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[148] ポケットモンスター アークジェネレーション!!         第26話「旅立ちの誓い」
@ - 2004年05月15日 (土) 22時38分

今までの話はこちら



26th「旅立ちの誓い」

 

前回までのあらすじ:
 グレンジムでの悪の一団『煉(れん)』のリーダー:カラシとの対戦は、シクー達が辛くも勝利。同時にグレンジムリーダーとして、カラシからクリムゾンバッジと日本晴れの技マシンを入手。かくして、グレン島における最大級の戦いは幕を閉じたのであった。

 

 カントー地方グレンタウン。
 その一角において、数々の新聞記者やレポーターが集まっていた。時刻は夜中で辺りも真っ暗だというのに、全く元気な人達だと感心してしまう程に賑やかである。それというのも、グレンジムのリーダーが悪の一団『煉(れん)』のリーダーだという、衝撃の事実が知れ渡ったからなのだが。

「ほら、行くぞ」

 警察の人に言われると、手錠をかけられた男は無言で歩き出す。新生グレンジムリーダーにして『煉』のリーダー:唐士(カラシ)は、こうして警察に連行されていくのだった。

 

 一方そこから少し離れた所には、2人の少年の姿がある。

 黒眼黒髪、フードのついた黒い洋服とインラインスケートを身につけた少年……詩空(シクー)。
 その隣に立つ、スポーツ刈りの髪型をした少年……想人(ソウト)

「ごめんなさい……」

「すみませんでした……」

 シクーとソウトの2人は、目の前にいる女の人に深々と頭を下げていた。彼女は7年前にポケモンリーグを11歳という年齢で制覇した快挙の経歴を持つ、現ポケモンリーグ四天王の1人クリスタル。通称、クリスだった。

「待機してなさいって言ったに、全くもう……。まぁ、『煉』のリーダー:カラシをやっつけた事は凄いと認めてあげるわ。お疲れ様」

「いやクリスさん、ほとんどアレはケイコのおかげだし……」

 ポリポリと頭をかきながら、シクーが言う。
 少し離れた所に立つ少女こそが、カントージムリーダーの1人……ポニーテールとキュロットスカートが印象的な女の子、景子(ケイコ)。確かに、カラシ戦で一番貢献したのはケイコだ。離れた位置から話を聞いて、ケイコは少し得意げな表情を見せた。

「けど、クリスさんとシルバーさんが先に警察の人達を連れてきてくれたおかげで助かりました。事が早く進んだし」

「まぁ、誰かさんがジムリーダーの権限で警察の方々を動かして、『煉』の捜索をしてたみたいだからね〜」

 じろ〜っと見つめるクリスの視線の先で、ケイコは表情を一転。ちょっぴり冷や汗を垂らしながらも、そっぽを向いて口笛吹く。

「さて、シルバーは先にポケモンリーグに帰ったけれど、私もそろそろ戻らないとだわ。私は帰るけど、これからは無茶しちゃダメよ?」

「は〜い……」

 クリスはヨルノズクをモンスターボールから繰り出すと、それにつかまり飛び去った。
 その直後、ソウトの父親であるソウジが2人に話しかける。

「……まぁ、シクーとソウトのおかげで『煉』は壊滅した。悪の組織が滅びた訳だ!」

「! 親父……」

「ほらソウト、ボサっとしてねぇで帰るぞ。シクーもだ。さっき家に連絡したら、母さんが赤飯作って待っててくれるそうだからな♪」

 するとソウジは、自宅へ向かってズンズン歩いて行ってしまう。まったく、さっきまで捕縛されてた身でありながら、なんとも元気な親父さんだ。もっとも『煉』にさほど酷い仕打ちをされた訳でもなかったようだし、奪われてたポケモンも帰ってきた。無事で何よりな訳だが。

「じゃ、ヒサシ。私達も御馳走になりに行くわよ♪」

「え゛、また俺はマドカに巻き込まれる訳?」

「……ってか、ちょっと待てッ! マドカもヒサシも、俺の家来るのかよ!?」

 不意にソウトは、自分のいとこに当たるマドカと久志(ヒサシ)の言葉を聞いて叫んだ。しかしマドカは遠慮するどころか、ずいっとソウトに詰め寄りこう述べる。

「あ〜ら、ソウト。『煉』のメンバーに囲まれてたあんたを助けたのは、どこの誰だったかしら〜?」

「ぐっ……」

 その言葉で、ソウトは反論不能に。
 ……でもって、似た状況がこちらでも。

「シクー。当然、アタシも家に招いてくれるわよね♪」

「……ケイコなら言うと思った……」

 シクーもまた、ケイコに対し反論不能。
 2人とも、実際に助けてもらった手前もあるので口答えしようがなかったようだ。

「いいではありませんか、シクー。お母さんは、みんなの分の御飯も用意してくれてるそうですよ?」

 と、シクーに優しく語りかけたのは姉のミカン。

「ね、姉ちゃん……。まぁ、いいんだけどさぁ」

 ……んな訳で、一同はシクーとソウトの家へと向かう事に。

 その日は『ソウジ救出大作戦成功記念宴会』と称して、ソウトの家では夜遅くまでドンチャン騒ぎ。
 みんなでよく飲み(注:子供はジュース)、よく食べ(注:翌日ほぼ全員が食べ過ぎで腹痛)、よく歌った(注:自家用カラオケ機器が無いのでシャモジがマイク代わり)。

 

 

 

 翌日のお昼過ぎ。

「じゃ、アタシはそろそろ帰るわ。ポケモン達の治療も、大方済んだからね」

 ケイコは、キュロットスカートのベルト部分にモンスターボール5つを装着しながら言う。今回の戦いで負ったケガは決して軽くは無かったものの、今では大分その傷も癒えたようだ。どうやら先程、ポケモンセンターに預けていたポケモン達を返してもらってきたらしい。

「それにしても、驚いたよ。ケイコが、現在12ヶ所あるカントージムのリーダーの1人だったなんて」

 玄関で見送りをするシクーが、帰り際のケイコに言った。

「アタシは、マサラジムのリーダーなのよ。アタシのジムは毎週日曜日を開放日と決めてて、その日に挑戦者も受け付けてるの。シクーも来ていいわよ。……あ、もっともシクーの今のレベルじゃ、到底アタシには敵わないわね♪」

「う、うるさいなぁ……」

 悔しそうな口を尖らせながらも、自身も事実と認識したので強くは言えないシクー。

「そう言えばシクーはトレーナーなのに、旅に出たりはしないの? 12歳なら、普通に旅に出ていいと思うんだけど」

 素朴な疑問を、ケイコはぶつけてみた。大体、シクーぐらいの年齢の少年はポケモントレーナーとしての修行の為、旅に出るのが主流だ。実力をつけてジムリーダーと戦えるぐらいになれば、本気でポケモンリーグを目指す為にバッジ集めをする子供さえいる。バッジを8つ集めれば、リーグ出場を認められるからだ。

「うーん、まだ考え中だよ。とは言え、前向きに旅立ちを考えてはいるんだけどね」

「そうなの。だったらマサラタウンに寄った時は、絶対アタシに挨拶しに来なさいよ。それじゃ、またね♪」

 軽く手を振り、ケイコは始終明るい態度のままで帰る。気が強くて何でもハッキリ言う所がシクーにとっては苦手だが、こんな明るさは何だか微笑ましく思えてしまう。周囲にも元気を与えてくれそうな笑顔と軽快さを持つのが、ケイコという女の子なのだ。

「ふふふっ♪ シクーもソウトも、お嫁さんもらったら苦労するわね」

「!! か、母さん……いたのッ!?」

 不意に後ろから声をかけて、シクーをビクつかせたのはソウトの母親である。

「言っておくけど、ケイコはそんなんじゃないんだからね!」

「あら、お似合いだと思うのに。……それよりシクー、あなた今ためらいもなく『母さん』って呼んでくれたわね? やっと本当の母親みたいに慣れてくれたようで、嬉しいわ♪」

「話題から逃げたな……。それに僕もソウトもって、どういう事?」

「ほら、シクー。あっちを見てみなさいよ」

 彼女は自分の息子ソウトの方に、指をさしてシクーに言う。

「コラ、ソウト〜! 今日こそ私が勝つんだから、勝負しなさーい!」

「マ、マドカ……俺、昨日さんざん動いて疲れてるんだ……勘弁してくれよ〜」

 シクーが見せられた光景とは、そんな会話と共に追いかけっこ状態を部屋の中で続けるソウトとマドカだった。

「…………」

 

 

 

 その日の午後。
 シクーとソウトはグレンタウンの海岸沿いに立っていた。

「ソウト。……話って何?」

 どうやらシクーはソウトに呼び出されたようで、シクーは質問を投げかける。

「いいか、シクー。俺は……旅に出るぜ!」

「え゛。な、何を突然に?」

 唐突な言葉に、シクーは驚いた。

「これは前から考えてた事だ。俺は、もっと……もっと強くなりたい。だから島にこもってるだけじゃなく、外に出てトレーナー修行の旅に出たい。色んな強い奴と戦いたいんだ。シクーだって、強くなりたいと思わねぇか?」

「…………。ソウト、僕も確かに強くはなりたい」

「だったらシクー。一緒に行こうぜ! カントー地方をまわってれば、色んな強豪トレーナーと出会うハズだ。そういう奴等と戦って、一緒に強くなろうぜ!」

 ……ふと、冷たい風が吹いた。
 夏の日に吹くものとは思えない、とても冷たい風。

 否……それは風ではなく、殺気。
 物凄く冷たい、凍えるような冷徹な視線。
 以前に感じた事のある、おぞましい感覚。

 

 ……ドクンっ……

 

 シクーの心臓が、大きく鼓動した。

「……っっ!!? なっ……ぁ……」

「? シ、シクー?」

 不思議な顔をして、ソウトは様子の変わったシクーを見る。その直後、シクーがその場にうずくまった事で、ソウトは慌ててシクーに声をかけた。

「お、おい。シクー、どうしたんだ!」

「来る……来るッッ!!」

「来る? どういう事だ、シクー!?」

 ツカツカ……。
 2人の元に近寄る足音。ソウトはそれに気づくと、顔を後ろへ向けた。歩いてきたのは、たった1人の少女。シクーやソウトと歳も違わないであろう、一見するとごく普通の女の子である。だが、その身に纏う雰囲気が、明らかに一般人とは違った。

「…………。誰だ?」

 ソウトはサンド♂の入ったボールを手に取り、警戒しながら少女に問うた。

「あなたに用は無いわ。私が用があるのは、シクー」

「誰だって聞いてんだよッ!」

 少女は答えない。ソウトは視線をシクーに移すと、彼はうずくまり震えたままで何かを口にしている。

「……恐い……恐い……」

「(恐い? シクーのこの怯え方、尋常じゃねぇ。一体この女、何者だ?)」

「あなたこそ、一体誰なの?」

 考えを巡らせるソウトに、今度は少女の方から尋ねて来た。

「!?」

「私のシクーに、何か変な事を吹き込んだんじゃないでしょうね?」

「なっ! お前、何を言って……」

「……めざわりよ。消えなさい」

 すると彼女は、手をソウトに向かってかざした。そして一言、こう呟く。

「……デリート」

 その瞬間、シクーは何かに弾かれたように立ち上がった。そしてソウトめがけて、当て身をくらわせる。

「危ない、ソウトっっ!!」

 バシュッ……。次の瞬間、シクーとソウトは倒れ込みながらそれを見た。ソウトの後ろにあった岩が一瞬にして、上部から岩全体の3分の2程度が、丸く切り取られたように消滅してしまったのを。

「……っっ!!?」

 何が起こったのか分からず、目を白黒させるソウト。シクーが自分を倒してくれなければ、今頃は自分があの岩のようになっていたのか? そう思うと、ソウトの背筋の寒気が走った。

「な……何だよ……オイ……。今の、何かポケモンの能力か!?」

 一方でシクーは震えながらも、キッと少女を睨みつける。

「一体……何しに来たッ!? ジョウトの支配人首領補佐、『抹消』の綾香(アヤカ)!!」

「な゛っ!! ジョウトの支配人って確か、以前シクーとミカンさんが所属してたっていう、あの……?」

 睨みつけられようと、アヤカという名の少女は冷静に立っていた。

「正確に言うと、『元』首領補佐だけれどね。クリス、シルバー、ムキル、ユウ、ナツキの5人、『フィフスブレード』がジョウトの支配人を半壊状態にしてくれた際に、首領は倒されてしまったから。おまけにシクー、あなたまで組織を抜けてしまって」

「うるさい! 僕と姉ちゃんは……自分の意思で、組織を離れたんだ! 昨日現れた『魔剣』のビズと言い、ジョウトの支配人がカントー地方に来るなんて普通じゃないよ!」

 そんなシクーの言葉を聞くと、ようやくアヤカは口元に笑みを浮かべた。しかし眼差しは冷徹なままで、シクーをじっと見据えながら話しかけてくる。

「いくら強がってもダメ。弱虫シクーにどんな凄みを利かされても、全然恐くないもの。けれど戦闘能力は皆無でも、あなたにはダウジングという素晴らしい能力がある。その能力を私達の為に役立てなさい。もう一度、私達ジョウトの支配人へ……」

「うるさいって言ってるだろッッ!!」

 シクーは、力いっぱいに叫んだ。というより、今の彼に出来る抵抗はこれぐらいな物なのだ。

「…………。いいわ、今日は帰ってあげる。無理矢理に連れ帰るのは、私にとっても不本意だから」

 そしてアヤカは何を思ったか、続いてシクーに向かってこう述べる。

「シクー、強くなりたいならバッジを集めなさい。クリムゾンバッジのように、ジムバッジにはポケモンを強化する特殊な性質が組み込まれている。バッジを集め、力をつけなさい。……いつか、その力をジョウトの支配人の役に立てる為にね」

 

 ……数分後、呆然と立ちつくすシクーとソウトの元からは、すでにアヤカの姿は消え去っていた。
 それからというもの、シクーはうつむいたまま何も声を発せずにいる。しばらく続いた沈黙を、ソウトがようやく終わらせた。

「シクー……やっぱり俺と一緒に旅に出ようぜ?」

「…………」

「あんなヤバそうな奴の所に、戻る必要なんかない。そうだろ? だったら自分の身を守れる位の力は、せめて身につけたいと思わないか?」

 少し間を置いてから、シクーはようやく顔を上げて口を開く。

「……ありがとう、ソウト。だけど僕、前から考えてたんだけどさ。ソウトとは、別々に旅をしようと思うんだ」

「な、何でだ?」

「ソウトの教えてもらうのもいいけど、僕はある程度の所までは自分の力で実力をつけたい……そう思うんだよ。だからソウトに頼らないで、僕は最初は1人でスタートする」

「!」

「それでさ。旅をしてれば、いつか何処かで偶然に会う事もあるかも知れないでしょ? その時に、お互い旅の中でどれだけ力を身につけたか、勝負しようよ。その方が一緒に旅するよりも、お互いに楽しみができていいと思わない?」

 明るい雰囲気を……いつものシクーの様子を装った、表情と言葉。ソウトは思わず、それに納得に近い気持ちを持ってしまう。少し考えはしたが、ソウトはシクーの言葉に対し頷いて返した。

「……分かった。シクーがそうしたいって言うなら、そうしようぜ。次、会う時までにどっちが強くなっているか、勝負だ!」

「うん!」

 2人はグーに握った手を互いに相手の方へと伸ばし、コツンと拳同士を軽くぶつけ合った。

 

 もっと強く……『光』を手に握る少年、ソウト。
 暗い過去……『闇』を抱えた少年、シクー。

 後日、2人は旅立つ。この時に立てた、約束と誓いを胸に秘め……!

 

 続く

 

 第二部、ここで終了です。
 ホントはもう少し先に進んでから第二部を切ろうかと思ってたんですが、なんか半端な所で終わりそうだったのでヤメにし、急きょカラシ戦で第二部の最終戦と定めてここで第二部終了です。次回から第三部スタート♪

 ところで今話のラストシーン、個人的には結構うまく出来たような気がするんですが……どうだったでしょうか。え゛思い過ごし?(汗)

 

<現段階ポケモン図鑑データ>

【NAME:シクー】

見つけた数:44匹
捕まえた数:2匹

バッジ数:1個

手持ちポケモン
・メノクラゲ/メノクラゲ♀ Lv:9 HP:28 タイプ:みず・どく おや:シクー
・ケッちゃん/ケムッソ♀ Lv:6 HP:22 タイプ:むし おや:シクー
・ムッソ   /ケムッソ♂ Lv:5 HP:21 タイプ:むし おや:シクー
・タマゴ

【NAME:ソウト】

見つけた数:30匹
捕まえた数:1匹

バッジ数:1個

手持ちポケモン
・サンド♂ Lv:10 HP:32 タイプ:じめん おや:ソウト



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