| [236] 「学園事件」〜女学生編(フローネ&リア) 2 |
- マリムラ - 2004年11月09日 (火) 01時41分
あー、視界が開けているナァ。
コレが私の黒板を見ながらの素直な感想。 うん、不謹慎だね、わかってるんだけど……ねぇ?
目の前は空席で、この席のヒトがクライブくんだったんだナァとぼんやり考える。 更にその隣の席に座っているのが、さっきぶつかって迷惑かけちゃったフローネさん。うん、間違いない。 ちっちゃくって可愛くって元気なヒトだから、サスガに私でも何となくわかる。 で、クライブくんはというと……あんまり覚えてません、ゴメンナサイ。 そこそこ背も高くて、ばっちり視界を塞いでいたんだけど、そのくらいしかワカラナイ。顔は……?出てこないな。 でも……どうしたんだろう?休みって初めてだと思うんだけど……。
なんだか先生が不機嫌なウチに授業終了。 今日は珍しく午後の授業が1時間しかないから、そのままホームルーム。 で、やっぱりクライブくんは帰ってこない。 「シュトラウスさん、リドリスさん」 ……イヤな予感。 「あなた達、保健室まで行ってクライブくんを呼んできてちょうだい」 断れるはずがないのだ。さっきのあの醜態を思い出すと、頭が上がらない。 唖然とするフロ−ネさんを見て申し訳なく思いつつも、一人じゃなくてホッとしている自分がいたり。
「あ……」 「なんですか、シュトラウスさん」 「保健室にいなかった場合は、どうすれば……?」 「どこかで倒れていては大変ね、探して連れていらっしゃい」 ……聞かなきゃ良かった。
若干意識が遠のきつつあった頭を、袖口の刺激で引き戻される。 立ち上がった私の隣にいつの間にかフロ−ネさんが居て、制服の袖口をつんつんと引っ張っていたのだ。 「ね、リアちゃん、早くいこう」 ああ、いい人だナァ。 巻き込んじゃって悪かったナァ。後で謝っておこう。うん。
半ば引きずられるようにして教室を出て、早足で保健室を目指す。 廊下を通るヒトは少なくて、ヒトにぶつかる心配がないのはありがたい。
それにしても、ちっちゃくて可愛いナァフローネさん。急ぐ足音に効果音付けたら「ちょこちょこ」なカンジ。 「面倒だから、さっさと済ませちゃおう」 わー、この人前向きダー、ちょっと私には眩しいくらい。 「先生の前から抜け出せて、助かっちゃったー!」 伸びをする姿も可愛いナァ、女の子だナァ。なんだか悪いコトしちゃったナァ……。 「あの、さっきはゴメンね……?」 「あ、気にしちゃダメだよ〜」 あ、笑われた。でも、イヤな笑い方じゃないな。ま、いいかー。
そんなこんなで保健室前に到着。 ノックしてみるけど返答はナシ。 「お邪魔しまーす……?」 フローネさんが入り口から覗き込むように声をかけるけど、返答もなければ人の気配すらない。 「どうしましょう……か」 「うーん、とりあえず入ってみちゃおう」 保健の先生も、どこに行っちゃったのかナァ。鍵もかけずに不用心だよナァ。なんか劇薬とかもあるのに。 「先生ー、いないんですかー?」 声をかけながら保健室に進入。といっても、声をかけているのは私じゃないんだけど。 「いないねー、ベッドにも誰もいないみたいだよ」 「利用者記録にも名前は無いみたいですネェ……」 さて、困ったぞ?ますます面倒なことになってきちゃったカモ。 「えー、来る途中にクライブくん、落ちてなかったよ?」 落ち、落ちるって、アナタ。 なんだかツボにはまってしまって吹き出してしまったり。 「あ、笑ったな、リアちゃん」 「ごめ……ぷっ」 「他人事じゃないんだぞー?」 「……そうでした……」
思わず両手を机についてうなだれる私。 一体どうすればいいと言うのですか、神様仏様ボフォーズ様! ……って、私は無宗教でしたよ。ダメだナァ、苦しいときの神頼み。私が神なら、こんなコトに手を貸さないだろうしネェ。
「あ、何か落ちてるよ」 フロ−ネさんが何かを拾った。 よくわからないけどイヤーな予感がして、私はおそるおそる顔を上げた。
ああ、イヤな予感が当たっていませんように。

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