「俺…大阪戻るねん」
聞かされた瞬間、咄嗟に想った事は
「嫌だ」
「高尾……」
「嫌だ、なんで…だよ。僕等来年卒業なんだぞ!?それからでも遅くないだろ」
「…すまん」
いつも、どんな時でも。
側にいてくれた緒方なのに。
大阪…?
そんな遠い所、行ってしまったらもう会えなくなるのに。
「僕は……嫌だ」
「せやけど…高尾、嫌がってたやん」
俺と一緒におるの。
そう、寂しそうに言ってくる緒方の頬には、まだ消えてない痕がある。
僕が殴った痕。
僅かに腫れの残る頬のまま、毎日謝りに来てくれていた緒方が。
今日の、第一声が大阪へ帰るという報告。
「……だけど」
確かに、嫌がってたさ。
嫌って言うよりは、恥ずかしくて顔合わせられなかった。
初めてしてキス。
初めてされたキス。
それが、まさかお前となんて予想もしてなかったから。
だから、殴って。
その場を逃げたんだ。
「ごめんな、高尾…」
謝罪の言葉。
そんなの聞きたくない。
「嫌だ…」
僕はもう一度。
そう言って緒方を困らせた。
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緒方×高尾10票記念。あぁぁ、好きだ…このカプ。