宮本百合子著『伸子』を読みました。
こんな内容だとは知らないで読んだのですが、読み進むうちに、んん??なんだ、なんだ??
となりました。はじめは、普通に小説として読んでましたが、読み終わってから、また、最初から行きつ戻りつして、この夫婦間の会話や行動を分析していたらけっこう疲れました。
大正時代、当時としては経済的にも恵まれた20歳の女性が、アメリカの大学で知り合った男と結婚し、破綻する話です。お互いに成長できるような結婚生活を夢みて、自分の仕事は続けたいし、子供はいらない、ということまで、はっきりと相手に伝えてから結婚したのに、なぜかうまくいかない、その生活を細かく書いているのです。
暴力というものは一切ありません。相手を見下したような態度や、突然キレたり、なんてのもありません。でも、彼女は徐々に耐えられなくなってしまいました。最後の最後まで、伸子はなんで自分がこんなに苦しいのかわからないままでした。百合子の自伝のようです。体験してないとここまでは書けないと思います。
解説でも、この時代の社会通念や家族制度のことなど、社会的な見方でしか述べられていません。 夫の人格のことについては、何も書かれていないところからも、夫がおかしい!と読んだ人がだれも思わなかったのでしょうね。小説の中では、あの人は変わっているから・・と忠告のことばはありましたが、恋愛中のときは、相手のことが見えなかったのです。
実は、30年以上も昔、夫と出会う前に一度、この本を読んだことがあるんです。まったく内容を覚えてません。つまらない、わけのわからない・・と思ったんでしょうね。
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