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[149] ポケットモンスター アークジェネレーション!!         番外編2「始動の猛火」
@ - 2004年05月17日 (月) 01時05分

今までの話はこちら



「そろそろ時間ね」

 机の上にチルットドールが置かれた、11〜12歳ぐらいと思われる少女の自室。
 自分の部屋で彼女は、ポケモンギア……通称ポケギアを見ながら言った。時計機能が内蔵されたその機器の画面には、8:45と表示されている。約束している時間は9時で、家を出るには今が丁度よい頃合いの時刻だった。

「ケイコ〜、そろそろ時間じゃないのー?」

「うん! 今から出かけるトコよ、お母さーん!」

 下の階から聞こえてきた母の声に、少女は声を大きくして返事をする。

「さ〜て、出発出発♪ 何たってアタシは、今日からポケモントレーナーになるんだからね!」

 キュロットスカートをはき、リボンで束ねてポニーテールにしている髪が印象的な女の子……景子(ケイコ)。
 これは、本編より半年前から始まった話である。

 

 

 

番外編「始動の猛火」

 

「う゛〜……さ、寒い。あーあ、早く暖かくならないかしら?」

 表に出たケイコは、冷たい風に吹き付けられて身を震わせた。これから来るであろう春という名の季節を恋しがりながら、ケイコはマサラタウンの町中を歩く。元々人口の少ない町な上に気温の低さが拍車をかけ、ケイコ以外に道行く人はほとんど見受けられない。

「博士の研究所はすぐそこだし、とっと入れてもらって暖まろっと! ……あれ?」

 研究所に近づいて来たケイコは、ふと何かに気づいた。よく見ると少年が1人、研究所の前にたたずんでいたのだ。言うまでもなく、この低い気温と冷たい風にさらされる中で。

「…………」

 少年は、ケイコより身長がやや高め。わずかに年上だろうか?
 ケイコは不思議そうな表情を浮かべながらも、少年の後ろから近づいて話しかける。

「ねぇ? ちょっと、アンタ!」

「…………」

 少年は無言で、一言も口にしない。

「何よ、シカトするなんて腹立つわね。アンタも、オーキド博士に用があって来たの?」

「……だとしたら何だ?」

「別に。ただアタシも丁度、博士に用があって来たからね。少し気になっただけよ」

 イライラが少し残ったまま、ケイコは研究所の玄関チャイムのボタンを押す。するとしばらくして、ドタドタという足音が聞こえて扉が開いた。

「おぉ。よく来たのう、2人とも」

 中から現れたのは、白衣を着た老人男性の姿だった。この老人こそ、ポケモン研究において最高の権威とまで言われる程の博士……カントー地方で最も自然の残るマサラタウンに研究所を構えている、オーキド博士であった。

「2人とも? ……コイツも、博士のトコに来る予定だったの?」

 ちょっと怪訝そうな表情で尋ねるケイコに、オーキド博士は頷く。

「うむ。さぁ、外は寒いじゃろう。早く、中に入りなさい」

 

 研究所内に通されたケイコと、無口な少年。
 2人が案内された部屋には机があり、その上に2つのモンスターボールが置いてある。どうやら、この中にポケモンが入っているようだ。

「すまぬのぅ、今わしの手元にはこの2匹しかおらぬのじゃ。忙しくなければ、もっと集めておく予定だったのじゃが」

「アタシは別に、どうでもいいですよ。どっちみち、貰えるのは1匹なんでしょ?」

 ケイコがそう言って、2つあるボールの内の1つを手に取る。早速ポケモンを外に出してみると、そこに現れたのはヒノアラシ♀(Lv:5)だった。

「ふ〜ん。……で、そっちは?」

 続いてケイコは、机の上に残されたボールに目を向ける。だが、その時にはすでにボールは置かれておらず、代わりに一緒に研究所に入ってきた少年の手に握られていた。更に、彼がボールから出したのだと思われるヒトカゲ♂(Lv:5)の姿も、少年の足下に存在していた。

「どっちも炎ポケモンか。なら、俺はどっちでもいい。貴様が好きな方を適当に持っていけ」

 少年の口調に、またケイコはムッとなって声を荒げる。

「な、何よ、その態度! アンタねぇ……」

「貴様も、どっちでも構わないのか? なら、俺はこっちを貰って行くぞ」

「って、ちょっと! その態度、どうにかならないの?」

 だがケイコの声に、少年はこれまた完全無視。
 すると今度はオーキド博士が、少年の名を呼んだ。

「あぁ、セオン君。ちょっと待ってくれぬかな?」

 博士の言葉により、ケイコは少年の名が『セオン』だと知る。もっとも、そんな事ケイコにとってはどうでもよかったようだ。
 ……一方でオーキド博士は、セオンにある機械と1枚のカードと手渡す。

「これが餞別の、ポケモン図鑑。それと身分証明書代わりになる、トレーナーカードじゃ。カードの方には、自分の名前とIDナンバーが記載されておる。自分で確認しとくのじゃぞ」

「…………」

 セオンは博士から、その2つを無言で受け取る。そしてヒトカゲの入ったボールを手にしたまま、セオンは研究所から出て行った。

「まぁ、ケイコ君。大目に見てやってくれぬかのぅ? セオン君は、確かに口は悪いんじゃが……」

 続いてオーキド博士の言葉は、ふてくされていたケイコに向けられた。

「……悪すぎです。あそこまでムカつく奴は、そうそう見かけるものじゃないですよ? 大体からして博士も、何であんな奴なんかにポケモンあげる事になんかしたんですか!」

「しかしな、ケイコ君。わしは彼の中にある、とてつもない才能を感じられずにはおれぬのじゃ。わしも才能だけが全てだとは言わぬが、セオン君には物凄い何かが秘められているように思える。彼はきっと、かなりの大物になるじゃろう……わしの目に狂いが無ければな」

「ふ〜ん、そういうモンですか? でも博士、アタシはあんな奴より強くなってみせますよ!」

「はっはっはっ! その意気じゃよ、ケイコ君」

 博士は笑いながらも、これより旅立つケイコとセオンの未来に期待をした。
 ……そう、これからの事など何も知らずに。

 

 

 

 研究所を出たセオンは、マサラタウンの北を歩いていた。これより、1番道路というマサラとトキワをつなぐ道へ入る所である。

「……やれやれ。ポケモンの最高権威と呼ばれるオーキド博士らしいが、歳を取った故か酷く堕ちたものだな。才能を見抜けても、それが善か悪かさえ見ぬけられぬ程に目が腐りきっている。最高権威の目が節穴以下とは、呆れたものだ」

 そのまま彼は、1番道路へと足を踏み入れ先に進む。
 ……歩いて行くとやがて、彼の周囲に野生ポケモン達が集まり始めた。それはコラッタの集団で、レベルは2〜4程度。どのコラッタも警戒心を剥き出しにしながら、群れを成してセオンを取り囲む。

「ふっ、ここはコラッタの縄張りだったか? それにしても危険か否かを察知できる分、まだこんなネズミ共の方がマシと言えるな。とは言えキバを向けているという事は、相手の恐ろしさを完全には理解していない様子……結局どちらも同じ、チリに等しき存在か」

 セオンは、ボールからヒトカゲ♂(Lv:5)を繰り出した。その直後、コラッタの群れは全方向からセオンに飛びかかる。だが、次の瞬間……

「……それは勇気ではなく、ただの無謀だ!」

 ゴオォッ!! 一瞬……セオンの周囲は、紅蓮に染まる。瞬間的に放出された炎は、わずかな間にコラッタ全てをなぎ払っていた。大半のコラッタは気絶しており、残りもかろうじて意識が残っているものの、酷い火傷で戦闘不能なのは目に見えている。

「カ……カゲ……」

「何を驚いている? 貴様の放った炎だ。俺が、力を引き出してやっただけでな」

 驚きのこもった鳴き声をあげたのは、今し方セオンが貰って来たヒトカゲである。どうやら自分でも炎の威力に驚愕したようだが、そこへセオンに鋭く言葉を入れられ、ヒトカゲは黙り込んでしまう。

「この程度で驚いているようでは、今後の戦いにはついて行けんぞ。すでに貴様は、俺のポケモン……組織の一員なのだからな」

 ……すると、セオンの元に1人の女性が歩み寄った。年齢は10代後半と思われるが、冷静な態度でセオンに話しかけてくる。

「相変わらずセオンも、言う事がキツイわね。そんなんじゃ、ポケモンもなかなか懐いてくれないわよ?」

「! ……姉貴か」

 セオンに姉貴と呼ばれた人物は、フッと笑みを浮かべた。

「この私……リズムを、確かに超える存在と成り得る『絶対貫通炎』。セオン、あなたは正しく我々『無音』の頭となるに相応しき存在だわ」

 リズムという名の女性は、無表情を貫くセオンにそう述べた。

「セオン、あなたには予めポケモンバトルの知識を与えている。そして組織が貸し与えたレンタルポケモンによる模擬戦闘訓練でも、比類無き力で素晴らしい成績を叩き出してきた。そんなあなたが、遂に自分のポケモンを手にし……正式なトレーナーになった訳よ。『無音』にとっての、頼もしき首領の誕生ね」

「そんな事はどうでもいい。それより、する事があるんじゃなかったのか?」

「それもそうね。これから活動する上での仕事もある。それに首領の手持ちがヒトカゲ1匹じゃ……まぁそれでもセオンの力は私に匹敵しかねないけれど、やっぱり格好がつかないもの。セオン自身にも、色々と戦力の準備をしてもらわなくてはならないわ」

「…………」

「セオン。あなたの炎が、今こそ始動する時よ」

 するとリズムは、どこかへ向かうように歩き出す。セオンも無言で、その後に続いた。

 

 

 

 ……それから、何ヶ月かが経過した。すっかり季節も暖かいものとなり、むしろこれからどんどん暑くなりそうだ。
 ケイコは、久しぶりにオーキド博士の研究所へと来ていた。玄関チャイムを押すと、今回も博士が出迎えてくれる。

「おお、ケイコ君。来ると聞いておったから、待っとったぞ」

「ふふっ♪ で、どうですか? アタシの成長ぶりは」

「ハッキリ言って、想像以上じゃ。まさかケイコ君が、トレーナーになってから今までの短い期間で、ジムリーダーに任命される程に成長するとはのぅ。成長力だけなら、あのクリス君をも上回っておるかも知れん」

 そう、ケイコは本日付けでカントー地方のジムリーダーに就任された。トレーナーの修行場であるポケモンジムのリーダーは、ポケモンバトル実力者の象徴とも言える存在。当然リーダーになるには厳しい試験をパスしなければならないが、ケイコがジムリーダーに任命されたという事は、それさえも見事に合格した事を示している。

「……そう言えばケイコ君は、元々はジョウト地方フスベシティの出身じゃったな?」

 博士の質問に、ケイコは頷いて答えた。

「はい。こう見えてドラゴン使いの、フスベ一族の末裔なんです。だからアタシ、ドラゴン使いとして有名にもなったワタルさんやイブキさんに憧れてて。ジムリーダーになった訳だし、アタシ独自のドラゴン軍団もチームに組んでみたんですよ♪ ……実際のドラゴンタイプは、ほとんどいないけど」

 軽快に喋り続けるケイコ。……しかし、途中でふと思い出したように次の話を口にする。

「そう言えば……あの、アタシと一緒にポケモン貰ってたムカつく奴は、あれからどうしてるんですか?」

「む、セオン君じゃな? それがのぅ、あれからサッパリ連絡が取れんのじゃ。さすがに、たまには電話の1本もよこしてくれるものと思っとったんじゃが……考えが甘かったかのぅ?」

 よもやオーキド博士も、そこまでセオンが一匹狼を貫き通すとは思っていなかったらしい事を話した。

 

 

 

 もっとも、実際には……

「リザード、焼き尽くせ」

 ズドォンッ!! ゴオォッ!! ズガァッ!!
 次々と発せられる、火炎と爆発の轟音……。その正に中心部に、セオンは立っていた。周囲から群がるポケモンは、以前に彼を取り囲んだコラッタ達より、遥かに屈強に鍛えられた『無音』精鋭のポケモン達である。

「つ、つえぇ……。あれだけの数の高レベルなポケモンを、セオン様は一瞬で……」

「セオン様の『絶対貫通炎』は、全ての防御・抵抗を貫通して無効化させるという……。いかに炎に対する耐性が高くても、それは全く意味を成さなくなり、元々が強烈なセオン様の炎の威力が直に相手に与えられる攻撃……か」

 セオンに向かってきていたポケモン達は、あっという間に猛火に焼かれて全滅されていた。周りには数人の見物人の姿もあるが、いずれも感嘆と驚きの声をあげてばかりいる。

「チッ、もう終わりか。ウォーミングアップにもならないとはな。かと言って、本気を出せば一瞬で終わってしまう。たまには、ゆっくり楽しませてくれる奴でもいてほしいものだ」

 リザードをモンスターボールに戻しながら、セオンはぼやいた。
 ……と、そんなセオンに歩み寄ってくる者達の姿が。セオンの様子を見ながら、その者達は会話する。

「やれやれ。私達の新しい首領も、随分と荒っぽいのね」

「いーじゃないですか、ビズさん。とっても心強いし」

「リク。あれは心強いって言うんじゃなくって、恐いって言うのよ。私も、人の事言えないけど」

 現れて話したのは2人の少女、ビズとリク。特にビズは、手に持っている鞘に収まった日本刀を肩の上に乗せると、今度はセオンに向かって語りかける。セオンの力を見て『恐い』と言いながらも落ち着いているビズは、相当肝が据わっているようだ。

「でもって、新しい首領さん。私達は、これからどうすりゃいいの?」

「…………。ジョウトの支配人、『魔剣』のビズか。今の所、貴様等に用は無い。仕事が入るまで、これまで通り好きにしていろ」

「……そりゃまた、随分と放任的指令だこと」

 ビズは、微妙に呆れ具合の混じった口調を用い、年下のセオンに言った。

「まぁまぁ、そう言わずに。これからはお互い、手を組んだ者同士として協力し合うのだから」

 と、そこへやって来たのがリズム。そう、つまりリズムは『ジョウトの支配人』と『無音』が手を組んだ、という意味の言葉を口にしたのである。ビズも、彼女の方へと向き直った。

「いい事、ビズ? セオンはもはや貴女はおろか、私や『抹消』のアヤカをも圧倒的に凌駕する力を手にしている。ジョウトの支配人側の頭はアヤカに任せているけど、そのジョウトの支配人と無音、2つをひっくるめた我々の頂点に立つのがセオンなのよ」

「分かってるわよ。けどセオンがいくら強いとは言え、全てを瞬時に消せる能力を持つ『抹消』のアヤカより遥かに上だなんて、また大きくでたわね」

「ふふっ……。ビズ、ハッタリだと思うの?」

「……いいえ。あの力を目の当たりにしたら、いくらなんでも納得しない訳にもいかないでしょ?」

 ビズの言葉を聞いて、リズムはまた微笑んだ。悪魔のような目つきをしながら。

「ふふふっ。仮にあの『煉』とかいう組織が崩壊しなくっても、セオンは1人でその組織をたやすく壊滅出来る位の力を持っている。本当に、想像以上の猛火を見せつけてくれるわ」

 手を組んだという、ジョウトの支配人と無音。
 そして始動した、セオンの猛火。
 それを止める術は、誰の目にも皆無にさえ見えるようだった。

 

 番外編・おわり
 アクジェネ第27話へと続きます

 

 今回は敵方の首領、セオンの話でした。『無音』自体が、第三部になるまで登場少ないですどね(駄)。セオンはリズムの言葉通り、リズムや前回現れたアヤカをも上回る超強力な大ボス級キャラ! ってシクー達、大丈夫か?(何)
 ……それと平行して、ケイコの話も出ましたね。彼女はトレーナーになって、わずか数ヶ月でジムリーダーになってます。こっちも結構スゴイですよ(汗)。



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