「いつかはわからないけど…きっと会えるわ…さあ…行きましょう」ビクトリアに連れられセリーナはホテルを出て行った。レイとトレイロにはセリーナの言う“仕事”が鬱陶しく感じられた。
第三十七話 空いた穴あれから約1ヶ月後、12月23日。ガイロス帝国遺跡と化した研究所内は修復されて元の研究所に戻っている。この遺跡ではかつてギュンター・プロイツェンがデスザウラーを復活させた研究所として知られ、観光地にもなっていたが開戦半年前にテロ対策の一つとして新型ゾイドの開発のため、軍に接収されていた。巨大な培養カプセルの中身を眺めるニコノフと背広の男がいる。「グーテベル首相自らただの将校である私をあの機体のパイロットに任命したのは何かお考えでもあるのですか?」「君の戦い方を見て、甘さも情けをかける様子もない、この機体のパイロットにふさわしいとそう思っただけですよニコノフ准将、この戦争にはなんとしてでも勝利しなければならない…まずは反戦運動を行っている町を…。」「デスザウラーの性能テストに使えますね」ニコノフは邪悪な笑みを浮かべてグーテベルも微笑みながら、「その後はニューヘリックシティを目指して死の行軍が始まる…共和国軍もステルス戦闘爆撃機を投入しているようだが…無駄な足掻きだ」デスザウラーはカプセルの中で目覚めの時を待ち続けている。このゾイドが目覚める時、世界がどうなるかと考えると想像のつかないことであった。「見事だったぞ、スプリングフィールド大尉」アーセナルはオーガから凱龍輝に通信する、「はい…凱龍輝素戔嗚尊(スサノオ)の性能は予想以上です!」誇らしげに言うギルネイ、周りには破壊された数多の帝国ゾイドの残骸が生々しく転がってる。この素戔嗚尊は砲塔やブレード、ミサイルポッドを装備し荷電粒子砲と組み合わせればゼロパンツァー以上の火力がありそうだがそれにも関わらず、イエーガー以上の機動力で走り回っているとジェットレイズタイガー(以降はジェットレイズと呼ぶ)がオーガの横に着陸してジェーンはアーセナルに通信する、「大佐、大統領から連絡が入っております。」「わかった……アーセナルです…ええ、ステルス戦闘爆撃隊がイセリナ国境基地を陥落させた話しは耳に入っております」「ならば、これから侵攻作戦を君が指揮しろ…そうすれば帝都を陥落させた後は本土だ…。」「わかっております…大統領閣下…本土を攻略すれば次はゼネバスですね…。」「成功すればデルポイは統一できる…頼むぞ」アンダーソン大統領は受話器を置き、窓の外を見やる、「3ヶ月後には東方大陸連邦も参戦すれ…その日は帝国は滅びの道を歩む…民衆など人類社会を動かす歯車に過ぎん…。」セントマリア島の闘技場では2機のゾイドが対峙している、赤いボディに巨大な鬣を彷彿させるようなモジュール、セリーナの弟、アレスの乗るトリニティーライガーと修理を終えたゼロだ。「王子!これで負けたら国民に笑われますよ」闘技場を見渡せるVIPルームから通信し、冗談混じりで言う20くらいの男は三獣士の一人、ガロン・コースト「負けたら闘技場の周り10週です」手加減なしで言う27くらいの巨漢の男も三獣士のタージ・アロンゾだ。「大丈夫だよ…僕は今まで姉上にしか負けたことがないから」「果たしてどうかな…レイ!相手はやる気満々だ!」「うん…わかってる」「レイ!テンション低いぞ!高くしていこうぜ!」テンションの高いトレイロだがレイは心の中にぽっかりと穴が空いた気分だった。この1ヶ月セリーナとメールのやり取りをしているが政治や外交の仕事が忙しく、返事が来るのが遅かった。(セリーナ…今頃どうしてるんだろ…もしかしてもうこのままずっと会えないのか?)レイはそう思うと不安になり、ゴングがなったことにも気付かずに先制攻撃を受けてしまった。「うわあっ!!」レイは怯みながらも機体を立て直してゼロを駆る、トリニティーは肩のビームキャノンで砲撃、ゼロは最初の一撃で左前足を損傷し、思うようにスピードが出ない、トリニティーはビームキャノンを撃ちながら接近して来る、ゼロはブースターを噴射して射線をよける、「どうしたんだよレイ!いきなり一撃を喰らって…調子悪いぞ…。」レイの不調に気付くトレイロ、レイはバトル中に別のことを考えた自分に嫌悪してゼロに謝る、「ごめん!ライガー…。」ゼロは大丈夫だと言っているようにうなりトリニティーの砲撃をかわしながら接近するとトリニティーはブースターを噴射してゼロと並んで走る、瞬く間に300キロ以上出すと正面から闘技場の強化防壁が迫って来る、激突すればただでは済まない。アレスは怖じ気づいて急ブレーキをかけるがゼロはスピードを落とさず強化防壁に向かって走る、トレイロは通信機に向かって叫ぶ、「レイ!ぶつかるぞ!」次の瞬間、ゼロはジャンプして壁を蹴り、前足の爪を閃かせてレイは叫んだ。「ストライクレーザークロー!」ゼロはトリニティーを深々と切り裂き、一撃でシステムフリーズさせた。「ごめん…ガロン、タージ…怖じ気づいたばかりに…。」「王子…そう凹まないで下さい、前向きに頑張りましょう!」「そうです…下を向いては前へ進めません」ガロンとタージは次期アーカディア王を励ます。一国の王になることは名誉なことだがその分重い責任やプレッシャーを抱えることになる。レイはゼロを整備用の格納庫に入れて、闘技場を出るとトレイロとラワンダが待っていた。「よおレイ!さっきはびっくりしたぜ…いきなり撃たれちまって」「ちょっと調子悪くてね…。」レイはその場をあとにしようとするとラワンダはレイを引き止める、「レイ…明日みんなで海行こう!この前あたしの友達にレイの写メ見せたらかわいいって言ってたわ」「行かない…。」「ええっ!?行かないの!?どうして?」「行きたくないんだ…。」「レイ…お前最近元気ないぞ…食欲ないし顔色悪いし…話してみろよ、悩みを一人で抱えるなんてお前の悪い所だぜ」すると唐突にレイの携帯に流行りのラブソングの着メロが鳴り、素早く取り、開くとセリーナからのメールだった。「クリスマスの休みが取れました。明日一緒にどこかへ行きましょうって書かれてる」(明日はは2人っきりでデートしよう)と書いて返信すると快くOKしてくれた。
第三十八話 ハルバーシティ奪還作戦午前3時、ハルバーシティでは共和国軍の奪還作戦が行われていた。 帝国軍はすぐに防衛線を張りキャノリーモルガが砲撃し、レブラプターやアイアンコングMA、セイバータイガー、ガンタイガーが迎撃する。一方共和国軍はオーガを中心にアロザウラーやレオストライカー、シールドライガーが進軍し、カノントータスが支援砲撃する。シールドがミサイルを撃つとレブラプターやガンタイガーを一発で倒し、MAコングは振り払うかのようにハンマーナックルを振り回してレオストライカーやアロザウラーを横殴りにする。ギルネイ、ブルース、ジムも参加していた。「行くぞブルース!ジム!遅れるな!」「はい!」「了解大尉!」ブルースはグラビティバイソン、ジムはマトリクスドラゴンにバスターイーグルの砲塔と足、翼を装着したバスタードラゴンに乗り換えたようだ。素戔嗚尊は姿勢を低くして、グラビティバイソンは向かって来る敵にロックオンすると、「メガロマックス!ファイヤー!」ブルースが叫ぶと同時に素戔嗚尊も全ての火器が火を吹き、仮設の基地施設や出撃していない帝国ゾイドを吹き飛ばし、爆炎が帝国兵を飲み込み、焼き尽くす。バスタードラゴンはSAM(地対空ミサイル)や対空機関砲をかわしながらナイトワイズ部隊共に斜めに降下する、ジムは押しつぶされそうなくらいのGに耐えながら照準を合わせる、横では僚機にミサイルが命中して爆砕する者、対空機関砲で蜂の巣されてキャノピーを血で染めてコントロールを失い、地面に激突する者がいる。「当たれぇぇぇー!」ジムは叫びながらトリガーを引き、バスターキャノンで基地施設を破壊する、ここをやれば帝国軍も総崩れだ。司令部は瞬く間に砲弾の直撃を受けて派手に吹き飛び、ハルバーシティの指揮系統は崩壊した。「敵が撤退するぞ!一匹も逃がすな!」アーセナルは逃げる帝国軍ゾイドを容赦なく砲撃する、素戔嗚尊は背中のバックパック全体が一機のブロックス、白鷺(シラサギ)と分離するとたちまち意志を持ったかのように逃げる敵機の前方に回り込み、「なっ何だありゃ!」セイバータイガーのパイロットが言った瞬間、ハイブリッドキャノンとミサイルの雨が襲いかかり、攻撃を免れた彼のセイバータイガーが回頭した瞬間、素戔嗚尊とすれ違い、脚部のブレードで真っ二つにされた。白鷺が素戔嗚尊と合体すると姿勢を低くして照準を撤退して離陸するホエールキングに合わせる。「悪く思うな…俺は国のために戦ってんでね」ギルネイはトリガーを引き、荷電粒子砲やハイブリッドキャノン、パルスレーザーライフル等がホエールキングの機関部を撃ち抜くと燃料に引火して大爆発し、夜空を照らしながら墜落していった。ジェットレイズは上空からMAコングに襲いかかり、エクスプロードバイトで背中を噛み付くとコクピット内の計器が全てレッドになりパイロットは操縦桿を動かすが機体は動かない、「ど…どうなってるんだああぁぁー!!」彼が叫ぶと同時にMAコングのゾイドコアが臨界点を突破し、爆散した。「ストライクレーザークロー!!」ジェーンの掛け声と共にジェットレイズはMAコングを切り裂き、葬った。捕虜となった帝国兵は一ヶ所に集められて、アロザウラーの火炎放射機で焼き殺された。明らかに条約を無視した虐殺にギルネイは疑念を抱く、(なぜだ…大佐はいつもこんなことを…戦う力無きものを…まさか!レイはそれであの儚げな女を…)ギルネイはレイの意図を理解し始めていた。アーセナルは大統領と電話で話す。「大統領閣下、アーカディアとの同盟条約はどうですか?」「頑固なジェラードはようやく結んでくれたよ。この世界情勢だから無理もないが…早速軍を派遣して亡命者の取り締まりと徴兵を…。」「お任せ下さい…アーカディアは我が国の傘下に入り、帝国を蹴散らすことになるでしょう…。」アーセナルは笑みを浮かべながら言う、だがこの会話は盗聴されていた。葉巻を吸いながらニコノフは聞いていて、「どうやらデスザウラーの実戦テストはアーカディアになるようだな…まあいい…フッフッフッハハハハハーハッハッハッ!」邪悪に満ちた笑い声が部屋中に響き渡り、後ろの培養カプセルで目覚めの時を待っているデスザウラーが目を光らせ、口の隙間から泡が漏れだし、一緒に笑っているようにも見えた。
第三十九話 最後のデート12月25日、セントマリア島の都市エホバ市。レイは高まる鼓動を感じながら待ち合わせ場所で待っていた。今日はあの花火大会以来のデートにレイは帰り際に気持ちを伝えるつもりでいた。「レイ!」セリーナの声がするとレイは高まる緊張を抑えてセリーナの方を向くと白い帽子に真っ白なワンピースの上に半袖の淡い青色のシャツを着ていて、レイは心臓の鼓動を抑えるのがやっとだった。「セリーナ…今日はどの映画を見たい?」「えーっと…最終戦争」「最終戦争!?俺が今一番見たい映画だ…よかった…行こう!」2人はチケット売り場でチケットを買いポップコーンとウーロン茶を買い劇場に入る。映画の内容は平和だった日常に突然世界中で戦争が始まり、主人公達は徴兵や暴徒、敵国の攻撃を逃れる逃亡劇だ。敵国が攻撃を開始して主人公達が逃げ出すシーンは正にあの時の自分達とそっくりだった。逃亡の末、世界中の国家が崩壊し、最初は6人だったメンバーも2人だけになり、滅亡した世界に主人公達は生き延びた人々と共に生きる道を歩んでいく所でエンディングとなった。レイとセリーナは感動したという表情になり、「お…面白かったね…。」「う…うん…すごく泣いちゃったけど…。」セリーナはハンカチで涙を拭きながら言った。海外沿いの喫茶店で昼食を食べている時も映画の話しで盛り上がっていた。「あのシーンであたし泣いちゃったの…生き延びて欲しかったわ…。」「俺も…せっかく心を通じ合えたのに…でもその人のお陰で主人公は自分に勝つことができたからね…。」「うん…知ってる?クライマックスのシーンのロケ地ってこの島なの行く?」「もちろん…。」早速2人は席を立ち、バスでロケ地の高原を目指す。レイは窓の外を眺める今にも壊れそうで儚げなセリーナの顔をそっと見ると、「どうしたのレイ?」セリーナが言うとレイはハッと我に帰り、頬を赤くしながら、「な…何でもないよ…携帯…圏外になっちゃって…。」「あたし携帯持って来てないわ…こんな時に仕事の呼び出しの電話が来たら嫌だから」セリーナは重苦しい表情になるとバスは目的地に着き、2人は降りて丘の上を上がると広大な草原が広がっている。セリーナは吹き付ける風を浴びると清々しく体を伸ばして、「気持ちいい…あたし風に当たるのが好きなの…。」「うん…日に当たって風を浴びるのはいい…広い草原を見るとどこまでも走って飛んで行けそうな気がする…ライガーをここに連れて来たら嬉しそうに走り回るかもしれないね…。」「うん…あの時学校で迷子になってた時は不安そうだったわ…。」セリーナが空を見上げながら言った。「それであの時君の学校の校門から出て来たんだ」地平線を眺めていたレイはセリーナの横顔に目をやると悲しげで今にも涙をこぼしそうな顔でレイを見つめていた。「どうしたのセリーナ!?何かあったの!?」「うん…レイ…ごめんなさい…あたし…こないだ…お父さまからいきなり……婚約者が決まったって…言われて」レイはセリーナの婚約者という言葉に胸を大剣で刺されるような感じがして茫然とする、「婚…約者?」「そうなの…あたしは嫌だけど…だけど…この国では親が婚約者を決めるの…そして…親に逆らってはいけないの…。」「うん…知ってる」レイは文化の違いをひしひしと感じながらうなずく、「ごめんなさい…レイ…これが最後のデートで…初めて会った時は女の子みたいな顔をしてて綺麗な人だってくらいしか思ってなかったけど…話してみるといい人で…友達でいるつもりだったけど…だんだんあなたに惹かれて…うぅっ…うっ」セリーナは涙を流しながら話すとレイも悲しげに微笑み、「俺も…最初はすごくかわいい子だって思ってたけど…君は大切な物をたくさん持っている…大切な物…君は…思い出をくれた…でもこれで最後だから…君に言うよ…俺は…君のことが好き」優しいそよ風が2人を包む込むように吹き付ける、レイは真っ直ぐセリーナの空色の目を見つめ、セリーナは震える口を必死で開いた。「はい…あたしも…ずっと…あなたのことが…好きです!でも…あたし達には…別れの時が…すぐ…すぐそばまで…来ているんです!」自分の気持ちと現実を告げるセリーナにレイはセリーナを抱きしめようと歩みよった時、アーカディア王家の紋章で飾られたレドラーが着陸してビクトリアが降りて来た。「ここにいたのね…レイ…あたしも手を尽くしてみたけど…駄目だったわ…本当に…ごめんなさい…。」「ビクトリアさん…緊急の閣僚会議ですか?」ビクトリアは首を縦に振り、レイは悲しげに言う、「セリーナ…時間だね…俺達がまた会うことなんてない…だからこそ忘れない」「あたしも…レイのことを忘れないわ…ありがとう」セリーナは後部座席に座り、離陸した。「ありがとう…セリーナ…さよなら」レイは見えなくなるまで見送った。