テニス部に入ったきっかけは、風。
風が吹いたの。
お蝶婦人と言う名の。
憧れだった、ずっと。
私の事は、お蝶婦人の視界にさえ入っていないと思ったのに。
なぜか選手に選ばれて、お蝶婦人からラケットまでもらってしまって。
信じられなかった。
夢だと、思ってた。
だって、お蝶婦人だよ?憧れのあの人だよ!!
話したくても話せなくて。
ただ、遠くから見るだけだった人なのに。
「ひろみ」
名前を呼ばれて、鳥肌が立った。
真っ直ぐな視線を受け止める事が凄く辛くて。
目を。
反らしてしまいたい。
「ひろみ」
友達にも、親にも。
呼ばれる呼び方なのに。
お蝶婦人に呼ばれると、特別に聞こえる。
「ひろみ」
お蝶婦人…。
「テニスか私、どちらか選びなさい」
信じ、られなかった。
そんな言葉。
言ってくれるなんて、思ってなかったから。
あなたは憧れの人なんです。
憧れて、憧れて。
それで、テニス部に入ったんですよ……私。
そんな人に。
「選びなさい」
言われるなんて思ってなかった。
答なんて決まってる。
最初から。
ずっと。
私は、あなたが好きなんです。
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女の子は難しいですね…。ミニアンケート10票記念。ひろみ×お蝶婦人みたいだ(汗)