〜聖橋、御茶ノ水界隈を歩く〜
「聖橋を渡ると右に湯島聖堂、つき辺りを右に行けば神田明神だ」
「神田と御茶ノ水って案外近いもんなんですね」
「この近さにはわしも驚いた。そうそう、御茶ノ水は『○○街』と呼ばれる事が多いんだ。学生、楽器、古本…何故かと言うとだな、えーと……」
「ここが、『日本の大学発祥の地』だからではないでしょうか。明治の初めに東大の3つの学部ができ、その後、法政・中央・明治・日大の前身となる法律学校が。今は郊外に移転したのが多いけれど」
「そうだそうだ。そして、若者が集まる街には歌が生まれる。“モーリス持てばスーパースターも夢じゃない!”そんな言葉に乗せられた人もいるかもな」
〜神田明神界隈を歩く〜
「あっという間に神田明神に着きましたね」
「だな。明神の創建は730年と古く、1番目の祭神は大己貴命だが、今では3番目の平将門の方が有名だな」
「そうですね。平将門が初代の祭神と思っている人が多いかもしれませんね」
「ちょっとこい! 纏の碑があるぞ!」
「えっ・・・ って違うじゃないですか! 銭形平次の碑じゃないですか。そうか、ここは野村胡堂の名作、『銭形平次物語』の主人公である平次の家の近くですね」
「よく知っているな。平次の住所は、明神下の元の台所町ということになっているんだこの碑はm鳥の明神下を見をろす地に建立されたんだ」
「石造りの寛永通宝の銭型の中央に平次の碑、その右側に八五郎(がらっ八)の小さな碑がありますね」
「江戸時代以前は神田山と呼ばれた一体。その名残を伝えるのが男坂や昌平坂のような坂の存在だ。だからわしは、その坂こそアカデミックで厳かな風景の下地にある江戸の息遣いのようなものを今に伝えているように思うな」
「そうですね、懐かしいものをだいじにして残すようなことを続けていれば、どんどん東京が新しくなる一方で、下町もまた残るんですね」
「そうだ。だから、下町に関心を持ったらどんどん見に行って、心に焼き付けて欲しいな」