お蝶婦人を初めて見た瞬間、
なんて綺麗な人なんだろうって思った。
欲しい、と思ったわけじゃないけど。
俺の事を見て欲しかった。
そして、見ていたかった。
美しい、あなたを。
千葉と知り合ったとき、お蝶婦人が好きだと言うと
今まで撮った写真を見せてくれて
それに喜んでいると、それがその先も続いていった。
新聞部の部室にも、よく顔を出すようになって
千葉の友達にも顔を憶えられていって。
千葉って存在が、いつの間にかすぐ隣にいた。
いつでも。
いつだって。
俺と、藤堂と、千葉。
その三人がいつでも一緒だった。
特別の感情は。
お蝶婦人に対して。
そうだったはずなのに。
千葉が取った写真が。
どんどん、どんどん。
岡ひろみで溢れかえっていく。
それが、すんげぇ嫌で。
「なんだよ、お蝶婦人撮ってねぇのかよ」
口ではそう言ってたけど。
俺はいつの間にか。
お蝶婦人よりも。
お前が誰を見ているかの方が、気になってたんだ。
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ミニアンケート70票記念。尾崎単独で。なんか最近こんなのばかり浮かびます…。