進藤ちゃんはいつもいつでも一生懸命で、次から次へと起こる問題に、いつだって真剣に向き合っている。
なんでそんなに一生懸命なんだろ…って、見てて思ってしまう時もよくある事で、呆れる事だって少なくないんだ。
「しんどーちゃんは…なんでそんなに必なの?」
気になることは訊ねてみましょう。
ってな感じで、部屋に遊びに行ったときに訊ねると進藤ちゃんは驚いた顔で見上げてきた。
「必って…」
「あ、言い方が悪かった…めんごめんご。必っていうかさぁ…いつでも一生懸命じゃん?」
「…んな事ねぇよ」
「いやいや、謙遜はいけませんよ〜」
「そう言われてもなぁ…あぁ、シンクロの事か?」
「そですね。今の進藤ちゃんはシンクロ一色ですからねぇ」
「どうせシンクロ以外何もできてねぇよ」
俺は他の事が器用にできねぇんだよ、お前と違って。
そんな事言われるとは思いませんでしたねぇ…なんだ進藤ちゃん、俺の事そんな風に見てたんだ?
「だーかーらー、成績も上がらないんだよねぇ」
「うっせぇっ…別に成績なんて気にしてねぇし」
「うん、頭のいい進藤ちゃんなんていやだしなぁ」
「それもそれでひでぇ…」
「あはは、いやいや?だって進藤ちゃんが頭良かったら、こうやって勉強教えに来れないっしょ?」
勉強しといて良かった、って思えた事なんだよ…これって。
俺だけの特権、みたいな…さ?
「一生懸命さも凄く良いと思いますよ?」
話ずれちゃったので一応戻して、っと。
「じゃなきゃ俺達だって進藤ちゃんについていこうと思えないしさ?」
「…なんか、照れるな」
「照れなさい照れなさい、これって褒めてんのよー?」
「…サンキュ」
赤くなって俯いた進藤ちゃんが面白くて、わざとしゃがんで顔を覗き込んでみる。
真っ赤だ、ってからかうと複雑そうな顔で見下ろされた。
あれれ?ここはムキになってくる所だと思ったんだけどなぁ。
「…シンクロ以外だって、見えてんだよ…」
「…しんどーちゃん…?」
小さく聞こえた言葉に、今度は俺が複雑だよ?
それってさ…あの子のこと、だよね。
あーやだやだ、一気にテンションダウンじゃん。
って、だめだよな…んな事、進藤ちゃんにばれないように笑ってなきゃ。
「わかってますってば、俺も手伝ってやるからさ?」
「本当か?」
「うんうん、でもとりあえずはー…お勉強に集中しましょー」
「あ、あぁ…わかった、後でな」
「ほいほーい」
あーあ、あとで恋愛相談かぁ…高校生だもんね?青春まっただ中ーーじゃん。
いいなぁ…ねぇ進藤ちゃん?俺だってさ…シンクロと成績以外に気になってる事あんだよ?
『進藤ちゃんがいつも何を悩んでいるのか』
『進藤ちゃんがあの子に告白するのか』
『進藤ちゃんとシンクロ成功させる事ができるのか』
進藤ちゃん進藤ちゃん進藤ちゃんしんどーちゃん…。
あーあ、タテノリってば進藤ちゃんの事ばかりじゃん。
ま、恋なんてそんなもんだよね、って…青春だよなぁ、ほんと。
うんうん、って自分の考えに頷いて。
不思議そうな顔してる進藤ちゃんに勉強を急かしてみる。
つむじでもつついてみようかなぁ、ほんと。
人の気も知らないでー?
だけどさ。
まさか。
『進藤ちゃんが誰を好きなのか』
それってあの子だと思ってたのに。
『進藤ちゃんが告白…』
まさか、まさか…ですよぉ?
両方、聞かされるなんて。
思ってもみなかったですよ、進藤ちゃん…。
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ミニアンケート20票記念…って、随分遅くなってしまいましたぁぁ(滝汗)タテノリは本当に進藤ちゃんお事ばかりばかり…あんなに側で見てくれている人いないっすよ、普通…と、本編見ながら思ってしまう事。