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アリシンでアニシンでイオシン
柚良 棗
「…シンク…」

「……」

どうしようこの状況はヤバいよ果てしなくヤバい。
…そもそも、何でアリエッタがボクの上にまたがってるわけ?
しかもここ礼拝堂なんだけど。


























あぁ、多分、アリエッタのこの一言から始まった筈。


「シンク、シンクの声は…イオン様に似てる…です」

「…は?」

ボクは一瞬ぎくりとした。
…そりゃ、被験者イオンのレプリカだし、声くらい似てたっておかしくない。
でもヴァンは『シンクの声は他のレプリカ達より高めだな。これならアリエッタにも怪しまれることはないだろう』って言ってたし。
だから大丈夫だと思ってたし、アリエッタに怪しまれた時の言い訳なんて考えてない…―。

「…シンク?」

「え?…あぁ、何?」

ぼーっとしてた…アリエッタに話しかけられてビクつくなんて知られたらアッシュになんてからかわれるか…。

「シンクは、イオン様と声が似てる…って話してた…です」

「ああ…そうだったね。それで?」

あーもう、早くこの話題終わらないかな!
…でも終わるどころか、余計ややこしくなるなんて、ね。

「髪の色も似てる…です。身長も同じくらいだし…」

「…だから?」

「だから…シンク、仮面をとって見せて…?」

仮面を取れとまで言われるとは思ってなかったんだけど…ッ!
アリエッタの事だからすぐ忘れると思ってたし。
…もうホントにどうしたらいいのかなぁボク…。

「…って、うわっ!」

いきなり視界がぐるんと回ったかと思えば、なんでアリエッタがボクの上に乗ってるわけ!?
…アリエッタがボクの仮面を取る為に押し倒したからに決まってるけどさ。

「…シンク…」

「……」




…こんな事があって、今のこの状況があるわけだけど。

ていうか周りからの視線が痛い…。
それに耐え切れなくなって、アリエッタに向かって声を張り上げる。

「あーもう、アリエッタ…みんな見てるよッ」

「シンクは黙っててください、です」

えぇ!?ちょっと…アリエッタっていつも弱気な感じだったのになんでいつもと目つきが違うのさ!

「シンク、動かないで…」

「え…ちょ、何するつもり?」

「暴れる人には、腕を縛るといいってイオン様に教わったです」

導師…ッ!!アリエッタに何教えてるのさッ!
こんなの教えて、どうせ被害に遭うのはボクだって分かってるくせに!

「シンク!動かないでって言ったぁ…!」

アリエッタはボクが動くと泣きそうになってるし…ホントこの状況で泣きたいのはボクじゃない?
…ホントこれ何のプレイだよ。

「あっれぇ〜?根暗ッタにシンク。何やってるの?」

うわぁうるさいのが来た…じゃなくて、この導師守護役ならアリエッタの事止めてくれる…よね…?

「アリエッタ根暗じゃないもん!アニス黙ってて!邪魔しないでよ!」

「うわ…なんか今日キャラ違くない?そもそもなんでシンクがアリエッタに押し倒されてるの?腕まで縛られて」

「アリエッタ…シンクの顔が見たいの…。だから、地の果てまで追いかけて…シンクの仮面を剥ぐ、です!」

「わー、なんだ面白そうなことしてるじゃん♪アニスちゃんも混ぜてーっ♪」

「アニスも…やるの?わかった…手伝って」

「了解〜♪」

うわぁ…何こんな時だけ仲が良いんだよッ。

…ん?あれ、なんか物凄い足音が聞こえるような…

「シンクーーーッ!!」

……はぁ、やっぱり来た…。
って、導師ならこの状況を上手く回避してくれるよね。ボクが導師と同じ顔をしてるとバレたら困るだろうし。

バンッと大きな音を立て、礼拝堂の扉を開けるイオン。
…あぁ、導師の後ろに居たあの劣化レプリカとその仲間の奴ら、驚いてるし。

「シンクッ!なんでこんな面白そうなこと僕に教えてくれないんですかッ!3Pじゃなくて4Pにしましょう!」

「はぁ!?アンタ、ボクを助けに来てくれたわけじゃないの!?」

導師は一瞬きょとんとし、そのあと我に返って焦りだした。

「はっ、そうでしたね!僕とシンクが身体を重ねる関係にあることは秘密にしろとシンクに何度も釘を刺されましたもんね!」

シンと静まり返る礼拝堂内。

…なんで早速暴露してるんだよ導師はッ!!

「あれ?皆さんどうかしましたか?」

自分がバラしたという自覚がまったくない導師は、辺りを見回して首を傾げる。

「うそー…イオン様が同性愛者だったなんて以外ですぅ〜」

「イオン様…本当、なの?」

「はい?」

アニスとアリエッタが問いかけるも何のことかさっぱり理解していないイオン。

先程のイオンの秘密暴露にショックを隠しきれないシンク。

そして、イオンとシンクを交互に見つめ、唖然としているルーク達。


「…導師、」

「なんですかシンク」

「向こうに行こう」

「なんですか?あ、まさか僕と愛の育みを…!?」

「違うよ」

「なんだ…ちょっと期待したのに…」

「いいから!」

「…はーい」




その後、教会内にシンクの怒鳴り声が響いた。









■あとがき
はーい終わり方微妙でお送り致しました久々のイオシン小説。
なんかやっぱり、何回書いても小説の終わり方ってものが判らないです。
多分次は別ジャンルの更新になると思いますが、気長にお待ちください。
[16] 2006年06月30日 (金) 10時39分



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