| [132] ポケットモンスター アークジェネレーション!! 第18話「美少女(前編)」 |
- @ - 2004年04月17日 (土) 18時20分
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18th「美少女(前編)」
前回までのあらすじ: シクーとソウトはケイコの助けも得たおかげで、何とかルウ達3人の猛攻から逃げおおせた。負傷したソウトの手当をする為もあって、一同ひとますマサラタウンへ。 一方、『煉(れん)』と名乗る一団と戦う、ソウトの父親ソウジ。彼の目の前に、『煉』のリーダーたる男が現れる。それを見て、ソウジは驚きを隠せない様子だった。
「とりあえず、しばらく休んでた方がいいわよ。」
「うん、そうね。お母さんの言う通り、今は休んでなさいよ。」
ベットの上で横になる少年に、優しく大人の女性が声をかける。その隣りで話したのは、その娘らしい。
ここは、カントー地方マサラタウンの、とある一軒家。 マサラタウンは、とにかく綺麗な自然が残る町として有名。ポケモンものびのび過ごしており、外の草むらではオタチの子供達が仲良くじゃれ合い、木の上ではポッポが可愛らしい鳴き声で独唱中。本当に平和な雰囲気あふれる、小さな小さな田舎町だ。
さて、少年がベットで寝ている部屋の隣りでは、その様子を気にしてソワソワしている少年の姿もある。黒眼黒髪、フードのついた服を身につけた、12歳の男の子……。
「詩空(シクー)、どうしたの? ソワソワしてなくても、想人(ソウト)の手当はしてあげたから大丈夫よ。」
少女が、ベットで寝る少年ソウトの部屋を出ると、隣りの部屋にいた黒眼黒髪の少年シクーに声をかけたようだ。
「あぁ。ごめん、景子(ケイコ)。」
シクーは、声をかけてくれた少女ケイコに返事を返す。髪にリボンを結んでポニーテールを作り、キュロットスカートを身につけているのがケイコの特徴。
「シクー、警察にはさっき連絡入れておいたわ。ソウトの奴のお父さんが、まだ悪い奴と戦ってるんでしょ?」
「そうなんだよ、ケイコ。……あの人ならそう簡単に負けないとは思うけど、やっぱり心配だしなぁ。」
「あ、ついでにソウトの家にも連絡入れといたからね。今日はもう真っ暗だし、アタシの家に泊まって行きなさいよ。」
ケイコの家……即ち、今いるこの家の事である。
「そうね。それに、今すぐ戻るのは危険かも知れないんでしょ?」
それまでソウトを看ていたケイコの母親も、シクーとケイコの元に来てそう話した。
「はい。すみません、おばさん。」
「ウフフ、いいのよ。だって私の娘ケイコの、大事な大事なボーイフレンドなんだから♪」
「……え゛っ!?」
見事に、シクーとケイコの声がハモった。
「違うわよ、お母さん!! なんでアタシが、シクーみたいな奴なんかと……!!」
「あら、そうなの? うーん、お似合いだと思ったのに惜しいわねぇ。」
必死に否定するケイコに、母親は口に手を当て残念がる。シクーも否定の発言をしようとしたが、ケイコのが早かったので不必要だったらしい……と、思われた。ところがケイコの母親は、懲りる様子もなくシクーにささやく。
「……まぁ、気が向いたらいつでもケイコをお願いね♪」
「え゛! そ、そんなぁ……。」
「お母さんッッ!!」
ケイコ母の言葉にシクーはたじろぐし、ケイコも大声で叫ぶ始末。小声でささやいた割には、しっかりケイコの耳まで届いていたらしい。
「私を呼ぶ時は、『お義母さん』って呼んで構わないわよ♪」
「……嫌です……。」
涙ながらに(?)、シクーは訴えた。
そんなこんなでシクーとソウトは、一晩ケイコの家のお世話になるのだった。しかし、ソウトの父親ソウジの情報は来ないまま……翌朝を迎える事となる。
「ふぅ。ごちそうさま♪」
「美味かった、美味かった♪」
シクーとソウトは、朝食もケイコの母に御馳走になっていた。
「シクー、ちょっとこっち来て!」
「ん?」
朝食を済ませたシクーを、すぐさまケイコが呼びつける。
「ケイコ、何?」
「ハイ、これ♪」
そう言ってケイコが渡したのは、小銭入れとメモ紙。これを持たせてきたとなると……
「……お使い?」
「御名答♪ さっ、シクー。がんばって! トキワシティまで!」
「トキワシティ!? って確か、ここから北にある町だよね?」
「だってマサラには、まともな店って無いんだもん。元々田舎町だった上に、不便だからって最近ますます人口減ったし。今じゃマサラタウンじゃなくって、マサラビレッジ(ビレッジ=村)って呼ぶ人さえ出てきてるのよ。」
「(過疎化ッ!?)」
マサラタウンは、ますます静かな町へと変貌しつつある模様……(!)。
「でも、何でお使い行くのが僕なのさ?」
「お母さんは家事があるし、この中で一番元気そうなのはシクーなのよ。」
「一番、元気が有り余ってるのはケイコなんじゃ……」
……ゴチッ。ケイコの拳が、シクーの頭から鈍い音を鳴らさせる。
「痛ッ!」
「アタシは忙しいのよ。今からジム……」
「……え、何?」
「って、もう時間無いわ!! アタシは出かける所があるから、もう行くわよ。シクーも、とっとと行きなさい。お使いが済んだら、いつでも帰っていいわよ!!」
「ケ、ケイコ!?」
シクーの呼び止めにも答えず、ケイコはとっとと玄関から外に出て行ってしまう。
「行っちゃったよ……。まぁ、昨日の夕飯や今日の朝ご飯までお世話になった訳だし、別に文句がある訳じゃないからいいか。」
苦笑いしながら、シクーはトキワシティへと目指すのだった。
マサラからトキワへ行くには、1番道路を通る事になっている。平和な町周辺ゆえ、野性ポケモンもレベルが低め。と言うか、そもそも襲いかかってくる野性ポケモンもなかなかいなかった。
「メノクラゲ♀(Lv:3)、注意しながら行くよ。いつ、どこから野生ポケモンが飛び出るか分からないし。」
「ふしゅ〜。」
……そう話す矢先、突然草むらからコラッタ♂(Lv:1)が飛び出してきた。やはり、中には襲いかかってくる奴もいるようで、こちらに前歯を向けてきている。
「で、出た!? よし、メノクラゲ。毒針!!」
すかさずメノクラゲは触手を伸ばし、コラッタの脇腹に毒針を打ち込む。
「ヂュッ!!」
どうやら急所にヒットしたらしく、おまけに毒状態まで被ったらしい。コラッタはうめき声をあげると、それでも強情にメノクラゲに襲いかかった。しかし、メノクラゲは即座に回避。
「メノクラゲ、もう1発だ!」
「しゅ〜!!」
鳴き声と共に、今度は毒針を射撃として発射。2度の攻撃に、さすがのコラッタも耐えかねたらしく、それで目を回して気絶したようだ。
「ふぅ、一丁上がり。このままにしておけば、このコラッタもその内に目を覚ますだろ。」
野生ポケモンとの一戦を終えてから、シクーはある事を思い出し始める。
「(……あ゛、そういえばグレンで捕獲失敗してたんだっけ。あのケムッソ……)」
昨日ソウジに特訓として、ケムッソ捕獲を指示されていたシクー。あの後ごたごたしていた事もあって、結局シクーは未だケムッソを捕獲してないままだった。それをつい思い出し、シクーは「う゛〜む」と唸ってしまう。
「……ま、まぁ……グレンに帰ったら、また探してみようかな?」
やがてシクーは、トキワシティに到着した。ここはカントー地方の中でも中規模の町で、それなりに周囲に緑は残っている。だが、明らかにマサラタウンより活気があった。
「さ〜て、とっとと買い物を終わらせて帰ろう。……えっと、何を頼まれてたっけ?」
懐から買う物が書かれたメモ用紙を取り出し、インラインスケートで滑走しながら道を行く。ところが突然、シクーの体に何かがぶつかった。
「うわっ!」
「きゃっ!」
シクーは後ろに尻餅をつき、同様に前方でも誰かが尻餅をつく。どうやら、誰かにぶつかってしまったようだ。
「ご、ごめん!! 前をよく見てなかったから、つい……。」
「い、いえ。こちらこそ……。」
2人は、すぐにその場に立ち上がって向き合った。
「えっと、怪我は無……い……?」
「……はい?」
相手の様子を聞こうとしたシクーだったが、思わず絶句してしまう。理由は、ただ1つ。相手はシクーと同じ位の背の女の子だったのだが……その子が、めちゃくちゃ可愛かったからだ(!)。
「……あの、えっと……。あ、私は那月(ナツキ)と申します。あなたは?」
「ぼ、僕ッ!? えっと……その……」
「?」
「(か……かわいい……)」
シクーは、思わず顔を赤くする。
「……?」
一方ナツキは、きょとんとした様子で不思議そうにシクーへ視線を向け続けていた。
「え、えっと……」
美少女を前に、シクーはすっかり緊張してしまう。
ナツキは顔が極上なまでにかわいい上、スタイルも抜群。緊張して無理もない。 服装は、上が白いノンスリーブの服で、下は膝より少し上ぐらいまでの赤いスカートをはき、頭にはカチューシャをつけている。
「……。」
思わずシクーは、顔を赤くしたままうつむく。だが、スカートの下に見えるナツキの脚線美に、ついつい見とれてしまう。 はっとしたシクーは、見つめるのを止め目線を上げた。
「(ドキっ!)」
すると、ナツキの割と……いや、ずいぶんと豊かな胸が目に映る。
やはりシクーは、ちょっと見とれてしまう。
背もシクーと同じ位だし、顔つきも年相応。むしろ、若干幼さがあるぐらいなのだが、この抜群のプロポーションのせいで、ナツキが結構大人っぽく思えた。
「(ど、どうしよ?)」
シクーは、更に視線を上げる。もちろん今度は、ナツキの顔が見えた。あまりにも可愛らしいナツキの顔立ちに、シクーは今度も見とれてしまう。
「(ドキドキドキっ!)」
ナツキの服はノンスリーブ。もちろん露出度が少ない訳でもないが、あまりに派手だったり刺激的な服装だったりする訳でも、全然無いのだ。 ……それでも、シクーに目のやり場を困らさせるには十分過ぎたようだ。
「(どうしよ……どこに目をやっても、ついついじっと見つめちゃう!?)」
「……。」
相変わらず、ナツキはきょとんとしたまま。
かなりグラマーな胸元の前に丸めた両手を置いて、ナツキは相手が何か話してくるのを、実に気長に待っている。シクーの視線や感情には、全く気づいてる様子がないみたいだった。
続く
今回登場したナツキちゃん……シェリー&シェリー´さんという御方が、小説設定を元にデザインしてくれました。 イラストを見たい方は、右のをクリックしてください。⇒[ナツキちゃんイラスト]
さて、ナツキを知ってる人にとっては待望の登場だったみたいですね♪ 僕としても、ようやく彼女を出演させられて嬉しい限りです。ただ、話が1話に収まりきらなかったので、やむなく前後編に分けました。従って次回は第19話「美少女(後編)」です。御期待ください!
<現段階ポケモン図鑑データ>
【NAME:シクー】
見つけた数:20匹 捕まえた数:1匹
バッジ数:0個
手持ちポケモン ・メノクラゲ♀ Lv:4 HP:18 タイプ:みず・どく おや:シクー ・タマゴ ・タマゴ
【NAME:ソウト】
見つけた数:8匹 捕まえた数:1匹
バッジ数:0個
手持ちポケモン ・サンド♂ Lv:6 HP:23 タイプ:じめん おや:ソウト
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