バーバラさん。夫婦版のご投稿拝見しました。ご忠告ありがとうございます。こちらにレスを書かせていただきます。
バーバラさんの裁判の結果は、ほんとうに酷いと思ってます。
話が迂遠になりますが、DV法の成立からお話しさせていただきます。
私は、一労働者として働いていた、1979年「女性差別撤廃条約(女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約=国際人権規約)が国連で採択されたました。
日本国憲法14条で、すべての国民は、法の下で平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。(1946年11月3日公布、1947年5月3日施行)
私は1945年小学校に入学し、教科書に墨を塗り、戦後の平和教育、人権教育を受けました。 「三つ子の魂百まで」と譬えがありますが、私は平和と人権が心身に浸みていて、人権侵害を放置し赦すことができないのです。
確かに、憲法があり男女平等を唱っていますが、実質的社会生活においては常に女性差別が存在していました。 「男を立てない(反論:女も立ててほしい)」「女のくせに生意気(反論:息を吸って生きてどこが悪いの!)」「女は優しく(反論:男も優しくていいじゃない)」等上げたら切りがありません。 「同一労働同一賃金」と言われながら、女性の昇進は殆どなく退職時退職金、年金に大きな差がありました。
1970年代、全共闘運動と呼ばれる学生運動が革命の情熱に燃えていました。 ウーマン・リブ運動が起こり、田中美津さん・秋山洋子さん他たくさんの女性たちによって、おんなが女を生きることを問い語り、生きるという、時代の風が激しく吹いてました。
1975年からの「国連婦人の10年」の女性運動を私は直接経験しました。 1985年、日本が念願の「女性差別撤廃条約」を批准したとき、私たちは手を取り合って喜び合ったのです。 批准できたのは、市川房枝さん、土井たか子さん他大勢の女性の甚大な女性運動と努力があったからでした。
「女性差別撤廃条約」批准によって、日本政府は女性に対する差別が法律上存在したとき、これを除去する法整備をしなければならなくなったのです。
①教育における男女の機会均等(家庭科の男女共修、大学の進学等) ②男女同一賃金原則(労働法) ③男女機会均等法の制定・セクシュアル・ハラスメントの防止 ④男女共同参画社会基本法の制定 ⑤配偶者からの暴力の防止及び被害者保護に関する法律(DV法)の制定
等、政策を法整備で整えたのです。
30代の私は時代の風を浴びながら、仕事と家事育児(二重労働)をし、綱渡りのような生活をしてました。 「なぜ私はこんなに苦しいのだろう」と悩んでいたとき出会ったのが『妻は囚われているか~家庭に縛られた母たちの矛盾』ハンナ・ギャブロン著 尾上孝子訳(岩波新書768:1970年11月発行150円)と『女性解放思想の歩み』水田珠枝著(岩波新書871)です。
その後、私は女性学へ辿り着き、フェミニズムの放射線を浴びたのです。女性への差別、女性への人権侵害は赦されるものではない、女性への最大の差別である「女性へのあらゆる暴力をなくすための運動」に加わることは当然の帰結でした。
「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」2001年4月施行されました。 この法律は、超党派の女性議員、福島みずほさん、南野智恵子さん、堂本暁子さん、はじめ近藤恵子さん、戒能民江さん、遠藤智子さん、そして大勢のシェルター運動の女性たちによる運動が実を結んでできた、議員律法です。
DV法ができるまでは、単なる男女間のトラブルと考えられ「犬も食わぬ夫婦喧嘩」とされ、放置されていたのです。
法律の内容には、いろいろ問題がありましたが、3年ごとに見直しされ2度改正されています。
DV防止法は2007年に改正されてます。(一部のみ記載) 第1条 この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不当な攻撃であって、生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。)又は、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(以下、この項において「身体に対する暴力等」と総称する。)をいい、配偶者からの身体の暴力を受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消される場合にあっては、配偶者であった者から引き続き行ける身体に対する暴力等を含むものとする。
私は「尼僧紅蓮のDVかけ込み寺」の仲間10人くらいと一緒に参議院議員会館で行われる各省庁と超党派議員が居並ぶ改正現場に何度も足を運んでいます。 「DV紅蓮」からは、当事者がマイクを持ち暴力の事実を泣きながら語り、DV法のここを改正してほしいと訴え、会場が涙することが度々でした。
2度目の改正において、精神的暴力(モラルハラスメント)が心身に影響を及ぼす暴力であることを条文に入れることができました。
バーバラさん。私はフェミニストカウンセラーです。 フェミニストカウンセラーの信条は、「パーソナル・イズ・ポリティカル(個人的なことは社会的なこと」です。 社会を変えないことには、ひとり一人の個人の生活 から暴力を排除することは難しいと考えています。
社会全体が女性差別を無くし、女性へのあらゆる暴力をふるう加害者に厳しい眼を向け、処罰していかない限り暴力は無くならないと考えています。 今の社会には、暴力を振るう危険な男たちが野放しになってる現実があります。
私はルームで話を聴けばOKというカウンセラーではありません。
弁護士には『Q&Aモラルハラスメント』を読んでもらい、資料、通信を渡してます。書証を提出することもあります。 裁判所でも調査官に資料を渡し、理解を得るようにしています。
調停委員に二次被害を受けたりしたことはあります。それに対して当事者の方が凹んで挫けないように、支えるのが私の仕事の一つでもあります。
幸い、調停及び裁判で当事者の方が不利益を蒙る結果を招いたことはありません。
バーバラさん。私の成長過程まで書いたので、面食らわれたかもしれません。私がなぜ女性差別と女性へのあらゆる暴力をなくすことをめざしているのか、ご理解いただきたいという思いから書きました。
私は決して裁判を楽観視はしたことはありません。裁判は厳しい戦いの場です。だからこそ、精神的暴力(モラルハラスメント)およびその他の暴力が女性に及ぼす影響の真実を伝え、司法の場に臨む人たちに理解してほしいと考え、努力をしています。
また、DV裁判は勝たないと意味がないと考えてます。当事者の方と勝ち抜くための戦略も練り、リハーサルもします。
バーバラさん。厳しい現実の中で、当事者の方が希望の光が見え、生き延びることができるよう支援するのが私の支援スタイルです。私が書くことで、ここへいらっしゃる方が小さな光でも見つけて、ほっとして下されば本望です。
バーバラさんには厳しい現実を見てない、甘ちゃんだと笑われても、それはそれで仕方のないことです。 私はDV調停及び裁判で悲観したことはありません。悲観していては勝ち抜けません。必ずDV裁判は勝つことが目的です。勝たなければ暴力が社会的に容認されることになるからです。
モラルハラスメント被害者同盟を主催してくださってる@fixさんへも感謝です。ここへ来ることで、どんなに多くの女性が暴力から離れることができてることでしょう。
ここまで、なが~いカキコを読んでいただきありがとうございます。(^^)/
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