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月由梨 棗(管理人)
「お、お兄ちゃん」 宿の夕食後、みんなは各自部屋に戻って、都合よくセネルとシャーリィだけになった時。 シャーリィはセネルを呼び止めた。 「シャーリィ?どうした、具合でも悪いのか?」 セネルが本気で心配そうな声を出すもので、シャーリィは慌てて訂正する。 「ううん、違うの。・・・・えっとね、その・・・・・・」 口ごもるシャーリィを見て、セネルは難しそうな顔をして続きの言葉を予測している。 それをちらりと盗み見ながら、シャーリィはまだ言おうか悩んでいる。 「・・・・・あのね・・・、・・・・ううん、やっぱりなんでもない」 散々悩んだ挙句、何も言わなかったシャーリィを見てセネルは不審そうな顔をする。 「本当になにかあったのか?俺でいいなら話くらい聞くぞ」 「大丈夫。心配しないで、お兄ちゃん。なんでもないよ」 「そうか?・・・・それじゃあ、俺は部屋に戻るから」 「・・うん。私ももう寝るね。おやすみなさい」 「ああ、おやすみ」 そういって、なるべくセネルの顔を見ないようにしてグリューネのいる部屋に戻った。
「あ・・・・グリューネさん、もう寝てるんだ・・・」 2つあるうちの1つのベッドでは、グリューネが既に眠っていた。 独り言をこぼしながら、シャーリィは自分のベッドに腰掛けた。 「お兄ちゃんは・・・・・今でも、お姉ちゃんが好きなのかな・・・?」 音にならないくらい小さな声で、呟く。 グリューネを起こしてしまわないように、そっと。 「お兄ちゃんは・・・わたしのこと、嫌いなのかな?」 一滴の涙が頬を滑り落ちていく。 「お兄ちゃんは、わたしよりお姉ちゃんのほうが、大事・・・・・なんだよね?」 そのうち、だんだんと涙が溢れ出てくる。 「フェニモールは、わたしなら大丈夫って言ってくれたけど、わたし・・・だめだったね。わたし、だめだね・・・・・・」 目元を服の袖で拭いながら、小さな声で呟く。 「せっかく、フェニモールが祝福してくれたのに。最後の、祝福って言ってくれたのに、わたしはお兄ちゃんにちゃんと想いを伝えてもいないよ・・・・!」 声を押し殺して、泣き続ける。 「・・・・・わたし、お兄ちゃんに告白する勇気、出ないよ・・。また、どんなことを言われるのかって思ったら、怖い・・・・・」 そう言って、下を向いた時。 ふわり、と優しい香りがした。 「大丈夫よぉ。シャーリィちゃんなら、ちゃんと言えると、お姉さんは思うわぁ。だから、セネルちゃんにシャーリィちゃんの想いを伝えてみましょう?」 気がつけば、グリューネが後ろから抱き付いていた。 「グリューネ、さん・・・・?」 「シャーリィちゃん、勇気を出して?お姉さんが応援してあげるわぁ♪」 「グリューネさん・・・・・・。ありがとうございます・・・・」 そう言って微笑むと、グリューネも微笑み返してくれた。 「お姉さん、シャーリィちゃんがいつもそうやって笑っていてくれると、と〜っても嬉しいわぁ」 「・・・・ふふ、ありごとうございます。少し・・勇気が出ました。お兄ちゃんのことは、もっと頑張ってみます!」 「頑張ってね、シャーリィちゃん♪」 「はい!」
そのあと2人は、他愛のない雑談をしながら夜を明かした。
+あとがき+ はい。セネ←シャリを目指しましたところ、撃沈。 シャーリィとグリューネのお話に・・・!(死 まあ、これはこれで良いんじゃないかと。 でも終わり方微妙・・・・・!!
[8] 2005年12月05日 (月) 20時35分
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