「いってぇーー!!」
聞こえてきた大きな声
その特徴のある高めの声の主が誰か分かり、千葉は足を止める
聞こえたのはシャワー室の中から
何やってるんだろうねぇ…全く
放っておけない、そんな相手
気が付けばそんな相手になってしまっていた
あいつは俺の事、全く見てないのにねぇ…
「どぉした?尾崎」
「お、千葉じゃん…聞いてくれよ、今さ、角で小指打って…ってぇ…」
「あぁ…」
そんな事…と、言いそうになって千葉は言葉を止める
が、相手にはそれが伝わったようで
シャワーを浴びていました、真っ最中です
と、いった状態で濡れた髪のまま睨み上げてくる
う…わ…
それは誘っているようにしか見えない…
ん、だけど…本人はそんなつもりは無いんだろうな…
「いってぇ…って」
「それは俺に言われても…ねぇ」
「薄情だなぁ、千葉」
「はいはい…」
「うーー…あ、そうだ。写真、撮るか?」
「何を?」
「おーーれ!テニス部キャプレンの華麗なシャワーシーン!!一面トップだろ」
自慢げに自分を指さした尾崎がそんな事を言ってくるから
冗談だと分かっているはずなのに
気が付いたら
自分の相棒が、パシャっと音を立てていた
「あ…」
「あーーー!!!おいおい、マジに撮ったのか!?」
「ごめん」
「ごめんじゃないって!ネガ!ネガ渡せよな」
真っ赤になって慌てている尾崎が可愛くて
渡せるわけないじゃないか…
千葉は笑いながら「ごめんごめん」と謝って
「ネガ、入ってなかったみたいだ」
大きく嘘をつく
「…そぉなのか?」
疑いの眼差しを向けられて
千葉は笑いながらその場を後にした
手の中のカメラ
思いがけず撮れた写真
そこに映っているであろう笑顔の相手を思い
ますます、放っておけなくなった…
千葉の悩みはまだ続きそうだ
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偽物28号…。一話萌えすぎました!!!!