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[12] HTE 2、分岐点(1)
rarayan - 2006年04月29日 (土) 22時40分

まずこの上なく不幸なハヤテにとって幼いころからのバイトでの経験は唯一の救いであった。

基本的にそれは人の能力の限界を凌駕していた、全く持って世界と言うのは上手く出来ている、不幸である為にある種それと生きていく術を身につけてしまったのである。

「お前は人生を自分の為に生きれないんだろうな」
地元の公立高校の制服に身を包んだ男子生徒であろう人物が隣にいた又コレも同じく制服の高校生に語りかけた、「・・・はぃ・・」その少年はなにを言われたか理解してない様子であった「ハヤテ!!お前の事だよ、お前の!!」ハヤテと呼ばれたその少年は未だにキョトンとした様子でさっき言われた言葉を脳内でロジックのように組み立てていた。
「お前と一緒にいると思うんだけど、お前って困ってる人に対して自分を惜しみなく犠牲にするんだよな・・・全く、なにが楽しくて犠牲者になるんだなぁ〜、もっと自分を大切にしないと大事なものも失うぞ。」・・・・・・・・


気がつくとハヤテは三千院の屋敷の一室である自分の部屋のベットの上にいた。
「・・・ゆ、夢?」ハヤテはそうつぶやくとゆっくりと体を起こした、ハヤテの部屋はずいぶんと殺風景で何もないといっても過言ではない、部屋の中は随分と薄暗い。
つまり、まだ日の出ている時間帯ではないと言うことである、時計の針はちょうど6時をさしている。
三千院家の執事であるハヤテの朝は随分と早い。
「おはようございます。」ハヤテはそう独り言をつぶやいてベットから立ち上がった、ハヤテは寝癖のついた髪をくしでといでから部屋を出た。
ハヤテは廊下で先ほどの夢の事を考えていた、さすがに三千院の屋敷の廊下はかなりの広さでそこに一人で立っているとかなり絵になっている。
「浮かない顔ですね・・・何か怖い夢でもみましたか・・・・」

その声はハヤテの思考回路を現実に戻した、声の主はこの屋敷のメイドにしてハヤテの上司であるマリアさんだった。

「そんな難しい顔していると運が逃げちゃいますよ!!」そういうとハヤテの顔をチョンと軽く突いて調理場の方へ向かって行った、おそらく朝食の準備をするのであろう。

ハヤテもそれをみて思い出したかのように調理場の方へ向かって行った、もちろんハヤテは夢の事などとうに忘れていた。

今日もまた1日が始まる、昨日とも明日とも違った1日が・・・・


分岐点(1)終了



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