| [388] バトラーニューストーリーU]V |
- ダイゴウジ・ガイ - 2007年04月14日 (土) 23時54分
第二十三話 「乱撃の闘争、胡蝶VS毒蛾!!」
「フッ・・・・オレの完敗だな・・・・大した野郎だぜ、そんな状態でこれ程の破壊力のある一撃を食らわせるなんてよ・・・」
ゲンゾウのフェニックスグランザムドグルの直撃を受けた張が、何か吹っ切れたような笑みを浮かべながら言う。先のゲンゾウの 言葉、「愚劣な相手の言いなりになって自分の正義を見失う事、これだけは絶対にするな」この一言で張自身は自分の本来すべき事 そして本当の正義を取り戻す事が出来たのだ、彼は自分の見失っていた物を呼び覚まさせたゲンゾウに心から感謝しつつ賞賛していた 自分の最強の技である気功拳の最大出力をモロに受け、立っているのもやっとの状態であれ程の技を繰り出し自分を倒したのだ。 しかし今のゲンゾウ自身はかなり疲弊しきっていた、目前の敵は撃退したがこの戦いで重傷以上の大ダメージを受けた、そして問題は 右拳である。フェニックスグランザムドグルはフェニックスグランザーの比ではない程に高威力だが代償として使用した方の腕の 拳に相当な負担がかかる。そして今回のフェニックスグランザムドグルは相当なエネルギーを加えて放ったため自分でも分かるが 相当では済まない程莫大な負荷が掛かっていた。殴るモーションでの攻撃が基本であるゲンゾウにとって利き腕である右拳の負傷は 大きい、そしてこの後に控えている敵はあのシドウなのだ。他の仲間達が痛手を受けてなければ良いがと本当に思う。
「先程とは目が違うな・・・・これから先は自分の好きなようにすると良い、最も・・・お前の選ぶ道は一つだろうがな・・・・」
ゲンゾウがそう言った直後、張はヨロヨロと起き上がりゲンゾウに背を向けた状態で振り返り笑みを浮かべつつ口を開いた。
「わかっていたか・・・オレはたった今からブラックセイバーズを抜ける!!今から妹と母を助けに行くぞ!!オレの 戦うべき理由・・・・掛け替えのない家族達を!!本当の正義を持ってしてな!」
ゲンゾウは口元に小さく笑みを浮かべながら「そうか」と返した、戦いの中で真の正義を持つ者と出会い分かり合えた事 格闘家として・・・・正義を持つ者としての喜びでもあった。
「機会があればまた会おうゲンゾウよ、お前達バトラーナイツの勝利を願っている」
張はそう言い終わると、暗闇へと姿を消して行った。彼の家族を助ける事にも協力したいが現状況ではどうする事もできない ゲンゾウはコロシアム中央で大の字になって横たわった正直予想以上にダメージが大きい、こんな状態で全くの無傷である シドウと戦っても結果は見えている。自分の敗北だ。他の隊長達の無事を祈りつつ、ゲンゾウは天を仰いだ。
そして体育館ではまた別の戦いが行われていた、戦っているのはユミである。得意のテコンドーでの蹴りを放つが敵幹部は それを正面から腕に装備した子型の盾で受けとめる。ユミはその盾を踏み台にし上空に飛びあがりさらに高高度からの攻撃を 加えようとするが敵幹部の投げ付けた何かを回避するために体勢を崩し、着地した。体育館の床に刺さっているのを 見る限りどうやら針らしい、それも縫い針等とは違って大きな物だ。だがそれよりもユミには針の刺ささった場所が一番 気に掛かっていた。針の刺さった床が少しだが溶けている
「なるほど・・・流石はブラックセイバーズの幹部ってトコかしら?普通のマフィアにアナタみたいな毒使いはいないわよ」
床が溶解していたその理由、それは針に毒が塗られていたからだ、一目で敵を毒使いと看破したあたり流石ユミである。
「良く気付いたわねバトラーナイツ二番隊隊長平野ユミ、まさか一撃目で見破られるとは思ってなかったわ、私の名前はユイ 毒蛾のユイの二つ名で呼ばれてるの、乱撃の胡蝶の相手ができると思って期待してたけど、想像以上みたいね」
毒蛾のユイの名はユミ自身も聞いた事がある、確かかなり高等な戦闘技術と自作の強力な毒で戦うプロのマフィアである。 内心でユミは「厄介なヤツに当たった」と思い舌打ちした。無傷で勝てるような相手ではない
「まあ今の針に塗ってあって毒はまだほんの初級レベル・・・・私の毒が本領を発揮するのはこれからよ!!」
ユイがナイフを抜き放ち物凄いスピードで肉薄しようとする、ユミは無論足技で対抗・・・胡蝶と毒蛾の戦いの幕開けであった。
続く

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