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[32] 友達に…(エースを狙え・千葉×勇) くずは(管理人) - 2004/02/29(日) 01:48 -

「友達に戻りたいんだ」

腕の中で、泣きやむのを待っていた相手から告げられた言葉は、それだった。

「千葉と……出会った時みたいに、友達に戻りたいんだ」

涙が残る瞳で、見上げてきた尾崎。
その言葉の意味を、一瞬理解できずにいた俺に、同じ言葉をもう一度告げられる。
友達。
だった、はずなんだ俺達は。

『ただのダチ』

そう、尾崎も言っていたはずなのに。
それなのに。
尾崎の言葉を素直に受け止めるとしたら、俺達の関係が友達じゃないという事にな
る。
確かに、肉体関係は結んでいた。
ただの欲求のはけ口が欲しいから、と。
男に馴れていないくせに、そう誘ってきた尾崎。
テニス部の部長になる前から、テニスも上手く外見も注目される尾崎は、簡単には女
の子と付き合うことは出来ないから、と。
だから、誘われた。
それにOKだと出して、肉体関係を結んだのは。

尾崎の事が好きだったからだ。


見た瞬間から。
尾崎に囚われていた。
シャッターを押しても、映っているのは尾崎ばかり。
それに気付いた藤堂が、間に入り友達として紹介してくれた事は、凄く感謝してい
る。

友達。
表面上は。

じゃあ、裏では?

何度も抱いたこの体。
その関係を、尾崎は止めたいと言っているのだろう。

「やっぱ都合…良いよな、そんなの」

黙っている俺に対し、尾崎は目を伏せて言ってくる。
まるで、また今にも泣き出しそうなその顔。
そんな顔を見せられて。


抱きしめることしか出来ない。


強く腕に力を込める。

痛いのか、息を詰めた尾崎に。





「好きなんだ……」






初めて告げた言葉に。


尾崎の目から涙がこぼれ落ちた。



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ミニアンケート80票記念。密かに続いてしまっています…すみませんっっ。



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