ここは東京都台東区千束の両津玉三郎宅。そう本日は30年前から建設が進められていた新居がようやく完成し親戚一同を招待しての建前パーティーが今まさに行われようとしていた。玉三郎は両津勘吉の叔父である。
・酒屋のアンちゃん「酒おとどけにあがりました。」
・花子「すいませんそこに置いといてください。」
花子というのは玉三郎の妻である。
・玉三郎「花子や、コップもっと用意しといた方がいいな。」
・地域の方「両津さん、本日の上棟式おめでとうございます。」
・玉三郎「どうもおかげさまでようやく我が家がもてましたよ。」
・地域の方「総ひのき造りですってね大工さんもほめてましたよ。」
・玉三郎「いやあ私も家にはうるさい方でね。」
「この柱ひとつにしても最高の木を使ってくれといいましたよ。」
・地域の方「さすがですなあ。」
・玉三郎「おもえば30年前からの計画ですからな。がっははは。」
・地域の方「弟さんのせがれ、まだみえてないですね。」
弟のせがれというのは無論両さんのことである。
・玉三郎「えっ?銀次がくるんじゃないのか。」
・地域の方「代理だって酒屋でいっしょになりましたよ。」
・玉三郎「おい、建一、いそいでその酒をかくすんだ。」
・建一「えっ、父さん、みんなでのむんじゃないんすか?」
建一というのは玉三郎の息子である。
・玉三郎「うわばみみたいなヤツがくるんだよ。」
「全部のまれてしまうぞ。」
・勘吉「どうもどうも!」
・玉三郎「ひいっ。」
・勘吉「酒屋さがしてたもんでねおそくなっちまって!」
・玉三郎「そ、そうですか。」
・勘吉「これうちの部長からよろしくと!」
「うちの部長しみったれでね金少ししかくれないからそれしか買えなくて!」
・玉三郎「い、いやあごていねいにすみませんね。」
「本日はちょっと人数がいっぱいなものでねこれで失礼します。」
・勘吉「いやかまわんよわしは!」
「建前はまだなのかい?」
・玉三郎「(ドキッ。)、さっきおわったところなんですよ残念でしたね。」
・勘吉「そりゃないよあれが楽しみできたんだ!」
「もう一度やろうなっ!」
・玉三郎「正気ですか。」
・勘吉「建前おわったらすぐ帰るよ!」
・玉三郎「本当ですね帰りますね。」
・親戚一同「えっ建前をもう一度やるんすか!?」
・玉三郎「たのむよ形だけでいいから少しだけ。」
・元五郎「せっかくたべようと思ってたのに、勘吉のヤツめ。」
元五郎というのはもちろん両さんの叔父である。
・大工の若頭「それでは両津家の新居を祝って建前を始めます。」
・勘吉「いいぞやれーっ!!」
・大工の若頭「それっ。」
・勘吉「うおおおおおおーっどけどけ!!」
「やった現金だ現金!」
・大工の若頭「それーっ。」
・勘吉「おっ今度はあっちだ!」
「どけどけいみんなとるなっ!」
「くそっモチか現金の方がいいのに!」
「うおおっやったあ生の100円玉だ!」
ガン
建築中の柱が両さんの頭に激突した。
・勘吉「だれだっこんなところに柱たてやがったのはいてて!」
・元五郎「建築中の家だよ柱だらけはあたり前だよ、勘吉。」
・玉三郎「勘吉のところ中心にまいてくれ家がこわされてしまう。」
・大工の若頭「は、はあ。」
・勘吉「うおおおおおおーっどういうわけかわしのところばっかりふってくるぞ!」
・玉三郎「みなさんどうももう席についてけっこうです。」
・勘吉「おやみんないなくなっちまった!」
「そうか祝い料理の時間かなるほど!」
「ちょいとごめんよ席あけてくれ!」
・玉三郎「勘吉、建前おわったら帰るといったろ。」
・勘吉「そうだっけ記憶にないなあ!」
・大工の棟梁「まあいいじゃないか本日はめでたい日だから。」
・地域の方「主人ケチケチするなよ。」
・玉三郎「しらんぞーっ。」
・勘吉「こりゃ悪いね!」
・大工の棟梁「どんどんやっとくれよ、がっははは。」
・玉三郎「酒足りるかな。」
・大工の若頭「いくら人数多いたって2斗あれば十分ですよご主人。」
・勘吉「ちょいとごめんよ酒もらいにきた!」
・大工の若頭「はいどうぞ。」
・勘吉「こっちをもらうめんどうだからな!」
・玉三郎「みろ並の人間とはケタがちがうんだよアイツは。」
・大工の若頭「小さい体でどこにあれだけの酒はいるんですかね。」
この後いったいどういう展開が待っているのか?次回をお楽しみに!