スティーブ・ジョブス 伝説の卒業式スピーチ (742) |
- 日時:2015年03月24日 (火) 04時09分
名前:伝統
(卒業式のシーズンです。今回は、2005年米国スタンフォード大学での卒業式での スティーブ・ジョブス氏による卒業生へのスピーチの紹介です)
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本日は、私の人生から3つの話をします。 それだけです。たった3つの話です。
(1)「点」を繋げる
最初の話は、『点を繋げる』という話です。 私はReed大学を半年で退学したのですが、その後18ヶ月は、同じく受講していました。
では、なぜ辞めたのか? それは生まれる前にさかのぼります。
私の生みの母は未婚の大学生で、私を養子に出すことを決めていました。 彼女は私を「大学出の方に」と強く思っており、弁護士夫婦へ引き取られることが 決まっていたのです。
もし私の誕生の直前になって、 彼らが「女の子が欲しい」と決めることがなかったならば。
そして夜中にリスト待ちしていた、私の親の電話が鳴ったのです。 「予定外の子がいますが、欲しいですか?」。 両親は「もちろん」と答えました。
のちほど判ったのですが、 私の母親は大学を出ておらず、父親は高校も出ていませんでした。 生みの母親はサインを拒みましたが、大学に入れると約束することで、折れました。
こうして私の人生はスタートしました。
17年後、大学に行くことになりました。が、何も考えず高い大学を選んだので、 両親の蓄えは大学の授業料に費やされました。
半年経つと、私は大学に価値を見出せなくなりました。 自分が何をしたいのかも、大学がその役に立つのかも、わからなかった。 そして私は、両親の蓄えのすべてを使っている。
だから退学を決めたんです。「すべてうまくいく」と信じることにして。
そのときはとても恐かった。でも振り返ってみると、最良の決断でした。 退学した瞬間から、興味のない科目を勉強する必要がなくなり、 面白そうな科目を受け始めました。
すべてロマンチックとはいきませんでした。 寮がないので友達の部屋の床で寝たり、コーラ瓶を換金して、食べ物を買いました。 毎週日曜の夜は、7マイル歩いて、寺院でご馳走にありついたりしました。
あれは良かった。そして、好奇心と直感に従って得た多くのものが、 後になって貴重な価値のあるものになったのです。
一例を紹介しましょう。 当時Reed大学は、国内で最高のカリグラフィ(装飾文字)教育を行っていました。 キャンパスすべてのポスターやラベルまで、美しいカリグラフィがなされてました。
私は退学して、通常のクラスの必要もなく、技法を学ぶため、 カリグラフィ・クラスに出ることにしました。セリフとサンセリフ書体、字間の調整、 素晴らしいタイポブラフィなどを学びました。
それは美しく、歴史があり、芸術的に巧妙で、科学では捕らえられないものでした。
そして、私は夢中になりました。 どれもが人生に何ら役に立ちそうにないものばかりです。
しかし10年後に、最初のMacintoshをデザインするときに、 すべてがよみがえってきました。 そして、そのすべてをMacに組み込むことが出来たんです。
それが美しいタイポグラフィを持った、最初のコンピューターだったのです。
あのクラスに出なかったら、Macに複数のフォントやプロポーショナル・フォントは 入らなかった。そして、WindowsはMacの単なるコピーだから、それらの機能を持つ パソコンはなかったことになります。
退学していなければ、カリグラフィ・クラスに出なかっただろうし、 パソコンは、美しいタイポグラフィを持たなかったでしょう。
もちろん、大学時代に先を見て『点を繋げる』ということは不可能でした。 しかし、10年後に振り返ってみると、実ははっきりとしているのです。
繰り返します。先を見て『点を繋げる』ことはできない。 できるのは、過去を振り返って『点を繋げる』ことだけなんです。
だから将来、その点が繋がることを信じなくてはならない。 根性、運命、人生、カルマ、何でもいいから信じること。 「点が繋がって道となる」と信じることで、心に確信が持てるんです。
たとえ人と違う道を歩むことになっても。 信じることで、すべてのことは、間違いなく変わるのです。
(2)「愛と喪失」について
2つ目の話は、「愛と喪失」についてです。 私は幸運でした。若くして、本当に好きなことを見つけました。
20才のときに、私は、Wozと両親の車庫でAppleを始めました。 10年間懸命に働いて、ガレージで2人の会社が、 社員4千人の20億ドル企業に成長しました。 そして、Macintoshという最高の製品を出した1年後、 私は30才になり、クビになりました。
どうしたら、起業した会社でクビになるのでしょう? 会社が成長し、共に運営する優秀な経営者を雇いました。 1年ほどは、うまくいったんです。
しかし、ビジョンの相違から崩れました。 取締役会が彼の側に立ち、30才にして辞職したのです。 とても有名な辞職でした。
私の人生の焦点がなくなり、破滅的でもありました。 数ヶ月は何をしていいのか、わかりませんでした。
私は、それまでの起業家の地位を落とした、 渡されたバトンを落としたんだ、と感じました。
私はDavid PackardとBob Noyceに会って、台無しにしたことを詫びようとしました。 有名な落伍者になったので、シリコンバレーから去ることも考えました。
しかし、私には少しずつわかったのです、 「これまでの仕事がまだ好きだ」ということが。
Appleでの事件は、そのことを少しも変えなかった。 拒絶されても、なお好きでした。 そして、また始めてみようと決めたのです。
そのときはわからなかったのですが、Appleをクビになったことが、 最良のことだとわかったのです。 成功の重みが、すべてにおいて再び、ビギナーの軽さになりました。
このことで、最もクリエイティブな期間のひとつに入ることができました。
続く5年間で、NeXT社とPixar社を始め、妻となる素晴らしい女性と恋に落ちました。 Pixarは、「Toy Story」という世界初のコンピューター・アニメーション映画を作り、 今や世界で最も成功しているアニメーション・スタジオです。
思いがけずAppleがNeXTを買収し、私はAppleに戻りました。 NeXTで開発した技術は、現在のApple再生の中心です。 そしてLoreneと私は、すばらしい家庭を築いています。
「Appleをクビになっていなければ、こうはならなかった」と断言できます。 ひどい味の薬でしたが、患者には必要だったのでしょう。
人生ではレンガで殴られるようなことが、起こることがあります。 信念を失ってはいけない。 私は自分がやったことを愛せたから、続けてこられたんです。
皆さんも自分の好きなことを見つけなければいけない。 それは仕事でも恋人でも同じです。
人生で仕事が大きなパートを占めていくだろうけど、 本当に満足する唯一の方法は、素晴らしいと信じる仕事をすることです。
偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたのする仕事を愛することです。 まだ見つかっていないから、探し続けること、止まらないこと。
心の問題と同じで、見つけたときはわかります。 そして、素晴らしい関係のように、年を重ねるごとによくなっていきます。 だから、見つかるまで探し続けること。止まってはいけない。
(3)「死」について
3つ目は、「死」についての話です。 17才のとき、私はこんな文章を読みました。
「一日一日を人生最後の日として生きよう。いずれその日が本当にやって来る」。
強烈な印象を受けました。
そして33年間、毎朝、鏡をみて自問自答しました。 「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか」。 「No」という答えが幾日も続いたら、私は何か変える必要があると知るのです。
死を意識することは、人生において、大きな決断をする価値基準となる、 最も大切なことです。なぜなら、ほとんど全て、外部からの期待やプライド、 恥や失敗への恐れ、これらは死によって一切なくなるのです。
あなたが死を意識することが、失うことを恐れない、最良の方法なのです。 あなたたちは既にありのままなのです。 思うままに行動しない理由はないのです。
私は1年前にガンと診断されました。 朝7時半にスキャンしたところ、すい臓の腫瘍がはっきり写ってたのです。 私はすい臓が何かも知りませんでした。
医者たちは言いました。 「ほぼ間違いなく治療不能なガンで、余命は3ヶ月から6ヶ月でしょう」。 主治医は家に帰って、仕事を片付けるように言いました。
それは死の準備をするように、という意味の医者の言葉なのです。 つまり、子供たちに伝えるべき今後10年間のことすべてを数ヶ月で伝えろ、 ということなのです。
家族がなるべく楽になるように、しっかり始末しなさい、ということなのです。 家族にさよならを告げなさい、ということなのです。
私は診断書を一日抱えて過ごし、夕方、バイオプシー(生検)をしました。 内視鏡は、喉から胃腸に入り、すい臓から腫瘍細胞を採取しました。
私は鎮静剤を服用してたのですが、そこにいた妻は、私に話してくれました。 医者たちは顕微鏡で細胞を見た途端に、泣き出しそうなのです。 手術可能な、極めてまれなすい臓ガンだとわかったからです。
私は手術を受け、今も元気です。 これまで私が最も死に直面した経験で、この先、何10年かはないことを望んでます。
この経験から、私はより確信を持って、あなたたちに言えます。 死を意識することは役に立ったが、単に頭のなかの概念でした。 誰も死を望みませんよね、天国に行きたい、という人さえ、死を望まない。
にも関わらず、死は、われわれが共有する最終地点なんです。 誰も逃れることはできないのです。そして、そうあるべきなのです。
死は、生における、最も優れた創造物なのだから。 それは、生に変化を起こすもので、古きものを消し、新しきものへの道を作るのです。 今、新しきは君たちです。
しかし、そう遠くない未来に、君たちも古きものとなり、消えていきます。 とてもドラマチックな言い方で申し訳ないですが、それは全くの真実なのです。
ハングリーであれ。愚か者であれ。 君たちの時間は限られている。 だから無駄に誰かの人生を生きないこと。
ドグマに捕らわれてはいけない。 それは他人の考え方と共に生きる、ということだから。
他人の意見というノイズによって、 あなた自身の内なる声、心、直感をかき消されないようにしなさい。
最も大事なことは、あなたの心や直感に従う勇気を持つことです。 それら内なる声、心、直感は、どういうわけか、君が本当に何になりたいのか、 既に知っているのです。
それ以外のものは、二の次でいい。 私が若いころ、「全地球カタログ」という驚くべき書籍があって、 同世代のバイブルでした。
それは、Stuart Brandが制作しており、 彼の詩的な作風で、いきいきと仕上げていました。
60年代後半で、パソコンもなく、すべてタイプライターとハサミ、 ポラロイドカメラで作っていました。それは当時のGoogle文庫版と言えるもので、 理念があり、使えるツールと偉大な概念であふれていました。
Stuartたちは「全地球カタログ」を何度か出版し、 ひと通りやり終えると、最終号を出しました。 70年代の中頃で、私は君たちと同じ年頃でした。
最終号の裏表紙は、早朝の田舎道の写真でした。 冒険好きならヒッチハイクで見るだろう、田舎道。
写真の下には、こんな言葉がありました。
Stay hungry, Stay foolish. (ハングリーであれ。愚か者であれ。)
それは、彼らが残した別れのメッセージでした。
Stay hungry, Stay foolish. 常に私自身がそうでありたいと願ってます。
そして今、卒業して新しい人生を始める君たちに、そうあってほしいと願います。
Stay hungry, Stay foolish.
ご清聴ありがどうございました。
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動画で、生前の「スティーブ・ジョブス 伝説の卒業式スピーチ(日本語字幕)」 でも味わってください。
→ https://www.youtube.com/watch?v=RWsFs6yTiGQ
<感謝合掌 平成27年3月24日 頓首再拝>
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