これからの社会主義

社会主義の制度、政策を真面目に議論する

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掲示板「社会主義」読書会 [505]
kai
掲示板で、月刊「社会主義」の読書会をしましょう。
[899] 2023年03月08日 (水) 16時48分

タカ
労働時間短縮について、読書会が
         開催されました。
以下は、掲示板に載っていたものを
  再掲してみました。



標茶町職員自殺。長時間労働。
 雄武町職員自殺。過重労働。

 基本的に、「超過勤務を命じる
ことは犯罪である」ことが、あた
り前の社会とせねばならない。

・三菱電機で、裁量労働制で働いていた男性社員3人が相次いで労災認定を受けた。(内1人は自殺。)
・労災認定を受けていたのは、システム開発の技術者や研究職の男性社員3人。
・三菱電機は、14年前から裁量労働制を適用していた。
・3人は脳梗塞、くも膜下出血を発症したほか、うち1人は自殺していて、2015年3月から2017年8月にかけて労災認定を受けていた。
・三菱電機は、2018年3月、「働き方改革の中で《厳格に労働時間を管理するため》」として、裁量労働制を廃止した。
[408] 2018年10月06日 (土)

※裁量労働の28歳男性  過労死認定  <北海道新聞>
・東京都のIT企業で、裁量労働制を適用されていた当時28歳の男性社員が、昨年、くも膜下出血で死亡し、労働基準監督署が今年4月に過労死として労災認定した。死亡前、最長で月184時間の残業があった。


『NHK、1週間で資本論(2011年放送?)的場昭弘さん』
・マルクスは、(資本論前半はむずかしいので)第8章(労働日)から読め、と示唆している。マルクスは、労働者にこそ資本論を読んでもらいたいと思っていた。第8章に、労働者の姿がえがかれており、その姿をみてほしいという願いをこめて、第8章から読め、という言い方をしている。
『資本論』第8章
・ここでマルクスは、当時の労働者の証言をもとに、その過酷な労働の実態を明らかにしました。
・ある壁紙工場では、繁忙期には、大人も子供も、朝6時から深夜まで、ほとんど休みなく働かされていました。
・労働者ダフィーの証言です。「子供たちは、しばしば、疲れで目をあけていられなかった。実際、わしらでさえ、目をあけていられないことがよくあった。」
・さらにマルクスは、数百人の乗客が亡くなった鉄道事故について分析。事故を防げなかった鉄道員の声を引用しています。「10年ほど前は8時間労働にすぎなかったんです。この5〜6年の間に14時間、18時間、20時間と引き上げられ、バカンスの時など客が多い時は40〜50時間休みなく働くこともめずらしくありませんでした。」
・「あとは、どうとでもなれ」とでもいうのか。資本は、社会が対策を立て、強制しないかぎり、労働者の健康と寿命のことなど、何も考えない。資本論第8章には、マルクスの怒りが満ちています。


『資本論』 第8章 労働日
「今こそ資本論」  フランシス・ウィーン 著  中山元 訳
                ポプラ新書
・マルクスは、生存のための必要な全体量は、1日6時間の労働に相当すると計算している。
・労働者が、賃金を手にするためには、さらに5時間から6時間は働く必要がある。この「剰余労働」が、資本家にとっての利益を、生み出すのである。「他者の不払い労働によらない剰余価値は、初めからそこにはひとかけらも存在しない」のである。
・資本家が剰余価値をより得るための、もっともわかりやすい方法は、労働者に長い時間働かせることである。
◎資本論の第8章「労働日」では、この非人間的な定式が、人間にどのような負担をもたらしたかを詳細に説明している。
[1028] 2024年09月20日 (金) 11時11分
タカ
●2024年9月号
「■ 解散総選挙を全力で戦い抜こう」より
      (失礼します――タカ)

「解散総選挙にむけた戦略、態勢確立が強く求められている。
それぞれの立場の者が、この戦いにどう関わっていくのかが問われている。
小さな取り組みを積み重ねて大きな力としていくことが必要である。
「傍観者でいることは決して許されない。」
   
英国下院総選挙は、労働党が400を超える議席を獲得した。
フランス国民議会(下院)選挙では、急進右派政党と呼ばれる国民連合(RN)の台頭に対し、中道与党連合と左派連合が連携し決選投票でこれを制した。
11月の米大統領選挙が注目されている。
   
(「平和の祭典」であるはずのパリ五輪は、)ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザへの攻撃が続くなど期間中の「休戦」すら実現しなかった。
武力紛争を控えるよう呼びかけた国連の「休戦決議」は有名無実化し、国際社会の分断が一層鮮明となった。

■1.「裏金事件」に対する批判・不信
「裏金事件」は政治資金規正法の改正に焦点が絞られた。
自民・公明両党が強行成立させた改正政治資金規正法について、国民の多くは法改正を評価していない。再発防止の効果など全く信用していない。
なぜ、政策活動費の領収書公開が時効を過ぎた10年後なのか。
なぜ、パーティー券購入者を全面公開しないのか。
「民主主義にはコストがかかる」と言うがどういうことなのか。
国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)はなぜ使途を公開できないのか。
岸田首相は国民の素朴な疑問に何一つ答えようしなかった。
政権与党と国民感覚にこれほど乖離がある。
   
「裏金事件」の張本人である自民党に改正案を出す資格などそもそもない。
「盗人猛々しい」という野党側の追及こそが核心であった。
多くの国民はそのことに気づいていた(本当にそうか?――タカ)が、「数の力」で押し切り、改正案を成立させた。こうした経過は、来る解散総選挙を左右するほどの大きな禍根となる。

東京都知事選挙と同時に行われた都議補選で自民党は2勝8敗と大敗した。「裏金事件」に端を発した自民党への逆風が今なお続いている証しである。自民党が「裏金事件」に対し、きちんとけじめをつけさせることが最大の政治課題となる。
 


■2. 困窮する国民生活
物価高の中で国民のくらしは日々深刻さを増している。
特に、電気・ガス・ガソリン、生活必需品等の高騰は家計を直撃している。
「裏金事件」と並んで解散総選挙の二大争点になることは必至である。
国民にとっての優先順位はこちらの方が上である。

岸田首相は、昨年10月の臨時国会における所信表明演説で、「消費と投資の力強い循環」を力説し、「資産所得倍増」を掲げて少額投資非課税制度(NISA)などを推進してきた。しかし、8月に入ってからの株価や為替相場の乱高下は、「好循環」どころか経済や国民生活の先行きに暗い影を落としている。
物価高と個人消費の落ち込みが著しい。
物価変動を考慮した実質賃金は27カ月ぶりにプラスとなったが消費支出は減少している。
「スーパーで7000〜8000円ぐらいで買えた食料品等が今は1万円以上かかる」というような会話があちこちから聞こえる。
大企業では春闘の賃上げが好調であったが、雇用の約7割を占める中小への波及は限定的であった。
6月から定額減税が実施されたが先の全国世論調査では、「あまり効果がなかった」「効果がなかった」をあわせると75.2%にのぼった。給与明細に所得税の減税額を明記するよう義務付ける対応にも「選挙目当て」との批判が集中した。

国民のくらしを守るべき政治は、すでに国民から見放されている。
国会の機能不全は与党だけでなく野党にも責任がある。政府の無責任な政策を批判すると同時に、野党としての具体的政策や考え方を示さなくてはならない。
時限的な消費税減税は、専門的な立場から「政争の具にすべきではない」(はて?どういうこと?全然わからない――タカ)との声があるが国民生活を直視すれば、検討すべき課題である。(スーパーなどの末端での購入の際の消費税を廃止すれば良い。企業間の売買?の消費税はそのままで良い。――タカ)
財源確保に関して、「防衛費43兆円」の見直しを行うべきである。
トヨタ自動車の3月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前期の約2倍にあたる5兆3529億円と過去最高を更新している。安倍政権で大幅な税率削減を行った法人税の見直しは不可欠である。(収益増のものにだけ税率アップの法人税課税をすれば良い――タカ)
こうした具体的政策の提起が何より重要である。
   
■3. 米軍と自衛隊の一体化
集団的自衛権を容認した2015年の「安保法制」、一昨年の「安保関連3文書」、「敵基地攻撃能力の保有」、昨年末の「5年間で防衛費43兆円」の閣議決定、岸田訪米で決定した米軍と自衛隊の「統合作戦司令部」の設置、7月末の外務・防衛閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)における在日米軍司令部の「統合軍司令部」への再編成など日米の軍事一体化が急速に進んでいる。
 「台湾有事」に米軍が突き進んだ場合、日本が自動的に「参戦」させられる懸念も否定できない。
日米の軍事一体化を通り越し、自衛隊が米軍の一部に完全に組み込まれたとの見方も決して的外れではない。
沖縄県で米兵による性犯罪が相次いで起きている。昨年12月の事件は、今年3月に那覇地検が米兵を起訴したが、それが明らかになったのは6月末であった。5月には米兵による不同意性交致傷事件が発生したが、報道によって発覚したのは6月末であった。両事件とも政府はすべて把握していたが、沖縄県には伝えていなかった。
1960年に発効した日米地位協定は日本側に著しく不平等な内容であるにもかかわらず、一度も改定されていない。事件が起きるたび運用の改善を米側に「要請」するだけでは「主権国家」として体をなさない。政府は、沖縄県民の痛みを受け止め、日米地位協定の見直しに本気で取り組むべきである。
戦後79年の原爆の日を迎えた広島、長崎では平和記念式典が行われた。核廃絶を唱える一方で米国との核抑止力強化を進め、核兵器禁止条約に参加しない日本政府の姿勢は矛盾に満ちている。「核保有国を動かさないと現実は動かない」という岸田首相の言い訳は詭弁である。「核廃絶は遠くに掲げる理想ではなく、いま取り組まなければならない、人類存続に関わる差し迫った現実の問題である」(湯崎英彦広島県知事)との発言に多くの国民が共感した。
長崎市の式典では、イスラエル大使の招待を巡って欧米の大使が欠席するという事態に発展した。多くのマスコミは「平和を願う場に国際政治の対立を持ち込むべきでない」などと論評した。しかし、翌10日には、イスラエル軍がガザ北部の学校を空爆し死者は100人を超えた。昨年10月に戦争が始まって以来、犠牲者が増え続け死者は4万人を超えた。うち子どもの死者は1万6000人に達している。アメリカをはじめとするG7の国々が、武器供与などイスラエル支援を中止し、「停戦」を働きかければ「大量虐殺」は確実に止められる。「即時停戦」「イスラエル支援反対」を訴えるアメリカの若者たちの抗議行動が今も続いている。

 
■4. 野党共闘の再構築にむけて
こうした情勢の中で、解散総選挙にむけた野党側の態勢構築は遅れている。
 ・(1) 信州市民連合の取り組み
  (ここでは、何をどうすべきか、全然わからない。−−タカ)
・(2) 「野党共闘」への妨害
 連合は、「共産党との連携解消」=「排除の論理」は持ち込むべきではない。
国民民主党が、「原発ゼロ」の見直しを公然と立憲民主党に求めている。
7月に入り原子力規制委員会は、敦賀原発2号機原子炉直下に活断層が存在する可能性があるとして、新規基準に適合しないと結論付けた。
(野党共闘、選挙協力は、「裏金事件」に象徴される腐敗した政治を再び国民の手に取り戻すための、「反自民」の結集である。――タカ修正)
   

・(3)「政権交代」をめざす戦い
 野党第1党の立憲民主党を中心とした「野党共闘」が成功し、「政権交代」が実現することが望ましい。
しかし、「裏金事件」に対する国民の自民党批判は今も続いているが、「政権交代」までは求めていないという調査結果がある。

島根1区の有権者が語っていた「お灸をすえる」は自民党政権を前提としており、「政権交代」とは異なる。来る解散総選挙を、「1対1」の与野党対決に持ち込み、「政権交代」を問う戦いにする努力が野党側に求められている。

通常の選挙戦と「政権交代」をめざす戦いは異なる。誰が内閣総理大臣になるのか。どのような内閣ができるのかというイメージが国民の中に広がらないと、「政権交代」の機運は高まらない。
さらに、今までと異なる政治を行ってくれるという期待感が国民のなかに湧いてこなければ「政権交代」など実現しない。「必ず実行する」という国民との具体的公約が重要なことは言うまでもない。

野党の最大の使命は、政権与党の権力行使を監視することである。その上で、法案や予算案について異なる立場や視点から問題点を指摘し、反対、修正、対案提出などを取り組まなくてはならない。
 
先の通常国会では、いくつかの重要案件に対して野党は国民に分かりにくい対応をとった。
例えば、殺傷能力のある兵器輸出を巡る対応である。日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出について、反対の方針を示すことができないまま閣議決定を許した。ウクライナやガザのような惨劇に日本製の兵器が加担することを意味し、戦後日本の立脚点を覆すものである。前項の「原発産業」の利益誘導という指摘を、そのまま「兵器産業」に置き換えれば問題の本質が見えてくる。野党があいまいな国会対応を繰り返せば、政権運営の実績がある与党に支持が傾いていくこととなる。

冷静に分析すれば、与野党ともに、「単独政権」が可能な政治情勢ではない。「連立政権」は不可避と見るべきである。
「政権構想」も重要となるが、世界各国の政治では、選挙結果を受けて「連立」に向けた協議を開始する例も多い。「政策」を優先するなかで「政権構想」も見えてくる。

自民党総裁選に国民の関心を向かせるような流れを許してはならない。自民党内では、「ポスト岸田」として数名の名前がすでに挙がっている。彼らに共通しているのは、「裏金事件」の直接の当事者ではないものの、この問題に対して何も語らずに「口をつぐんできた」ことである。同時期に行われる立憲民主党代表選挙も注目される。誰が選ばれるかだけでなく、どのような政権を目指すのか、どのような政策を実行するのか明確になっていけば、自民党総裁選だけに国民の目が向く流れを止めることができる。


・(4) 大衆行動の強化
 大衆行動が今ほど求められているときはない。
労働組合の大衆運動強化が今ほど求められているときはない。
    (尻つぼみ――タカ)
[1025] 2024年09月02日 (月) 19時51分
タカ
●2024年7月号
■ 政権交代の展望
     宝田公治
■ はじめに
今年になって、島根1区衆院補欠選挙や各地の首長選挙で自民党公認・推薦の候補者が惨敗している。それは最近の世論調査の結果とピッタリ一致している。つまり、世論調査では、「政権交代に期待」が「自公政権の維持」を上回っている。昨年11月から表面化した自民党派閥による「パーティー収入裏金事件」(以下、「裏金事件」)により、自民党は国民から信用されなくなっているからだ。その背景には、物価高による生活苦と社会保障の負担増・給付削減などの不満・不安があり、それが自民党政治への怒りとなっている。与野党の攻防は、23日会期末をむかえる国会と7月7日投開票の都知事選挙で展開され、その結果が今後の政局に大きく影響するが、いずれにせよ今秋の可能性が高いとされる解散総選挙で、いかに野党・労働者・市民による政権交代を成し得るか、その展望を考えてみたい。
   
   
■1. 衆院3補欠選挙と最近の首長選挙
・(1) 衆院3補欠選挙は立憲が全勝
   
この分析は、本誌6月号『小笠原論文』『古山論文』に詳しいので、それを参照していただくとして、簡単に特徴を振り返ってみたい。
   
島根県は、1区を含め1996年小選挙区制導入以来、自民が議席を独占(全国で唯一)してきた保守王国である。島根1区は、96年以来、細田博之前衆院議長が議席を守ってきた。その細田氏の死去による補欠選挙なので、自民党は「弔い合戦」と位置づけ、錦織功政氏を後継に決定、公明が推薦した。立憲・亀井亜紀子氏は、連合島根が推薦、国民民主党(以下、国民)と社民が支援、共産は予定候補者を取り下げ自主支援とした。日本維新の会(以下、維新)は擁立を見送り、与野党一騎打ちの構図となった。結果は、亀井氏が約2万5000票の差で圧勝、錦織氏は「裏金事件」の直撃を受けた。本来の自民支持層の相当数が棄権や亀井氏に流れた結果と考えられる。NHKの出口調査によると、
亀井氏は
自民の30%、
公明党の40%余り、
維新の60%半ば、
無党派の70%後半の支持を得た。

錦織氏は
自民の70%、
公明の50%後半、
無党派の20%余りの支持だった。

時事通信では、自民支持層の2割が亀井氏に投票。2割が棄権ではなく相手の立憲に投票したと伝える。2割が1万票であれば、立憲にプラス2万票の効果があったということである。自民党にとって、この衝撃は大きい。
   
東京15区は9人乱立のなか、立憲・酒井氏が、共産(予定候補者を取り下げ)・社民の支援を受け、維新・金沢氏や都民ファースト・国民推薦の乙武氏に圧勝、自民は不戦敗だった。連合芳野会長は、酒井氏について「共産党の支援を受けることは、連合として容認できない」と、連合東京は自主投票とした。
   
長崎3区は、立憲・山田氏が、社民推薦、国民長崎・連合長崎の支援を受け(共産党は自主支援)、維新・井上氏との一騎打ちに圧勝した。自民党は不戦敗。連合芳野会長は「地域と一緒に全力で闘う」とした。
   
以上から言えることは、
1.自民党には台風並みの逆風が吹いている
2.有権者は維新よりも立憲に期待している。それは野党第一党の優位性と、大阪・関西万博への批判が影響か
3.連合の態度は、共産党が「支援」か「自主支援」かの違いなのか
4.いずれにしても、候補者の一本化が重要。
   
・(2) 首長選挙は自民推薦候補が惨敗
   
詳細な選挙戦の構図まではつかめていないが、簡単に特徴を分析してみたい。
   
2月4日投開票の群馬県前橋市長選は、元民主党県議・小川晶氏が、連合群馬は推薦、共産は自主支援で、4期目をめざした自公推薦・現職山本氏に大差で勝利した。保守王国群馬での勝利である。小川氏は、政党の推薦・支援は受けず「市民党」として戦った。
   
衆院補欠選挙から1カ月後、注目された5月26日投開票の静岡県知事選は、立憲・国民・連合静岡推薦の鈴木氏(元浜松市長)が72万8500票を獲得し、自民推薦の大村氏(元副知事・65万1013票)、共産系無所属の森氏(10万7979票)に勝利した。川勝前知事の突然の辞任に伴う選挙で、最大の争点はリニア中央新幹線の賛否であったが、鈴木・大村両者とも多少の違いはあれリニア推進派、ともに「オール静岡」を主張。社民・公明は自主投票。選挙戦の構図だけみると、与野党対決となった。
   
5月26日投開票の広島県府中町長選は、寺尾光司(65才)氏が6242票を獲得、自公・連合広島・現町長推薦の川上氏(37才、3385票)、共産支持の二見氏(2120票)ら4人に圧勝した。川上氏は岸田首相の長男の応援も受けたが、大差で敗れた。保守対決とはいえ、地元広島での惨敗は岸田首相にはかなりの痛手である。
   
6月2日投開票の東京港区長選は、清家愛氏が、政党の推薦・支援を受けずに2万9651票を獲得、6期目をめざした自公・連合東京推薦の武井氏(2万8123票)に、少差ではあるが勝利した。
   
6月9日投開票の栃木県鹿沼市長選は、連合栃木推薦の前立憲県議・松井正一氏が市民党として戦い、自公推薦の小林氏に大勝した。
   
このように、自民が推薦した候補者は、地方選でも強い逆風にさらされ惨敗している。6月20日告示7月7日投開票の東京都知事選の結果は、今後の政局に大きな影響を及ぼすことは間違いない。
   
   
■2. 世論調査から見える政権交代の展望
昨年11月、「裏金事件」がメディアを席巻するようになって以来、内閣支持率と自民党支持率が低下、立憲支持率が若干上昇、「政権交代への期待」が「自公政権維持」を上回っている。北海道世論調査会の分析(5月分)をたどってみる。
   
   
・(1)内閣・政党支持率と政権交代への期待
   
内閣支持率は、昨年10月に30%を割って以来、12月から今年5月の23.9%まで20%台前半が続いている。不支持率も11月から今年5月の63.1%まで60%台前半である。今年5月と1月の政党支持率を比較すると、
•自民24.3%(1月27.3%)、
•立憲10.3%(同6.8%)、
•維新5.7%(同6.9%)
である。自民が立憲の倍以上であるが、自民の支持率は20%台、その差は縮まっている。一方、立憲と維新の差は拡がっている。ちなみに、麻生政権末期つまり政権交代直前(2009年7月)の内閣・自民党支持率は今日と同様の数字だった。
   
これまで、政権交代への期待はほとんどなかったが、5月は6社平均で「政権交代を」の48.1%が、「政権継続を」の36.8%を上回っている(ちなみに2009年7月では「民主党中心の政権」44.6%、「自民党中心の継続」22.4%であった)。世論は政権交代を求めているが、現状維持を求める声も4割あり、野党の力量が問われている。
「野党に期待できるか」に対し、
「期待できる」は19%、
「期待できない」は73%
と厳しい評価である。
   
   
・(2)暮らしに関する政策にも批判的
   
岸田首相は、国会末解散に向け支持率向上の手段として、
•3月「春闘での賃上げ」、
•4月「国賓待遇での訪米」、
•6月「1人4万円の定額減税」、
•6月「イタリアサミットでの外遊成果」
などを画策した。これらに関する世論調査をみると、24春闘は「30年ぶりの賃上げ率」という結果になったが、
「物価上昇を上回る賃上げ」に対し
「実現する」4.8%、
「しない」92.2%。
「訪米」は忖度報道のおかげで
「評価する」50.4%、
「しない」37.2%
となったが、支持率上昇にはつながっていない。
「4万円の定額減税」については、
「評価する」41.0%、
「しない」56.4%、
「物価高対策になるか」には、
「有効」25.0%、
「そう思わない」66.5%
と評価されていない。減税をアピールするための制度・業務の煩雑さに企業・自治体から悲鳴・批判が上がっている。
国民の生活実感も
「景気がよくなっているという実感はない」80%、
「暮らし向きが今後はよくなるとは思わない」83%
と悲観的だ。
今国会目玉の1つである「子ども・子育て支援」については、
「評価する」28%、
「しない」69%、
「その財源を医療保険へ上乗せすること」には、
「賛成」33.0%、
「反対」58%
など、暮らしに関する岸田政権の政策は評価されていない。
   
   
■3.「裏金事件」の経過と課題
「裏金事件」について、岸田首相は「火玉となって、党の先頭に立ち取り組む」と大見えを切ったが、その後の対応は真逆である。
   
   
・(1)東京地検特捜部と国税庁の対応
   
東京地検特捜部(以下、特捜部)が大量の人員をつぎ込んで捜査したが、起訴したのは議員3人と安倍・二階・岸田派の会計責任者など7人だけ、派閥の幹部議員は不起訴だった。問題は、
1.派閥の会長や事務総長などの議員は起訴せず
2.何故3000万円未満は起訴しないのか
3.なぜ3000万円未満の場合は収支報告書の修正だけで許され、政治家は脱税が問われないのか。
などである。
   
   
・(2)真相解明に後ろ向きの岸田首相・自民党
   
国民が求めていることは、裏金づくりはだれがいつ始めたのか。そして、その裏金が何に使われたのか真相を明らかにすることである。その上で、今後このような事件が起こらないように政治資金の規制を強化するのが筋である。しかし、これまでの自民党の対応は、反省のフリだけで、真相解明の本気度は伝わってこない。
   
   
 i. 派閥の解消
   
岸田首相は、みずから岸田派を離脱し、その後岸田派を解散した。続いて、安倍・二階・森山派、そして茂木派が解散した。本来、派閥は政策を研究することが目的の組織であり、裏金作りの組織ではない。従って、派閥の存在が問題なのではなく、裏金づくりが問題なのである。また、今回派閥を解散したからといって、今後派閥が再生されない保障はどこにもない。
   
   
 ii. 真相解明と国会政治倫理審査会
   
自民党による党所属国会議員へのアンケートは、「収支報告書への記載漏れの有無」と「その金額」だけの調査。その後、不記載のあった議員への聞き取り調査もしたが、報告書に議員名はなく、実態解明にはほど遠いものであった。裏金づくりのシステム構築に関わった疑いのある森元首相への岸田首相の聞き取りも形だけに終わった。
   
当初、裏金議員は国会政治倫理審査会(以下、政倫審)への出席をしぶっていた。その打開に向け、岸田首相みずから出席を表明、その後安倍派幹部らも出席したが、何一つ真相は解明しなかった。少なくとも、偽証罪が問われる証人喚問が必要だ。しかし、自民党が応じる可能性はないだろう。
   
4月4日、自民党による裏金議員への処分が出されたが、アンケートでの裏金議員85人のうち35人だけだった。岸田首相や二階元幹事長など安倍派以外の派閥トップは処分されず、「お手盛り処分」と揶揄される内容であった。
   
真相解明が進まないなかで、新たな疑惑が浮上している。それは、下村元文科相をめぐるもので、その1つは、下村氏が地元の会合で「森会長時代にキックバックをやっていたと認識している」との発言。もう1つは、2022年4月故安倍元首相も出席した会合で決まったとされるキックバックの中止について、「当時安倍派会長代理だった下村氏が、事務局長に複数回再開を要求していた」との派閥関係者による特捜部の事情聴取での供述である。しかし、このことは検察の供述調書には触れられていない。検察への疑惑を惹起する内容でもある。
   
   
・(3)政治資金規正法改正をめぐって
   
このことについて、立憲、維新、国民、共産、有志の会の4党1会派が
1.企業・団体献金の禁止
2.政策活動費の廃止
3.政治家への連座制
の3点で一致し、自民党にせまっていたが、自民党は聞き入れなかった。ところが5月31日午前、岸田首相は公明山口代表、維新馬場代表と個別に会談し、それぞれの要求を受け入れ改正案を再修正した。主な内容は、
1.政治資金パーティー券購入者名の公開基準を「5万超」に引き下げ、施行日は2027年1月
2.政策活動費の支出について、「項目別の金額」と「年月」を公開。「年間上限額の定め」と「10年後の領収書公開」を検討
3.政策活動費を監査する第三者機関の設置を検討
4.岸田首相と馬場代表との合意文書に、「旧文通費」の使途公開と残金返納を別途法整備すること
を掲げた。
   
これに対し、山口代表は「首相が英断を示した」と評価。馬場代表は、4党1会派の主張を翻し、「わが党の考えが100%通った」と賛意を明言した。自民党内では、「岸田首相の派閥解散表明」「首相みずから衆院政倫審への出席」に次ぐトップダウンの決定に、麻生副総裁や茂木幹事長は不快感を露わにしているとのこと。9月の総裁選にどう影響するか、党内不協和音の一因となることは間違いない。それはともかく、再修正案は6月6日、自民・公明・維新が賛成、衆院で可決した。再修正案の問題点は多々あるが代表的なものとしては、
1.公開基準を「5万超」に引き下げても、企業・団体献金は残る
2.10年後に領収書を公開しても、政治資金規正法の時効は5年なので、罪を問えない
3.領収書の公開は、プライバシー保護を理由に支出先が黒塗りされる懸念
4.「検討」事項が多く、先送りや実施されない可能性が大
である。
再修正案について、6月に入っての世論調査JNN・NHK・時事通信・ANNでは、
「評価しない」はそれぞれ70%、60%、72%、59%。
「評価する」は同じく28%、33%、18%、22%
といずれも評価されていない。6月23日国会閉会までに参院でどこまで再々修正されるかが焦点になるが、根本的な課題が解決されるとは思えない。
   
18日夜原稿執筆中、「維新が参院特別委で反対にまわった」とのニュースが飛び込んできた。まさに「ゆ党」だ。
   
   


■4. 政権交代の展望
解散総選挙の時期を断定することはできないが、9月末自民党総裁選後の可能性が高いと言われている。総裁選でメディアジャックを行い、疑似政権交代を演出するとともに、自民党員の求心力を高めて低迷する支持率の回復をはかり総選挙に臨むというシナリオだ。
   
しかし、各種選挙や世論調査の結果は、「自公政権の継続」ではなく「野党による政権交代」への期待が高まっていることを示している。その第一の原因は、自民党が裏金疑惑の真相解明に消極的であることだ。「自民党への不信ここに極まれり」である。さらに掘り下げると、自民党の政策にも不満・不安が高まっている。
1.物価高、実質賃金低下などの経済対策
2.社会保障とりわけ子ども・子育てなど少子化対策の不十分さ
である。この情勢に、野党がどう政権交代をなし遂げるのか。
   
あらためて政権交代への課題は何か。まず求められているのは、野党第一党・立憲民主党のリーダーシップである。野党共闘が強化されることによって「期待できる野党」と評価も高まり、「もう1つの選択肢」に成り得るのである。そのための1つは、総選挙にむけた主要政策である。筆者は2月巻頭言で「立憲の理念である『支え合う社会』(公助の充実)と自民党の『自己責任社会』(自助の押しつけ)とは対立軸にある」と分析した。公助(政府の支援)の重要性は、コロナ禍、能登半島地震、円安・物価高対策などで証明済みだ。この理念に基づいた主要政策を掲げ、他の野党との合意に努力することだ。2つは候補者調整の努力だ。自民党への不信が高くても、野党がバラバラでは自民党を利するだけだ。3つは、そのためにも個々の野党勢力が一本化への努力がなされなければならない。とりわけ連合にはそのことが求められている。また、地方における共闘づくりの努力も必要である。地方にはその経験があるはずだ。4つに、大衆運動との結合である。これだけ生活や平和、政治の信頼が脅かされている今日、野党・労働者・市民が社会に訴えるもう1つの方法は大衆運動である。
   
今ほど自民党によって国民が失った30年を政治で取り戻すチャンスはない。野党・労働者・市民が力を合わせ、政権交代を実現しよう。
   
(6月18日)

[1019] 2024年07月25日 (木) 23時01分
タカ
昨日の、
■「原油の安定供給のためにイスラエルの存在が不可欠である」とは。

1978年、アメリカのカーター大統領は、エジプトのサダト大統領とイスラエルのベギン首相の両首脳をアメリカの大統領の別荘地であるキャンプ・デービッドに招き、3 首脳による中東和平首脳会議を主催した。

※キャンプ・デービッド合意と、エジプト・イスラエル平和条約

 パレスチナ人の権利・西岸地区などへのイスラエル人入植問題等々、また、スエズ湾、スエズ運河での自由航行が議論され、平和条約により、「原油の安定供給」がなされるようになった。
 イスラエルの力の低下や、逆に、軍事的紛争等による「平和」状態が崩れれば、「スエズ湾及びスエズ運河での原油運搬船の自由航行ができなくなる。」
 したがって、「原油の安定供給のためにイスラエルの存在が不可欠である」とは、「イスラエルの存在」=合意事項、平和条約の履行が必要であるという意味ではないか。」
[1002] 2024年04月19日 (金) 12時28分
タカ
●2024年4月号■ 岸田政権の即時退陣を求めよう    足立 康次
■ はじめに
イスラエル軍によるガザ侵攻での死者が3万人を超えた。誰もが、ハマスの奇襲とイスラエルによる侵攻の犠牲者の不均衡に気が付いている。ネタニヤフ政権は明らかにパレスチナ人をガザから追放しようとしている。日本も含む欧米諸国の批判も腰砕けだ。日本も含めた帝国主義諸国にとっては、今なお重要なエネルギー源である原油の安定供給のためにイスラエルの存在が不可欠だからである。
こうした抑圧と分断に満ちた世界の情勢を大きく変える可能性を秘めているのは、グローバルサウスと呼ばれる新興国の独自外交であり、欧米各国で、ストライキをもって立ち上がる労働者階級の闘いである。この中での、日本の課題について考えてみたい。
■ 最高益を更新する独占資本と低迷する消費
コロナ禍から回復した独占資本は、「上場企業、3期連続最高益」と高収益を確保し、株価も史上初めて4万円の大台に乗せるなど「好景気」に沸いているが、私たち勤労国民にその実感はない。むしろこの間の日本経済の停滞の方が際立つ結果となっている。その主因も「海外投資家の買い」(2024年3月5日 日経新聞)だとすると、その内実はいよいよ怪しくなってくる。高騰するマンション価格はミニバブルと言えるのかもしれないが、日本全体がバブルに沸いている、とはいえず、特定の独占資本、富裕層だけが潤っている。
消費者物価指数(総合)をみれば、2020年を100として、2023年は105.6となっているにも関わらず、家計調査にみる2人以上勤労世帯の消費支出は同期間でほとんど増えていない(2020年1月の消費支出は31万2473円、2024年1月のそれは31万3165円)。他方「世帯主の配偶者の有業率」は、同じ期間で54.8%から57.3%に増えている。物価高の中、実質の消費を切り詰めながら、一家で働き出る姿が見て取れる。
23年10〜12月期のGDP改定値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が年率換算で0.4%増となった。しかし、その内実を寄与率で見れば内需マイナス0.2ポイント、外需プラス0.6ポイントであり、外需依存は明らかだ。個人消費も▲0.3である。このことは名目賃金から物価変動の影響を差し引いて算出した実質賃金指数(現金給与総額)でも確認することが出来る。同指数の対前年同月比は、2022年4月に▲1.7となって以降マイナスを続け、2023年12月▲2.1とプラスに転ずることが出来ないでいる。2023春闘における定昇込み賃上げ計は3.58%、賃上げ(=ベア)分は2.12%(連合最終集計)であったが、これは組織された労働者の賃上げ率であるが、これでも2022年度の消費者物価指数103.2に届かない。
ことは賃金だけに止まらない。労働者の働き方も切り詰められている。その氷山の一角が、自動車業界で多発する品質検査の不正である。22年には日野自動車でトラックエンジン排ガスデータの不正、23年3月には豊田自動織機がホークリフト用エンジンの排ガスデータの差し替え、同年12月にはダイハツ工業で新車の安全性を確認する試験などの不正に対して、国内外の全工場で、自社開発の自動車の出荷が停止された。不正を調査するため立ち上げられた第三者委員会は不正の原因として「短期間での新車開発」をあげた。開発期間を守ることが目的化し、最終工程である認証試験にしわ寄せがきていた、というのである。資本主義的競争の激化が労働者の働き方を歪め、手抜き作業、不正に追い込んでいるのである。
もちろん生活苦は勤労世帯だけでなく、生活困窮者も直撃する。「2023年の生活保護の利用件数は25万5079件で、前年と比べて1万8112件(7.6%)増えた。申請件数の増加は4年連続。厚生労働省はコロナ禍に加えて物価高の影響が押し上げたとみている」(2024年3月7日 朝日新聞デジタル)。
■ 2024春闘で勤労国民全体の底上げを
連合による先行組合回答ゾーンを終えた3月15日に発表された第1回回答集計によれば、平均賃金方式で1万6469円、5.28%(昨年同期比4625円増、1.48ポイント増)、賃上げ分が明確にわかる賃上げ分は1万1507円、3.70%となった。うち、300人未満の組合の加重平均は1万1912円、4.42%である。筆者の力量もあり、33年ぶりの5%超えという。これだけの情報で2024春闘を概括することはできない。とりまく情勢と、注目点についてのみ触れることとしたい。
誰しもが指摘する春闘の特徴は「人手不足」のもとでの春闘であり、インフレ下の春闘だ、ということである。人手不足の原因は政府の子育て対策批判の項で述べた通りである。言い方を変えれば、日本資本主義は労働力の価値通りに賃金が支払われず、したがって労働力の再生産が困難な社会になってしまっている。その結果が人手不足である。完全失業率など統計的に見ればすでに2017年ごろから「人手不足」は叫ばれていたが、労働力の売り手同盟である労働組合はまだ立ち上がるに至っていなかった。2020年からのコロナ禍により、一時的に雇用が「蒸発」し、「人手不足」は一旦後景に退いた。あらためてこれが意識されるようなったのがコロナ後である。インフレについても触れたとおりだ。2023春闘でたしかに潮目は変わった。しかし道は半ばである。
2023春闘から2024春闘に引き継がれた課題は大きくは2つあるだろう。
1つは、大手と中小の格差是正の問題であり、そこに立ちはだかる価格転嫁の壁である。中小企業庁が2023年9月に行った調査の中の「受注企業側から見た価格転嫁の業種別ランキング」を見ると、全体の「コスト増に対する転嫁率」は47.6%。紙・紙加工(58.6%)、卸売り(67.1%)、機械製造(53.4%)などは相対的に転嫁率が高いが、自動車・自動車部品(34.7%)、放送コンテンツ(24.5%)、トラック運送(21.1%)は転嫁率が極端に低い。公正取引委員会は3月7日日産自動車に対して下請代金支払遅延等防止法に違反する行為が認められたとして、同社に勧告を行った。同勧告によれば日産は、下請代金の額から割戻金の名目で総額30億余りを差し引いていたという。3月12日にはコストコに対しても同趣旨の勧告を行っている。運輸業界が直面する2024問題も、労働に見合う対価の引上げ抜きに進められれば、個別資本が廃業に追い込まれ、労働者は賃下げに直面するほかない。連合が提唱するパートナーシップ宣言も、独占資本による中小企業の収奪を少しでも減らし、労使による賃上げ交渉の原資を確保するという意味で重要な取り組みであると考える。
適正な価格転嫁は地方自治体とその委託事業を受託する企業との関係においても不可欠である。下請け企業労働者の最低限の賃金を確保するためにはこのことを保障する公契約条例の制定が求められる。医療・介護・福祉など公定価格のもとで受託する事業者、とりわけ公的病院や、社会福祉協議会など公的セクターの経営悪化にも目を向ける必要があるだろう。こうした事業体は公定価格のもとでは民間事業者と同列に扱われながら、「公的」であるがゆえに、民間事業者が手を出しにくい不採算事業を主に担うからである。この部門については自治体による事業の正当な評価と、それに見合う費用の補填が不可欠である。公共交通や、定期昇給制度廃止の提案が伝えられている郵政など、公共性を持ちながらも容易に価格転嫁できない事業に対する公的な援助も不可欠であろう。
2つは、発表される額、率に惑わされることなく、その内実を見極める必要性である。2023春闘でも多くの資本が人材確保のために初任給部分を重点的に引き上げた。初任給のみを引き上げればその前に入った労働者は賃金で新規採用者に追い抜かれてしまう。これを防ぐためにどの資本も一定の在職者調整を若年層に行い、逆転を防ぐのであるが、これをどこまで行ったかによって、労働者全体のベースアップ額は大きく異なることとなるからである。
■ 求められる安倍的政治からの脱却
以上の通り、国民の生活は困窮と不安定さの度を深めている。この中で日本の政治に求められているのは安倍的な政治から決別し、熟議を尽くし、国民生活に焦点をあてた政策に転換することである。
安倍政権以降の政治手法は、官邸に権限を集中し、マスコミを統制しながら、熟議を軽んじて、強権的に政策を断行する政治からの脱却である。岸田政権は強権政治に便乗し、政策を実行しようとしてきたが、ここにきてこの政治手法の行き詰まりが露呈してきている。
自民党派閥による政治資金パーティーでの裏金づくりは、勤労国民の怒りを掻き立てている。問題の焦点は、議員本人に還流された「政治資金」があまりにも巨額であり、しかもその使い道が全く明らかになっていないことである。自民党総裁である岸田文雄首相は、派閥の解消、政治資金規正法改正、政党のガバナンス改革をもって、この問題の火消しにあたろうとしたが、それは今回の問題の全容が明らかにされたあとの課題である。衆参における政治倫理審議会では、自ら出席した岸田首相を筆頭に、各議員とも弁解と不明瞭な回答に終始し疑惑はさらに深まった。議員1人ひとりがその発言に法的責任を負う証人喚問を行うことが不可欠だ。
この問題を受けて、内閣支持率は各社とも低下している。北海道世論調査会の集計によると2月の平均は、支持、21.6%(対前月▲2.2ポイント)となった。政党支持率でも、自民党24.9%(対前月2.5ポイント減)と下野前の福田内閣の最低値を下回った。「政治資金問題での首相の評価」が、平均15.7%(NHK、朝日、日経の平均)であることから、支持率低下の背景に裏金問題があるのは明白である。そして、政倫審に出席した5人の議員について、86%の人が「説明責任を果たしていない」と感じ、安倍派幹部を立件しなかったこと、実態解明が進んでいないことに不満を募らせている。一方の野党は、立憲8.2%(対前月2.6ポイント増)、日本維新の会6.4%(0.6ポイント増)と昨年12月に続いて立憲が上回った。トリガー条項の凍結解除が進まないことで、自公との3党協議を離脱した国民も0.5ポイント上昇している。次の衆院選での比例代表の投票先も、自民・公明を合わせて3割を切った。
もちろん、今国会の論戦を裏金問題のみに終わらせてはならない。第一は、「異次元の」子育て支援を口実に進められようとしている隠れ増税である。2月27日に昨年の出生数が75.8万人と公表されたように、少子化対策は喫緊の課題だが、本誌で多くの論者が主張してきたように、少子化の背景には、正規労働者の長時間労働とこれを背景とした家庭における男女の著しい家事負担の不均衡(それを助長する税控除の仕組みなど)と、非正規労働者の増加を主な理由とする非婚化の増加を上げなければならない。
ところが、今回示された子育て支援策は、労働環境、雇用制度の改善に手を付けることなく、現に子育てを行っている家庭への金銭的支援に特化した政策を羅列し、支援金制度と称して2026年度から社会保険料に上乗せして調達しようとするものである。1人当たりの負担額も、岸田首相が2月には1人当たり、500円弱と答弁したのだが、その2週間後には支援金を所管する加藤鮎子子ども家庭相が、「1000円を超える方がいる可能性」と発言。額自体も大きく揺れている。もとより、調達すべき額(1兆円とされる)ありきの支援金制度であり、被保険者の人数などを基準にそれぞれの負担額を保険者に割り振るものである(負担者は各保険者ということになるだろう)。これは事実上の増税である。
地方自治法改正案は、中央集権化を進める法案である。「コロナ禍での教訓」を逆手にとり、「大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」においては、法の定めによらず閣議決定のみで国は地方公共団体に対し、国民の生命等の保護を的確かつ迅速に実施するため講ずべき措置に関し、必要な指示ができる」とされる。憲法上地方自治体は、「地方自治の本旨」に基づき、自律的に地方行政を行う主体である。辺野古新基地建設に関する代執行に象徴される国益を最優先に住民をないがしろにする政治が法的根拠なしに全国に広がることとなる。
安全保障において米国に追随することに終始する岸田政権は、昨年11月の墜落事故により全世界で飛行停止となっていたオスプレイの飛行再開を米軍が決定するや、なんの異議を唱えることもなく容認した。事故原因は一切公表されず、同機が配備されている自治体(東京・横田、千葉・木更津、沖縄・普天間)への説明もされていない。ここでも住民無視は一貫している。
大軍拡と増税の中で浮上しているのが、次期戦闘機の日英伊3国での共同開発と第三国への輸出問題である。「平和の党」を自認する公明党が抵抗を示したものの、3月13日の参院予算委で岸田首相が武器の第三国への輸出解禁に関し「次期戦闘機の共同開発プログラムに限定」した上で、輸出対象国は日本が防衛装備品・技術移転協定を結ぶ国に限り、戦闘が行われている国を除く、と答弁し、幕引きがなされた。武器に色がついているわけではない。「アメリカ向け装備部品増産へ」(2024年3月10日 読売新聞オンライン)は、ウクライナへの輸出で不足する米国の砲弾やミサイル不足を、日本が米国向けに輸出することを決めたと伝えている。第三国を経由すれば、紛争当事国への武器輸出は可能であり、岸田首相の言う「歯止め」は機能しない。
日本政府は、この次期戦闘機の共同開発にすでに5343億円を投入している(NHK政治マガジン2023年4月25日)。今後どれだけかかるは、各国の負担割合にも左右されるが、同機と同じ第5世代機であるF22の開発費は2.3兆円、F35は6.1兆円だったという(同記事より)。他の2国の思惑もからみ、共同開発が「順調に」進むか自体見通せない。たとえ無事に完成しても、投下した資金を回収するためにはより多く生産し、売却しなければならないという危険な落とし穴にはまっていくことになる。ただちにこの共同開発から手を引くべきである。
今国会の課題はこれらに尽きるものではないが、いずれにせよ国会内における野党の追及に不満を鳴らすばかりでは何も進まない。求められているのは野党の腰砕けを許さない大衆運動の盛り上がりである。自民党はここにきて浮上した和歌山県連の不祥事など、容易に解散総選挙をうてる情勢にない、と言われているが、4月28日には東京15区、島根1区、長崎3区での補欠選挙の投開票が予定されている。自民党は東京・長崎では候補を擁立しないと伝えられている。自民が必勝を期す島根で落選すれば、自民党内の岸田降ろしが一気に加速するかもしれない。たとえ島根で勝利しても、今年9月の総裁再選を目指す岸田首相は、現有勢力が減っても、自公で過半数が維持できると見なせば、勝負に出てくる。
このような情勢の中で私たちに求められているものはなにか。1つは、果敢に春闘を闘う労働者を支援することである。その行動の中で具体的な労働者の声をつかみ、政策に作り上げていくことである。2つは、国民の自民党政治への怒りの背景に物価上昇、社会保険料負担の増大、低賃金、不安定雇用があることを見据えて、自公政権と対峙していくことである。最低賃金の全国一律1500円への引上げ、非正規労働者の処遇改善は急務である。充実が求められる社会保障について、その財源を独占資本への法人課税強化、富裕層への累進制強化に求めるべきである。3つは、そのことを通して、私たちの敵は同じ労働者階級の中にいるのではなく、蓄積した利潤をため込んでいる独占資本にあることを社会的に明らかにしていくことである。
全国各地で与えられた条件は異なるが、以上述べた課題は共通する。289の小選挙における野党の候補者一本化に向けた努力を積み重ね、岸田政権、そして自公政権を打倒するため、早急に総選挙態勢を確立することが求められている。
<3月18日>
[996] 2024年04月01日 (月) 10時05分
タカ
2024年1月号に次の寄稿がある。
『英国の賃金闘争とストライキの現状』 秋本 洋 さん


ヤフーニュースで次のニュースを見つけた。

次のイギリス首相に“最も近い男”スターマー氏
 FNNプライムオンライン
イギリスでは2024年にも総選挙が行われるが、与党・保守党の支持率は低迷しており、最大野党・労働党による政権奪還が現実味を帯びている。そして「次の首相に最も近い男」とされるのが、その労働党のスターマー党首である。

総選挙は2024年秋か
G7広島サミットで来日し「お好み焼き」作りや「カープ靴下」などで日本で人気となったスナク首相だが、イギリスの調査会社ユーガブが2023年12月12日に実施した世論調査では、「誰が首相に適任か」との質問でスナク氏とした回答はわずか19%に過ぎない。 物価の上昇や成果が出ていない難民問題などが響いてスナク氏を推す声は少ない。                 そして与党・保守党の支持率も22%と低迷している。 イギリスでは、5年の任期満了となる2025年1月24日より前に次の総選挙を実施する決まりになっているが、イギリス政治を専門とするストラスクライド大学のカーティス教授によると、総選挙は2024年秋に行われる可能性が非常に高いという。 「解散時期を決めるのは与党の保守党で、できるだけ遅い時期にしたいだろうが、クリスマス休暇での選挙活動は避けたいため、2024年10月か11月になる可能性が高い」

保守党政権に国民うんざり?
低迷する保守党を横目に、支持率でリードを広げ14年ぶりの政権奪取を目指しているのが最大野党の労働党だ。政権交代をにらみ1997年に政権についたブレア元首相を手本に経済成長などへの実行力をアピールし、その支持率は44%と保守党の倍近くとなっている。 前出のカーティス教授は保守党による失策となかなか回復しない経済状況が現政権の支持率を下げ、よって最大野党である労働党の支持が高くなっているという。 「ジョンソン元首相がコロナ禍に首相官邸でパーティーを開いた疑惑で多くの国民の反感を買った。そして、後継者のトラス前首相による経済政策が金融市場の混乱を招き辞任に追い込まれたことが保守党の支持率が大きく低下した主な理由。その後のスナク氏もあまりパッとせず、相対的に最大野党である労働党の支持が高くなっている」

■「社会主義」2024年1月号
『英国の賃金闘争とストライキの現状』 秋本 洋 さん
五、おわりに
 英国では現在、労働党の支持率は保守党を上回っており、英調査会社ユーカブによる23年10月4〜5日の世論調査では労働党の支持率は45%を記録し、保守党より21ポイント高いという結果が出ている。
 経済優先を掲げる中道寄りのスターマー党首の下で、14年ぶりの政権奪取が実現する可能性は大きい。この労働党の高い支持率は、ストライキを実行する英国労働運動の力により支えられていると考えられる。

[972] 2024年01月02日 (火) 11時36分
タカ
・2024年1月号の「社会主義」へ、足立
康次さんが「イスラエルはただちにガザ
への攻撃を停止せよ」を寄せている。

・押さえるべき点は、@イスラエル・ネ
タニヤフ政権の成立と、ネタニヤフが汚
職問題で裁判中であること、Aガザ地区
でのハマスが実権を握る経過、Bイスラ
エル軍の人道的に破滅的な殺戮攻撃、
C日本政府は国連を通して戦争停止をさ
せること、だと思う。

【*X(旧ツィッター)から】

・ガザの市民を殺傷するイスラエル軍。
老人を殺害した自衛隊員。
同じだ。

・ガザ地区のパレスチナ人民よ!
宗教を放棄せよ!
ハマスを追い出し、民主的政治を打ち
立てよ!

・ガザ地区のパレスチナ人民よ!
ハマスとイスラエルを断罪せよ!
ハマスをイスラエルへ突き出し、イスラ
エルにパレスチナ人民の命と財産を償わ
せろ!

・イスラエル軍の、避難所、病院等への
攻撃・殺戮は、犯罪だ!

・テレビのニュースを見た。
メタニエフは、自分の公判をさせないた
めにガザ地区へ攻撃を行い、あれほどの
命を奪っているのか?

・ガザの住民が言っていた。
「誰も助けてくれない」と。
アラーの神は?
宗教により紛争が起き、身内が殺され、
自身が荒れ地に放り出され、恐怖にさら
される。
『宗教なんて無くなっちまえ』って感じ?
[971] 2023年12月29日 (金) 20時16分
タカ
■ 資本の論理を徹底させてきた岸田経済政策 
岸田流「新しい資本主義」の改訂
2年経った今、大した成果も示せないまま多くの国民の失望感を誘い、政権への支持率を大きく落としている。
「分配のあり方」、所得格差の拡大への対処、税制を通じた再分配の是正の可能性の期待を持たせたが、賃上げはほとんど掛け声だけ、最低賃金の引き上げ幅を僅かに高めたり、介護労働者などへの一時的な賃上げを行ったりしたことが実際に実行された施策であり、大多数の労働者の実質賃金は物価上昇によって低下してしまっている。
 現在の日本経済が抱えている労働力ミスマッチ問題は、介護士や看護師など今後の超高齢社会を担う労働者の不足であり、建設現場などで働く労働者の不足である。有効求人倍率(2023年8月分)を見れば、建設躯体工事従事者9.47倍、介護サービス職業従事者3.94倍などとなっている。こうした分野での労働力不足という現実への対応を軽視して、「成長分野へ」というのは経済成長に幻想を持たせるイメージ作りにしかならないだろう。
資産所得倍増が手段であれば、資産家の所得が増加するだけであって、多くの労働者にはなんのメリットもない。資産家層がますます所得を増やし、平均的所得階層はますます疲弊していくだけである。資産家優先政策を臆面もなく「分厚い中間層の形成」と言っているが、彼らの頭にある「中間層」とは大資産家とまでは言えないが、高額所得の大企業役員・管理職といった階層である。中間層を分厚くするためには、最低賃金の引き上げなどを通じて、平均所得以下の勤労階層の所得をあげる以外にはなく、資産所得の増加など全く関係がない。
政府が労働市場の改革を言うのであれば、政府が実行できることをまず行うべきであり、公務員の非正規雇用を止めること、同一労働同一賃金を実現すべきである。
 中小企業の賃上げのためには、「賃金などの労働条件は、企業経営者が雇用する労働者と交渉によって決定し、契約するものであって、対等な交渉ができるように中小企業分野での労働組合組織化を進めることが最大の解決の道である。」
優越的な立場にある大企業による下請け企業への搾取を緩和するためには下請法のさらなる強化(罰則や不当行為の範囲の拡大)および公正取引委員会によるエンフォースメントの強化が必要である。
 岸田首相ら自民党幹部は最近になって減税を仄めかす発言を行っている。支持率低迷に対する焦りもあるが、所得税減税や法人税減税を先行させる一方で消費税増税を行い、さらに税制の逆進性を強める狙いもあるのではなかろうか。中曽根政権以来、一貫して自民党が推し進めてきた格差拡大政策をさらに進めていこうとするものだ。
 十倉経団連会長は、経団連の政党への評価を発表し、その中で、自民党の課題として経済成長と財政健全化の両立をはじめ「こども・子育て政策において、広く国民全体が負担する財源のあり方の検討」を主張し、消費税増税を強く求めた。その上で、会員企業に自民党のみへの政治献金を呼びかけた。まさに自民党と経団連は一体である。
企業設備投資の水準はGDP比16.9%(4-6月期)とかなり高い水準でピークアウトしてきており、設備投資額そのものも年率換算99兆円の高水準となっている。民間企業設備の実質固定資本ストックの伸びも高まってきており、来年には設備過剰が生まれてくる可能性が高い。
 日本経済の長期的な行き詰まりは、日本独占資本自体は史上最高水準の莫大な利益を上げ続け、外国への投資を拡大し、資本としての搾取力を強化している。ただし、今後の国内における長期的な成長分野は限られ、新たな実物投資機会(生産手段の取得と投下の機会)は、広がっていない。そのために、特に日本独占資本は金融資産を過剰に蓄積することになっている。この一部分は企業買収資金となり、大企業は設備投資より他企業買収による企業規模拡大に傾斜してきている。企業買収の対象はその多くが外国企業である。資本は利益機会を目指して国境を超えて移動する。多国籍化の度合いを強める日本の大企業の多くは、すでに日本経済の成長自体には大した興味を持っていない。
   こうしたあくなき利益追求を基礎とする資本主義のもとで、労働者の実質賃金は下がり続け、自営業・零細企業経営も多くが苦境に追い込まれている。労働者・勤労国民の生活を守るための政策課題実現のためには、労働運動の強化を基盤として、反自民の政治勢力の前進が必要である。当面の政策課題として、法人企業減税の効果によって大企業に蓄積された金融資産に対する課税を行い、所得税や相続税における累進性の再強化や給付付き税額控除の導入によって格差拡大を緩和する再分配を行うこと、公的な教育や医療福祉サービスの無料化、低負担化を進めることが必要であろう。また働き方改革の名の下に行われてきた非正規労働(形式的な業務委託を含む)の拡大を逆転させ、労働者の権利が守られる労働環境を構築しなければならない。
 我々が問題にしなければならないのは、現代の資本主義そのものである。資産・所得の格差も常に拡大する。これらの問題は一定の政策的対処で緩和することは可能だが、無くすことはできない。我々は、利潤率を高めることだけに関心を持つ日本独占資本の動きに反対し、人々の生活の向上こそが目的となる経済社会を実現するために資本主義社会の変革を目指していかなければならない。
[955] 2023年11月12日 (日) 20時25分
タカ
月刊「社会主義」2023年6月号 伊藤修さん
P10

V.財政と金融がセットになった危機

いちばん明確でさしせまった問題は、財政危機と金融危機がむすびつき、セットになったものである。
 この問題については、この10年間、本誌でも何度も述べてきたので、詳細をくりかえす必要はないと思う。
 ここでは三月に出た本、元日銀スタッフである河村小百合氏、『日本銀行 我が国に迫る危機』(講談社現代新書)を紹介しておく。その内容はこの間の筆者の分析とほとんど一致し、基本データを載せている点がおすすめである。

  【※図書館に予約したら、順位は20であった。】
[929] 2023年07月20日 (木) 09時47分
タカ
斎藤幸平 『ゼロからの資本論』
ーーーーーーp179
@(若かったマルクスは、)1848年、
『共産党宣言』では、恐慌をきっかけと
して国家権力を奪取し、生産手段を国有
化する「プロレタリアート独裁」を掲げ
ていた。
A『資本論』では、(「プロ独」の考え
を捨てたわけではないが)恐慌待望論は
見当たらなくなる。
B(むしろ、)『資本論』のマルクスは、
労働時間短縮(や技能訓練)に力点を置
いていた。
C(『資本論』は、)革命の本であるに
もかかわらず、重視されるのは資本主義
内部でのアソシエーションによる改良な
のである。
ーーーーーーP180
D『資本論』においては、(マルクスは
楽観的な変革ビジョンを捨て去り、)革
命に向けた資本主義の修正に重きを置い
た。


【タカ……『共産党宣言』と『資本論』は、
たしかに、発行された年齢は違うが、「恐
慌待望論」が見当たらなくなる理由には
ならないし、そもそも、「恐慌待望論」な
るものがマルクスの理論の中に存在する
のか?『共産党宣言』と『資本論』は、
その発出の目的そのものが違うものであ
り、当時の情勢等を考慮する必要もある
と思う。】
[922] 2023年06月07日 (水) 09時21分
タカ
月刊「社会主義」2023年6月号
書評「『ゼロからの資本論』を読んで
――鹿児島、武元四男さんから

これは、サイト「現代社会問題研究会」の
「ほんの紹介・感想」に載せられたものを、
加除、加筆等されたもののようだ。(掲示板
「これからの社会主義」の「質疑・討議の場」
の〔897〕2023.3.4に記載あり。)
斎藤幸平の唯物史観の捉え方に対し、「批判
的に検討すべき」としている。

斎藤幸平は、この本の「『唯物史観』からの
転向」の項で、「生産力を発展させていくこ
とが歴史をより高い段階へ進めていく原動力」
=「唯物史観」と呼ぶとし、「脱成長コミュ
ニズム」の項では、「ロシアの共同体は、西
欧資本主義の果実をうまく取り込みさえすれ
ば、コミュニズム(=「近代社会が指向して
いる経済制度」)を打ち立てることができる
というのだ。」と記述し、さらに、「マルク
スが、自らの歴史観を大きく変えたことを示
唆している。」「『脱成長コミュニズム』に
なっていく。」「ソ連や中国とはまったく違
う、ポスト資本主義社会の可能性を切り開く
のだ。」等々、記す。

【どういうことか、さっぱりわからない。】
※生産力の発展が、歴史をより高い段階へ進
めていく』ことを否定しているのである。
『脱成長』は、生産力の発展を止(や)め、
「歴史を止(と)める」ことにはならない
のか?
[920] 2023年06月05日 (月) 11時54分
kai
2023年3月号 批評 中村元氣さん
「新しい憲法のはなし」
*「戦争の放棄」
・……こんどの憲法では、日本の國
がけっして二度と戰爭をしないよう
に、二つのことをきめました。
・その一つは、兵隊も軍隊も飛行機
も、およそ戰爭をするためのものは、
いっさいもたないということです。
・これからさき日本には、陸軍も海
軍も空軍もないのです。
・これを戰力の放棄といいます。
・しかしみなさんは、けっして心ぼ
そく思うことはありません。
・日本は正しいことを、ほかの國よ
りさきに行ったのです。
・正しいことぐらい強いものはあり
ません。
・もう一つは、よその國と爭いごと
がおこったとき、けっして、戰爭に
よって、相手をまかして、じぶんの
いいぶんをとおそうとしないことを
きめたのです。
・おだやかにそうだんをして、きま
りをつけようというのです。
・なぜならば、いくさをしかけるこ
とは、けっきょく、じぶんの國をほ
ろぼすようなはめになるからです。
・そうしてよその國となかよくして、
世界中の國が、よい友だちになって
くれるようにすれば、日本の國は、
さかえてゆけるのです。
・みなさん、あのおそろしい戰爭が、
二度とおこらないように、また二度
とおこさないようにいたしましょう。



『非武装、非戦、平和』であります。








[900] 2023年03月08日 (水) 17時16分



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