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イオシン
柚良 棗
今、イオンとシンクが居る場所はイオンの私室。
この状況についていけなく、シンクは今まで閉ざしていた口を開いた。

「ちょっと……なんのつもり?」

シンク自身は怒った声を出したつもりだったが、イオンは全く気にした様子も無く平然と答える。
しかも、返答の内容がこれ。

「あれ、判りませんか?これから貴方を食べるんですよ」

今までシンクもイオンのおふざけに無理矢理つき合わされてきたが、こればかりは理解不能だ。

「何訳の判らないこと言ってるのさ。いい加減帰っていい?」
「駄目に決まっているでしょう。何の為に苦労して貴方を此処まで連れてきたと思っているんです?」

イオンは苦労して、と言っているが、実際にはシンクの女装写真をばら撒くと脅して連れてきただけである。
その点にはあえて突っ込まず(というか余計に話が拗れる為)、シンクは溜め息を吐いて周囲を見回す。
特に何かあるわけではないが、自分の身体の上に跨ってこちらをにこにこと見つめてくるイオンと視線を合わせるのが嫌だからだ。
いい加減イオンの視線に耐えられなくなり、顔を背ける。

「…ねぇ、なんなのさ」
「あれ、シンクって意外と理解力ないんですねー。折角僕が気を利かせて心の準備をさせてあげる時間をあげてるのに」
「………は?」

ますます意味が判らなくなって、シンクは思わずイオンの方に顔を向けた。
その時、なにか唇に柔らかい感触がして……。

「……んぅ…っ!?」

イオンにキスされていると理解したときには、既に唇は離れていて満面の笑みのイオンがいた。

「シンク、油断禁物ですよ?ちゃんと警戒していないと、いつ襲われるか判らないじゃないですか」

そう言いながら、イオンはシンクの服へと手をかける。
そんな状況になって初めてイオンのやろうとしていることを理解して、慌ててイオンを止める。
[15] 2006年04月20日 (木) 18時18分



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