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月由梨 棗(管理人)
お願い・・・・・今は、手を離さないで。
ずっと、手を繋いでいて。
今離してしまったら、あなたはまた遠くに行ってしまうから。
だから・・・・・・・
だから、今だけは傍にて欲しい――――
「イオン様は危険ですから、宿で待っててください」 イオンの導師守護役のアニスが言った。 「あの・・・・大丈夫ですから、僕も連れて行ってください。わがままだとはわかっています。・・・・・・・足手まといだと言うことも」 遠慮がちに言った言葉は、すぐに反対される。 「駄目ですよぅ!イオン様はお体が悪いんですから、お部屋で待っててください」 アニスが僕を心配してくれているのはわかってる。だけど・・・・・・。 「本当に、大丈夫ですから。お願いです。一緒に行かせてください」 ――ここでみんなと離れてしまったら『僕』という存在理由が消えてしまいそうだから。 「イオン様、でも・・・・・・さっきも倒れられて・・・・・・・・」 でも、これ以上わがままを言うと、アニスに心配をさせてしまう。 今も・・・凄く悲しそうな顔をしているから。 「いいんです。僕のことは心配しないでください」 ・・・それでも、一緒に居たい。 みんなと、一緒に居たいんです。 みんなは、僕がレプリカだって知ってしまったから。 ルークも僕と一緒だったけど、ルークはみんなに必要とされているから。 でも、僕は――――。 所詮、導師イオンのレプリカだから。 僕の変わりはいくらでも作ることが出来る。 体が弱いから、すぐにでも死んでしまうかもしれない。 だから本当は安静にしていた方がいいんだけど。 ・・・・・だからこそ、いつまで生きれるかわからないからこそ、みんなと一緒にいたい。 そう思うことは・・・・・駄目、なのかな?
「いいんじゃないか?」
突然、後ろから声がした。 振り返ると、ルークが居て。 にっこり、笑っていた。 「イオンは、一緒に行きたいんだろ?だったら俺達に止める権利はねぇよ」 そのルークの笑顔が温かくて。 「でも・・・・イオン様が・・・・・」 「いいんです、アニス。・・・・・・・ルーク、ありがとうございます」 自分も、微笑み返したつもりだったけど。 「・・・・っイオン様!?」 どうしてだか、涙が零れていた。 自分では気がつかなかったけど、何故だか悲しくて、嬉しくて。 「なんでも・・・ないんです。・・・・・・・大丈夫です」 「本当ですか、イオン様?」 「俺、なんか変なこと言ったか?俺が原因か?」 心配してくれる二人の心は温かくて。 自然と安心できて。 心に開いた穴が塞がっていくような感覚。 「本当に、なんでもないんです」 二人はまだ心配そうな顔をしていたけど。 僕を思ってくれているとわかったら、嬉しくて。 また、涙が零れてきた。 それを見て二人はまた心配そうに声をかけてきたけど。 今度は、ちゃんと笑えた。 「――――大丈夫、です」 泣いているのに、綺麗な笑顔で。
本当は、僕はここに存在しないと思ってた。
みんなに、レプリカだってばれてから。
ずっとみんなを騙していた。
『導師』と名乗って。
本当は導師ではないのに。
『導師イオン』を信じてくれている人のことを思ったら。
今まで導師守護役をやってくれていたアリエッタを思ったら。
新しく導師守護役になったアニスをも騙してると思ったら。
仲間のみんな・・・・・僕を『導師イオン』だと思っているみんなを思ったら。
僕はなんて穢れているのだろうと。
代わりだけど、仮にも『導師』のくせに、みんなに嘘をついているのかと思ったら。
胸が押し潰されそうで。
罪悪感ばかりが残ってて。
だけど、ルークに「ついてきてもいい」と言われた時、自分はなんて馬鹿なんだろう、と思い知らされた。
みんなは、レプリカなんて関係ないと、ありのままの僕を受け入れてくれていると、知ったから。
その心は温かくて、眩しくて。
さっきまでの不安感は、なくなっていた。
+あとがき+ シリアス(?)っぽいもの。 イオン様はこんなふうに思っているかはわからないですけどね; まだクリアしてませんので、あくまで想像です。 しかもルークの口調が変。 あまりにも駄文すぎてUPするかめちゃくちゃ悩みました;
[10] 2005年12月25日 (日) 16時40分
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