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月由梨 棗(管理人)
この静かな夜が 闇に染まって
月明かりを頼りに 歩き出す
たとえ転びそうになっても 前を見て歩く
人が信じられなくなっても 自分を信じよう
もしもあなたが 私を信じられなくても
私はずっとあなたを 信じてあげるから
夜はやがて 朝になる
ほらもう朝日が見えてるよ
だから信じて前を歩こう?
その先には素敵なものがあるから
「・・・・・・フェニモール?」 背後からシャーリィの声がして、驚いて勢いよく振り返る。 急に名前を呼ばれて肩がビクッと震えてしまう。 「・・シャーリィ。あんた、聞いてたの?」 「う、うん。ごめんね、驚かせるつもりはなかったんだけど。でも、歌が聞こえたから」 「だれかに聞かれるなんて。ま、でもシャーリィならいいか」 「ありがとう。ところでさっきの歌、なんだか少し悲しいね」 「・・・そう?この歌はあたしのお母さんが歌ってたのよ。だれかを信じる心を忘れないでねってお母さんがよく言ってた」 そこで、フェニモールが少し悲しそうな顔をした。 今はいない母親を思い出したのだろうか。 「そっか・・・お母さん、優しい人だね」 「うん。いつもあたしが独りでいると、お話を聞かせてくれたりした。独りで寂しくないように、傍にいてくれた」 フェニモールの懐かしむような目を見て、シャーリィの口元に笑みが浮かぶ。 「本当に、優しいお母さんだね・・」 「ふふ、シャーリィも十分優しいわよ。こんなに優しい友達がいるなんて、あたしは幸せ過ぎるわ」 「・・フェニモールも凄く優しいよ。わたしが落ち込んでいたら必ず声をかけてくれる」 「だって、シャーリィには幸せでいてほしいのよ。暗い顔をしてたら幸せが逃げちゃうわ。誰かを祝福することがあたしの役目よ」 「フェニモール・・。ありがとう。凄く元気が出たよ!」 「・・・・・・・。シャーリィ、無理・・・しなくていいのよ」 「・・・・」 「あんた、無理に笑ってるでしょ。顔がぎこちないわよ」 「・・・・・・」 シャーリィは口を開きかけたが、言葉が出てこなくまた閉じる」 「お兄さんに・・告白、断られたときから元気ないもの。無理しないで。あたしにぐらい、弱音を言ったっていいから。あたしは、あんたを突き放したりしないから」 「・・・・・うん」 シャーリィの目に、涙が溢れる。 「お兄さん、今はシャーリィのことわかってくれなくても、絶対いつかは答えてくれるから。自信を持たなきゃ駄目よ」 「・・・・・・うん、」 「ほら、いつまでも泣いてたらせっかくかわいい顔が台無しよ。そんなんじゃお兄さんに笑われるわ」 「・・・そうだね。本当に、本当にありがとう、フェニモール」 「あんたも、自分を信じて。そしてお兄さんを信じなさい。そしたらきっと、最後には素敵なものがあるわ」 「・・歌の、通りになるといいね」 「なにいってるの。歌の通りにならなきゃ!あたしも、その時はちゃんと祝福してあげるから」 「うん、楽しみにしてるね」 「そのあとはパーティね。お兄さんの仲間の人たちも呼んで、お祝いをしましょう」 「お祝い・・できるといいね」 「そうね・・・・」 そういって、2人は夜空を見上げた。 ・・・・・そこには、綺麗な星が輝いていた。
その翌日、悲劇が起こった。
+あとがき+ シャーリィとフェニモールのお話。エセシリアスです。 そのあとの悲劇とは、プレイした人なら知っているあの悲しい出来事です。 望海の祭壇でのあのイベント凄くショックでした。 そういえば、この駄文の話に戻しますが、フェニモールの母親については空想なので。 たぶんヴァーツラフに殺されちゃったんでしょうね・・。
[4] 2005年11月15日 (火) 19時49分
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