【広告】楽天市場から2025年大感謝祭12月19日から開催エントリーお忘れ無く

短編リレー

ホームページへ戻る

名前
メールアドレス
タイトル
本文
URL
削除キー 項目の保存


こちらの関連記事へ返信する場合は上のフォームに書いてください。

[465] 螺れた箱(ヘクセとルリン)5
えんや - 2007年08月10日 (金) 12時16分

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
PC:ヘクセ ルリン
NPC:カーター
場所:螺子れた箱の中
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「デハ、名残りはおしいデスガ、私が一緒にこれるのはここまでデス。
 ごきげんよう。」
「世話になったな。」
「じゃぁね〜」
芝居がかった挨拶をして立ち去る三月兎を二人は見送った。
「…喧しい奴だったな。」
「うん。でも、いい奴だったよ。」
ヘクセはルリンを見上げて、悪戯っ子のように微笑んだ。
「あいつ、私がルリンのことに失望したように見せたら、一生懸命フォローしてたよw
 見た目より、誠実なやつなのな。」
ルリンは溜息をついた。
「…そうやって、他人を試すのはよせ。
 そんなことばっかしていると、誰も信じなくなるぞ。」
ルリンは呆れたように言って、それから呟くように言った。
「…失望しなかったのか?」
「そうだねぇ。青臭いとは思うけど、別に他人がこれまで歩いてきた人生の選択をどうこう言う趣味はないよ。
 それに、青臭いの嫌いじゃないし。
 だいたい、私自身、好き勝手生きてるからね。
 いいんじゃない?その我が侭さと頑固さは君の美徳だ。」
「…それって褒めてるのか?」
ルリンは微妙な顔になって尋ねた。ヘクセは当然といった顔で即答した。
「割と手放しで。

 …あぁ、そうそう。
 まぁいろんな思想があるからなんだけど、
 例えば、目の前においしいワインがあるとして、
 周りが口々に不味いと言っても、味は変わらない。
 周りが口々に不味いと言ったら、味は変わる。
 どちらも真実ではあるが、君は前者の人間になりたまえ。
 『どうやったら自分を認めてもらえるのか』なんてつまんないことで悩むな。
 そんなことで悩むのは芸人だけで十分だよ。
 自分が自分を認めていればいい。
 だろ?」
ヘクセはそう言いながら、カーターの家の扉の上に書かれた数字を書き写すと、
扉をノックした。
「たのもぉ〜」

   *   *   *

カーターは確かに芋虫のように醜く太った体型をしていた。
しかしその瞳は理知的で、賢者と呼ぶには相応しい風格を兼ね備えていた。
「新顔かね?それで、私に何の用だ?」
二人の挨拶に対して、カーターはソファーに腰を下ろしたまま、水パイプを咥えて言った。
「この世界にかけられた呪いについて教えてください。」
ヘクセは単刀直入に切り出した。
「部外者には教えられぬな。」
「私もピュトーグロスの門徒です。資格はあるはず。」
ヘクセの言葉にカーターが興味深そうに眺めた。
「もしそうなら、確かに資格はある。
 だが、それを証明せんことにはな。
 当然我らが門徒なら、扉の上の数字の意味は気づいているのだろう?」
「フィボナッチ数列ですね。」
「…なるほど、ならばこの箱を開けることが可能か?」
カーターは小さな立方体を投げて寄こした。
ヘクセは小さく呪文を唱える。

 @ A B C
 D E F G
 H I J K
 L M N O

数字が4×4の配列に並んだ紋様が浮かび出た。
「ユピテル魔方陣か…」
ヘクセが高く低く詠唱を唱え、紋様に手をかざす。
しばらくして数字は異なる配置に書き換えられた。

 @ N M C
 K E F H
 G I J D
 L B A O

同時に箱が開いた。

「知っていたか。」
「ええ。各ラインの和が女性数の最初2と男性素数17の積、34になる魔方陣。
 有名ですよね。」
カーターは相好を崩した。
「そうか、なるほど。確かにお前たちは我らが門徒。
 よく来られた。
 さぁ寛いでくれ。
 外の世界のことを聞かせてくれ。」

   *   *   *

カーターを交えてヘクセとルリンは目の前に並べられたご馳走に舌鼓を打った。
「こんなご馳走、どこから調達してるんだ?」
しごくもっともな疑問のルリン。
「この世界の中心部付近は昔の我らの町と同じ造りでな。」
「規則整然としてるのはピュートグロス派の街造りの特徴ですよね。」
「そう。この世界に閉じ込められたとき、屋敷の記憶もそのまま閉じ込められたようでな。
 当時屋敷にあった物はみな揃ってるし、消費してもいつしか元にもどるのだよ。
 模様替えはままならんし、数日がかりの計算なんかしてたときには泣きたくなる結果になるが、
 これだけはありがたいな。」
カーターはワイン片手にご機嫌に語る。
「まぁ想像で形作られた世界だし、そういうこともあるかな。」
ヘクセはぽりぽりと頭を掻きながら呟いた。
「…便利だな。案外ここはユートピアなんじゃないか?
 歳はとらない、飢えも知らない、戦争もない。
 危険なのは年に数日で、被害もごく少数だ。」
ルリンは皮肉げにこぼした。
「知った口を叩くな、若造が!」
カーターはワインを振り上げ激高した。
「日も暮れぬ、雨も降らぬ町で、永劫に変わらぬ世界、
 何も変えられず、子も成せず、生きる実感も持てぬまま暦だけが重ねられる。
 いっそ奴らに殺されてお終いにしたほうがマシと何度思ったことか!」
「それが疑問なんだがな。
 何で素直に殺されっぱなしなんだ?
 あんたら魔術師だろ?全員で協力すればこんなことにはなってなかったんじゃ?」
「奴等は何度だって復活する。
 それに我らの魔術は悪魔iによって打ち消される。」
「悪魔i?」
「…いずれお前たちも知る。最初から勝ち目はないんだ。」
カーターの諦めた言葉に反論しようとするルリンを制してヘクセは話を切り替えた。
「ピュトーグロス派の都市というと、一夜にして住人が消えた古代都市ロクリスが有名だよね。
 2万人都市だったのに、なんの前触れもなく、ある日突然、全員が忽然と姿を消した。
 用意した食事なんかがそのまま残っていて、争った形跡もなし。
 原因も不明っていう伝説の…」
「そのロクリスが我らの都市だ!」
カーターが突然、顔を赤くして立ち上がった。
「だがレナードめ、せっかく我らの真理を授けたというに、
 その力を使って、このような恐ろしいことをするとは!」
「どんな呪いをかけたんです?」
「『世界の底に眠る最も元なる神秘をもって、
  円の神秘と影なる世界の積だけ、繰り返されん。
  それは災いとなり、お前達の罪を責めるであろう』
 それが奴の呪いの言葉だ。」
「罪って何ですか?」
「…知らんよ。おおかたつまらぬ逆恨みかなにかだろう。」
カーター不機嫌に口をつぐんだ。
「…ふむ。」
ヘクセはそれだけ言うと、その件は追求せず話を変えた。
「まぁ、収束点に辿り着けば、なにかわかるかなぁ?
 今、ここがこんだけだから…収束点まで何ブロックだろ?」
ヘクセは懐から、この部屋の番号を記したメモを取り出すと、指折り数え始めた。
『160500643816367000』
メモにはどう読むのかよくわからない大きさの数字が書いてある。
「そんなん計算できるわけがない…」
「だいたい86ブロックくらいかな?も少し近いはず。」
ルリンが言い終える前にヘクセは計算を終えた。
「早いな!」
「…どうやった?」
カーターまで身を乗り出す。
「簡単だよ。ここの部屋番号は18桁でしょ。
 フィボナッチ数列は1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144…
 つまり、最初の1を除くなら、1、2、3、5、8で次の桁にあがって、
 また同じような数字が先頭に来る。つまり5個ごとに桁が上がるんだよ。
 ってことは18桁ってことは(18-1)×5=85。
 1は18桁の1番目だから、最初の1を加えて1+85=86。
 まぁ無視してる下の桁数の累計も考慮するとそれよりいくらか少ないかなって感じ?」
ヘクセがさらりと言う。
「なるほど。」
「お前、賢かったんだな…。」
ルリンがさらりとひどいことを言ってるが、ヘクセは聞き流すことにして、
食いつきのいいカーターにさらに語ってみせた。
「別に新しい考え方じゃないよ。
 桁数を別にする考え方、つまり数字を10の何乗かで把握する考え方、
 これを発展させると対数という考え方になる。
 これは足し算よりも掛け算や割算のとき、より便利なやり方でね。
 莫大な数の掛け算を足し算に、割り算を引き算に替えちゃうんだ。
 10桁の数字と5桁の数字を掛けたら15桁の数字になるってな具合にね。
 航海術が進んで大海原に出ると、星でしか位置を把握できないんだけど、
 まさに天文学的な大きさの数字を扱うことになる。
 そんなん、まともに計算してたら、位置が出る前にさらに進んじゃうよ。
 実際、それで海難事故が相次いだしね。
 で、とある領主がとある数秘術者と協力して、この方法を編み出したんだ。
 ある程度の精度でいいならこの方法のほうがはるかに早いからね。
 で、さらに応用すると、10の何乗かだけじゃなくって、
 他の数字の何乗かって表すことも可能になったりする。
 この方法を対数って言って、このときの10とか他の数字とかが"底"と呼ばれるんだけど。
 ここからが面白いんだ。
 この数秘術者はね、領主が死んだ後もこの方法を発展させようとして考えを深めたんだね。
 底の値として何が適当かということを考え始めたんだ。
 例えば、底が2だと、幾何数列は、1、2、4、8…ってなって、値が飛び飛びになって隙間があきすぎちゃうだろ?
 だからその人は、底の数に十分小さな数を選べば、累乗がゆっくり変化していくんじゃって考えたんだね。
 結局その人は、1に近いけど近すぎない数として、底を0.9999999とした。
 つまり、1-(10の-7乗)ってこと。
 しかも、なるべく小数の計算を使わないために数列の各項に10の7乗を掛けることにしたのさ。
 その当時、小数は既に知られていたが、まだ一般の人は使い慣れていなかったからね。」
ヘクセは手元に紙を引き寄せ


         1  10^7  N
M=((1−───)   )
        10^7    



と書き込んだ。
「この10の7乗を無限大の大きさにしたらどうなるかって考えたとき、
 この方程式は一つの数字に収束したんだ。
 その数字、いや正確に言うならこの数字の逆数は、
 その定義からそれ自体、面白い性質を持つんだけど、
 自然界のあらゆるところにその姿を現すんだ。
 例えば、こんな紐をピンって張ってさ、軽く緩ませたときの曲線とか、
 あるいは振り子を揺らしたときの、揺れ幅の減り方、
 これは、その数字を用いることで簡単に表せるんだ。
 あるいは生命の魔法に携わった者なら一度は"視"たことのある生命の二重螺旋の紋様。
 これもこの数字で書き表される。
 …すごいでしょ?
 この数字は自然対数の底と呼ばれ、ナイビア数って名前が付いている。
 表記はナイビアとは何の関係もないeってなってるんだけどね。」
ヘクセはにんまりと笑った。
ルリンは聞いてなかった。目の前のごちそうを堪能することに集中している。
一方カーターは身を乗り出し、目を輝かせて食いついていた。
「で、その数字は実際なんなのだ?
 1か?」
ヘクセはそんなカーターを真っ直ぐ見つめて、一呼吸置いた後、口を開いた。
「2.71828…。
 小数点以下桁が無限に続き、
 しかもその数の並びは何の規則性も持っていないという、
 いわゆる無理数って奴の一つさ。」

「ありえない!」

そのヘクセの言葉にカーターは大声で叫んだ。


   *   *   *


「…追い出されちゃったねー。」
「…なんで奴はあんなに怒ってたんだ?
 お前、なんか拙いこと言ったのか?」
ルリンの問い掛けにヘクセはばつが悪そうに笑った。
「いやー、うっかりしてた。
 彼は昔のピュトーグロス派の魔術師だ。
 この学派って、昔は無理数の存在を認めてなかったんだよね。
 『線は極小の点の有限個の集合である以上、定まらぬ数など存在しない』
 ってスタンスでさ。
 これを認めないために、無理数を認めようとした教団内部の人間を
 粛清した歴史もあったはずだ。」
「…それってやばくないか?俺達も粛清されるんじゃ?」
「ルリン頼りにしてるよん♪」
「魔法使い相手は難しいぞ。」
「大丈夫だって。一応枷はかけといたしw」
ルリンはカーターの部屋を飛び出る際のヘクセの言葉を思い浮かべた。
『無理数は今の数秘術界で認められた』確かそう言っていたはずだ。
「…あんな言葉で思いとどまるか?」
「…さぁね。でもまぁ、あの反応はなかなか興味深かった。
 単純に教義的に認められないってだけじゃないねー。」
ヘクセの満足顔にルリンは眉根を上げた。
「…ひょっとして、怒るとわかって、あの話を出したのか?」
「さぁねー♪」
ルリンは聞こえよがしに溜息をついた。

「…ところでお前って数秘術者だったのか。」
「違うよ。」
「違うってお前、さっきあのおっさんに言ってたろ?」
「ピュトーグロス教団は秘密主義だから、ああ言わないと話もしてくれないって。」
「それにしてはやたら詳しくなかったか?」
「古代の魔術の研究の関係で、そこらへんの表面は一通り勉強したからね。
 あの程度ならいくらでも♪」
ヘクセは気軽なノリで答えた。
「…」
ルリンはヘクセのつかみどころのなさに、やや困惑しながらも、当面の疑問を口にした。
「…で、呪いは解けそうなのか?」
「んー、なんとなくは見えてきたんだけどね。
 やっぱ、一方からの意見だけ聞いてもあれだよね。」
ヘクセは一つの扉の前で止まった。
「ここの人に聞いてみよう。」
その扉の上には『48』と記されていた。

   *   *   *

扉を開けると、そこは家具も何もないだだっぴろい一つの部屋だった。
そして部屋の真ん中にはジョーカーの格好をした男がいた。
青白い肌に黒い尻尾。
ピエロのようなメイクをした明らかに人間じゃないその男は、二人を見てにこやかに言った。
「いらっしゃい。お二人さん。
 まぁ立ち話もなんだし…」
全てを言い終える前にルリンは飛び込んでいた。
剣を一閃。
確かに断ち割ったはずの悪魔は微笑みながら言葉を続けた。
「座ったらどうだい?」
「…っ!?」
ルリンの顔に動揺がはしる。
ヘクセは誘われるがままに室内に足を踏み入れると、ちょこんと腰を下ろした。
「こんにちは、私はヘクセ。こっちはルリン。
 貴方の名前は?」
「私は悪魔i
 君はなかなか度胸が据わっているね。」
「こっちから訪ねたんだしね。
 それにどのみち呪いを解くには貴方に会わなくちゃ、でしょ?」
「そのとおりだ。
 ところでリドルは好きかい?」
「まぁそれなりかな?」
「ではリドル勝負といこう。
 私のリドルに答えてもらおうか。
 君達が勝てば呪いから開放してあげるよ。」
「私、本職じゃないから数秘術の複雑な問題はやだよ。
 あと、解のない、あるいは証明が出来ない問題もパスね。」
ヘクセはふてぶてしく言ってのけた。
「もちろん、そうしよう。
 まずは…そうだな。
 金庫にキリンを入れるための、3つのステップを答えて。」
「そんな大きさの金庫なん…」
「金庫の扉を開け、キリンをいれ、扉を閉じる」 
ルリンが言いかける前に、ヘクセは答えた。
「なるほど、君は単純なことを複雑な方法でしようとすることはなさそうだ。
 では次に象を金庫に入れるには?」
「さっきの続きということなら、金庫の扉を開け、キリンを取り出し、象を入れ、扉を閉じる」
「記憶力も問題がないようだね。
 では次にライオン王が動物たちの集会を開いた。
 ただ一頭を除いて動物たちはすべて集まった。
 参加しなかったのは、どの動物?」
「これもさっきの続きなら、象だね。金庫に入ってるもの。」
「総合的に考える力もあると…。
 では次に、狂暴な人食いワニがいることで知られている川があるが、どうやって渡る?」
「これもさっきの続きなら、泳いで渡る、だね。
 ワニは今、集会でいないから。」
「へぇ。論理的に考えることもできるようだね。」
「…どこが論理的なんだ?」
ルリンは悪魔とヘクセのやりとりを呆れて見ていた。
「全問正解したら、呪いを解いてくれるわけ?」
「こんなのはただのさわりさ。ここからが本番だよ。
 何かを手に入れるには試練をこなす必要があるのさ。」
悪魔iが腕を振ると、床から大型の獣が現れた。
それは犬にも似ていた。
ただ大きさはそこらの大型犬よりはるかに大きく、熊よりも圧倒的で、
大きく開いた口からは鋭い牙が見えている。
4本の足の先にはこれまた大きく鋭い爪が光っていて、それががりがりと床を削っていた。
体中に斑点があり、首は犬よりも長かった。

ぐるるるるるるる…

あまり聞きたくないような重低音の唸り声が聞こえる。
その獣の首には鎖が繋がれており、それは床に埋まっていた。
「…えぇっと、何それ?」
ヘクセが冷や汗を流しながら聞いてみる。
「バンダースナッチという。
 まぁ、クイズには罰ゲームが必要だろう。」
「いらないいらない。」
ヘクセは力いっぱい首を横に振るが、悪魔iは聞く耳を持たなかった。
次の瞬間、檻が上から降ってきて、ルリンとバンダースナッチを閉じ込めた。
幸い、鎖の長さよりも檻は広く、端にいればバンダースナッチの牙は届かないようだ。
「ちょっ!?ルリン、大丈夫?」
「くっ!なんのつもりだ!?」
「これから質問を1つ考えよ。イエス・ノーで答えられる問題だ。
 そして街中に出て、100人にその質問をして、イエス・ノーで答えてもらえ。
 一人でも間違えたら、この鎖を解き放つ。
 バンダースナッチはその男に襲い掛かるだろう。
 その後一人間違うごとに、バンダースナッチを一匹づつ増やしていこうかなぁ。」
「100人って、今この町に100人もいないじゃん!」
「扉を開けてみろよ。」
ヘクセが怪訝な表情のまま入口の扉を開き、そして呆然とした。
そこには100人を越える住人達がうろうろと歩き回っていた。
「さぁスタートだ。制限時間は特にないがね。
 お友達が飢えてしまう前に帰ってくるといい。」
ヘクセはルリンを振り返った。
「1時間で戻るから、檻の端っこでおとなしくしててね!」
そう言って、ヘクセは扉の外に飛び出していった。
悪魔iはそれを薄笑いを浮かべて見送った後、ルリンに声をかけた。
「さて、君のお友達ははたして君を救うことが出来るかな?」
「お前はあいつを舐めすぎだ。あいつはここの住人が全員数秘術者って知ってるんだぜ。
 数秘術者なら誰だって解ける簡単な問題を出せば済む話だ。」
「言ってなかったけど、あの住人の中には私が送り込んだとてつもない愚か者が大勢混じっている。
 1+1も解けない連中がほとんどだよ。」
「詐欺じゃないか!」
「私は悪魔だよ。それに嘘は一つも吐いていない。
 それともう一つ言ってなかったな。
 バンダースナッチは首が伸びる。」
ルリンは不意に危険を感じてその場所を飛びのいた。
ルリンの目の前をバンダースナッチの頭部が飛んできて、大きな顎をがちんと閉じた。
「その檻の中に安全地帯なんて無いよ。」
悪魔iは楽しげに笑った。

[466] ということで
えんや - 2007年08月10日 (金) 12時20分

今日は対数とネイピア数のお話。
るいるいさん、続きよろしく。



Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】楽天市場から2025年大感謝祭12月19日から開催エントリーお忘れ無く
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板