【広告】Amazonから今年最後クリスマスタイムセール12月25日まで開催中

小説専用掲示板

小説専用掲示板です。ゾイドの小説を書きたい方はここに書いてください

ホームページへ戻る

投 稿 コ ー ナ ー
お名前(必須)
題名(必須)
内容(必須)
メール
URL
削除キー(推奨) 項目の保存

このレスは下記の投稿への返信になります。内容が異なる場合はブラウザのバックにて戻ってください

[977] 南エウロペ戦争 ゼネバスの民 - 2005/07/24(日) 22:59 -

プロローグ
銀河の彼方にある惑星Zi。
そこには、優れた戦闘能力を持つ金属生命体、ゾイドが存在した。
ゾイドは自ら戦う意志を持ち、惑星Ziにおける戦争の中で最強兵器として君臨していた。
ZAC2340年7月13日金曜日、南エウロペ大陸へリック共和国ハルバーシティのとある私立高校、ハルバー学園高校ではいつものように授業がありその後掃除、ホームルームを終える、3年4組の教室ではオレンジ色の髪に一見女の子のようで頼りなさそうに見えるが少年である、彼の名はレイ・アトミックコア。
レイが教室を出るとハンサムつまりイケメンの同級生が手を振りながら
「オーイ!レイ、レイ・アトミックコア!」
「トレイロ…フルネームで呼ばなくても分かるよ…。」
とレイはトレイロの所へ走る、いつもの放課後、レイとトレイロはいつものように一緒に帰るとトレイロはこんな話をする。
「なあ…最近白いウルフの美少女がハルバーシティにやって来た話し、聞いた?」
「ああ…聞いたよ、名前は知らないけど…うちのクラスの女子が嫉妬していた…絶対自分のことかわいいと思っているに違いないだって…。」
「まあ確かにレイのクラスってブスとデブのヤンキーの三拍子だからな…。それと噂によると今時珍しい清純派美少女らしいぜ、お前彼女欲しいだろ?」
「そうだけど…トレイロは作らないの…一日3通ぐらいラブレターもらっているのに…。」
「ああ…僕はそんな軽い男じゃないし…でっ…噂の美少女がいるエルメス女学院に行く?」
「えっ…でもあそこって男に関することには徹底的に禁止しているって聞いたけど…」
「勇気あるものが勝利する…大人なんかに惑わされるなって!」
「じゃあ…ちょっと行って見ようか…。」
「決まりだな…丁度もうすぐ校門だし」
とトレイロがそう言った瞬間、猛獣型ゾイドの雄叫びが響き渡り、トレイロは耳を塞ぎ
「かなり近いぞ!シールドライガーか!?それともセイバータイガー!?」
「トレイロ…あれ…。」
レイの視線の先には校門から出てくる白いライオン型ゾイドが、シールドライガーでもブレードライガーでも無いライガーはそのままゾイド専用道路に入って行き、郊外に向かって走り去って行った。
「何だ…あのライガー見たこと無い…レイ?どうした?」
「いや…凄く綺麗なゾイドだった…。」
とレイはすっかり心を奪われ、帰宅した。
「ただいま…。」
「お帰りレイ」
「お帰りお兄ちゃん!」
と母親のアヤと妹のユミリ、すると父親のシュンが拳を鳴らしながら目を光らせて
「お帰り…レイ、門限10分オーバーした覚悟はできているのだろうな…。」
「げっ!父さん今日は忙しくなるって…。」
「馬鹿野郎!今日のニュースでライガーゼロが市内を歩き回ってパニックになったんだ!心配したぞ!」
「もしかして…これ?」
とレイは携帯でライガーゼロの画像を見せると両親は驚き、アヤとシュンは、
「あなた…レイ…明日探しに行くわよ…。」
「もちろんだ…母さん…、レイ明日行くぞ…。」
「よしっ…そうこなくっちゃ!」
と燃える三人、それを見ているユミリは、
「ユミリ明日ピアノの教室だから…つまんない…。」
とぼやく、しかしこの時、この先レイに過酷な戦い、運命、選択が待ち構えていることも夢にも思わなかった。

[978] 第一章夏休み編 第一話 ゼネバスの民 - 2005/07/24(日) 23:04 -

第一話 白いライガー
7月14日土曜日、レイ達は、ジープに乗って郊外の道路を走り、郊外のちょっとした名所である墜落したホエールキングの残骸に向かっている。
「いい?あそこに車を止めるわよ…。」
とアヤが言うと後部座席にいるレイが
「あそこ?何もないよ…。」
「いや、レイ…ライガーが隠れられる場所と言えばあそこしかない…。」
とシュンはそう言うと残骸の近くにジープを止め、三人は降りてライトを取り出して中に入ると中は薄暗い、三人はライトを点灯して奥へ進む分かれ道が、
「二つに分かれているわね…ここから二手に分かれましょう」
「じゃあ俺は右の方に行くから、父さんと母さんは左の方に行って」
とアヤが提案するとレイは右側の道に走って行き
「あっ!コラッ、レイ待ちなさい!」
とアヤが止めようとするがレイはそれを振り切り
「あいつなら大丈夫だ…かわいい子には冒険をさせろ…。」
「旅でしょ…でも…ヒューロに似てきたわね」
とシュンとアヤはそう言うと左側の道に進んで行った。
レイはライトを頼りに進んで部屋を一つ一つ探すが面白そうなのは見つからない、レイは一番奥の部屋のドアを開けると白骨死体が、
「うっ!!」
レイは尻餅つきライトを落としそれを拾って白骨死体にライトを当てると懐に写真を見つけて、ゆっくりとレイは恐る恐るそれを取ると20代くらいの男女とライガーゼロの写真で裏を見るとこう書かれていた。
(ZAC2335年7月14日、マーガレットが白血病で死んで今日で1年、ホエールキングが墜落して私は何ヶ所も骨折したようだ。周りは瓦礫で塞がれていて自力では、不可能だ。見つかるころには、私はもうマーガレットの所へ行っている。これを読んでいる者に頼みがある、私の恋人、マーガレットのライガーゼロを頼む、あいつだけが唯一の心残りだ。 ジャック・ガーランド)
レイは静かに写真を懐に戻すと白骨のジャックの冥福を祈り、光射す奥のドアを開けるとライガーゼロが目の前にいた。
ゼロは唸り声を上げながらレイを睨み付けるがレイは怯まない、それどころか微笑んでいる。
「ずっと…主人の思い出を守ってきたんだね…。」
とレイ、ゼロはレイの目をじっくりと見る。
「母さん…早く!こっちだ!」
「えっ…まあ…レイ…」
とシュンとアヤの目の先には、ゼロのコクピットに入るレイの姿が、レイはコクピットのハッチを閉めると
「父さん、母さん、ライガーと走ってくる」
「ああっ、行って来い!」
「気を付けるのよ!帰ったらちゃんと駐機場に止めなさいよ!」
とシュンとアヤだった。
その頃ハルバーシティでは、ゾイド専用道路に入ってZOITEC社の研究所に向かうグスタフだが、遠くから様子を双眼鏡で様子を見るセイバータイガーのパイロットのデニス、光学迷彩を作動させたヘルキャット2機がグスタフに接近すると通信が入る
「デニス少尉、予定のポイントに到着しました。」
「了解、CX(プラスチィック爆弾)爆破と同時にグスタフを動けなくしろ、ライモス隊は市街地を攻撃だ」
とデニスはセイバータイガーのコクピットに入るとCXの爆薬のボタンを押した。
突然道路が爆発しグスタフは立ち往生すると、2機のヘルキャットが現れて2連想ビーム砲で攻撃を仕掛けてきてグスタフのパイロットは、
「こちらキャリア15!2機のヘルキャットの攻撃を受けている!大至急救援を要請する!」
と通信して助けを求める。
一方、市街地では2機のブラックライモスと1機のセイバータイガーに攻撃されていてパニック状態になっていた。
逃げ惑う人々、その中に息を切らしながら逃げるユミリが、
「はあっ…はあっ…あっ!」
ユミリが転ぶと偶然近くにいたトレイロがユミリに
「おいっ!大丈夫か…?」
「うん…。」
「さあ、早く逃げよう!」
とトレイロはユミリの手を引っ張りながら逃げるとトレイロの携帯の着メロが鳴り、
「何だよ、こんな時に…もしもし…レイ!大変だ!帝国軍のゾイドが攻撃してきた!」
「攻撃?テロか?」
「多分…今どこにいる?」
「後ろのブラックライモスを見ろ!」
とレイ、トレイロが振り返るとライモスはゼロに噛み付かれ食い千切られた。
その頃ZOITEC研究所では警報が鳴り響き、慌ただしい雰囲気の中、格納庫では赤い髪のレイと同い年の少年が一人、
「すぐに凱龍輝で出る!もたもたするな!」
少年は凱龍輝に搭乗して、
「まずは、グスタフの救出に向かう、ギルネイ・スプリィングフィールド、凱龍輝、行くぞ!」
とギルネイ、凱龍輝はゆっくりと動きだした。
「うわああああああああ!!」
絶叫するライモスのパイロット、ライモスはゼロに向かって電磁砲を撃つがすべてギリギリでかわされてしまい、ゼロはライモスの背中に噛み付いてそのまま振り回してビルに叩き付けた。
「あとはセイバータイガー1機か…。」
とレイ、ゼロはセイバーと睨み合いデニスは
「やるじゃねぇか…だが他の奴のようには行かないぞ!」
と言うとセイバーは走り出し、ゼロも走り出すとセイバーは走りながら2連装ビームを撃つとゼロはかわしてスタビラィザーを展開して回り込もうとする。
「少しはやるようだな!これはどうだ!」
とデニス、セイバーは3連装地対地ミサイルを発射し3発ともゼロに命中、
「うわわっ!!」
怯むレイ、ゼロは転倒してデニスは、その様子に
「どうやらまだ扱い慣れてないようだな…だが容赦しないぞ!」
とどめを刺そうとセイバーは走り出し、ふとレイの視界に逃げ遅れた親子の姿が、デニスは、
「死ねえええっ!!」
「好き放題して…ここには、まだ子どもまでいるのに!!」
とレイ、跳びかかって来るセイバーにゼロは、右側に回り込んでセイバーの首筋に噛み付き、へし折った。
一方のギルネイの凱龍輝も2機のヘルキャットを倒し
「何とかザコは倒したか…。」
「ふう…何とかいったか…。」
とレイはゾイドから降りるとユミリとトレイロが、
「お兄ちゃん!」
「レイ、ライガーに…何で?」
「いろいろあってね…。」
とレイ、ユミリはレイに無言で抱きつき、レイはユミリの頭を撫でながら、
「よしよし…怖かっただろ…もう大丈夫、俺がいるから…トレイロ、ありがとう…妹を守ってくれて」
「気にするな…放っておけなかった…。」
とトレイロはそう言った後、レイとユミリはゼロに乗って帰った。

[979] 第二話 ゼネバスの民 - 2005/07/24(日) 23:09 -

第二話高校最後の夏休み
先日起きた事件でヘリック政府はこれをテロであると主張、いつしか7・14事件と呼ばれ死傷者997人、行方不明者57人だった。
7月20日金曜日、終業式、ハルバー学園高校でも69人の生徒が犠牲になったことを全校集会で校長が発表した。
レイは、ホームルームを終えてボーッと帰りながら高校最後の夏休みどうしようかと考えていた。
レイは帰宅するとアヤが
「お帰り、レイ…とうとう高校最後の夏休みね…彼女できた?」
「ううん…着替えたら出掛けるから…。」
と言いながら私服に着替えてゼロに乗り、隣町であるロメオシティに出掛ける。
ロメオシティはゾイド乗りと若者の街、そのため補導員の密度は国内一と言われている、そのためレイの学校の先生もこういう日には補導に行くと言う。
明日から夏休み、このまま祭りができそうなくらい若者がいっぱいいる、恋人同士で話しながら歩く者、何人かでまとまって行動する者達、レイはそれをコクピットから見ている、すると見たことのない白いウルフが駐機している。
「何だろう…コマンドウルフでもケーニッヒウルフでもないな…。」
とレイは白いウルフの隣にゼロを駐機して降りた。
繁華街を歩くレイ、一人で行動している人間は見当たらないがレイにとっては、一人でいるほうが落ち着くようで、騒がしい繁華街を抜けて静かな公園に入る、ロメオシティの公園はかなり広い周りを一周するのに1時間半ぐらいだ。
レイは静かな公園を歩いているとピンク色の携帯が落ちていた。
「誰か落としたのか?」
とレイが拾う、ストラップにはビーズアクセサリーのような物が付いている、持ち主は女の子だろう、
(この持ち主が恐ろしい程のブスだったらどうしよう…きっと襲われるかも…。)
とかわいい子に縁が無いレイがそう思っていると、
「あっ…あの…。ちょっといいですか?」
と少女の声がレイは、顔を上げると長いクリーム色の髪に澄んだ空色の眼、見覚えのある学校の制服、まるで天使のような雰囲気をしていた。
「な…何?あっ…もしかしてキミの?」
とレイは頬を赤らめながら携帯を少女に返すと少女は安心したようで嬉しそうに、
「拾ってくれたのね…ありがとうございます!」
「よかったね…見つかって…。」
「はい…あなた…誰かを待っているの?」
「ううん…俺は大抵一人で過ごしているよ…。」
「寂しくないの?」
「大丈夫…慣れているから…それにライガーもいるし…。」
「ライガー?…そう言えばこの前の7・14事件の時、ライガーゼロがテロに使われたゾイドを倒したって聞いたわ…。」
「あれ…俺が操縦していたの…妹と友達をただ…守りたくて…でも先生にこんなこと言われた…卒業したら軍に入れって…でも軍は嫌だ、正直…戦争は怖い、小さい頃紛争地域で戦闘に巻き込まれて…あっ…ごめんね、こんな事を話して。」
「気にしないで…でもあなたのことが少しわかったわ…あなたはいい人だってことを…。」
「ありがとう…そうだキミの名前は?…俺はレイ・アトミックコア…。」
「あたしはセリーナ、セリーナ・ヘプシオンです…。」
と天使のように微笑むセリーナするとレイは思い出した。
「そうだ!その制服、エルメス女学院の制服だった。まずい…。」
「大丈夫…ここなら先生や補導員の人達は来ないわ…。」
「でも…万が一って時もあるから…俺はもう―。」
「待って…携帯の番号とメールアドレスを教えて…続きは帰ってからでもできるわ…。」
「いいの?初対面なのに…。」
「はい…レイは、いい人だから…信じているわ…。」
とセリーナ、二人は携帯の番号とメールアドレスを教えあった後レイは、純粋に嬉しそうな顔をしていた。
(今日はついているな…かわいい子と話ができたし…あの子、いい子だな…。)
とレイはルンルン気分で帰宅した途端アヤに、
「お帰りレイ、ちゃんと進路のこと考えている?アーカディアに留学するんでしょ」
とその言葉にレイは現実に引き戻されて転倒すると人気女性アーティストの着メロが流れて、レイは携帯を取るとセリーナからだった。
「もしもし…セリーナ?…うん…俺…。」
とレイはセリーナと電話するのを楽しみにして夏休み最初の一週間を過ごした。
7月28日金曜日、今日は登校日だ1週間振りだが何故か懐かしく見える、レイが校門に入るとトレイロが
「おはようトレイロ、1週間振りだね…。」
「おはようレイ、お前夏休み始まってから音信不通でどうしたの?」
「いろいろあってね…トレイロはどう?」
「実は…コマンドウルフをゲットしたんだ…。」
「コマンドウルフか、いいゾイドをゲットしたな…じゃあ…」
とレイとトレイロは、それぞれの教室の入る、だが放課後レイは、危機的状況に陥ることになった。
「オイ男子みんな残れ、メルアドチェックするぞ!まだ帰るなよ」
とクラスメイトの野球部、ジム・トンプソンが言った。
メルアドチェックとは、このクラスで長期休みの登校日や始業式の日、必ず行うことで簡単に言うと男子の携帯の電話帳に女の名前が載ってないかチェックすることである、もし載っていたら徹底的に尋問される、かわいい子だったらスリーサイズまで聴かれる。レイは気付かれないようにセリーナのアドレスをシークレットにしようとするとジムに気付かれて
「よし!まずレイから!」
「えっ?俺?」
とレイが言った瞬間、ジムに携帯を取られ、ジムは画面を見ると、
「オイッ!レイの携帯に噂の美少女の名前が載ってるぞ!」
「ウッソ、マジで!あのセリーナちゃんの!」
といつの間にかトレイロが、レイは、
「トレイロいつの間に…じゃない助けてくれないか…。」
「オイ!まさかレイ…まさか付き合っているわけないよな…。」
とクラスの男子全員の殺気がレイに集中する。
「ちっ、違うよ!友達なんだ!」
「じゃあ、セリーナちゃんのこと、好き?」
とジムが聞くとレイは頬を真っ赤にしながら、
「じゃあ、みんなは、どうなんだよ!」
「そりゃね…かわいいし、綺麗だし…そこら辺の女とは違うし…付き合っている噂も無いから…絶対、男と付き合ったこともないし…(ここからかなり過激なので、皆さんの想像にお任せします)な…。」
とジムが話すとトレイロは、
「なるほど…要するにセリーナって奴のカラダ目当てだろう!!このドスケベ!!」
「うるせー!男はみんなスケベだ!」
と開き直るジム、レイは呆れて携帯を返してもらい、帰ろうとして校門の所に行くとセリーナがいたが、ギルネイに何かを迫られていた。
「答えろ!あの白いライガーのパイロットを知っているのだろ!?」
「それを知ってどうするの…?」
「答える義務は無い!」
とギルネイ、レイはセリーナが危ないと感じ走り出す、
「やめろ!!セリーナに何をするつもりだ!」
「お前が…ライガーゼロのパイロットかレイ・アトミックコア…。」
「ギルネイ…俺に用があるなら…さっさと言え…。」
「アトミックコア…よく聴け2〜3ヶ月後に帝国との戦争が始まる…今から私と一緒に来てもらう」
とギルネイは言った。

[981] 解説 ゼネバスの民 - 2005/07/27(水) 19:24 -

この話は退屈な日常をライガーゼロを手に入れたことで脱出した高校生レイの過酷な運命を描く、
登場人物
主人公
レイ・アトミックコア(17)
愛機 ライガーゼロ

ヒロイン
セリーナ・ヘプシオン(17)
愛機 ワイツウルフ

レイの同級生
トレイロ・ハーティナル(18)
愛機 コマンドウルフ

共和国軍中尉
ギルネイ・スプリングフィールド(19)
愛機 凱龍輝

レイのクラスメイト、共和国軍少尉
ジム・トンプソン(18)
愛機 エヴォフライヤー

登場予定

スナイパー
ビクトリア・ヘブンロード(23)
愛機 ガンスナイパー

共和国軍少尉
ブルース・レミントン(16)
愛機 ディスペロウ

帝国軍大尉
アスハル・ムーロア(21)
愛機 バーサークフューラー

[983] 第三話 ゼネバスの民 - 2005/08/02(火) 11:05 -

第三話 青き光龍
レイとセリーナは信じられない言葉に何も言えずギルネイは
「もう一度言う、もうすぐ戦争が始まる、アトミックコア…軍上層部は貴様を高く評価している…さあ私と来い!」
「嫌だと言ったら?…」
「力ずくでも貴様を連れて行く…。」
とギルネイは、9ミリ拳銃、グロック26を出してレイに向けようとするとレイは、ギルネイのグロックを持っている右手を左手で掴み安全装置を入れて右手でギルネイの首を左肩にたぐり寄せて、左腕の上腕で首を引っ掛けて後ろに地面に勢いよく叩き付けるとギルネイの手からグロックがこぼれ落ちた。
「貴様…よくもこの私を…。」
「言っておくがもし始まっても…軍には、行かない…。」
「フンッ…そのうち非国民呼ばわりされるぞ…。」
「俺は愛国者じゃない…。」
「チッ…また会おう…次はそうはいかないからな!」
とギルネイは、起き上がって走り去って行くとレイは、
「セリーナ、大丈夫?」
「はいっ…あのギルネイって人は?」
「嫌な奴さ…セリーナ…夏休みまだ一ヶ月ぐらいあるけど夏期講習とか受ける?」
「ううん…レイ…明日、ロメオシティで花火大会があるの…それで…その…一緒に行ってくれる?」
「あっ…ああっ…勿論…でっ…待ち合わせは、明日の…どこが良いかな?」
「夕方の5時…あたし達が初めて出会った場所にしましょう…。」
「う…うん…楽しみにしているよ…。」
とお互い頬を赤らめながらデートの約束をした。
夕方5時、レイは明日の生まれて初めてのデートにワクワクしながら帰宅するとアヤとユミリが
「お帰りレイ、明日の花火大会みんなで行こう…。」
「お兄ちゃん一緒に行こう!」
と言うとレイは凄まじい勢いで転倒して
「ごめん!母さん!ユミリ!明日友達と花火大会に行く約束してるんだ!だから別行動で行かせて!」
と手を合わせてお願いするとアヤは、
「いいけど、レイ…誰と行くの?」
「それは…ちょっと…言えない!」
「言えない!?もしかして…ガールフレンドとか…?」
と言うとレイは顔を真っ赤にしながら
「ちっ、違う!!友達と行くんだよ!!」
とレイだった。
翌日の午後4時、ハルバーシティ郊外、レイはゼロを走らせてロメオシティを目指す、レイは正直不安だった。
(どうしよう…女の子とデートするの初めてだし…セリーナ楽しんでくれるかな…恥ずかしくてトレイロにも相談できなかったし…。)
とレイがそう思っている矢先に前方に青い肉食恐竜型ゾイド、凱龍輝が、
「何だあれ?」
「待っていたぞ!レイ・アトミックコア!」
「その声…ギルネイ!ギルネイ・スプリングフィールドか!」
「気安くギルネイと呼ぶな!私は共和国軍スプリングフィールド中尉だ!」
「悪いけど…約束していることがあるんだ…相手している暇は、無いよ!」
とレイがそう言うと凱龍輝はビームバルカンで掃射して来る、
「試させてもらうぞ、アトミックコア!」
「くっ!…やっぱり来るのか!」
とレイ、ゼロは、走りながら凱龍輝のビームバルカンの掃射をかわして208ミリショックカノンを撃つと凱龍輝はイオンブースターでジャンプして飛び掛ってきた。
「上からか!」
とレイ、上から踏みつけようとする凱龍輝にゼロは左ステップでかわすとギルネイは、
「甘い!」
とチャンスだと言わんばかりに、凱龍輝が着地した瞬間、機体を一回転させて尻尾をゼロに叩きつける、
「うわああっ!」
怯むレイ、ゼロは転倒し、凱龍輝は更に跳びかかって来るとゼロは地面を転がり、凱龍輝の牙をかわして立ち上がり体勢を立て直すとギルネイは、
「その程度か?アトミックコア!」
「まだだ…焦るな…。」
とレイは自分にそう言い聞かせる、凱龍輝が再び跳びかかって来るとゼロは右ステップでかわし、凱龍輝は機体を一回転させるとゼロは凱龍輝の尻尾を口でキャッチして噛み付く、
「なっ…何!?」
戸惑うギルネイにレイは、
「二度も同じ手を喰らう俺じゃない!!」
ゼロは凱龍輝を振り回してそのまま投げ飛ばした。
「うおわあああああああ!!」
絶叫するギルネイ、凱龍輝は100メートルぐらい飛ばされて地面に叩き付けられた。
「やるな…この凱龍輝の本当の恐ろしさを見せてやる!」
とギルネイが言うとレイには凱龍輝が装甲を脱ぎ捨てたように見えた次の瞬間、左から小型飛行ゾイドが飛んできて体当たりを仕掛けてくる。
「危ない!」
とレイはゼロを回避させた瞬間、右からもう一機の小型ゾイドが体当たりをして来た。
「うわっ!…何だ今の?どこから?」
と衝撃に怯んだレイが二機の小型ゾイドを探していると凱龍輝が跳びかかって来る、しかもさっきより素早い動きだ。
「はっ、速い!」
とレイ、ゼロはギリギリでかわすとさっきの小型ゾイドが凱龍輝と合体した。
「合体した?」
「そう…この凱龍輝は小型無人ブロックスゾイド、飛燕と月甲を搭載している…貴様ごときにこの凱龍輝は倒せんぞ!」
とギルネイ、凱龍輝は再び飛燕と月甲を繰り出して来るとレイは、
(これで決めてやる!)
と思いながらゼロを走り出させて爪を閃かせるとギルネイは余裕の表情を見せながら、
「無駄なことを飛燕!奴を切り裂け!」
と言うと飛燕は真正面から突っ込んで来るとゼロは勢い良く跳びかかり後ろ足で飛燕を蹴る、
「何!?こいつ、後ろに目が付いていやがる!」
と動揺するギルネイ、ゼロは走りながらショックカノンを撃ち砂煙で月甲と凱龍輝の目をくらます、
「くそっ!目くらましか!…なっ!」
ギルネイが見たのは走り、突っ込んで来るゼロではなく跳びかかって来るゼロの姿だった。
「ストライクレーザークロー!!」
とレイの掛け声と共にゼロは凱龍輝を鋭い爪で引き裂いた。
「ぐおわあああ!!」
凄まじい衝撃に怯むギルネイ、凱龍輝のコマンドシステムがフリーズし、
「くそっ…よくもこの私を…」
「悪いけどギルネイ…今は相手している暇はないんだ。」
とレイはゼロを走らせてその場を後にしてコクピットのデジタル時計を見ると、
「しまった!5分ロスした!急がないと!」
とレイはゼロのイオンブースターを点火させて全速力でロメオシティを目指した。
レイは公園の約束していた待ち合わせ場所に到着して携帯の時計を見ると4時54分、
「何とか間に合ったか…。」
とホッとするレイ、すると
「お待たせレイ、待った?」
と白い鮮やかなワンピース姿のセリーナが、レイは頬を赤らめながら
「いや…俺も今、来たばかりで…全然(制服の時もかわいいけど…断然こっちの方が綺麗…)」
と思いながら言うとセリーナも少し顔を赤くしながら
「それじゃ…行こうか…。」
「あっ、ああっ…。」
とレイとセリーナは会場に行き、夜店で串焼きやわたあめを食べたり、輪投げで遊んだりしているとトレイロにバッタリ鉢合わせとなった。
「トレイロ!!」
「レイ!!どうしてここに…って何で女の子と一緒に?まさか…できていたの?」
とトレイロの言葉に二人が頬を赤くすると、
「お兄ちゃん、みーつけた!」
と後ろから聞き覚えのある声がしてレイが振り向くと
「ユミリ!…いっ!父さん、母さん、どうしてここに?」
「レイ…お前って奴は…やるじゃねえか!!」
とシュンにアヤとトレイロは、
「もうっ!一言、言ってくれてよかったのに…。」
「ヒューヒュー!今年の夏は例年より熱い夏になりそうだなレイ!」
「セリーナ…ごめんね、こんなことになっちゃって…。」
「ううん、にぎやかで楽しそう人達ね…」
とセリーナが笑顔になると花火大会が始まった。
「始まったわレイ!綺麗ね…。」
「ああっ…(何だろう、セリーナの笑顔の方が綺麗な気がするな…。)」
「そうだわ…8月10日にシーサンって言う街の闘技場でゾイドバトルの個人戦トーナメントがあるの…こうみえてもあたし、ゾイド乗りなの…。」
「知ってる…俺もやってみようかなと思っているけど…。」
とレイが言うとトレイロとシュンは
「行こうぜレイ!せっかくの夏休みだし、」
「レイ!せっかくライガーゼロを手に入れたんだ…暴れて来い!」
「みんながそう言うんなら…行こう!」
とレイはそう言った。
その頃花火を遠くから見ているギルネイは、
「のんきな連中だ…明日戦争が始まるかもしれないのに…。」
とギルネイ、この時誰も気付いていなかった。これが本当の最後の夏休みになるかもしれないことを…。

[988] 第四話 ゼネバスの民 - 2005/08/08(月) 01:35 -

第四話 女スナイパー
8月10日、海岸都市シーサンのゾイド駐機場には100機以上のゾイドが集結している、その中にゼロのコクピットから出てきたレイが携帯を取り、
「もしもし・・・トレイロ?今着いた・・・どこ?・・・わかった・・・。俺も受付に行く、じゃあ・・・。」
と言って電話を切り、走り出した。
一方、ハルバーシティにいるレイの家族は、
「はいっ!こちら会場、シーサン郊外のエミリです!さあ、いよいよゾイドバトル、シングルストーナメントの予選が始まります、ご覧下さい!このゾイドの数・・・154機です!予選を通過できるのは僅か32機、熾烈な戦いになりそうです!」
とテレビのリポ−ター、エミリ、ユミリはワクワクしながら見ていると台所で皿洗いしているアヤは、
「ユミリ、あなたピアノのお稽古サボる気?早く行きなさい」
「はーい、ちぇ・・・。」
とユミリは渋々家を出た。
同時刻、山岳地帯では砲撃するレッドホーン、予選が始まったようだ。砲弾をかわしながら走り、爪を閃かせるのはエントリーbP53番、ゼロだ。
「ストライクレーザークロー!!」
とレイの叫び声と共にゼロは跳びかかり、レッドホーンを切り裂き一撃でフリーズさせた。
(まず一機目・・・セリーナ、どこにいるんだろう・・・。)
とレイ、するとロングレンジライフルを装備した白いコマンドウルフ(以降、TSウルフ)が現れてレイは、
「新手か!」
「わああ!待て僕だよ!」
「トレイロか・・・」
「レイ、油断は禁物だぜ!!」
とトレイロ、TSウルフはゼロにロングレンジライフルを撃つ、ゼロはギリギリでかわして砲弾はすぐそこの岩場に命中し衝撃がレイに伝わってくる、
(ロングレンジライフル・・・本来はゴジュラス用ライフルだ・・・直撃したら終わりだ!)
とレイ、一方山岳の頂上ではレイとトレイロの戦いをガンスナイパーの狙撃モードで見ている女がいた。
「強いわね・・・ライガーゼロ・・・コマンドウルフには悪いけど・・・私が仕留めるわ・・・。」
と女はゼロに照準を合わようとするが素早く動くため合わせづらいが女はトリガーを引くTSウルフの左後ろ足に命中し、TSウルフは転倒した。
「うわっ!!何だ!?」
「トレイロ!大丈夫か?」
とレイが言った瞬間、第二発目がゼロの手前で炸裂、ゼロは岩陰に身を隠し
「やはり、スナイパーか・・・トレイロ、わかるか!?スナイパーだ!」
「スナイパー!?どれどれ・・・いた!!あの山の頂上だ!僕がまだ動けると知って狙ってる!」
「そうか・・・トレイロ、このまま動かないで・・・あいつを倒してくる!」
「ええっ!?オイッ!レイ!」
とトレイロの制止を振り切り、ゼロは隠れながら地を這いガンスナイパーに接近する、
(ガンスナイパーは射撃戦ゾイドだ・・・近接戦闘に挑めば勝てる・・・。)
「さあ・・・お互い敵同士なら、隠れながらウルフにとどめ刺すはずよ・・・。」
と女、だがいつまでたっても現れない、
(変ね・・・だめよ・・・焦っちゃ・・・。)
と女はそう思ってるうちに一時間が経過した。
「遅いわね・・・まさか・・・逃げた?いや・・・違う!まさか!」
と言った瞬間、警報が鳴った。女はハッとして通常に戻すと目の前にはゼロの姿が、
「やはり・・・ウルフを囮にして―きゃあっ!」
ガンスナイパーはゼロの突進攻撃を受けてフリーズした。
その頃、トレイロは、
「レイ、まだか・・・?早くしてくれ・・・。」
と言うとレーダーに重戦闘ゾイドの影が、
「敵!?・・・ディバイソンか!」
とTSウルフは下手に動いたら狙撃される、
「ん?お前!トレイロじゃねえか!」
「その声は・・・・・・誰だっけ?」
「だあああああっ!!こいつ俺だよ!」
「思い出した!確か3組のダイ・オオヤマか!」
「ピンポーン!さて・・・丁度いい、ここで日頃の恨みを晴らしてやる・・・。」
とダイは復讐者のオーラが出ていた。
レイは一息付きトレイロに通信、
「トレイロ、例のガンスナイパーを倒した・・・そっちは?」
「たった今予選終了の合図が出たけど・・・すまん・・・ダイにやられた・・・。」
「ダイって、3組のダイ・オオヤマ?」
「ああ・・・あいつ俺に日頃の恨みだとか何とか言ってメガロマックスを・・・。」
とトレイロは悔しそうに言った。
その夜、シーサンの喫茶店でレイとトレイロが入るとセリーナの姿が、
「ん?レイ!」
「セリーナ!来てたのか・・・。」
と嬉しそうなレイとセリーナ、レイはセリーナの所に歩み寄り、
「どうだった・・・予選?俺は行けたけど・・・キミは?」
「突破したわ・・・。」
と楽しそうに話してると、ブロンドのセクシーな美女が、
「坊や、予選落ちしたの?」
「えっ・・・はっ、はい!・・・あいつ・・・ライガーゼロで突破したんですけど・・・俺はコマンドウルフでしたから。」
とトレイロは緊張気味に言うと女はレイに、
「ねえ・・・あなたがライガーゼロのパイロット?」
「はいっ・・・そうですけど・・・。」
「ふぅん・・・女の子なのにやるわね・・・。」
「あの・・・俺・・・男なんですけど・・・。」
とレイが言うと女はえっとした表情をしたあと、
「女の子みたいだけど男の子なの!?・・・・・・・かわいい〜!!名前は?」
と女はレイをギュッと抱き締めて聞くとレイは苦しそうだが頬を赤らめながら、
「レイ・アトミックコアです・・・ぐるじい・・・。」
「レイね!ビクトリア・ヘブンロード・・・ってヤダ・・・私ったらまた悪い癖が出たわ・・・。」
と周りの視線が集中することに気付いたビクトリア、セリーナは顔を赤らめながら、
「あんな大胆な人・・・見たことないわ・・・。」
「う・・・羨ましい・・・レイの奴・・・。」
と怒りの炎を燃やすダイにトレイロは、
「無理無理、レイのライガーと戦おうなんて・・・。」
「な〜〜に〜〜!?」
「どわあああ!!出たー!!」
とトレイロとダイだった。

あとがき 気付けばもう夜の1時35分長かった・・・。
レイの同級生
ダイ・オオヤマ(18)
愛機 ディバイソン

[989] 第五話 ゼネバスの民 - 2005/08/11(木) 15:24 -

第五話 野牛VS野獣
レイの家ではこの時間テレビはニュースの時間だ。
「次のニュースです。7・14事件の実行犯は昨日、ガイロス帝国軍の兵士であると自供しこれを受けアンダーソン大統領は今日、第二戦備体制を発令、その後の場合によっては第一戦備体制に移行してガイロスに宣戦布告すると発表しました。アンダーソン大統領は今回の7・14事件で多くの尊い命が失われ、多くの怒りと悲しみが生まれた。再び武力攻撃してきた場合、わが国への宣戦布告とみなし、徹底交戦と発表―。」
「全く・・・レイやユミリを戦火に巻き込むつもりか?」
「そうね・・・これを聞いたらレイ、怖がるわ・・・一度戦争している国にいって3日間迷子になったんだから」
とシュンとアヤはそう言った。
一回戦を明日に控えたシーサンの高級ホテルでは抽選会が開かれて、レイは第二試合に出場、相手はダイで順調に行けば準々決勝でセリーナと対戦することになる。
抽選会を終えてホテルのロビーにある噴水にセリーナの姿が、だが何か悩みがあるような表情をしていてレイは、
「セリーナ・・・?」
「あっ・・・レイ・・・抽選会の相手・・・どんな人だった?」
「ああ・・・ディバイソン乗りの奴だ・・・セリーナ、何か悩みでもあるの?」
「えっ?・・・何でもないの・・・心配しないで・・・。」
とセリーナはそう言うがレイには悩みがあるようにも見える、
「セリーナ・・・小さいことでもいいから、抱えたままじゃ・・・いいバトルはできないよ・・・。」
「レイ・・・ありがとう・・・実は・・・あたしの家族は兄さんと弟がいるの・・・弟は一つ年下で・・・兄さんは今21歳だけど・・・あたしが10歳の時、ゾイド乗りになると言って、家を飛び出したの・・・それ以来一度も会ってないわ・・・。」
「そのことで・・・悩んでいたの?お兄さんどんな人だった?」
「兄さんは・・・怒ると怖いけど・・・すごく優しかったわ・・・さっきの抽選会で兄さんがいたの・・・でも話し掛けにくくて・・・。」
「そっか・・・でも勝ち続ければ会えるし、決勝まで行けばキミのことを知って会いに来るかもしれないよ・・・。」
「うん・・・ありがとう・・・レイ、あたし頑張るわ・・・。」
とセリーナは目に涙を浮かべながら微笑んだ。
レイはエレベータで4階に行き部屋に入ろうとするとトレイロとダイが現れて、
「ようレイ!さっきセリーナさんとどんな話をしてたんだ?」
「まさかデートの約束じゃねえよな・・・。」
と怒りのオーラを発するダイにレイが戸惑っているとギルネイとジム、レイより一つ下くらいの少年が現れて
「アトミックコア・・・貴様も参加していたのか・・・。」
「ギルネイ・・・また軍の誘い?悪いけど話には乗らないよ・・・。」
とレイが言うと少年は、
「アトミックコアさん!そう言ってる場合じゃありませんよ!今日、大統領閣下が第二戦備体制を発令しました・・・場合によっては戦争が始まるんですよ」
「そういうこと・・・ブルースの言うことはマジだ・・・。トレイロもダイも今のうちに鍛えたほうがいいぜ・・・なんせ高校生も徴兵するらしいからな」
「そう言うことだ・・・まっ・・・始まったら私の紹介と貴様の腕ならすぐ士官になれる・・・。」
とジムとギルネイが言うと三人は去り、トレイロとダイは何のことか飲み込めなかった。
翌日、一回戦第二試合、両者位置に付き、初期型のジャッジマンがホエールキングから降下し
「トーナメント一回戦第二試合、レイ・アトミックコアVSダイ・オオヤマ!レディーファイト!」
とゴングがなるとゼロは走り出したがディバイソンは平地エリアに留まっている、その様子をカフェの生中継で見ているトレイロとセリーナは、
「何やってんだダイの奴、さっきから動いてねぇぞ・・・。」
「なるほど・・・あのダイって人考えてるわ・・・。」
とセリーナ、平地エリアにゼロが侵入しディバイソンに左側面から接近する、
(おかしい・・・さっきから動かない・・・まさか!)
レイがそう思った瞬間、ディバイソンはゼロの方を向いてダイは、
「かかったな!レイ、メガロマックス、ファィヤー!!」
とダイの掛け声と共にメガロマックスを発動17連突撃砲を一斉砲撃、ゼロは物陰に隠れようにも隠れる場所が無い、
「くそっ!まずい!」
とレイ、ゼロはイオンターボブースター全開で噴射して砲弾をかわしていくダイは、
「逃がすか!メガロマックス、ファイヤー!!」
と再び17連突撃砲を一斉発射し、トレイロは、
「危ないぞレイ!逃げろ!」
「やっぱり・・・謀られたわ・・・平地エリアにはライガーが隠れられるような物陰も無く、高低差もないわ・・・格闘戦に挑むしかないわ・・・。」
「そう言ったってセリーナさん・・・相手はディバイソンだぞ!正面から挑んだら角で突き飛ばされそうだ・・・。」
とトレイロ、レイはゼロをブースター全開で走らせるが、
(ブースターを切ったらあの砲撃の餌食になる・・・けどブースターはあと一分でオーバーヒートする・・・そうだ!いい事思いついた!)
と何かを思いついたようだ。
「メガロマックス、ファイ・・・あれ?」
とダイ、突撃砲の弾が切れたようだ。
「よし、チャンスだ!行くぞライガー!」
とレイ、ゼロは唸り、爪を閃かせながらディバイソンに向かって走り、ディバイソンもゼロに向かって突撃する、
「ストライクレーザークロー!!」
とレイ、ゼロはジャンプし、ディバイソンを切り裂いた。
「ぬおおおおお!!」
絶叫するダイに崩れるように倒れるディバイソン、レイは、
「危ないところだった・・・。」
「バトル・オールオーバー、バトル・オールオーバー、ウィナー!レイ・アトミックコア!」
とジャッジマンが判定を下すと、セリーナは、
「やったー!!・・・・・あっ・・・。」
と一瞬我を忘れてガッツポーズすると周りに気付き赤くなり、恥ずかしそうな表情をした。
「セリーナさん、恥ずかしいことするなよ・・・(なるほど・・・レイの奴、弾切れを狙ったんだな)」
とトレイロはそう思いながら言った。

[990] 第六話 ゼネバスの民 - 2005/08/11(木) 15:25 -

第六話 意外なライバル
何とか一回戦を突破したレイ、翌日、ホテルの外には共和国ゾイドが警備している、昨日の第二戦備体制発令の影響かもしれない、外に出るとトレイロが、
「オーイ!レイ!レイ!」
「どうしたんだトレイロ・・・。」
「レイ・・・次の相手誰か知ってる?」
「いや・・・知らないけど・・・。」
とレイが言うとトレイロは呆れた表情で、
「オイオイ・・・相手はうちの学校一の美少女、メイメリア・ハミルントンさんだなんだぞ!しかも一回戦の相手はゴジュラスを相手したんだ・・・。」
「嘘・・・マジで!?」
とレイが驚くと散歩していたセリーナがそれを聞いて
「どうしたの?レイ・・・。」
「セリーナ・・・次の相手は―」
「トレイロくん、レイくーん!あら、そのかわいい子は誰?」
と黄色のセミロングに活発な眼差しをした少女メイメリアが手を振りながらレイ達の所へ走って来る、
「はぁ・・・はぁ・・・ビックリしたわ・・・ダイくん以外にも出場していたなんて・・・。」
「メイメリアさん・・・ダイにも会ったの?」
とトレイロが言うとメイはうなずき、セリーナに、
「うん・・・あなたは?あたしはメイメリア・ハミルントン・・・みんなはメイって呼んでるわ・・・。」
「あたしは・・・セリーナ・ヘプシオンです・・・よ・・・よろしくお願いします・・・。」
とハニカミした口調で言うセリーナ、するとメイはレイに、
「さて・・・今日のバトル、相手がレイくんでも・・・手加減しないわよ・・・じゃあね!」
と笑顔で走り去って行くとセリーナは、
「あの人・・・美人ね・・・レイ、どんな人なの?」
「さっぱり明るくて元気な女子だけど、好きな男には意外と一途なんだ・・・しかも3年前レイの家の近所にあるアパートに引越して一人暮らし・・・」
とトレイロが説明するとレイは、
「トレイロが答えても仕方ないだろう!」
「それともう一つ・・・メイは何故かレイには一途なんだよね・・・まっ・・・唯一デートしたのはレイだからな・・・。」
と言うとレイは赤くなり、
「二年の時の・・・道理であの時、視線を感じた訳だ・・・。」
「レイ・・・意外とモテるのね・・・」
とセリーナは微笑みながら言うがレイには罪悪感を感じた。
カフェでトレイロは一人バトル中継を見ているとビクトリアが来て、
「トレイロ、隣いいかしら・・・?」
「ビクトリアさん!どうぞ・・・。」
「トーナメント二回戦、第一試合、メイメリア・ハミルントンVSレイ・アトミックコア!レディーファイト!」
とジャッジマンはゴングを鳴らすとゼロは走り出し、メイのゾイドを探す、レイは、
「どこだ・・・どこにいる?」
と探していると突然、光学迷彩を発動させたゾイドが突進して来た。
「うわあっ!!何だ!?どこいった!」
「あたしはここにいるわレイくん・・・捕まえられる?」
とメイ、光学迷彩を解除するとシャドーフォックスが姿を現しトレイロは驚き、
「あれは・・・シャドーフォックス!?」
「あの子やるわね・・・シャドーフォックスは中型ゾイドの中では扱いにくいと言われてるわ・・・武器そのステルス性能の高さだけど・・・攻撃力も高いわ」
とビクトリア、フォックスはゼロに向かって爪を閃かせて走り出し、跳びかかって、
「ストライクレーザークロー!!」
とメイ、ゼロは咄嗟にかわそうとしたがかすり、爪痕ができるとフォックスは反転してレーザーバルカンを撃つ、ゼロはブースターを噴射させてかわし、フォックスに接近、
「さあ・・・もう一度行くわよ!」
とメイが言うとフォックスは再び光学迷彩を発動させるとレイは、
「(くそっ!赤外線ゴーグルが無いから・・・どこにいるか分からない・・・・・・待てよ!確か東一キロ先には・・・)よし、メイ、ついてこれるか?」
とレイはそう言うと、ゼロは密林に入るとフォックスも後を追う、
「逃がさないわよレイくん!」
とメイ、ゼロを追ってるうちに広い沼地に出て正面にゼロが、
「いたわ・・・まだ鬼ごっこする・・・?」
とメイ、フォックスは光学迷彩を作動させたままゆっくり沼地に入りると突然ゼロが襲い掛かって来た。
「えっ?気付かれた!?」
と焦るメイ、フォックスはレーザーバルカンを撃つがかわされてゼロの牙が、フォックスはギリギリでかわしゼロを跳び越えて反転し爪を閃かせて走り出すとゼロも同じ事をして2機同時に跳びかかり、レイとメイの順に、
「ストライク」
「レーザー」
そして同時に、
「クロー!!」
と叫び、ゼロとフォックスは渡り合い着地するとゼロに深い爪痕ができたが、倒れずにフォックスが倒れた。
「バトル・オールオーバー、バトル・オールオーバー!!ウィナー!レイ・アトミックコア!」
とジャッジマンは判定をして、トレイロとビクトリアは、
「すっげー!!どうやってステルスを見破ったんだ?」
「沼の水よ・・・フォックスが入った時にできた波を手がかりにしたのよ」
と解説する、ギルネイとブルースもバトル中継を見ていて、
「フッ・・・ますます期待できそうだな・・・私も思いつかなかった方法で破るとは・・・。」
「そうですね・・・あの方法で光学迷彩を見破るなんて・・・勉強になりますね・・・。」
と言った。

レイの同級生
メイメリア・ハミルントン(18)
愛機 シャドーフォックス

[991] 第七話 ゼネバスの民 - 2005/08/11(木) 15:26 -

第七話 白い風
準々決勝の朝、レイは携帯で昨日の二回戦の結果を見ると記事には「天才女子高生」と書かれていてその記事の写真にはセリーナの姿が、
(セリーナ!?・・・そういえばセリーナはクラスでも噂になってたんだっけ・・・ゾイド乗りをやってるって話しは聞いたけど・・・そんなに強いのか・・・。)
とレイはそう思いながら朝食を食べて会場に向かった。
格納庫に整備されたばかりのゼロが、隣にはコマンドウルフでもケーニッヒウルフでもない狼型ゾイドがいた。
「これは・・・たしか・・・ロメオシティで・・・。」
「そう・・・ワイツウルフよ・・・。」
「セリーナ・・・キミが・・・ワイツウルフのパイロット?」
「そう・・・この子・・・あたしにしか懐かないの・・・準々決勝は手加減しないわ・・・。」
とセリーナはそう言ってワイツウルフのコクピットに入って行った。
午前10時、両者は定位置に付いた。
「トーナメント準々決勝第一試合、レイ・アトミックコアVSセリーナ・ヘプシオン!レディーファイト!」
とジャッジマンがゴングを鳴らした。
「母さん!来てくれ!レイとこの前の花火大会でデートしていた女の子が戦ってる!」
「あら!・・・あの子結構強いのね・・・ここでレイが負けたら笑われるわね・・・。」
とシュンとアヤ、一方荒野のとある村ではビクトリアは携帯のテレビで見ていて、
「あの女の子かわいいけど強いんだよね・・・レイ・・・油断しちゃだめよ・・・。」
と独り言を言う、その頃ダイは自宅の自室で受験勉強しながらラジオで聞いていて、
「あの二人・・・この後できたってことにならなければいいけどな・・・。」
と呟いていて、基地のテレビで見ているギルネイは、
「この勝負・・・どっちが勝つか分からんぞ・・・」
トレイロとメイは街頭スクリーンの生中継を見ていて、
「レイなら勝てる!あんなおとなしい子に負けるはずない!」
「そうかしら?分からないわよ・・・セリーナさん、6月の大会で優勝したことがあるわ・・・経験と腕ならセリーナさんのほうが上よ・・・。」
と言った。
エレクトロハイパーキャノンを撃つワイツウルフにゼロは走りながらサイドステップでかわすと、
「そこねっ!」
とセリーナ、エレクトロハイパーキャノンの弾はゼロに命中してゼロは転倒した。
「うわああっ!!当たったか・・・。」
と怯むレイ、ゼロは体勢を立て直そうとすると、ワイツウルフが跳びかかってくる、ゼロは地面を転がるようにして立ち上がり、
「今だ!」
とレイ、ゼロは着地したワイツウルフに噛み付きかかるが、
「危ない!」
とセリーナ、ワイツウルフはイオンブースターでジャンプ、
「はああああっ!!」
セリーナは鋭い目つきをしてゼロに狙いを定め、ワイツウルフは跳びかかり、ゼロを切り裂いた。
意外な展開にトレイロは動揺し、
「強い!レイの奴・・・さっきから押されてるぞ!」
「やっぱり・・・ゾイドの性能から見るとライガーとウルフの性能の差はライガーの方が多分上だけど・・・セリーナさんは腕でカバーしてるわ!」
「そう言えばセリーナさんって・・・6月の大会やインターハイで優勝したって聞いたことある・・・。」
とトレイロはセリーナのゾイド乗りの経験を思い出した。
ゼロはボロボロに立ち上がるが既にボロボロだがレイは、
「まだ・・・まだ終わってない・・・。」
とショックカノンを走り撃つするゼロ、ワイツウルフ本体から少し外し砂煙を上げる、
「砂煙!?まさか・・・ハッ!」
とセリーナがハッとした瞬間、ゼロは爪を閃かせて跳びかかり、
「ストライクレーザークロー!!」
と叫ぶレイ、だがセリーナはワイツウルフを的確に回避させてゼロが着地した瞬間、ワイツウルフはストライクザンクローでゼロを切り裂いた。
悲鳴を上げるゼロ、レイは、
「くそっ!このままじゃやられる!」
「何やってるんだレイ!このままじゃやられるぞ!だけど今のなんだ?セリーナさん・・・反応が速かったぞ。」
「そう・・・トレイロくんの言う通り・・・セリーナさんの強さの秘密はずば抜けた反射神経よ・・・。」
とメイは重い口調で言った。
ゼロとワイツウルフはお互い離れて睨み合い、セリーナは心配そうに、
「レイ・・・大丈夫?怪我はない?」
「大丈夫・・・セリーナこそ強いんだね・・・これで決める!」
とレイ、ゼロは走り出し爪を閃かせるとワイツウルフも走り出しメイは、
「セリーナさんの戦い方はずば抜けた反射神経を最大限に活かしたあのカウンター攻撃、セリーナさんはいつしか・・・こう呼ばれてるわ・・・白い風と・・・。」
とメイが言った瞬間、2機は渡り合い切り裂かれるような音がした。
ゼロとワイツウルフが着地し誰もがどっちだと思っているとジャッジマンは判定し
「バトル・オールオーバー、バトル・オールオーバー!ウィナー!セリーナ・ヘプシオン!」
と宣言、ゼロはいつの間にか倒れていた。
昼になり、バトルを終えたレイはレストラン街を歩いているとトレイロとバッタリ会い、
「ようレイ!・・・悔しい気持ちはわかる・・・俺だって予選落ちした時なんか―」
「確かに悔しいけど・・・傷の舐め合いはごめんだね・・・。」
と意外にも凹んでる様子はないようだ。
「お前・・・悔しくなさそうだな・・・。」
「確かに悔しいけど・・・セリーナはインターハイで優勝したこともあるし・・・俺がゾイド乗りを始めたのはつい最近だから・・・。」
「へぇ・・・って知ってたのかよ!オイ!待ってくれよ!」
と歩き去ろうとするレイをトレイロは追いかけた。

[992] もうすぐ本題 ゼネバスの民 - 2005/08/11(木) 15:32 -

三話連続投稿、夏休み編ももうすぐ終わりですが読んでわかるとうりゾイドバトルとなっていますこれを呼んだ皆さんも「あれ?題名と大きく外れてる…。」と思っていますがもうすぐ本題の戦争が始まります・・・。いきなり始まるのもどうかな・・・。と自分はそう思っています。

[993] 第八話 ゼネバスの民 - 2005/08/17(水) 23:32 -

第八話 夏の終わりに・・・。
夜、バーでくつろぎながらテレビのニュースを見る男がいる、その男はセリーナと同じ髪の色をした男だった。
「いよいよ明日は決勝です。果たして優勝するのはセリーナ・ヘプシオン選手かアスハル・ムーロア選手か、」
「私としてはライガーゼロと戦いたかったがな・・・。」
とアスハルはそう言って店を出た。
翌日、午前10時、ワイツウルフのコクピットに入るセリーナにレイとトレイロ、メイは、
「いよいよ、決勝だな・・・頑張れ、セリーナ!」
「勝ったら賞金、100万HZ(約1億2千万円)だぞ!」
「自分を信じて!セリーナさん!ファイトよ!」
「ありがとう・・・それじゃあたし、頑張ってくるわ・・・。」
と言ったセリーナだったが、
「バトル・オールオーバー、バトル・オールオーバー!ウィナー!アスハル・ムーロア!」
とジャッジマンは判定、アスハルは真紅のバーサークフューラーでセリーナのワイツウルフを倒し、レイとトレイロ、メイは呆然と立ち尽くしていた。
セリーナはボロボロになったワイツウルフのコクピットを開けて外に出るとアスハルは見覚えのある姿と懐かしさが湧いてきた。
「あれは・・・間違いない・・・セリーナだ・・・。」
と言ってバーサークフューラーから降りるとセリーナもその姿を確認するとアスハルとの思い出が甦り
「兄さん・・・兄さん!」
セリーナが叫ぶとアスハルは紋章が刻まれたペンダントをかざし、
「セリーナか!?」
「そうよ!アスハル兄さん!」
と叫ぶと二人は走り出し、そして抱き合った。
それを生中継で見ているレイ達は、
「何だ!?感動の再会してるぞ!」
「うん!あの二人もしかして恋人同士なのかも・・・。」
と興奮するトレイロとメイだがレイは穏やかな口調で微笑みながら、
「いや・・・それ以上の存在だよ・・・(よかったね・・・セリーナ・・・。)」
とレイはそう思いながら言った。
表彰式を終えた午後7時、レイは港を歩いていると輸送船の甲板にアスハルの紅いバーサークフューラーが、
(あのバーサークフューラーか・・・ん?セリーナ?)
とレイはセリーナを見つけるとセリーナは振り向き、
「レイ・・・どうしたの?」
「ちょっと散歩・・・お兄さん、元気だった?」
「うん、元気だったわ・・・兄さん、帝国の大学に通っていて夏休みを利用してゾイドバトル大会にたくさん出場するって・・・。」
「そうか・・・また会うって約束した?」
「うん・・・兄さんにたくさん甘えちゃった・・・できればライガーゼロと戦いたかったって・・・言ってたわ・・・。」
とセリーナの言葉にレイには泣いてるように聞こえ、
「セリーナ・・・大丈夫?」
「あたし・・・実はアーカディア人なの・・・中学卒業と同時に共和国に留学して・・・ずっと一人暮らしで心細くて・・・。」
「わかるよ・・・その気持ち・・・。」
レイの言葉にセリーナが顔を上げると、
「俺の家族は・・・本当の家族じゃないんだ・・・本当の家族は戦場カメラマンで4歳の時、紛争地域で戦闘に巻き込まれて死んじゃった・・・時々思うんだ・・・俺を愛してないのかって、でも違う・・・俺は独りじゃない・・・妹のユミリなんか、もうすぐ中学なのに俺に甘えて・・・。」
「いいわねレイ・・・あたし・・・内気で勉強も運動も駄目で・・・どうしようもない人間だから・・・。」
とセリーナはそう言うとレイはアーカディア語で、
「大丈夫・・・キミは大切な物をいっぱい持ってるから・・・完璧な物なんて無いんだから・・・。」
「レイ・・・」
「キミは独りじゃない、俺がいるから・・・何かあったら俺に言って、もしも何かあったら俺がキミを護る・・・約束する・・・。」
「レイ・・・ありがとう・・・。」
とセリーナはレイに抱き付き、レイは優しくセリーナを抱き締めて、
「辛かったんだね・・・。」
「二人とも・・・何やってるんだ?」
とトレイロの声がするとレイとセリーナはトレイロに気付き、ほどいてレイは、
「トレイロ!いつからいた!」
「いつからって・・・30秒前・・・お前ら、できちゃった?」
と言うとレイとセリーナは顔を赤くして何も言えずにいると、
「どうしたのトレイロくん、あら・・・レイくんにセリーナさん!」
「メイメリアさん実はこの二人―」
とトレイロが何かを言おうとした瞬間花火が上がり始めた。
「花火だ!そう言えば今日、花火大会があるって言ってたな・・・。」
「綺麗・・・。」
とトレイロとセリーナ、レイは花火を見ながら、
(考えてみると高校最後の夏休み・・・一番楽しかったな・・・セリーナと出会わなかったら・・・つまらない夏休みになってたかもしれない・・・。)
とそう思いながらレイは花火を見ながら確実に何かを焼き付けていた。
「レイ・・・高校卒業したらどうするの?」
ふとセリーナがレイに質問すると、
「アーカディアに留学してゾイドバトルリーガーになる・・・。」
「それでアーカディア語が話せたのね・・・。」
「ああ・・・他にもガイロス語、地球移民語(英語)も話せるんだ・・・。」
「すごいわ・・・これならどこへでも行けるわ・・・。」
とセリーナは微笑みながら言った。
こうして最後の夏休みが終わった。
                                                                                          夏休み編 完

[994] 第九話 ゼネバスの民 - 2005/08/20(土) 00:13 -

逃亡編
第九話 始まり前夜
10月15日、今日は高校最後の文化祭、制服に着替えたレイだが家にいるのはレイ一人、ユミリはアーカディアで1週間修学旅行、両親はアーカディア領、セントマリア島で研究所の連中と仲良くバカンス、母親のシュンは民間のゾイド研究所の若所長で父親のシュンは昔は共和国軍の兵士だったが今はゾイド設計者をやっている。
レイの家は一週間、レイ以外誰もいないということである。
「文化祭よりセントマリア島に行きたかったな・・・。」
とぼやきながら店でホットドッグを作るレイ、すると11時になりやっと交代の時間になり校内をブラブラする、
(あの夏休みが夢だったようにも感じる・・・楽しい高校生活もお終い・・・あとは地獄の受験戦争・・・。)
とレイがそう思っている頃、帝都ガイガロスのカフェでコーヒーを飲みながらセリーナにメールするアスハルに同い年ぐらいの若い女性が、
「あら・・・ガールフレンド?」
「アメリか・・・私の妹、セリーナだ・・・。」
とアスハルはメールを送信するとアメリは、
「へえ・・・どんな子?」
「この子だ・・・内気だが、素直で優しい子だ・・・今、高校3年生・・・来年は大学受験だ」
と言ってセリーナの画像を開くとアメリは笑顔で、
「かわいい・・・きっと学校じゃアイドルね・・・。」
「そうか・・・だがセリーナの学校は女子高で男女交際を徹底的に禁止している・・・恋はできないな・・・。」
「そうね・・・でも私の友達高校の時、そんな学校に通っていて恋をしたみたいよ・・・それで今も続いてるんだって・・・。」
「映画にしたら面白そうだな・・・。」
と微笑むアスハルにアメリも微笑みながら、
「その妹さん、多分・・・完璧でかっこいい人よりも―。」
と何かを言おうとした瞬間、上空から巡航ミサイル10機以上が横切ってアスハルは咄嗟に、
「伏せろー!」
と叫び、アメリを庇うと巡航ミサイルはガイガロスの様々の所に着弾し何回も爆発、辺りはパニックになり1分経つとアスハルは起き上がり、
「アメリ、大丈夫か?」
「大丈夫・・・あなたは?」
「私は大丈夫だ・・・今のは巡航ミサイルだったぞ・・・。」
とアスハルが言うとカフェの店長が、
「大変だー!!小学校が燃えている!消防を呼んでくれー!!」
と叫ぶとアメリは真っ青になり震えながら倒れようとするとアスハルは受け止め、
「ああ・・・嘘・・・アスハル今日は何曜日?」
「金曜日だ・・・。」
とアスハルは重く言うとアメリは、
「ああ・・・そんな、今朝ね、私に元気に挨拶した小学生がいっぱいいたの・・・みんなかわいい子達で・・・。」
ショックのあまり独り言を言うアメリ、アスハルは、
「大丈夫だ・・・きっと生きてる子も出てくる・・・私のアパートで少し休め・・・。」
とアスハルはアメリを肩貸ししながらその場を後にした。
レイは文化祭の後片付けを終えると辺りはすっかり暗くなり星空が見える程だった。
「すっかり暗くなってきたな・・・。」
と呟くレイは校門を出ようとするとメールの着メロが鳴り携帯を取るとこう書かれていた。
(話したいことがあるの・・・迷惑なのはわかる、だけどお願い、学校の一号館の屋上に来て)
レイは携帯を閉じると屋上へ走り出した。
「はあ・・・はあ・・・メイ・・・。」
星空が広がる屋上に着いたレイはメイを見つけて話しかけると、
「レイ君・・・ありがとう、来てくれて・・・。」
「メイ・・・どうしたの?」
とレイが心配そうに言うとメイは決心したような眼差しで見つめて、
「レイくん・・・レイ・アトミックコア君・・・あたしが三年前、ニューへリックに引っ越す親の反対を押し切って・・・一人暮らしを始めたの知ってるよね?」
「うん・・・何回も聞いた・・・。」
「それでレイ君はどうして?って聞いても・・・あたしは答えなかった・・・いえ・・・答える勇気がなかった・・・。」
「メイが引っ越してきて以来、3回ぐらいしかデートしてなかったね・・・。」
「そうね・・・でもあたし高校卒業したらガイロスに留学しちゃうから・・・明日の朝一番の便にガイガロスへ行って下見に行くの、卒業したらお互い離れ離れになっちゃうわね・・・。」
「ああっ・・・そうだね寂しくなる・・・。」
「うん・・・あたし、レイくんのいない生活なんて考えられないわ・・・だってあたし、レイ君のこと好きだから・・・。」
と言った。
その頃ニューへリックシティの大統領官邸では、
「わかった・・・作戦は成功だな・・・次の作戦に移るんだな・・・わかった成功を祈る・・・。」
と言って電話を切るアンダーソン大統領、1時間経つと電話が鳴り、
「私だ・・・何!?我が軍の基地に帝国軍の巡航ミサイルが撃ちこまれた!?・・・わかったすぐにマスコミに発表する・・・。」
とアンダーソン大統領だった。
その頃、家に帰りながらレイは悩んいた。
(返事は帰ってくるまでにしてね・・・か、確かにメイのこと気になったこともあったけど・・・謝ろう・・・メイを傷付けてしまうけど・・・今のままじゃいけないんだから・・・。)
と決心し、家に帰り着くと明かりが点いていた。
「あれ?確かに戸締りしたはずなのに・・・。」
と泥棒が侵入したのかと思い慎重にドアを開けるとトレイロが、
「お帰りーレイ!」
「帰れーー!!人が真剣に悩んでいたのに・・・。」
と叫んで呆れるレイ、するとセリーナもいて、
「レイ・・・やっぱり、迷惑だった?」
「セリーナ・・・ごめん、トレイロ・・・今のなかったことにして・・・。」
「ああ・・・今夜みんなで何か食べに行こうぜ!」
「ちょっと待て!補導されるぞ!」
とレイは言った。

[995] 第十話 ゼネバスの民 - 2005/08/23(火) 16:51 -

第十話 壊れる日常
文化祭から一夜明けた10月16日、朝7時、今日はいつもと違ってトレイロとセリーナが家に泊まっている明日となれば本格的に受験戦争に突入する、
「おはようレイ・・・。」
「おはよう・・・トレイロ・・・?」
とお互い眠そうな顔をしているとネグりジェ姿のセリーナも起きてきて、
「おはよう・・・眠れた?」
と言うとレイとトレイロはセリーナの方を向き一気に目が覚めて、トレイロはレイに小声で、
「おお・・・オイ!朝からこんな刺激的でいいのかよ?」
「俺に聞かないでくれ・・・。」
とセリーナは眠気で何を言ってるか分からなかった。
テレビを見るレイはうんざりしていた。何故なら朝から特別番組ばかりで、トレイロはからかうような口調で、
「どうだレイ・・・面白そうな奴ある?」
「特番ばっかり・・・。」
「この前、第二戦備体制が敷かれたからな・・・。」
トレイロが言うとセリーナは不安げに、
「何も起こらないといいけど・・・。」
「セリーナ・・・大丈夫・・・ちょっと様子を見てくる・・・トレイロ留守番しといて・・・。」
「はいはい・・・。」
とトレイロ、レイが外に出ると住宅街はいつものような雰囲気だったが、ラッシュアワーの街は慌しい空気だった。
「レイ!レイ!」
とレイの後ろに男の声がレイが振り返るとダイだった。
「いったい何が起こってるんだ?新聞の号外といい・・・この雰囲気・・・。」
「第二戦備体制が敷かれたんだ・・・ニュースとか見た?」
と足早に歩き嫌な予感がした。
「なあレイ・・・ゆっくり歩いてくれよ・・・。」
「昨日、サンミゲル公園にカプセルが落ちたんだ。」
「ああ・・・あのでかい卵みたいな奴か?」
「ああっ、嫌な予感がするんだ・・・。」
とレイ、サンミゲル公園に着くと警官やテレビ局、そして100人近くの見物人が集まってる、その中心には直径30メートル位の銀の卵があった。
「何の卵だ?」
「ロメオシティやベルシティ、いろんな所に卵が落ちたけど、ハルバーのだけでかいんだしかもここだけらしいぜ」
と今時の若者からサラリーマンまでたくさんいる、レイは人ごみの隙間をすり抜けたりして卵に近付き、慎重に指でとんとんとタッチすると今度はこんこんと叩く、
「どうだレイ・・・熱い?」
「温かい・・・中は液体が詰まってる・・・。」
と言って耳を当てようとすると中から甲高いような声がしてきて人々は後ずさりをする、そして卵の半分が横に開くと中から大量のお湯が流れ出てきて道路まで押し流され数人が車に轢かれた。レイはレンガのプランターの所で止まり、ダイもレイの近くで止まり、人々はびしょ濡れになって立つと卵はカプセルだったらしく中から迷彩色の巨大な蠍型ゾイド、デススティンガーが現れて、オフィスビルで働いているOLやサラリーマン、会議中の中年達、外にはタクシーやバスの運転手、道行く若者、ホームレス、大通りの2車線道路にはその場で車を止めて降りる人々、視線はデススティンガーに集中していたが戦争が終結して数百年、レイは勿論すべての人々には初めて見るゾイドだった。デススティンガーは甲高い雄叫びを上げると尾の先端が開きエネルギーをチャージする、レイを含め、次の瞬間何が起こるか分からなかった。そして次の瞬間、デススティンガーは荷電粒子砲を大通りに向けて発射、たちまち大通り約5キロ位は爆炎に包まれ、100メートル以上の高さの火柱が立つと誰かが悲鳴をあげたのを合図に辺りは一瞬でパニックに陥った。人々は誰もが死の恐怖から逃れようとやみくもに走るレイもその中の一人でダイも必死で後を追う、
「レイ!待ってくれー!!」
その声にレイが曲がり角を曲がった瞬間、ダイや10人以上の人達が爆炎に飲み込まれ、とてつもない死の恐怖がレイを襲いやみくもに走ろうとすると大きな鏡が自分を映していて、レイは落ち着いて行動することを思い出した。デススティンガーは930ミリショックカノンや尻尾の120ミリビームガン、収納式リニアキャノンを乱射してビルを破壊、倒壊するビルから何人もの人が落ちて来て下にいる人や車に直撃、その後ビルが倒れこんで下敷きにレイはそれを走りながら振り返って見る、轟音と共に砂煙が迫ってくるレイはデパートの中に入り、走り抜ける、外では警察のコマンドウルフがビーム砲で応戦するが当然歯が立たない、だがデススティンガーの足止めにはなっているレイはその間に倒れているキーが刺さったままのバイクを拾いエンジンを入れて走る、バックミラーを見るとデススティンガーがこっちに向かって35ミリバルカンで機銃掃射してくるとレイは曲がり角を曲がった瞬間弾丸が横切り、いくつもの断末魔が響き血や肉片が飛び散るレイはひたすら住宅街を目指した。  
(くそっ・・・一体何なんだ・・・あの卵、カプセルだったとは・・・。)
とレイはひとまず帰宅し、リビングに入るとトレイロはレイに、
「どうしたんだレイ・・・びしょ濡れじゃねぇか・・・。」
「トレイロ・・・聞いてくれ・・・卵の中からガイサックとは全然違うゾイドが出てきて・・・地獄だった・・・。」
「はあ?何言ってるんだ?」
「お帰り、レイどうしたの!?そんなびしょ濡れになって・・・。」
とセリーナが2階から降りて来るとレイは行動を開始する、
「すぐに家を出て駐機場へ行って街を出よう!ここは危ない!」
とレイは非常食やサバイバルセット等が入ったリュックをトレイロに投げ渡してトレイロは、
「どうしたんだ!?レイ・・・。」
「話しは後で・・・セリーナ、そこにあるリュック2つ、1つは俺に・・・早く」
「は・・・はい!」
とセリーナはレイに渡すとトレイロはただ事じゃないと思い携帯と充電器を取りに行き、セリーナも携帯と充電器を取りに行く、その間にレイは充電器を取るとシュンの部屋に入って金庫を開けて中にある45口径拳銃ブラックダイヤを取り出しジーパンに挟むと3人は外に出て裏にある駐機場に入ると閃光が空を横切り、トレイロは信じられないような口調で、
「何だあれ!」
「急げ!早くゾイドに乗って!」
とレイ、セリーナは怯えながらワイツウルフに乗りレイとトレイロも乗り込むと上空からキメラドラゴンの群れが、
「まずいぞ・・・レイ、セリーナさん!逃げよう!」
とトレイロ、3機は走り出し、キメラドラゴンのレールキャノンをかわしながらゾイド専用道路を走り、郊外へ向かう、
「一体何・・・何が起きてるの?」
「俺にもよくわからないんだ!街を出よう!」
と怯えるセリーナにレイは言った。

[1003] 第十一話 ゼネバスの民 - 2005/08/25(木) 19:43 -

第十一話 開戦
あらゆる所に火の手が上がるハルバーシティ、市内のゾイド専用道路を走るゼロ、ワイツウルフ、TSウルフ、前方からキメラドラゴンが来るとゼロはショックカノン、ワイツウルフはエレクトロハイパーキャノン、TSウルフはロングレンジライフルを撃つがキメラドラゴンは次々と現れ、
「くそっ・・・何て数だ!キリが無い!」
とレイ、ブースターを使って一気に走り抜けたい所だがセリーナは何とかなるが、トレイロのTSウルフはブースターは付いていない、すると後ろからあの迷彩のデススティンガーがアスファルトを突き破って現れて追いかけてくるとレイは、
「飛ばせー!!追い付かれたら終わりだ!!」
と叫ぶ、デススティンガーはブースター全開で追ってくる、曲がり角が近づくとTSウルフはスモークディスチャージャーを全開で噴射しデススティンガーの視界を遮る、
「よし!そのまま落ちろ!」
とトレイロ、デススティンガーは止まり切れずに専用道路をはずれ落下し、レイ達は何とか郊外を出て脱出に成功しそれぞれのゾイドから降りる、
「レイ・・・一体何が起きたんだ?」
「俺にもわからない・・・ここまで来れれば大丈夫だろう・・・。」
と言って携帯でテレビのニュースを見ると、ニュースキャスターが、
「大変なことが起こりました・・・つい先程、ガイロス帝国が我が国に宣戦布告し共和国北部の主要都市ロメオシティ、ハルバーシティ、ベルシティ等が帝国軍の奇襲攻撃を仕掛けてきました。現在、軍出動し、応戦している模様です・・・。」
と伝えるとレイは肩を落とし、
「ギルネイの言うことは正しかった・・・。」
「どうしたんだレイ?」
「二人とも聴いてくれ・・・戦争が始まった・・・。」
「ええっ!?まじかよ・・・。」
と驚きを隠せないトレイロ、セリーナは、
「戦争!?そんな・・・どうしよう・・・。」
とひどく怯え、レイは考えているとゴジュラス・ガナー一機、レオストライカー、アロザウラー5機ずつカノントータス10機、凱龍輝、ディスペロウ、エヴォフライヤー1機ずつの共和国軍中隊が現れてガナーのパイロットは、
「ん?スプリングフィールド中尉、ライガーゼロにワイツウルフ、コマンドウルフがいるぞ!」
「私も確認しました・・・レグ大尉!私とレミントン少尉、トンプソン少尉が交渉します!」
と言うと中隊は止まり、ギルネイ、ブルース、ジムがゾイドから降りてレイ達の所に来るとトレイロは、
「あいつらだ!やっぱり現役の軍人だったんだ・・・。」
「久しぶりだな・・・アトミックコア・・・。」
「ギルネイ・・・戦争が始まった・・・。」
とレイが言うとジムは、
「そういうこと、レイ、トレイロ・・・来いよ・・・。」
「ああっ・・・連れてってくれ!俺は共和国軍に―。」
「待てトレイロ!何を考えてるんだ!行ったら死ぬぞ!」
とレイは右手でトレイロの左肩を掴みながら言うとトレイロは、
「レイ!あんなに街を滅茶苦茶にされて悔しいと思わないのか!?」
「そうですよ!アトミックコアさん!国家の存亡の危機にある状況なのに・・・。」
とブルースが言うとレイは、
「俺は愛国者じゃない!ギルネイ!戦争することがそんなに偉いのか!?戦争が始まるのをわかってたんなら何で止めな―。」
と言い終わる前にギルネイに頬を殴られ後ろに倒れると
「レイ!!」
トレイロは叫びセリーナはいつの間にか泣いていてギルネイは怒鳴り、
「貴様は何度言えばわかる!!気安くギルネイと呼ぶな!!わきまえろ!!貴様とトレイロはたった今から軍人だ!!」
「じゃあ・・・セリーナはどうするんだ・・・ここで独り置いてきぼりにするつもり!?」
「そうだな・・・安心しろ、彼女も連れて行く・・・ゾイド乗りとしての腕は天才だ・・・。」
とギルネイの言葉にレイは立ち上がりギルネイの頬を平手打ちする、
「貴様!上官に向かって―。」
といい終わる前にレイはもう一発平手打ちすると、
「ギルネイ、わかってるのか?・・・セリーナが泣いてるのを・・・。」
「貴様・・・二度も・・・。」
「セリーナは・・・あの時から不安な気持ちになって・・・怖い思いをさせて・・・泣かせて・・・あげくの果てには泣いてるセリーナを戦争に狩り立てて・・・こんな事・・・酷過ぎる・・・。」
「アトミックコアさん!お気持ちは分かります!ですが・・・国家の危機に直面している時、たった一人の女性のために国家を捨てるんですか!?」
と言うとレイは穏やかな表情で微笑みながら、
「大切な人を守りたいなら・・・その人と離れて戦場に行くよりも・・・傍にいて護ってあげた方がずっと幸せなんだ・・・。」
「うっ・・・ううっ・・・レイ・・・。」
「そうか・・・レイ、お前最高の腰抜けだぜ・・・。」
とジム、トレイロはレイの言葉に戸惑いを感じて、
(マジかよ・・・高1の時から友達やってるけど・・・普段はおとなしいレイがあんなにいい言葉を・・・やべぇ・・・最高にかっこいいじゃねぇか・・・俺は間違ってるかも・・・。)
とトレイロは自分の過ちに気付き始めると、ギルネイは、
「そうか・・・貴様の言いたいことが良くわかった・・・だが貴様は上官反抗及び国家反逆罪、そして脱走兵として・・・この場で銃殺刑処す!」
とギルネイはグロック26を出しレイに向ける、
「やめろーーー!!」
「やめてーーー!!」
トレイロは叫び、セリーナも泣きながら叫ぶ、ギルネイはトリガーを指に掛けようとするとレイは倒れこむように左に移動して焦点をずらし、ブラックダイヤを出してギルネイに向ける、
「アトミックコア・・・貴様、いつの間に銃を・・・。」
「これ以上セリーナやトレイロを死ぬような思いをさせるなら・・・お前を撃つ!」
とレイはさっきの穏やかな表情とは違い、鋭い眼差しをしているギルネイは、
(こいつ・・・さっきとは違う・・・本気で撃つ気だ・・・。)
と思っている間、キメラの群れがレイ達に近付いていた。

[1004] いよいよ・・・ ゼネバスの民 - 2005/08/25(木) 21:51 -

いよいよ南エウロペ戦争勃発、果たしてレイはセリーナを守りきり生き延びることができるのでしょうか……。
ということです言い忘れましたが、ここから先、暴力描写や残酷描写が含まれていますので苦手な方にはおすすめできません

[1005] 第十二話 ゼネバスの民 - 2005/08/25(木) 21:52 -

第十二話 凶戦士
ギルネイにブラックダイヤを向けるレイだが、ギルネイの通信機が鳴ってレイが、
「出たら・・・。」
と言うとギルネイは無言で通信機を取り、
「こちらギルネイ、・・・。」
「こちらレグ、敵が来ている!急いでくれ!」
「了解、レグ大尉・・・配置に付きます・・・。」
と言うと通信が切れて、ギルネイは溜め息ついて、
「敵が来る・・・俺の仕事をやらせてくれ・・・動いていいか?」
と言うとレイはうなずきギルネイは、
「ジム、ブルース、行くぞ!敵が来る!」
と言って凱龍輝に搭乗するとレイはブラックダイヤを降ろして、
「トレイロ、セリーナ敵が来る・・・ここも危ない!」
「ああっ!早くこんな危なっかしい所からおサラバしよう!」
トレイロはTSウルフに乗り、レイはセリーナに、
「さあ・・・早く行こう・・・。」
「はい・・・。」
とうなずいてそれぞれのゾイドに乗り込むと砲撃が、
「来たぞ!撃てー!」
とレグ大尉が叫ぶとガナー、凱龍輝デストロイ、レオストライカーのガンナーモード、カノントータスが一斉砲撃すると地中から部隊の前にデススティンガーが現れた。
「またあれか・・・。」
「あれは・・・デススティンガー!?」
とレイとギルネイ、デススティンガーは甲高い声を上げてEシールドを展開すると、
「Eシールド!?やばいぜ中尉!マジでやばい!」
「ああ・・・正面からじゃ駄目だ!ブルース!ユニゾン解除して側面に回り込め!」
「了解!」
と凱龍輝デストロイはディスペロウと分離するとデススティンガーは尻尾を開きチャージする、
「まずい!荷電粒子砲を撃つぞ!回避!」
とギルネイが言った瞬間、荷電粒子砲を発射、
「な・・・何だとー!!」
とレグ大尉の叫び声と共にエヴォフライヤーとディスペロウを除いて部隊は光に飲み込まれ、隊列から離れていた3人は光に飲み込まれなかった。
「何だ!あれは・・・。」
「あれだ・・・一瞬で大通り消滅させた・・・。」
とトレイロとレイにセリーナは、
「荷電粒子砲・・・多分・・・あれはデススティンガー、300年ぐらい前たった一機でニューへリックシティを壊滅させたゾイド・・・。」
「たった一機?弱点は?」
「そうね・・・背中は硬いから・・・お腹よ!あそこなら軟らかいわ!」
とトレイロの質問に答えるセリーナ、荷電粒子砲に飲み込まれた凱龍輝は集光パネルで吸収し何とか無事だった。
「この程度でやられる私じゃない・・・ブルース!ジム!司令凱龍輝になるぞ!」
「了解!!」
とブルースとジムは声を揃えて言うとユニゾン、司令凱龍機になり、強化された飛燕と月甲がデススティンガーの注意を引きつけてその間に集光荷電粒子砲を発射、デススティンガーはEシールドで防御し切り、その光景にギルネイは、
「くそっ!Eシールドか!」
と怒鳴った瞬間、デススティンガーはブースターを点火して突進、
「ちっ!!」
「ぐっ!!」
「うわああっ!!」
ギルネイ、ジム、ブルースの三人は怯み、司令凱龍輝は倒れてフリーズしとどめを刺そうとはさみを振り上げた瞬間、TSウルフのロングレンジライフルが火を噴き、デススティンガーはTSウルフの方を向き、走り出すとTSウルフも走り、司令凱龍輝から引き離すとゼロが右から跳びかかり、尻尾に噛み付きそのまま横転させようとするが、
「くっ・・・何てパワーだ!」
とレイ、想像以上のパワーにゼロはパワー負けになりそうになると、
「レイ!頑張れ!」
とトレイロ、TSウルフはロングレンジライフルを連射、更にデススティンガーの右にいるワイツウルフもエレクトロハイパーキャノンを連射して怯むと力が緩み、
「今だーーー!!」
と絶叫しデススティンガーはひっくり返り、TSウルフはロングレンジライフル、ワイツウルフはエレクトロハイパーキャノンでデススティンガーの腹部に叩き込むと断末魔を上げて動かなくなり、息切れしながらレイは、
「ハァ・・・ハァ・・・やったか?」
「うん・・・やったみたいよ・・・。」
とセリーナが言うとトレイロは嬉しそうに、
「やったーーー!!俺達の勝ちだーー!!」
と子供のように喜んでいると、通信が入る、
「こちら共和国軍、ギルネイ・スプリングフィールド中尉・・・我々の命を救ったことに感謝する・・・。」
「どういたしまして・・・それじゃ、俺達はこれで〜。」
「って、オイ!」
とトレイロは通信を切り、レイとセリーナは、
「それじゃギルネイ・・・俺達はもう行くから・・・。」
「あの・・・ごめんなさい・・・。」
と言うとフリーズした司令凱龍輝を尻目にさって行った。
「ああっ・・・くっそー!」
「スプリングフィールド中尉、救援部隊が20分後に来ます」
と悔しがるギルネイと報告するブルースだった。

[1019] 十三話 ゼネバスの民 - 2005/08/28(日) 00:55 -

第十三話話 難民達
レイ達はひたすら南下しハルバーシティ南500キロの都市タリムシティ近郊の高級住宅街の近くに来ると辺りは真っ暗、
「着いた・・・ここまで来れれば大丈夫だろう・・・レイ、セリーナさん今夜は俺の実家で泊まっていこう」
「ああっでもどこにライガーを停めるの?」
「そうよ・・・この状況だと盗まれるかもしれないわ・・・。」
「大丈夫大丈夫、俺の家には地下格納庫がある・・・。」
とトレイロはゼロとワイツウルフを先導し携帯のリモコン機能で地下格納庫の入り口を開けて中に入りやっと一安心し、トレイロの両親はその日仕事で海外に行ってた。
翌朝、レイは地下シェルターで目を覚ます、隣にはトレイロの姿は無くセリーナがぐっすり寝ているだけだテレビをつけるとロメオシティは戦場となり、国境では激しい戦闘が繰り広げられているという時間は朝の7時、あのようなことが起こらなければもう起きる時間だ。レイは傍に置いていたブラックダイヤを取ってジーパンに挟み1階に上がるとトレイロがいた。
「レイ、大変だ!」
「どうしたんだ・・・トレイロ」
「外を見てくれ・・・。」
レイはトレイロの言うように窓の外を見ると難民で溢れていた歩道にはテントが張られ焚き火している者達がたくさんいる、路上には給水車や大型トラックが計4〜5台、だが救援物資が足りるかどうかわからないくらいの人数だった。
「トレイロ・・・暴れだしたら大変なことになるぞ・・・。」
「ああ・・・だがこの家のガラスは強化防弾ガラスだまず割れることはない・・・。」
「そうか・・・トレイロ、ちょっと外へ行って来る・・・。」
「えっ・・・ああっ、気をつけろよ・・・。」
とレイは外に出てシュンの知り合いの鉄砲店に行くと逃げる準備をする店主がレイを見つけると
「ん?レイ!レイじゃないか!」
「ベンケルさん!お久し振りです!」
「大丈夫だったか?君の住んでるハルバーシティが大変なことになって・・・。」
とベンケル、レイはこれまでのことを話した。
「なるほど・・・そりゃ災難だったな・・・ん?その銃・・・ブラックダイヤじゃないか」
「はい・・・。」
「ほら・・・ホルスターと予備マガジンに弾だ・・・持って行け・・・」
「ありがとうございます・・・ベンケルさんはこれからどうするんですか?」
「私はアーカディア王国へ行くあそこは中立国だ・・・レイも早く行った方がいい!じゃあな!」
と行ってグスタフに乗って去って行った。
帰る途中、レイは呼ぶ声が聞こえた。
「レイ!レーイ!」
レイが振り向くとそこには肥えた体に坊主頭、身長はレイより少し低いの若者と痩せ型の若者がいて、レイは焦る、
(ユウガ・・・それにロイガなぜここに・・・。)
「久し振りだな・・・レイ・・・中学の卒業式以来だな・・・。」
「そうそう・・・相変わらず女みたいな顔してるなあ・・・。」
とユウガとロイガ、レイは、
「ああ・・・俺急いでるからそれじゃ―」
「待てよ・・・俺達友達じゃないか・・・こういう時にはお互い協力し合わないと・・・。」
とユウガは肥えた右腕でレイを引きずり込みロイガが威圧する、
「そうそう・・・友達は信用しなくっちゃ・・・。」
「俺に信用できるようなことはしたか?」
とレイはそう言った瞬間、振りほどき走り出すが二人は追いかけてくるレイは人ごみの中に入り逃げる、
「トレイロ・・・レイ遅いわね・・・。」
「ああ・・・あいつ何やってるんだ・・・。」
と言った瞬間、レイは急いでドアを開けて入り、鍵を閉めた。
「どうしたんだレイ!」
「トレイロ・・・何でもない・・・近くで強盗が出たって・・・寝るときは・・・戸締りしたほうがいいよ。」
「あっ・・・ああ・・・。」
とトレイロ、セリーナは心配そうにレイを見ていた。
午後、廃墟となったハルバーシティでは、ロードゲイルがベアファイターとシールドライガーDCSの対空砲火をよけながら、
「くそっ!やられる・・・。」
「くたばれー!いい加減に落ちろ!」
とDCSのパイロットが叫びながら砲撃すると隣にいるベアファイターが紅いBFのバスタークローに貫かれてDCSは素早く方向転換しEシールドを張りシールドアタックを仕掛けようとすると
「遅い!」
とアスハル、紅いBFはスラスタージャンプで回避して背後に回りこみバスタークローを叩き込む、その光景にベアファイターのパイロットは、
「グレーーーン!!」
と叫びながら電磁キャノンを撃つと紅いBFはEシールドで防御しながらスラスターを噴射して接近し勢いよくシールドアタックするとベアファイターは勢いよくビルに叩き付けられてビルは倒壊、ベアファイターは生き埋めになった。
「ムーロア大尉・・・すまん・・・。」
「いいえスレイザー少佐・・・市街地の制圧はほぼ終了しました・・・しかし、ここでは帝国の方が宣戦布告してきたと報道されています・・・。」
「うむ・・・共和国の政治屋どもは事実を隠している、先日の事件・・・共和国では爆弾テロと報道している・・・。」
「スレイザー少佐・・・嫌な予感がします・・・」
「私もだ・・・もしばれたら内乱が起きるかもしれないな・・・。」
「そうですね・・・(セリーナ・・・無事でいてくれ・・・。)」
とアスハル、駐屯地に戻ると1機のホエールキングや多数の爆弾や空対地ミサイルを装備した戦闘爆撃機型レドラー、レッドボマーが100機近く整備されている、
「スレイザー少佐・・・この数で一つの町を焼けますね・・・。」
「ああ・・・どこかの共和国基地を攻撃する気だろう・・・。」
と言うとアスハルより年上の士官が走りながら、
「スレイザー少佐!ムーロア大尉!大変です!」
「どうしたアドルフ・ハルトマン中尉、」
とスレンダーが言うとハルトマンは、
「つい先程第17爆撃隊の攻撃目標が難民の集まるタリムシティです!」
と言うとスレイザーとアスハルは信じられないような表情をした。

[1020] 第十四話 ゼネバスの民 - 2005/08/28(日) 00:55 -

第十四話 空爆(前編)
ハルトマンの言葉にアスハルは、
「何!?それは事実ですか?」
「はい・・・ムーロア大尉、事実です・・・作戦会議室ではテレビで共和国の情勢が放送されタリムシティに30万人難民が集まってると何度も放送されているのにも関わらず・・・。」
「なんということだ・・・スレイザー少佐このままでは30万人の難民が犠牲になります・・・。」
「ああ・・・私にもかわいい孫がいる・・・難民の子ども達が犠牲になるのを黙ってられん・・・私が説得する」
とスレイザーはそう言うと司令部へ向かった。
その頃セリーナは食料と水の配給を受け取りに行き、レイとトレイロは家から持ってきた3つのうち1つのリュックの中身をチェックする、肝心の食料は保存食は2日分、2リットルのボトル2本の水にレイはため息ついて
「2日分か・・・あとは自分達で調達するしかないな」
「ああっ、でも配給が来るから大丈夫だろう」
とトレイロが言うとセリーナががっかりしたような表情で帰って来た。
「お帰りセリーナさん、どうしたんですか?」
「レイ・・・トレイロ・・・ごめんなさい・・・・・・食べ物と水、貰えなかったの」
「どうして貰えなかったの?」
謝るセリーナにレイが質問すると、
「さっき、ここから一番近い3丁目にある食料配給所で銃を持った人達が来て配給所の人達を脅してトラックごと奪って行って・・・あたしは怖くて近づけなかったの・・・ごめんなさい・・・あたしが取りに行くと言ったばかりに・・・。」
「大丈夫セリーナは何も悪くないから・・・トレイロ、治安が悪くなってきたみたい」
「ああ・・警察は何やってるんだ?」
とトレイロはテレビをつけるとタリムシティの中心街では暴動が起こってると報道され、警察は中心街で手一杯だと悟った。
「トレイロ・・・嫌な予感がする」
「俺もだレイ・・・護身用の銃は俺の家にもあるはずだ・・・探してくる」
トレイロは二階に上がるとセリーナの携帯が鳴り取るとアスハルからだ。
「(ん?兄さんからどうしたのかしら?)もしもし、兄さん?」
「ああ、私だセリーナ、今どこにいる?」
「えっ?・・・タリムシティだけど」
「何だと!?いいか?よく聞いてくれ、タリムシティは今から2時間後の7時55分に爆撃機編隊が来る、タリムシティは火の海になる」
「ええっ!?そんな・・・止められないの?」
「私の上官と一緒に説得を試みたがだめだった・・・今の私にはこれが精一杯だ・・・セリーナ、街を逃げるか地下シェルターに避難するんだ・・・幸い貫通爆弾は装備していない、早く安全な所を確保するんだ」
「兄さん…どうして?どうして軍隊に…それも帝国軍に?」
セリーナは泣き出しアスハルは、
「セリーナ…こんな兄ですまない…お前を一人にして…だが2時間以内に自分の身の安全を確保するんだ!さあ早く!2時間はあっという間だぞ…生き延びるんだ!私も長くは話せない!」
「うん…兄さん…またね…。」
と言って電話を切るとセリーナは静かに泣き出そうとすると泣き声を聞いたレイが駆けつけて
「セリーナどうしたの!何で泣いてるの?」
「大丈夫よ…レイ…あたし泣いてないから」
セリーナは顔を上げて、
「レイ…よく聞いて…今から2時間後,ここは爆弾を積んだ飛行ゾイドがいっぱい飛んでくるわ!」
「何だって!?トレイロ!大変だ!」
「ああ・・・俺も聞いた!早く地下に・・・外の人達はどうんなるんだ?」
とトレイロ、外には老若男女問わずたくさんの人で溢れている、トレイロは扉を開けると外に出て、
「緊急事態です!今から2時間後にタリムシティは空爆されます!早く街を出るかシェルターに避難して下さい!」
とトレイロが叫ぶと辺りはざわつき難民の中年男性は、
「馬鹿言うんじゃねぇ!戦争が始まってまだ2日しかたってないんだぞ!そんなに早く帝国軍が来るか!?」
「そうだそうだ!そう言ってる暇があったら兵隊になって戦争に行け!」
と罵声を浴びさせられるトレイロは奥歯を噛み締めて殴りかかろうとするとレイは軽く肩を叩き、
「トレイロ、落ち着いて・・・信じてくれる人だけでも助けよう」
「ああ・・・。」
とうなずくトレイロ、すると4〜5歳くらいの女の子を連れた20代後半ぐらいの夫婦が、
「あの・・・すいません、空爆が本当なら安全な所はあります?」
「妻と娘を安全な場所に避難させたいが・・・。」
「はい・・・ここに地下シェルターがあります」
とレイが中に入れようとすると、
「オーイレイ!俺達も入れてくれー!」
「俺達友達じゃねぇかー!」
とユウガとロイガが
「あいつら…ユウガとロイガか…。」
とトレイロにレイは,
「トレイロ,あいつらどうする?」
「一応助けを求めてるんだ昔のことを考えてる場合じゃない」
「すいませーん!私達もお願いします!」
と薄汚れた背広姿の中年男,その隣りにはレイのクラスメイトの女子がいて
「レーイ!あたしよ!」
「レイ,あいつは?」
「うちのクラスメイトのアリカだ」
とレイはそう答えて中に入れると
「あなた大変!メリッサがいないの!」
「何!?メリッサが?」
とさっきの夫婦,セリーナはそれを聞きつけて
「あたしが探して来ます!まだ遠くには行ってないはずです!レイ,あたしは大丈夫だから…すぐ戻るからみんなと先に隠れてて」
とセリーナだがレイは心配そうな表情をしていた。
その頃ハルバーシティでは
「アスハル大尉…予定通り全機離陸しました」
「ハルトマン中尉…わかっています(アメリすまない止められなかった…頼むセリーナ,生き延びてくれ…)」
と上空を飛び去るレドラー編隊を見ながらアスハルは心から祈った

[1026] 第十五話 ゼネバスの民 - 2005/09/09(金) 23:28 -

第十五話 空爆(後編)
時計の針は7時30分空爆まであと25分だがセリーナは戻って来ない、しびれを切らしたレイは立ち上がり、
「トレイロ…もう待てない、セリーナとメリッサを探して来る!」
「オイ待てレイ,お前もぬぞ!」
「トレイロ…セリーナに約束したことがあるんだ…命を掛けてでもセリーナとの約束を守りたい」
とレイの言葉にトレイロはため息をついて
「わかったよ・・・その代わり・・・」
「その代わり?」
「ぬなよ・・・」
「ああ・・・行ってくる!」
と言うとレイはシェルターを飛び出して走り出しだす周りは騒がしくなっているどうやら情報が入ってきたようだ。
「オイッさっきのニュース聞いたか?」
「ああ・・・帝国軍が空爆してくるんだってな・・・早く逃げよう!」
と2人の男の話を聞きつけレイは悟り、情報は正しかったと実感して、
「セリーナどこだー!セリーナ!」
と叫ぶ、地下格納庫でゼロとTSウルフの間にいるトレイロは携帯でセリーナに電話しようとしたが電波は届くが回線が混雑して繋がらない、
「くそっ!やっぱり繋がらない!・・・レイ・・・セリーナ・・・早く帰って来てくれ・・・。」
と祈るトレイロ、外では街の外へ避難しようとする人々と路上には数機のメガレオンがツインエネルギー砲を展開している、
「予定ではあと12分だぞ!急げー!」
と共和国軍士官の指示に動く兵士達、
その頃、爆撃機編隊はいくつかの編隊に別れて隊列を組み隊長機から通信が入る、
「爆撃コースに入った・・・全機爆撃用意!」
「こちらレッドウィング3了解・・・エルザ・・・お父さん、お母さん、アレックス、いよいよだぞ・・・。」
と家族の写真をコクピットのパネルに掛ける若いレッドボマー、タリムシティの夜景が前方に見えている、
「メリッサちゃーん!メリッサちゃんどこー?」
人ごみの中、大声で呼ぶセリーナすると路肩で泣いている少女がしかもセリーナには見覚えのある少女だった。、
「あの子だわ・・・メリッサちゃーん!」
セリーナが呼ぶとメリッサはセリーナの元へ走ってく来て、
「大きなおうちのお姉ちゃーん!」
「よしよし・・・ちょっとしか会ってないのに・・・よく覚えてるわね、さあっ、ここは危ないからパパとママの所へいきましょう」
と言うとメリッサはうなずき、セリーナが周りを見回すとかなり遠くまで来てしまったようだ。
「どうしよう・・・急がなきゃ、早くしないと・・・」
「お姉ちゃん、飛行ゾイドが向こうからいっぱい飛んでくるよ・・・。」
「えっ?」
セリーナの視線の先には100機近くのレッドボマーの編隊がすぐそこまで来ていた。
「カウント、5、4、3、2、1、投下!」
と隊長機が指示するとレッドボマー部隊は爆撃を開始し爆弾を投下した。
「セリーナ!どこだー!!」
と歩道でレイが叫んだ瞬間、向かい側の家が爆発してレイは爆発の衝撃で倒れると細かい破片が降りそそぐ、
「対空砲、撃てー!!」
兵士が叫ぶとメガレオンはツインエネルギー砲を発射、地響きがシェルターの中にも伝わりトレイロは祈る、
「始まったか・・・レイ・・・早く二人を連れて帰ってきてくれ・・。」
「おお・・・オイ、何が起こってるんだ?」
と顔の赤い背広の男、左手には家にあった蓋の開いた高級酒のビンが、トレイロは酔っ払ってると悟り、
「何をやってるんですか!こんな時に酒なんか・・・。」
「あなた・・・どうしよう、メリッサ・・・。」
「大丈夫だ・・・あの若者なら見つけてくれる・・・。」
とメリッサの両親、レイは火の海の中、セリーナを探す周りには服に火が点いてもがき苦しむ者、爆発で体の一部が飛び散り、激痛にさらされて泣き叫ぶ者、既に力尽きている者様々、地獄そのものだった。
「セリーナ!!どこだ!」
不安な表情で叫び、走るレイ、すると泣いてる子どもの声が聞こえ、その方向を見ると抱きかかえて、
「大丈夫よ・・・お姉ちゃんと一緒なら怖くないわ・・・。」
「う・・・うっ・・・ううっ・・・・・・。」
「セリーナ!!」
「レイ!」
「早く逃げよう!行こう、トレイロの家なら爆弾は直撃してなかった!」
とレイ、だがトレイロの家は燃え移り、庭の芝生は文字通り火の海だ。ふと周りを見ると火で囲まれていた。
「レイ・・・熱い・・・あたし達ここでんじゃうの?」
「諦めるな、まだどこかに・・・。」
と高温の灼熱地獄の中、レイとセリーナ、メリッサは大量の汗をかいていた。
「オイ、やめろよトレイロ!お前までぬぞ!」
「止めるなユウガ!あいつがんだら何にもならねぇんだよ!」
トレイロは強化扉を開けると目の前には火の海が広がっていた。
空対地ミサイルと爆弾を使い切ったレッドボマー、
「レッドウィング3、帰還し・・・うわっ!!」
対空砲火の直撃を受けた。レッドボマーはコントロール不能になりどんどん高度が下がっていく、
「エルザ・・・お父さん・・・お母さん・・・アレックス・・・・・・ごめんなせっかく帰ったらすぐ・・・結婚式を・・・」
レッドボマーは川に墜落し、大爆発した。
タリムシティは一夜で廃墟と化した。

[1027] 第十六話 ゼネバスの民 - 2005/09/09(金) 23:29 -

第十六話 アスハル再び
一夜が明けたハルバーシティ、焼け落ちた家から強化扉が開いてトレイロ、ロイガ、ユウガの順に出て来る、瓦礫をかき分けて視界が開けてくると昨日見た高級住宅街の姿は無く瓦礫と残り火が所々燃えていた。
「レーイ!!」
と叫ぶトレイロだが虚しく響き渡るだけだった。
「セリーナ…セリーナ、朝だよ起きて」
「う…うん?レイ…あたし達…どうしたの?」
「大丈夫…俺も君もメリッサも生きてるよ…」
とすすや土で汚れたレイ達は橋の下に逃れていたが川には墜落したレッドボマーの残骸や幾つもの死体が流れていてその光景にセリーナは顔が真っ青になるレイも幼い頃体験した記憶が蘇り、目を覆いたくなるような気持ちになったが一刻も早くトレイロの所へ行かねばと思い、
「行こうセリーナ…トレイロ達が心配してるかもしれない」
「はいっ…。」
とセリーナは真っ青な表情で頷き、レイはまだ寝ているメリッサを抱きかかえて橋の上に登ると辺りは焼け野原になり難を逃れた人々が家族や友人を探している、路上には炭化した死体がある男か女かも分からないがすぐに女だとわかった死体は赤ちゃんを庇うような形で倒れていたのだが赤ちゃんも黒こげになっていた。気が付くと路上にはいくつもの焼死体や大火傷を
負って倒れた死体等様々だった。
レイとセリーナは言葉を交わすことなくトレイロの家に着くとトレイロの姿が。
「トレイロー!」
「レイ!セリーナ!無事だったか!」
「ああ・・・何とか・・・メリッサも寝ているが大丈夫だ・・・。」
とレイ、するとメリッサの両親が出てきて、
「メリッサ!」
「メリッサー!」
両親はメリッサを抱いてるレイの所へ走り、
「ありがとうございます!本当にありがとうございます!」
「お母さん・・・メリッサちゃんは大丈夫です・・・それに助けたのはセリーナの方ですから・・・。」
とレイは眠っているメリッサを父親に渡すとメリッサは目を覚ました。
「パパ・・・おはよう」
「メリッサ・・・昨夜は怖かっただろ・・・もう大丈夫だ・・・。」
「ううん、お兄ちゃんとお姉ちゃんが守ってくれたから・・・。」
とニッコリと笑顔を見せるメリッサ、この後あの親子は地下格納庫にあったキャンピングカーをトレイロが提供し、何処へと去っていった。
ゼロとワイツウルフ、TSウルフが地下格納庫から出てきて焼け跡を見回るがかなりの被害だ。ふと、セリーナはこんな質問をした。
「レイ、さっきシェルターにいた人達は?」
「背広の人は誰だか知らないけどアリカはクラスメイトでユウガとロイガは……。」
「昔、レイをいじめていた…。」
とトレイロが答えるとセリーナは、
「えっ、そうなの?」
「そうだ…話していいかレイ」
「いいよ」
「確か…小学5年の時、クラス替えであの2人と一緒になったんだ…レイは女みたいな顔をして最初は嫌がらせだったけど中学になるとモテモテ男の仲間入り、それに嫉妬した。」
「嫉妬?」
とセリーナが言うとレイは、
「そう…セリーナ、君はかわいいから嫉妬してる人が何人もいたよ…絶対自分のことかわいいと思ってるって」
「そう…自分より優れてるとか、優れてないとか、そんなことでレイを…。」
「ああ…レイは勉強とスポーツは苦手だけどレイなりの優しさを持ってるんだ。」
とトレイロ、すると警報が鳴り響きレーダーを見ると帝国ゾイドが3機,紅いBFとアイアンコング、ロードゲイルだ。
「紅いBF?兄さん?」
「セリーナ…こんな時に」
「どうしたアスハル大尉…残存兵力を倒せと命令した」
「しかし相手は―。」
「ゾイドに乗っている以上、例え民間人とは言えど敵だ。」
「ニコノフ中佐…やり方が酷すぎます!」
「口答えするなスレイザー少佐…コマンドウルフにライガーゼロに珍しいウルフか…スレイザー少佐は先に本部へ行け…2機で十分だ」
と言うとロードゲイルは飛び去りアイアンコングは10連装自己誘導ロケット弾を発射、不意をつかれレイ達は3つに分かれてかわしてレイとトレイロは、
「オイッ!攻撃してきたぞ!」
「ああ…わかってるけど…アスハルさん」
「兄さん!」
「セリーナ!今すぐ逃げるんだ!今止めようとして上官の命令には逆らったら私は軍法会議!下手すれば銃殺刑だ!」
「銃殺刑…兄さんが?」
「ああ…そうなって欲しくないなら逃げるんだ!」
とアスハルはセリーナを説得するとうなずき180度回り、
「レイ、トレイロ…逃げましょう!」
「逃がすものか!アスハル大尉、追撃するぞ!」
「くっ…ん?待てよ」
とアスハルは何かを思いついた。
「ニコノフ中佐…あのライガーは私が倒します(セリーナの腕とコマンドウルフの援護があれば…逃げられる!)」
逃げるゼロの前にBFが、
「ア…アスハルさん!」
「君の腕を見せてもらうぞ!レイ・アトミックコア君!」
「アスハルさんどうして!」
「戦うことを躊躇ってセリーナを守れると思うのか!」
とアスハルの言葉にレイは図星だった。

[1030] 第十七話 ゼネバスの民 - 2005/09/23(金) 00:27 -

第十七話 屈辱 
アスハルの言葉にレイは図星だった。戦わなければセリーナを守れないと、BFは185ミリビームキャノンを撃つと同時にゼロは走り出し砲撃を避けるが正確な射撃にレイは、
(さすがセリーナのお兄さんだ…正確な射撃だこのままじゃ的にされる)
「(速いな…少なくとも使い慣れているようだが…)その程度では私を倒せないぞ!」
とアスハル、ゼロは左に回り込んでショックカノンを撃ち込んで怯んだ隙にBFの首に噛みつきかかるとBFのバスタークローが、
「チィッ!」
と舌打ちするレイ、ゼロはバスタークローをかわして根元を噛み砕こうとするがBFは一回転しゼロを弾き飛ばした。
「レイ!あいつ…セリーナ、レイを助けるぞ!」
「え…はっ、はい!(兄さん…どうしてレイを…)」
とトレイロとセリーナ、2機のウルフは反転して走り出すと正面からコングが立ちはだかりドラミングで威嚇してくる、
「逃げもせずにかかって来るとはいい度胸だがとことん容赦しないぞ!」
とニコノフ、かなりの威圧感だ。
「くそっ!セリーナ、俺があいつを引きつける!その間に助けに行け!」
「トレイロ!俺一人で大丈夫だ!2対1ならコングを倒せる!」
「お…オイッ、レイ!ったくんだらあの世で殴ってやる!」
通信が切れトレイロは舌打ちした。ゼロは立ち上がり、
(まだやれる…やらなきゃセリーナを守れない)
とレイだがBFはスラスター全開で迫り、バスタークローを叩き込むとゼロはかわそうとしたが左半身をかすり装甲板が捻れて弾き飛び衝撃に怯み、意識がもうろうとしてくる、
「うわあああっ!(ゾイドバトルとは違う!これが実戦!……俺はぬのか?)」
もう一方のバスタークローが襲いかかって来るとゼロはBFの頭を踏み込む、
「なっ!私を踏み潰す気か!」
とを覚悟したアスハル、ゼロは右半身を削られながらもバスタークローをかわしその根元に噛みつき、へし折った。
「バスタークローをへし折っただと!?」
とアスハル、ゼロはBFから離れて反転し睨み付けながら様子を伺った。
TSウルフはロングレンジライフルをコングに撃ち込む、ダメージは75%を上回りニコノフは焦り始める、
「くそっ…たかがウルフ2機にやられて−ぐおっ!」
怯むニコノフ、ワイツウルフはエレクトロハイパーキャノンをコングの腹部に叩き込むと跳びかかり、ストライクザンクローで切り裂くと左前足を切り落とされた。
「何て奴だ…共和国軍にはこれほどのエースパイロットがいるのか…。アスハル大尉!退却だ!」
とニコノフが指示を出すとアスハルは微笑み、
「了解、ニコノフ中佐(さすがセリーナだ…)」
BFは反転し、退却するとレイは、
「アスハルさん!」
「また会おう!レイ・アトミックコア!」
去っていくBFにレイは見守るしかなくセリーナとのバトル以来、久しぶりに悔しい思いになった。
シェルターに戻るとレイは背広の男に、
「すいません…救援物資、届きました?」
「いや!届いてねぇ!軍は戦争で忙しいんだ!」
と不機嫌そうだ。するとセリーナが来ると背広の男は、
「ん?セリーナじゃねぇか!」
「キタムラ先生だったんですね…」
「ああ…お前…その男といつ知り合った?」
と質問するとユウガとロイガが、
「オーイ!救援物資が届いたぞ!」
「共和国軍も来てる大丈夫みたいだ!」
「届いた?助かった…。」
とアリカ、全員外に出ると武装した共和国兵やゴジュラスギガキャノン1機、アロザウラー7機、レオストライカー22機の中隊に守られたトラックが4台、そのうちの1台が公園跡地に止まった。
「レイ…ゴジュラスギガまで来てるぜ」
「多分治安が悪くなっていることと帝国軍が近くまで迫っているからだと思う」
とトレイロとレイ、早速全員で公園跡地に行くと150人ぐらいの人が集まっているとてもじゃないが足りないあっという間になくなりレイ達は物資をもらうことができなかった。家に戻る途中、何回か銃声が聞こえたことが治安の悪化を証明していて、レイはタリムシティを出ることを考えていた。
空爆から3日が立ち共和国軍はタリムシティに駐留し、レイはひたすらゼロの損傷部分を応急処置をしていた。応急処置をすればあとはゼロ自身の生命力で回復するが装甲板の修理はできず、食糧も既に底をつき、次の配給を待つしかなかったが期待はしていなかった。
「トレイロ!終わったぞ!」
「応急処置終わったか…」
「ああ…今すぐにでも街を出よう!」
とレイが言うとユウガはレイに、
「レイ!外でギルネイって奴がレイを探してるぞ!」
「ギルネイが!?」
とレイはショットガン、レミントンM870Pを装備したトレイロと地上に出るとギルネイとジムがいた。

[1032] 第十八話 ゼネバスの民 - 2005/09/25(日) 16:04 -

第十八話 敵軍との接触
目の前にギルネイがいるまた軍隊に徴兵されるのかとレイはそう思いながら、 
「ギルネイ…何度言ったらわかるんだ?」
「BFと戦ったか?」
とギルネイは意外な質問にレイは戸惑いながらも首を縦に振るとジムは、
「どうだ勝てたか?」
「途中で逃げた…いや…見逃してくれたかもな…。」
「そうか、奴はハルバーシティ奪還作戦で荷電粒子砲も使わずに6機のゴシュラスガナーと24機のアロザウラーを倒した…そいつと戦って生き残れたなんて大した奴だ」
「何が言いたい!」
「一緒にあの紅龍、BFを倒さないか?」
とギルネイは誘う、この時セリーナは影から聞いていて、
(兄さんが…殺される?そんな…せっかく会えて話しができるようになったのに…そんなの嫌!)
セリーナは震える手で携帯を取り出しアスハルに電話しようとするが圏外になっている、するとロイガが、
「電波通じねぇぞ3日前の空爆で電波塔が壊されたし…セリーナだったな…メルアド教えて」
「ご…ごめんなさい!」
と言ってセリーナは地下格納庫へ走り出し、途中でアリカとぶつかりセリーナが転ぶと
「ちょっと!気を付けてよ!」
と怒鳴るとセリーナは立ち上がり再び走り出し地下格納庫に着くとワイツウルフに搭乗し外に出て北へ走り出した。
その頃レイはため息をついて、
「少し考えさせてくれ」
「ああ…いいだろう」
とギルネイ、レイは悩みながらシェルターに入ると怒ったアリカが、
「レイ聞いて!さっきセリーナがぶつかって来て謝りもせずにどっか行ったんだよ…マジムカつくー!」
とレイは愚痴を聞いた後地下格納庫に入った瞬間、目の色を変えゼロに搭乗し、たまたまそこにいたトレイロが、
「レイ!どこ行くんだ!」
「セリーナがどこかへ行った!追いかける!トレイロ、留守番してて!」
「はいはい…必ず戻って来いよ!」
と言うとゼロは地下格納庫を飛び出した。

夜6時、荒野を走るワイツウルフを警戒しているヘルキャットノワールが発見しパイロットは
「司令部応答せよ!」
「こちら司令部!」
「所属不明機を発見!数は1機!」
「1機?単独で?」
「別動隊が潜んでいる可能性がある!応援を要請する!」
「了解!増援を送る!」
警報が鳴り響き次々とレブラプターやレドラーインターセプターが発進して行くその中にアスハルとスレイザーも、
「スレイザー少佐!これは…」
「緊急発進だ行くぞ!」
BFとロードゲイルに搭乗し発進する、レブラプターの部隊は迎撃体制を取り待ち構える、その南10キロの地点にワイツウルフがいた。
(帝国軍のゾイドが来たら呼びかけてみて話せばわかってくれるかもしれない)
とセリーナはワイツウルフを走らせるとレーダーに前から10機のゾイドの影が映った。
一方レイはまだ新しい足跡を辿り北へ向かっていてレイは、
「セリーナは北か…まさか…アスハルさんに…」
とレイの予感は当たっていたすると前方にアイアンコングが現れて6連装ミサイルで攻撃してくるとゼロはブースター全開でかわし逃げる、
「背を向けて逃げるのは気が進まないけど、我慢してくれライガー!」
とレイ、するとレブラプターの10機の群の真ん中にワイツウルフの姿が、囲まれていた。
「まずい!セリーナ!」
とレイ、ゼロはレブラプターの群にかかろうとすると上空からロードゲイルが高速で接近しマグネスピアを突き立てるとゼロは、
ギリギリでかわす、スレイザーは微笑みながらロードゲイルを反転させて、
「なかなかいい勘だ…だが次はどうだ!」
「くっそ!速い!」
とレイ、ロードゲイルはマグネスピアとエクスシザースをゼロに刺したりはさんだりしようとしてゼロもかわし続ける、セリーナは全周波数通信し、
「やめて下さい!あたしもこの人も敵じゅないんです!」
とセリーナは訴えるとロードゲイルは攻撃をやめて上空に上がるとスレイザーは、
「敵ではないのか?軍人ではないのか…。」
「はい…あの…アスハル・ムーロアという方はご存知ですか?」
「アスハル・ムーロア!?」
「はいっ…彼はあたしの兄です!」
「アスハル大尉の妹さんか!」
と驚くスレイザーにレブラプターのパイロットはガイロス語で、
「スレイザー少佐どうします?一応敵国の人間ですから…」
「そう狭いこと言うな…基地に連行しろ!但し乱暴な扱いはするな!」
とスレイザー、レイとセリーナは占領されたハルバーシティに連行された。

[1033] 第十九話 ゼネバスの民 - 2005/09/25(日) 16:06 -

第十九話 兄と妹
荒れ果てた街の中心地にいくつもの帝国ゾイドが並び、プレハブがならんでいる、レイはブラックダイヤを用意してゼロを止めると隣にワイツウルフが止まりコクピットを開けると帝国軍制式30連発突撃銃、GR99を構えた帝国兵が、セリーナは怯えてレイはブラックダイヤを忍ばせるとアスハルが姿を現し、スレイザーは呆れた口調で、
「よさんか!銃を降ろせ!怖がってるだろ!」
「セリーナ!なぜここに来た!捕虜になりたいのか!今すぐ中立国に逃げろ!そこなら安全だ!」
とアスハルは怒鳴るとセリーナはショックを受けた表情になりレイは、
「アスハルさん!何でそんなに冷たいんですか!?セリーナは危険を冒してまであなたに会いたかったんですよ!」
「君が…レイ君か…今の私と君は敵同士だ!今お互いこのように会ってはいけないんだ!本来なら殺し合うはずだ!」
「俺は軍人じゃないんです!あなたと殺し合うなんて…」
「わからないのか!?今の時代は戦争なんだぞ!」
とアスハルがそう怒鳴るとセリーナは無言でアスハルの所に歩み寄り平手打ちをする、
「セリーナ…」
「あの優しい兄さんはどこへ行っちゃったの?ねぇ…。」
「私はもう昔の私ではない…」
と言うとセリーナはその場で泣き出した。
「場所を変えてゆっくり話そう、さあおいで…レイ君も」
「はっ…はい…セリーナ、大丈夫だよ」
とレイ、セリーナは子供のように泣き二人はスレイザーに案内されて基地の一室に入って、アスハルは誰もいない所で拳を地面に叩きつけた。
冷たいウーロン茶を飲むレイとセリーナ、スレイザーは椅子に座りながら、
「どうだ…落ち着いたか?二人共名前は?」
「セリーナ・ヘプシオンです…。」
「レイ・アトミックコアです…。」
と答える二人、セリーナは暗い表情をしていてしばらくするとまた泣き出した。
「セリーナ…大丈夫だから泣かないで…。」
必慰めるレイだが泣き止む気配はなくスレイザーも困った表情をしていた。

その頃トレイロはギルネイに何回も同じ質問をされていた。
「質問に答えろハーティナル!」
「わからないのかスプリングフィールド中尉!何も知らないんだよ!」 
「無駄ですよスプリングフィールド中尉…ライガーとウルフがどこへ行ったのをいくら聞いても…戻って来たら尋問すればいいし…。」
とトレイロとジム、ギルネイはため息をついた。

一方、レイとセリーナは南のタリムシティに向かって行った。それぞれの家は壊されたが水と食糧をもらい、スレイザー曰わく、
「テレビ局に着いたらこのディスクをマスコミに渡せ、この戦争を誰が起こしたかが収録されている」
というディスクを託された。
「セリーナ…あのままでよかったの?お兄さんに会わずに帰るなんて」
「いいの…戦争が終われば兄さんは戻って来るわ…。」
「そうか…(本当は辛いんだろうな…。)」
とレイはそう思いながら言った。

ニコノフは両手の拳を机に叩きつけてスレイザーに、
「私がいない間に敵のライガーとウルフのパイロットが向こうから来たのになぜ尋問せず返した!」
「ニコノフ中佐、相手は民間人で年頃の若者でしたし…機密は何も渡していません」
と言うと周りの兵士達はうんうんとうなずき、ニコノフはイライラしながら部屋を出る間際、
「このことは軍部に報告させてもらうぞ!」
「そうして下さい…渡したとすれば真実だからな…」
とスレイザーは呟き、部下のアスハルは廊下で悔やんでいた。

タリムシティに戻ってしばらくすると人々はセリーナに冷たかったどこから聞いたのか身内が帝国軍にいるという情報が入り、セリーナは冷たい目で見られた。
周りの人間は協力してくれないと確信したレイはトレイロと南へ向かう準備しているとロイガはトレイロに、
「オーイトレイロ、ユウガがちょっと外に来いだってよ」
「わかったすぐ行く…。」
とトレイロはTSウルフに乗り外に出ると突然ベアファイターが左から襲いかかりTSウルフを押し倒した。
「何するんだユウガ!」
「へっ!前からお前のことがムカついてたんでね!復讐してやるよ!」
「こんな時に!」
「お前がちょっと強くてモテるからって散々調子に乗りやがって!」
「お前…僕がいじめられてるレイを助けたのが気に入らないのか?」
とトレイロ、TSウルフは立ち上がるとロングレンジライフルでベアファイターを撃ち込もうとするとアロザウラーが背後から跳びかかって来てTSウルフを押し倒し、火炎放射機でTSウルフの周りを火の海にする、
「くそっ!テメーら…。」
「ハハハ!しばらくそこで屈辱を味わ―。」
ロイガが言い終わる前にゼロはアロザウラーに突進して突き飛ばすとユウガは、
「あれは…レイじゃねぇか!制裁中だ!邪魔者は引っ込んでろ!」
とユウガ、ベアファイターが電磁キャノンを撃つと同時にゼロは走り出して縦横無尽に駆ける、
「くそっ!当たれ当たれ当たれー!」
電磁キャノンを連射するベアファイター、ゼロは全弾かわし、ベアファイターに突進するとベアファイターは空中を一回転して地面に叩きつけられてフリーズするとゼロは火の海に飛び込みTSウルフの背中に噛み付くとそのまま持ち上げてブースター全開で炎の壁を飛び越えるとTSウルフを下ろした。
「二人共なんてことするんだ!こんな時に!」
とレイが怒鳴るとユウガとロイガは、
「知るか!こんな時にだと!お前馬鹿か?」
「お前の言うことか!女にモテるからって調子に乗りやがって!」
開き直ると騒ぎを聞きつけた共和国軍が来てトレイロが事情を話すとあの二人は厳しく注意されたがその後傷付いた4機を修理してもらった。

出発の準備を整えたレイとトレイロは目的地を首都ニューヘリックシティに決めてセリーナ達に話し、郊外へ行くと同じ目的地に向かう集団がその中にはジープやトラック、自家用車、キャンピングカー等多数の車やグスタフ3機、ガイサック4機レオブレイズ2機、そしてギルネイ達のゾイドがいた。レイ達はその集団と合流して南へ出発した。

[1034] 第二十話 ゼネバスの民 - 2005/09/25(日) 16:08 -

第二十話 束の間の休息
難民集団の先頭に立つのはギルネイの凱龍輝だ。
お昼過ぎ、砂煙を上げながら荒野を進む、レイ達は集団の真ん中あたりを歩ていた。
「スプリグフィールド中尉、あと100キロぐらいで海岸線に面した雑木林に着きます」
「よし、そこで今夜休もう」
とギルネイ、気温は33度の暑さの中トレイロは
「あっち〜、暑くないかレイ…」
「大丈夫…ライガーは装甲式のコクピットだけど…ウルフはキャノピー式だから辛いんだよ、セリーナは大丈夫?」
「あたしは大丈夫…ギルネイさんの話しだとあと2時間ぐらいで休憩するみたいだから」
とセリーナは布で体を覆い、暑さを凌いでいた。雑木林を越えて海岸線の砂浜に着くと、
「ここですね…今日はここで休みます!出発は明日の朝9時です。」
とブルース、レイ達三人は林の中にゾイドを止め、セリーナは水を探しに行くと、
「レイ!レーイ!」
「どうしたんだセリーナ」
「綺麗な川を見つけたの…ここでテントを張れないかな?」
「おっ!…トレイロー!いい所見つけたぞ!」
とレイは微笑み、トレイロを呼んだ。
レイとトレイロは水をくんでろ過している間セリーナは着替えとビキニ、タオルを持って上流に登ると水浴びに丁度良さそうな滝つぼを見つけると着替えて川に入ると水浴びを始めた。
「少し冷たいけど気持ちいい…。」
と水浴びを始めると作業を終えたレイとトレイロが滝つぼの所に来ると水浴びしているセリーナを見つけ、
「なあレイ…水着持って来た?」
「うん…タリムシティを出る前にショッピングセンターでいろいろと役に立ちそうな物を略奪してきたから…トレイロの分もあるよ」
と言うとトレイロはニカッと笑った。数分後レイとトレイロは水着に着替えて、はしゃぎながら川に飛び込みトレイロはレイに水をかけると仕返しと言わんばかりにかけるとセリーナもレイに水をかけると、
「うわっ!セリーナまで!」
とレイは潜り川底を泳いでトレイロの背後に回り込み浮上して水をかけるとトレイロは振り向きながら水をかけるとレイはまた潜り、トレイロも潜って追いかける、子どものような二人にセリーナも年頃の女の子らしい表情で笑った。
レイは昨日泣いて辛い思いをしていたセリーナの笑顔にホッとした。ふとトレイロはセリーナに、
「なあ…セリーナは泳がないのか?」
「えっ…あたし…あんまり泳ぐ気がしないの…だからカナヅチってことはないから!」
とセリーナは焦った口調で言うとトレイロは岸へ上がり、
「あっ…そうだ…俺ちょっとウルフで帝国軍が来てないか見回って来る」
トレイロがその場を去るとレイとセリーナの間に沈黙が訪れる、レイは赤くなりながらセリーナに、
「セリーナ…すごく似合ってるよ…かわいいしその…こんな時になんだけど女の子とこんな風に遊ぶの初めてなんだ…。」
「えっ・・・・・・うん…あたしもこんなこと初めてなの…あたしの学校、女子校だから…男の子と二人っきりで…話すのすごく…緊張するの…。」
「お…俺もそうだ!滝の裏行ってみない?映画で見たことあるんだけど滝の裏には洞窟みたいな穴があることがあるんだけど…駄目かな無理にとは言わないけど」
レイがそう言うとセリーナは少し頬を赤くして、
「行ってましょう!ちょっと怖いけど…。」
レイとセリーナは滝の横の岸壁を歩き、滝の裏に着くとちょっと空洞があるだけで洞窟とは言いがたい感じだった。
「ちょっと狭いわね…。」
「そうだね…トレイロの所に戻ろうか」
と二人が引き返す途中、セリーナは岸壁から滑り、滝つぼに落ちるとセリーナはあがく、レイも助けようとして手を伸ばすとバランスを崩して滝つぼに落ち、セリーナは泳げないと悟るとすぐにセリーナの体を抱き寄せて、
「セリーナ!俺につかまって!大丈夫だから!」
左腕で手繰り寄せて岸に上がる気が付くとレイはセリーナの胸をガッチリと掴んでいた。
「ああっ!ごっ、ごめん!セリーナ!」
「う…うん!あたし全然いい…じゃなくてええっと…」
「大丈夫!言いたいことはわかるから!本当にごめん!」
レイは頭を下げて謝るとセリーナも恥ずかしげに、
「あたしもレイに謝らないと…あたし本当はカナヅチなの、ごめんなさい…何度も練習したけどそのたびにみんなに笑われて…いじめられて…そのうち学校のみんなと遊ぶより広い公園で散歩したりゾイドに乗って走り回る方が楽しくなっちゃって…。」
「泳げるようになりたい?」
「えっ?…あたしには無理よ…何回も練習したけど―。」
「セリーナ!諦めちゃ駄目だよ!俺だって小学校の時泳げなかったけど今は泳げる…それに君は俺にはない強さがあるんだから…だから諦めないで頑張ろう!俺が教えるから…」
レイは自分でも不思議なくらい積極的になりセリーナに手を差し伸べるとセリーナはその手を握って立ち上がり、川の浅くて流れのない所でレイはセリーナに泳ぎの基礎中の基礎から教えるとセリーナは不思議なくらい上達し、レイに引っ張られながらだが前に進むようになり、
「いい?そのまま力抜いて!手を離すぞ」
レイはそう言ってパッと手を離すとセリーナは浮かんでいて、
(あれ?…あたし浮いてるこのまま足を動かすと…)
セリーナはそう思いながらまだおぼつかないばた足だったが確実に前へ前へと進んでいた。初めて出来たという達成感に感情が一気に高まり、
「レイ!あたし…」
「ああ…次は俺の所まで泳いで来て、まだ君には遠いかもしれないけど君ならできる…だから頑張って!」
レイの言葉にセリーナはうなずくとまだおぼつかないばた足で確実にレイの所まで泳いで来る、ゆっくりと息が持つかどうかレイも心配してたがセリーナはレイの手首を掴むと勢い良く浮かび上がって顔を上げてセリーナは嬉しそうな表情で、
「ありがとう…レイあたし…。」
「ああ…おめでとう…。」
レイが微笑むとセリーナも嬉しそうに満面の笑みを見せた。

[1037] 第二十一話 ゼネバスの民 - 2005/10/14(金) 22:06 -

第二十一話 早朝の奇襲攻撃
その夜、テントを張って夕食を食べながらラジオでニュースを聞く三人に突然キタムラと二人の中年の男女が、背広の男ハコルスとカリサだこの二人にはレイとトレイロには見覚えがあった。
「ハコルス先生!カリサ先生!無事だったんですね!」
「大丈夫でしたかでしたか?カリサ先生、ハコルス先生」
とレイとトレイロ、ハコルスはトレイロの担任で真面目なトレイロは彼を信頼していてカリサはレイの担任で厳しさは学校一だったがレイも彼女を信頼していた。
「レイ君…よく生き残れたわね…四組で無事だったのはアリカとジムだけだったわ…。」
「うちのクラスじゃハーティナルだけか…。」
と二人の教師、するとキタムラはグスタフの前にできた広場に目をやりながら三人に、
「明日の朝7時になったらあの広場に集まりなさい…何人いるか調べてその後四人グループで班を作るから…今後その班で協力し合って行動することだいいね」
と説明する、三人は疲れ切った表情をしているさすがに遊んでいたとは言えない、
「返事もできないのか?こんな時にも何だがこれじゃ進学も就職もできんぞ」
その言葉はごもっともだった。
三人の先生が去った後レイはため息をつきセリーナは不安げに、
「班で行動か…変なの…戦争中なのに林間学校に来たみたい」
「面倒だな…班行動なんて…僕達はバラバラになっちまうぜ…なあレイ…明日朝早く先にニューヘリックに行く?」
「うん…そうしたいけど三人だけじゃ…敵に会った時対処できるかどうか分からないし」
「そうだもんな…逃げたら後でニューヘリックで大目玉喰らいそうだし」
と三人は愚痴をこぼした。

翌朝になり親のいる学生を含めて40人、男子24人女子16人で丁度四人一組の班ができた。レイとトレイロは一緒になったのはいいがユウガとロイガと一緒の班になってしまった。
(この状況ならさすがにまともになってくれるだろう)
トレイロが楽観的に考えていると甲高い声が聞こえた。
難民達は不安の色を表すとデスレイザーに巨大なドリルとイエーガーのイオンブースターを装備した改造ウオディック、ランディックに背中に奇妙な装置を装備し、ビームランチャーを装備した銀色のアイアンコング、ルイコング、この3機が現れた。
間違い無くこの3機は帝国軍のゾイドだがここまで来るとはギルネイ自身もそう思っていなかっただろう難民達はパニックに陥る中でレイとセリーナ、トレイロは愛機の所へ走るその間にも地中からランディックがレオブレイズの真下から現れてドリルで真っ二つにする、
「ヒャハハハ!雑魚ばかりか!」
高笑いするランディックのパイロット、ニナ・ハリアーは浅黒い肌に金髪で耳にイヤリングやらピアスをつけているレイ達と同じくらいで年齢不良少女と言った方が早いだろ、
「ニナ、高笑いするのは皆殺しにしてからにしな…」
「ジャージン楽しいんからいいじゃん!」
「そうだな…ならばとことん楽しまないとな」
ルイコングのパイロット、ジャージン・ラファールもレイ達と同じくらいの年齢で眼鏡越しに冷酷さ感じる目で青みを帯びた黒髪の少年だ。
ビームランチャーでグスタフを撃つと凱龍輝が庇いビームを吸収するとギルネイはジムに、
「ジム!増援を呼んでこい!ここは俺達が相手する!」
「了解!ギルネイ中尉!」
ジムのエヴォフライヤーは戦場を離脱する、ゼロとワイツウルフは砲撃しながらデスレイザーに迫ると突然、ランディックが乱入してきた。
「ニナ…あのライガーゼロは任せた僕はワイツウルフを破壊する…あのライガーゼロにはお前の好きないい男が乗っている」
「へぇ…サンキュー、ラザ…今日はついてるわ…。」
冷たい口調で言うニナはゼロに狙いを定めドリルを回転させて地中に潜ると真下から地面を突き破って現れたゼロは転がるようにしてかわすとランディックはイルカのようにジャンプして再び地中に潜った。
ラザ・クフィールはプラチナブロンドの長い髪に長身でおとなしそうな少年に見えるが冷酷だった。
「悪いけど君はここでんでもらうが…あっさりんで僕をがっかりさせないでくれよ…。」
ワイツウルフはデスレイザーの尻尾攻撃をタイミング良くジャンプかわし、スライティングターンしながらエレクトロハイパーキャノンを撃ち込むがあまり効いてないようだ。
「効いてない…きゃあっ!」
怯むセリーナだがデスレイザーしかいない、
すると全く別の方向から突進されると姿を現した。
セイバータイガーの皇帝専用機ロイヤルセイバーだった。
パイロットのユウキ・ミラージュは坊主頭で東洋人を思わせる雰囲気をしていた。
「ラザに近付くならこの私を倒せ!だがこのロイヤルセイバーデュアルステルスに勝てると思うな!」
次々と強敵が現れてトレイロは歯を食いしばりながらTSウルフのロングレンジライフルをルイコングに撃つが弾丸はルイコングをそれた。
ロックオンしているはずだった。
この距離なら直撃するはずだが何回撃ってもそれる、すると凱龍輝デストロイはTSウルフの左で低く姿勢を取りエネルギーをチャージしながら、
「ハーティナル!こいつには実弾がそれる特殊電磁波発生装置を装備しているいくら撃っても無駄だ!」
「背中の変な装置があれらしいな…。」
「ええ…帝国じゃ試作品が完成したと聞きましたがバッテリーの消費が激しく開発が中止されたと聞きましたが実戦で使用するなんて…。」
とブルースが解説するとギルネイは狙いを定め、
「ブルース!荷電粒子砲発射と同時にキャノン砲を撃て!」
「了解です中尉!」
ギルネイとブルースはカウントしてゼロになった瞬間集光荷電粒子砲とロングレンジキャノンとインパクトカノンを一斉発射したが荷電粒子砲は乱反射し砲弾はそれてしまった。ビームまで無効にしてしまいトレイロは驚く、
「なっ…おいおいビームも効かないなんて聞いてないぞ」
「チッ!砲撃はすべて無効か…格闘戦でやるしかない!ブルース!分離するぞ!」
「了解!ディスペロウ分離します!」
ブルースがコクピットのパネルを操作すると凱龍輝から格闘形態のディスペロウが分離した。

[1038] 第二十二話 ゼネバスの民 - 2005/10/14(金) 22:11 -

第二十二話 決意と覚悟
イルカのように飛び跳ねて地中に潜るランディックに苦戦するゼロ、よけるので精一杯だ。
「くそっ!何て奴だ早くしないとセリーナが…。」
「ヒャハハハハ!あのワイツウルフの所には行かせないよ!とことんあんたを痛めつけてやるわ!」
ランディックは地中を浅く潜りゼロの真下を通るとゼロを巻き込み地面が陥没するとランディックは反転し、てドリルを回転させながらゼロに向かって突っ込んで来る、
「ー!!」
「チィィッ!!」
レイはゼロの姿勢を低くして直撃はしなかったがイオンブースターがえぐられた。
(危なかった…もし直撃したらゾイドコアまで貫かれて終わりだ…早くセリーナを助けないと)
さすがのセリーナも2対1の戦闘に苦戦していた。
ロイヤルセイバーデュアルステルスのホロテックに光学迷彩という正にデュアルステルス(二重のステルス)を持つ改造セイバータイガーにデスレイザー、ワイツウルフは徐々に追い詰められ、ダメージが40%を越えている、息切れをするセリーナ、
「(ゾイドバトルとは違う…これが本物の戦争?あたし…ぬの?)きゃああっ!」
怯むセリーナにの恐怖が迫る、ワイツウルフはデスレイザーの尻尾でまともに叩き付かれて転倒し、
「これで終わりだ!」
「いやああああ!!」
絶叫するセリーナにデュアルステルスが跳びかかろうとジャンプするとデュアルステルスは何かに貫かれた。
「ジャージン!ユウキがやられた!」
「何?ユウキが?」
ラザからの通信にジャージンか驚くと弾丸がそれた。実弾でしかも遠くからだ。
「ラザ!狙撃だユウキはそいつにやられたんだ!」
「何だと!くっそー!ぶっ殺してやる!」
キレるユウキはデュアルステルスを立て直すとすぐ横からワイツウルフが噛みつきかかり、ユウキは光学迷彩とホロテックが解除されてると気付いた時には既に首筋を噛みつかれてコマンドシステムがフリーズした。
「そこだー!」
叫ぶトレイロ、TSウルフはナックルハンマーをかわして腕に噛みつくが振りほどかれてしまったがルイコングに一瞬の隙に飛燕と月甲が切り裂き、体当たりして更に隙を大きくして、
「はあああああああっ!」
ギルネイは叫びながら凱龍輝は突っ込み右足を軸に左回転し尻尾をルイコングの左腕に叩きつけると骨折したかのように不自然な方向に曲がった。
「くっそーラザ!そろそろ薬が切れる!」
「くっ!引くぞ!」
ラザの指示でデュアルステルスを残して帝国軍の部隊は引き上げて行った。何とかこの場を切り抜けたレイ達に通信が入り聞き覚えのある声がした。
「大丈夫?あなた達怪我は無い?」
「ビクトリアさん?」
レイには聞き覚えのある声だった。
上空を飛行形態のエヴォフライヤーが横切り、ジムは全周波数通信をする、
「お待たせみんな!増援を連れてきたぜ!」
ビクトリアのガンスナイパーの後ろにはゴジュラス・ジ・オーガとレイズタイガー一機、レオゲーターやディメトロプテラが15機、ディスペロウやエヴォフライヤー、レオストライカーがが20機合計92機の大部隊だ。
「第12ゾイド大隊アーセナル大佐の部隊か…。」
呟くギルネイ、ガンスナイパーはTSウルフの前に止まりコクピットを開けるとやはりレイとトレイロには見覚えのある女性だった。
トレイロはTSウルフから降りるとビクトリアもガンスナイパーから降りる、
「夏休み以来ね・・・トレイロ・・・。」
「ビクトリアさん!やっぱりビクトリアさんだったんですね!」
「大丈夫だった?」
ビクトリアがそう言うとトレイロは今までのことをビクトリアに話し始めた。
トレイロがビクトリアに事情を話している間にレイはうつ伏せになってるワイツウルフの左側にゼロを止めて、降りるとワイツウルフのコクピットが開き、
「セリーナ大丈夫?・・・。」
だがセリーナは無事だという表情は無く、全身はガチガチに震えて自分の体に腕を回して泣いていて、
「うっ・・・うっ・・・レイ・・・あたし・・・んでないよね・・・。」
「大丈夫・・・キミは生きてる・・・大丈夫だから・・・だから・・・泣かないで・・・さあ、おいで」
レイが手を差し伸べるとセリーナは差し伸べられた手を握ると手の温もりにセリーナの目から更に大粒の涙が流れて、その場で泣き崩れるとレイはセリーナを強く抱き締めて、
「もう大丈夫だから!何も・・・何も怖くないから!だから・・・約束する、俺がセリーナを護るから・・・。」
「うっ・・・うん、ありがとう・・・レイ・・・。」
セリーナは少し泣き止み、レイはある決意をした表情をしていた。
(二度と戻れないかもしれないけど・・・・・・でも、こんなに優しい子をなせてはいけないんだ・・・。)
と二度と生まれ育った国に戻れない覚悟で決意をしていた。

レイと泣き止んだセリーナはグスタフの前の広場に来るとギルネイと会い、
「レイ、セリーナ、よくやったおかげで非戦闘員に怪我人は一人もいない」
「そう・・・でも何人かんだ・・・。」
レイが指揮官らしき男が現れ、
「君がレイ・アトミックコア君だね・・・。」
「はい・・・あなたは?」
「私は指揮官のジョージ・アーセナル大佐だ・・・よろしく」
「はい・・・・・・こちらこそ・・・。」
握手をかわす二人だがレイにとってアーセナルは近寄りがたいタイプだった。

[1039] 第二十三話 ゼネバスの民 - 2005/10/14(金) 22:12 -

第二十三話 真実の報道
ビクトリアはノートパソコンで拘束されたユウキ・ミラージュを調べるとさっき襲撃していた他の3人のことも分かった。
この4人の共通点は全員高校三年であること、入隊したのは今年の夏休みで、それまではレイ達と同じように極普通の受験生だった。
「ビクトリアさん!」
レイの声がするとビクトリアは顔を上げて、
「レイ!久し振りね…大丈夫だった?」
「お久し振りです…ビクトリアさん、ちょっとノートパソコンを借りていいですか?」
「いいけど、どうするの?」
「大きな声では言えないんですけど帝国軍のスレイザーって人から託されたんです。」
「ええっ!?大丈夫だった?」
「はい…スレイザーさんの話しでは表向きでは帝国側がこの戦争を起こしたと言われていますが…この戦争は共和国が起こしたと話しています」
「このディスクの中に真実が…。」
ビクトリアはディスクをセットすると帝国の街に巡航ミサイルが撃ち込まれるというニュースが収録されていた。映像には撃ち込まれた直後の映像が流れて、運ばれる怪我人や嘆き悲しむ人々の姿がありニュースキャスターは先程、共和国が宣戦布告したと報道すると映像はそこで終わったビクトリアとレイには偽造されたいるようには見えなかった。
「何てこと…この戦争は共和国が起こしたってことなの?」
「ニュースでは帝国側が宣戦布告をしたって報道してたけど何で…帝国を悪者扱いをして…共和国の人達を騙して、そこまでして戦争をしたいのか…。」
ビクトリアはディスクを取り出して、
「これを…明日共和国軍の補給部隊と一緒にテレビ局の取材が合流するらしいわ…その時に」
そう言うとレイはうなずいた。昼になりニューヘリックシティへ向けて再出発、速ければ今夜中に到着する、そこまで来れれば一安心だと難民達は考えているがレイはニューヘリックシティは安全ではないと考えていた。するとトレイロから通信が入り、
「レイ…セリーナは大丈夫だったか?」
「大丈夫じゃなかったけど…今は大丈夫…トレイロ」
「何だ?」
「……いや、やっぱり着いたら直接セリーナと3人で話そう…。」
レイはそう言うと通信を切った。
同時刻、凱龍輝にアーセナル大佐からの通信が入る、
「ギルネイ中尉あのライガーゼロのパイロット、レイ・アトミックコアが君の言うことを聞き入れてくれないのか?」
「はい…アトミックコアは有能ですが頑固な性格です。それと、あのワイツウルフのパイロット、セリーナ・ヘプシオンも優れた素質を持っています…。」
「うむ…あのワイツウルフには見覚えがある、ZOITEC社が開発したゾイドだ…。」
「ZOITEC社ですか?」
「ああ…ニューヘリックシティに着いたら彼女をZOITEC社に連れて行け…。」
「はっ!了解しました!」
ギルネイはモニター越しに敬礼した。
ニューヘリックシティ近郊まで来ると何十機ものゾイドが警備し、幾つもの防衛ラインが張られている、その防衛ラインを通り抜けると幾つものホバーカーゴが並び広大な難民キャンプが広がっていた。
ようやくニューヘリックシティに一安心する難民達、レイはディスクを持ってライガーゼロから降りて走り出した。

夜10時30分なりテントの外でセリーナとトレイロは何気なく携帯でテレビのニュースを見ている、今は自由時間で30分にはセリーナは女子グループのテントに所に戻らなければいけない、セリーナの隣りにビクトリアが座ると、
「よっ!セリーナ、元気にしてた?」
「ビクトリアさん…お久し振りです。」
「大変なことになっちゃったね…戦争は始まるし…政府は学生も徴兵するらしいわ」
「それってあたし達もですか?」
「そうね、女の子はともかく…男の子は前線に出されるかもしれないわ…。」
ビクトリアは悲しげにそう言うとテレビのニュースに目をやると、帝国の街にミサイルが撃ち込まれるあの映像が流れて、それを見た人々は困惑し、ニュースキャスターは、
「たった今流した映像は難民キャンプの取材班が難民から提供された帝国側からの物だそうです。映像を見る限り、宣戦布告をしたのは我が国だと主張していますが、詳細は現在調査中です。」
これが全国ネットで放送され、大統領官邸や国会議事堂では混乱が起こり、アンダーソン大統領は真実を暴露されたことに焦る、
「何てことだ…あれだけ情報操作をやったはずだ…発覚するはずがない、誰かが帝国側の映像をマスコミに提供したに違いない!」
ハルバーシティにいる帝国軍も混乱していた。
「スレイザー少佐…これは一体…。」
「大変なことになったが、これで共和国の人々も騙されてると気が付くだろう…そう思わんか?アスハル大尉…。」
スレイザーは微笑みながら言った。
「スプリングフィールド中尉!この映像は…。」
「わかっている!だがブルース、これで国内に反戦デモが起こり、戦争が終わるとは限らない…既に何万人の人間が家や家族を失い帝国に憎悪を抱いている…我々共和国も同じようなことをしてようやく止められた憎しみの連鎖を再び生み出してしまった。」
ギルネイは拳を握り締めた。

あの放送から一夜明けて先に起きたトレイロはレイに、
「なあ…レイ…僕達はこれからどうなるんだろう」
「そうだね…いつまでこんな共同生活をさせられるんだろう…。」
レイは携帯を取り国際電話を繋げようとするが繋がらない、するとバッテリー切れになり、画面が消えるとレイは舌打ちした。
同時刻、ホバーカーゴ艦内では捕虜となったユウキが軟禁されている独房で彼は靴底から鋭い刃物のような金属片を取り出し、朝食のトレイを持った警備兵が入って来て、
「食事だぞ…。」
「ああ、感謝するぜ」
独房に入り、トレイを渡そうとした警備兵をユウキは金属片で喉を切り裂き警備兵は鮮血を吹き出して痙攣しながら倒れた。

[1040] 第二十四話 ゼネバスの民 - 2005/10/14(金) 22:13 -

第二十四話 捕虜脱走
ユウキは殺害した警備兵のホルダーからグロック34を取り出す。
部屋を出て見つからないように格納庫に行くがデュアルステルスの姿は無く、外に出て難民に紛れ込み辺りをキョロキョロと見回すとグスタフのトレーラーに修復されたデュアルステルスがあった。
「よし…あれに乗り込めば帰れる…。」
ユウキはそう言った直後、独房ではもう一人の警備兵が倒れている同僚を発見して近くにあった艦内電話で、
「艦長!捕虜がクルーソー伍長を殺害して脱走しました!」
「何!?わかった!」
外ではM35突撃銃を装備した共和国兵が慌ただしく周囲を警戒している、
「なあロイガ…さっきから銃を持った兵隊がウロウロしてるぜ」
「何かあったんだろ…早く朝飯もらいに行こう…。」
ユウガは配給所へ向かった。
「これだけか?少ないな」
「うん…これじゃすぐお腹が減るよ」
トレイロとレイは不満げに言った。
1人分の朝食がパン一枚と200ミリリットルのミルクだけだったが無理もない、近郊では難民の数が2万人以上で今後更に膨れ上がることは確実でしかもこの後はハードスケジュールだった。レイ達は不満だった自分達はただ安全な所を求めて逃げて来たのになぜ班で行動し、難民キャンプであたかも研修会のようなことをしなければならないのか、しかも男女で話すことすら禁止していてセリーナと話すことができず3人揃うことすらできない、
「(セリーナ…大丈夫かな…ニューヘリックシティに行って貯金を引き出してそのお金で中立国行きの船のチケットを買いたいのに…。)トレイロ…セリーナは大丈夫かな?」
「そうだよな…そうだ…点呼が終わったら密会しよう…そしてここから逃げ出そう、いつ帝国軍が攻めて来るかわからないし…もっと南に砂漠を越えると中立地帯のコロニーがある、例えば…。」
トレイロが何かを言おうとした瞬間銃声が響き渡り、続いてセリーナの悲鳴が聞こえた。
レイは目の色を変えて走り出しブラックダイヤを抜いてセリーナの悲鳴が聞こえた所に来ると頭部を撃ち抜かれたアリカの死体が、
「セリーナ!どこだ!セリーナ!」
「レイ!後ろ!」
セリーナの声が聞こえてレイは振り向くとユウキがグロック34を撃ち、レイの左腕のすぐ横を弾が通るとレイもブラックダイヤで反撃するがユウキはコンテナを遮蔽物にするとレイもコンテナに隠れて、
「セリーナ!ここから逃げて!」
「で…でも…。」
「流れ弾に当たりたいのか!早く!」
レイが怒鳴るように言った後セリーナは走り出して助けを呼びに行った。ユウキはグロック34を撃ちながら、
「くそっ!しつこい奴だ!これでも喰らえ!」
「手榴弾!?」
レイはコンテナの影に隠れると手榴弾は轟音を立てて爆発し、その隙にユウキはデュアルステルスのコクピットの中に入ろうとするとレイはブラックダイヤで撃ち落とそうとするがユウキがコクピットに入ると同時にブラックダイヤのマガジンは空になり、レイは急いで交換するがデュアルステルスは既に動き出した。動き出したゾイド相手に45ACP弾は通じない、 装甲式のコクピットなら尚更だ。
デュアルステルスは共和国兵のM35を物ともせずにレーザーライフルでパイロットの乗っていない共和国ゾイドを次々と倒しゆっくりと歩き出す、難民達はパニックになりひたすら逃げ惑い、かき分け合い、転んだ者は絶え間なく踏みつけられてしまい、命を落とす者もいた。
レイはなかなかゼロの所へたどり着けないでいると、セリーナはワイツウルフに乗り込むとレイは嫌な予感がした。
「あのゾイドは確か昨日の…ここで仕返ししてやるか…。」
ユウキはニヤリと笑いレーザーライフルをワイツウルフに向けて、反射的にワイツウルフがよけようとしたがセリーナは周りの逃げ惑う難民に気が回り、命中して倒れて、体勢を立て直そうとしている間にもデュアルステルスはレーザーライフルの照準を難民達に向けて発砲、難民はレーザーに焼かれたり、爆発で次々と虐殺されていくその中には子どもまでいた。
「どうして?…ねぇどうしてこんな…こんなことするの?子どもまで…。」
セリーナは涙が流れ出し、震えると操縦桿を握り締めて怒りを露わにしてトリガーを引きエレクトロハイパーキャノンを撃とうとするとデュアルステルスは危険を察知したのか素早く身を屈めると同時にエレクトロハイパーキャノンが発射されてデュアルステルスの背中をかすめるとユウキは舌打ちし、
「チッ!迎えが来るまで少し遊ぼうと思ったのによ…。」
「ユウキ、あまり遊んでいると。返り討ちにされるぜ」
ラザからの通信だった。
デュアルステルスは光学迷彩とホロテックを作動させてレーダーや肉眼では完全に見えなくなったが、セリーナと騒ぎを聞きつけたビクトリアは逃がさなかった。
「逃がさないわよ!いくらステルスで目を誤魔化しても熱探知からは逃げられないわよ!」
ビクトリアのガンスナイパーは赤外線誘導ミサイルを発射すると真っ直ぐデュアルステルスに迫った瞬間、高出力ビームがミサイルを飲み込み更にホバーカーゴに大穴が空いて大爆発し、難民や兵士達が崩壊に巻き込まれて瓦礫の下敷きとなった。
その様子を見ていたトレイロは茫然と呟く、
「し…死んだ…今ので人が…死んだ。」
「このビームを撃てる奴はまさか…あの人か?」
ゼロに乗ったレイの視線の先には紅いBFの姿があった。
「アスハルさん!どうして…どうしてこんな…セリーナを泣かせるようなことを!平気で出来るんですか!」
「来たか!放送させてくれたことには感謝するが、これは戦争だ!お互い敵、味方であることには変わりない!」
アスハルはレイにそう言うとバスタークローを前に向けてスラスターを噴射、ゼロに迫って来るとゼロもバスタークローをギリギリでかわしストライクレーザークローで切り裂こうとするがあっさりかわされて渡り合うとゼロとBFの距離が開き、反転するとBFは185ミリビームキャノンを撃つ、正確な射撃だがゼロはすらりとかわす、
「腕を上げたなレイ君!」
「レイ!兄さん!お願いやめて!2人が戦う理由なんて何もないはずよ!」
セリーナは今にも泣きそうな顔で通信して叫ぶがアスハルの耳には入らないことにレイは苛立っていた。

[1041] 第二十五話 ゼネバスの民 - 2005/10/14(金) 22:14 -

第二十五話 引き裂かれた兄と妹
レイはBFをフリーズさせてアスハルを引きずり出そうと考えた。ビクトリアは苦戦していた。熱探知で見えてるとはいえ相手はセイバータイガー、苦戦は必至だ。
「全く共和国軍は何やってるのよ!」
ビクトリアが愚痴をこぼすとTSウルフがロングレンジライフルを撃つ、デュアルステルスのエネルギータンクに当たり、誘爆を避けるためタンクを強制排除すると姿を露わにした。
「くそっ!バッテリータンクを撃ちやがって!これじゃステルスが使えねえよ!」
ユウキはコクピットのパネルに拳を叩きつけた。
「クロフィアスを過信するなとあれほど言ったはずだ!凱龍輝を回せ!出るぞ!」
難民キャンプから近い駐屯地にいたギルネイは凱龍輝に乗り込み、ブルースとジムもそれぞれのゾイドに乗り込むと発進し、戦場へと出撃した。
「もうやめて…兄さん…うっ、ううっ…兄さん…。」
「アスハルさんは何であなたはこう平気で妹を泣かすことが出来るんですか!」
「私はもうセリーナの知っている兄さんではないんだ!レイ君にはわからないことかもしれないが戦場で初めて人を討った時の罪悪感!自分が自分で無くなることの恐怖!私は既に殺人鬼と変わらない存在だ!この私にセリーナを愛する資格は無い!」
アスハルはそう主張しながらゼロにBFのバスタークローを叩き込もうとすると装甲を削られながら首に噛みついてアスハルは動揺し、
「くっ、噛みつかれた!」
「それでも…あなたはセリーナにとってかけがえのないお兄さんなんだー!!」
レイは叫び、ゼロはBFを頭から地面に叩きつけた。
セリーナはチャンスだと思いワイツウルフを走らせると目の前にデスレイザーが道を塞ぎ、
「そう簡単にアスハル大尉を捕虜にさせるかよ…。」
ラザのデスレイザーはエレクトリックディスチャジャーを浴びせようとするとワイツウルフは真後ろに飛び込み、背後からエレクトロハイパーキャノンを撃ち込むとデスレイザーはその独特の装甲でダメージを軽減すると振り向き跳びかかるとワイツウルフはサイドステップでかわし、着地の瞬間にゼロがストライクレーザークローでデスレイザーを切り裂いたが、あまり効果ないようだ。
「(切るのが駄目なら貫くしかない!)セリーナは早く!アスハルさんの所へ!」
「はいっ!…兄さん!」
セリーナは倒れてるBFにワイツウルフを近づけるとBFはバスタークローでワイツウルフを突き、右半身の装甲をえぐられて倒れる、
「嘘…兄さん?そんな…兄さーん!」
「ラザ、ユウキ、増援が来る!引き揚げるぞ」
泣き叫ぶセリーナに聞く耳持たないアスハル、スピーカーからセリーナの泣き続ける声が聞こえるトレイロもそれを聞いていて、引き揚げて行くBFとデュアルステルスに、
「オイ!待てよアスハル!」
「トレイロ!やめなさい!あなたの叶う相手じゃないわ!」
ビクトリアの制止を振り切り、怒りを爆発させたトレイロがBFを追いかけようとすると目の前に凱龍輝が立ちふさがり、
「何だよギルネイ!そこをどけよ!」
「お前が行ってもぬだけだ…深追いするな!」
ギルネイの言うことは確かだ。ウルフ1機で叶う相手ではない、しかも強力なゾイドにエースパイロットだ。まともに相手にしたら、瞬殺されるのがオチだ。
「兄さん!待って!あたしを独りにしないで!一緒にアーカディアへ帰ろう!」
「相変わらず…お前は泣き虫だな…。」
「兄さん?」
「お前はもう17だろ…いつまでも泣き虫じゃ笑われるぞ、それにお前は独りぼっちじゃない…私は私の道を…お前はお前の道を行け…セリーナ…さよならだ!」
通信は切れてセリーナはずっとコクピットの中で泣き続け、レイは何て言葉をかけていいかわからずやりきれない気持ちになり、いつの間にか自分も涙がこぼれ落ちていた。
「どうして俺は…泣いてる女の子がいるのに何で…何で…。」
自問自答を繰り返すレイは涙を拭きセリーナとトレイロに通信する、
「セリーナ、トレイロ聞いて…3人だけで話したいことがあるんだ…このままじゃ傍受されるかもしれないから、降りて直接話そう」
「ああ…わかった」
トレイロはうなずきセリーナも泣きながらうなずいた。
その頃、難民キャンプのテントではアーセナルはギルネイに被害報告を聞く、
「中尉、被害状況は?」
「はい、者124名、負傷者25名、行方不明者6人です。それと難民の高校生が12名軍に志願していますが…いかがなさいますか?」「志願兵か…構わん、徴兵する手間が省けたな…。」
「ええ…志願兵の半数が傷者の家族や友人ですからね…しかし肝心のあの3人は志願していません」
「そうか…中尉、そろそろ大統領閣下の演説が始まる」
アーセナルはテレビをつけた。レイ達も演説次第でこの先が決まる、画面にアンダーソン大統領が現れ、演説が始まる、
「国民の皆さん、こんにちはジョージ・ウェッソン・アンダーソンです。つい先日に放送された帝国の街がミサイル攻撃されるニュース映像で共和国が宣戦布告と発言し、驚きになった方もいらっしゃるでしょう。しかし!我々は決して帝国にミサイル攻撃をしていないことを誓い、宣言します!歴史を遡るとわかる通り帝国は常に我々を滅ぼそうと女子どもや老人を戦火に巻き込み、奪った。しかし!我々は常に祖国を取り戻した後は報復のために帝国を侵攻をせず、和平交渉を行い、平和への道を歩み続けました。それにも関わらず帝国は我々を踏みにじり200年間続いた平和な時代にピリオドを打たせた。例えこの戦争が終わったとしてもいずれまた戦争が起こることは目に見えています、この連鎖を絶つために最後の、そして正義のために帝国と戦うことを宣言します!」
「まるで…独裁者の演説だな…。」
レイは皮肉ったが周りには歓声が上がった。



Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】Amazonから今年最後クリスマスタイムセール12月25日まで開催中
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板