月刊「社会主義」2019年4月号 「キューバ革命60年目の挑戦――憲法改正プロセス」 村上久美子さん、より
◆今年は、キューバ革命60周年。 ・1990年代、経済危機におちいった。 ・米国、トリチェリ法=経済封鎖。 ・ペリオド・エスペシャル(特別期)であった。 ◎対応策 ・食糧の自給めざし、余剰生産物を自由市場で販売することを認めた。 ・個人営業を、業種を限定して認めた。 ・外国人のみが入ることを許されていたドルショップをキューバ人に開放した。(外国から送金された外貨を市場に引き出すため。) [農産物の販売、個人営業、ドル解禁は、格差を拡大し、資本主義の萌芽となり得るとして、それまで禁止されていた。] ・こうした方策が成功し、危機的な経済状況は、1995年に底を打ったのを境に上向きに転じた。 ◆米国は、ヘルムズ=バートン法により、さらなる経済制裁を課したが、危機的事態を回避した。 ・ICAP=諸国民友好協会、CTC=キューバ労働組合本部、医療機関、農業協同組合等々によると、「経済はゆるやかな回復傾向」「毎年2%程度の経済成長」「危機回避から発展へ」とのこと。 ・市場経済を部分的に取り入れる。 ・国が市場経済をコントロールしながら認める方向。 ・市場経済を取り入れながら、社会主義を堅持していく。 ◆2011年4月、第6回キューバ共産党大会 「政治・経済・社会指針」について居住区、職域等の組織で下部討議。 「効率性を高める経営形態」→個人で収益をあげる自営業を広く認める。 ・(それまで認められていなかった)家屋・車輛の売買を認める。(313項目の承認事項) ◆2016年、第7回キューバ共産党大会 ・実施状況の検証→21%の完了。77%実施中。実施されていないもの、2%。 *以前は認められていなかった従業員雇用も解禁された。 ・ ゴージャスな個人経営のレストランが次々に誕生。
◎憲法改正プロセス ・キューバモデルの社会主義 2018年3月、共和国憲法改正草案を全国民へ配布。大衆討議へ。 ・住区、職域、117,822の組織単位で討論会。 ・16歳以上の国民の参加。高校の授業時間内の討議。 ・海外居住のキューバ人にウェブサイトを通じて意見を求める。 *経済的基本点として、主要な生産手段の全国民による社会主義的所有と計画経済を再確認する。 ・市場が生む不平等を回避するという原則のもとに、社会の利益に沿った形で市場の役割と個人所有を認める。 ・経済発展を加速するために外国投資を導入する必要性を認める。 ※大学卒業までの教育の無料、教育の性格を非宗教とする等々について再確認する。 *生産における資本主義的関係の存在を認める。(民間企業による労働力商品の購入を認める。) *財産の蓄積は、合法的に得た富については制限されない。 ◎日本の報道――私有財産が容認される、と。 ◆前文に別項を設ける。 「キューバは、人が人に搾取される資本主義体制には決して後もどりはしない。人間は、社会主義、共産主義社会でのみ完全な尊厳を獲得する。」
十月社「世界の革命」革命史研究会編。1987年2月16日第一刷発行。 第五章キューパ革命。奥統馬著、より。 ・勝利した革命軍、キューバ人民は、臨時政府を樹立。 ・大統領、元最高裁判事のマヌエル・ウルティア、首相、ハバナ弁護士協会会長のホセ・ミロ・カルドナ。 ・17名の閣僚のほとんどが、新聞社主、弁護士など名士で占められた。 ・革命軍出身は3名のみであった。 『上品な中産階級政府』 ・キューバ革命は社会主義革命ではなかった。 ・臨時政府にはむろんのこと、革命指導部にもひとりの社会主義者もいなかった。 ・キューバ革命は、その階級的基盤、方向性からして、民族解放、民主革命というべき性格をもっていた。 ※土地改革の着手 ・臨時政府は農業改革法を発布。 ・約400ヘクタール以上の土地所有を禁止。 ・大地主から土地を没収し、分配、協同組合所有等へ。 *これが、大・中地主の反発を。米政府・独占資本からも。→臨時政府内部にあつれきが発生。 ・ミロ首相、ウルティア大統領が、各々辞任していった。 ・カストロが首相に就任。オスバルト・ドルティコスが大統領に就任した。 ※教育・医療の向上。 ※対米関係と対ソ関係。 ・キューバは、中立政策をとり、米州機構(OAS)の一員としてとどまった。 ・しかし、米政府の介入政策。 (米資本の土地収用→キューバ砂糖の輸入禁止、キューバ向け輸出の全面停止) ・キューバは、ソ連・中国等の社会主義国との貿易を進めるしかなかった。 (米国により、遠国である社会主義国との貿易を強いられたのである。) ・米資本のキューバ全会社を国有化した。 ◆カストロは、「マルクス主義を本からも学びもしたが、何よりもまず、生活から学んだのである。」と述べている。 ・ヒューマニストであったカストロを、さらにマルクス・レーニン主義者へと成長させたのである。
【北朝鮮の今が報道されている。】 ・「自力更生」・105回建て「柳京ホテル」 ・ITコンビューター管理による食糧生産。 ・「野菜科学研究所」・10種類の野菜が栽培。・IT化による温度管理。水耕栽培。 ※社会主義国としての北朝鮮の、「制裁」の中での、生産力のアップを期待したいものだ。 ・「核」に資金と労働をまわす必要はない。 ・ロシア、中国は、北朝鮮へのバックアップをすべきだ。
[454] 2019年04月15日 (月) 00時03分
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