寝顔が可愛いなんて、初めて見たときに言ったのが悪かったのか?
俺、吉森真也は高校の教師なんてしているわけだが。
初めての教え子である3年C組の奴らが無事卒業した後。
そのメンバーであった徹が。
なぜか。
なぜか今。
俺の目の前で寝顔を披露していたりする。
鍵…閉め忘れてたのか?
そう思うのに、それを確かめに行くことさえ、俺は今できねぇでいる。
間近に。
本当に間近にある徹の寝顔。
そして徹の体。
徹の腕。
それは今、俺の背中に強く回されていて。
身動きできねぇだろ…。
もちろん、徹の力(しかも相手は睡眠中)なんて振り払えるんだけどよ。
数センチ前にある寝顔のせいで。
俺は動けないまま、それを眺めているしかできねぇ。
いや、眺めていたい。
徹の寝顔は可愛くて。
時折身じろぎしながら、寒いのか俺に擦り寄ってくる。
そんな姿を見せられて。
ここから抜け出すという選択肢は、今俺の頭に浮かんではこないんだよ。
「…徹」
呼ぶと、余計に密着されて。
俺の胸に顔を埋めるようにしてきた徹の髪が俺の鼻をくすぐってくる。
「…徹」
なんでいんだよ。
どうやって部屋に入ったんだよ。
「…徹」
久しぶりの徹。
卒業して東京に戻ると聞かされて。
俺はそれを引き止めなかった。
「……徹」
会いに行くこともできずに。
気が付けば、もう夏だぜ。
夏でも寒いのは土地のせいだが。
今はそれに感謝だ。
抱きついてくる徹の体。
一度だけ抱いたその体。
「……徹」
「うっせぇよ…」
「やっぱ起きてやがったな、おめぇ」
一度だけ見た、その嬌態。
「吉森がうるせぇから起こされたんだよ」
「起きたら目の前にいるお前が悪い。誰だって驚くだろ」
「…誰にでもしねぇもん」
「そういう問題じゃねぇんだよ」
甘く呼ばれた「先生」の言葉。
「…なんでいんだよ」
「会いに来たんだよ」
「…誰に」
「誰に、ってなぁ…この状態で分かるだろ?」
「会いに来たんだよ、吉森」
「いや、先生?…俺もう、生徒じゃねぇけどさ」
「そうだな」
「だからさ…」
「もう、いいよな?」
そう訊かれて。
更に抱きつかれた。
「もう、いいよな、先生…」
何が。
って訊けねぇで。
そのまま口付けられる。
「好きだよ、吉森…」
「俺、吉森に会いに来たんだ」
その後。
一度だけのつもりの嬌声が。
ずっと聞ける事になった。
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意味不明な感じでごめんなさいっっ。ミニアンケートで吉氏10票記念です。吉氏久々だぁ…ヤン凹もドラマ見返さないとなぁ。