| [1] 闇の君 06/28(Fri) |
- 匿名 - 2016年05月27日 (金) 05時26分
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| [2] 闇の君 06/28(Fri) |
- 匿名 - 2016年05月27日 (金) 05時27分
闇の君 06/28(Fri) 血の海に倒れる私を見下ろす人々の影。 誰かが、気になる言葉を二三つぶやいたが、聞き取れなかった。 気が付くと私は馬車に乗せられていた。 規則的な揺れと車輪の音が、石畳の上だと教えてくれる。 どこへ向かうのか。窓の外を見る。 夜の闇というには、あまりにも深い暗闇。黒々と影を刻む重厚な石造りの街。 この馬車以外に、動くものの気配はないようだ。
目を転じ、窓から空を見上げる。 長く、短く。尾を引く雲筋が渦巻き、絡み合い、制止している。 まるで時が止まったかのような世界。
向かいの席には、白い肌の美しい人が座っていた。 目は氷のように冷たいのに、唇は微笑を形作っている。 私は、何処へと、聞いたのだろうか。その人は答えた。
「俺の城に行くんだ」
私は、何故と、聞いたのだろうか。その人は冷たい瞳のまま答えた。
「お前には俺の血が混ざっている。だからな」
見れば、私はクラシカルなスーツをまとった少年のような姿をしていた。 その人もまた。 私は、どうなるのかと、聞いたのだろうか。その人は不敵な笑みを浮かべた。
「楽しみだ……」
この夢の話が後に膨らみ、妖魔の世界を生み出しました。 この頃、学校の帰り道に人待ち顔の真っ黒な美猫とも出会ったりして、 不思議な感じがしたものです。
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