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短編リレー

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[320] 魔物退治(ウピエル&ストゥリ&フレア)−25 ファインコッパー
熊猫 - 2005年02月19日 (土) 14時55分

光源を従えるフレアが先頭に立つ。横に並んでストゥリ、後ろに
ウピエルとライが続く。

もっとも、魔術を行使する時、必ずライが自分と距離を置いている事に
フレアは気がついていた。

ちなみに、さきほどの魔物の大群は、後ろの二人が先を争うようにして
殲滅させている。
あまりの残虐性に、あの花の匂いに、凶暴性を駆り立てる作用でも
あったのではないかと、ストゥリと真面目に相談したばかりだが…。

「僕、グレそう」

どこか遠い目でぼそりとライが呟くのを、一番近くにいたウピエルが
聞き漏らしたはずはなかっただろうが、彼は表情を変えなかった。

「にしても、よくわかんねーな。結局俺ら、どこに行きゃいいんだ?」
「そうだね。何の罪も無い一般市民を投げたり盾にしたりするなんて、
 まるで魔物のする事だよね。僕にはわからないよ」
「…」

硬い沈黙と――同時に、がちゃっ、という金属がかみ合うような音を聞いて、
フレアは振り向いた。

ウピエルが鎌、ライが剣を、頭上で振り上げてがっきりとかみ合わせ、
互いに牽制しあっている。
どちらも壮絶なまでに爽やかな笑顔で、さりげなく力を強めていく――

「ふふふふふふふふ!」
「はははははははは!」
「ふ、二人とも!」

仰天して立ち止まる。ストゥリもたじろいだ様子で、おろおろと二人の
顔を見比べていた。

「待ってなフレアちゃん、こいつどうも赤が好きみてぇだから、
 さっそくこの緑コートを染めてやらねーと静まりそうにねぇ――」

光の加減か、心なしかウピエルの瞳が赤い気がする。

「この露出狂が服だけじゃなくて内臓もはだけたいらしいから、
 悪いけどちょっと先に行ってて――」

ライはあくまで柔らかい笑みを保とうとしているが、雰囲気からすれば
邪気にも似た要素がにじみ出ている。

「あぁ、もう!」

どうせ、少し休もうといってもこの二人は同じことを繰り返すに違いない。


誰でもいいから、早くここから逃がしてください。


・・・★・・・

「ヤツは他の生物同士をかけ合わせて、新たな生物を造り出す事に成功した」

苦々しく、吐き捨てる。目の前にあの男がいたなら!
打ち捨てられた玩具は、飽きてしまえば新品だろうが何だろうが、
子供には関係ない。

「だが、同時にロバートソンは失敗したのだよ!」

叫びは反響して闇に吸い込まれてゆく。

「生まれた合成体、つまりキメラは、生殖ができなかった。
生物にとって、これは致命的だ。
生殖する必要がないなら、食事をして生命を維持する必要もない!
だからやつらは短命だ」

ここの水は清浄だった。この水が枯れれば、死ぬことができる。
しかし、この広すぎるプールの水が減ることなど、ありえない。

「狂暴性については…食事は必要なくなったが、摂取しようとする
本能のみが残ってしまい、暴走しているとみていいだろう」

美しさなどかけらもない同胞達。もしくは、すべての美を搾り取られた者達。

ずらりと浮いているそれらの中に、自らも浸って、ただひたすらに理性を保つ。
独り言は狂気の沙汰ではあるが、言葉すら忘れたこいつらよりは
ずっとまともだ。

「まぁ、一番の失敗は、セキュリティと処理の甘さだな。
ロバートソンは頭が良かったが、愚かでもあったという事だよ」


誰でもいい、下水道を徘徊する鼠でもいいから、誰かこの懺悔を聞いてくれ。
わたしは逃げることができなくても、許されたいのだ。

―――――――――――――――
ただ単に、二人のケンカが書きたかっただけという説も。



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