両さんはすっかり大工の棟梁と大酒を飲み意気投合していた。そんな姿を見た、玉三郎一家や、元五郎をはじめとする、両津家の親戚一同はいやになるほど呆れ顔だ。
・勘吉「わははは世の中でタダ酒ほどうまい物はないよなあ棟梁!」
・大工の棟梁「がっはははまったくだ。」
・大工の棟梁の舎弟「棟梁明日の仕事にさしつかえるので帰りましょう。」
・大工の棟梁「なに。」
「せっかくのみごたえのある男とのんでるんだ邪魔するなっ。」
・勘吉「そうそうあんたたち先帰ってねてなさい!」
・大工の棟梁の舎弟「弱ったな棟梁よっぱらうとなにするかわからないんですよ。」
・玉三郎「そんな無責任ななんとかしてくれよ。」
・勘吉「両津家の30回忌を祝ってかんぱーい!」
「しゃほっ〜おっ!!」
・大工の棟梁「おうかんぱーい。」
「がっははは。」
ゴクゴク ゴクゴク
両さんと棟梁は酒樽を一気飲みしていた。
・元五郎「みてる方が気分悪くなってきたよ、バチ当りめ。」
・勘吉「だいたいこの家は柱が多すぎるさっきもここあたった!」
・大工の棟梁「そうか。」
「それはいかん少しへらそう。」
ギーコ ギーコ
悪酔いしている棟梁はのこぎりで柱を切っていた。
・勘吉「そうこの柱悪いやつだ!」
・玉三郎「ぎゃーっなにするんだっ。」
・勘吉「まあまあ家のことは大工さんにまかせなさい!」
・玉三郎「まかせてられるか。」
「我が家の柱がっ、ひいいい。」
玉三郎はショックで大泣きしていた。
・大工の棟梁の舎弟「やめてください棟梁。」
・大工の棟梁「なにっ。」
「うるさいおまえらはひっこんでろ。」
バシッ
悪酔いしている棟梁は舎弟たちをひっぱたいた。
・大工の棟梁の舎弟「うわっ。」
・勘吉「おいおい乱暴はよくないぞ!」
・大工の棟梁「なんだと。」
「文句いうやつは許さん。」
バキッ
悪酔いしている棟梁は怒って両さんを柱の方まで投げ飛ばした。柱が折れたのでる。
・勘吉「やりやがったなちくしょう!」
・玉三郎「やめてくれ家がこわれる。」
・勘吉「でやあーっ!」
グアシャ
怒った両さんも負けじと棟梁を柱の方に投げ飛ばした。
・大工の棟梁「うおっ。」
ガラ ガラ
やっぱり柱が崩れ落ちた。
・玉三郎「うわっくずれるう。」
ガガガ ガラ ガラ
・親戚一同「うわああーっ。」
「助けてくれーっ。」
玉三郎一家の新居は、両さんの乱闘騒ぎにより、わずか一日で崩壊されたのであった。
・玉三郎「ううううう。悲願のマイホームがあっ。ひいいい。」
・元五郎「勘吉のヤツめ、どれだけ、親戚中に迷惑をかければ気が済むんだ。」
元五郎も少々呆れ気味だった。玉三郎から事情を聞いた、大原部長は鬼のような顔で、両さんをにらみつけた。
・大原「両津、お前どういうつもりなんだ、えっ。」
・勘吉「わ、私のせいじゃありませんよ。全部、あの棟梁のヤツがやったんです。あ、逃げたやがったな!」
・大原「そんなうそばかりついてると、お前、本当に監獄行きだぞっ。」
・勘吉「部長、勘弁してくださいよ!」
部長は、両さんに無理やり大工の半纏を着せて、家の立替をさせ始めた。
・大原「両津おまえは家が完成するまで派出所へ帰るな。」
・大工の若頭「ひとりだけで元通りにしてくださいよ。」
・勘吉「くそお。どうしてわしだけ、こんな目に。トホホ!」
カッ カッ
・玉三郎「だから、勘吉のヤツ、呼ぶのはイヤだったんだよ。」
玉三郎はいまさらのように語った。
おしまい