| [80] 未来への道標]Y |
- ダイゴウジ・ガイ - 2006年06月20日 (火) 00時48分
第十六話 「ツンデレの領域をかなり越えた少女、西園寺奈津紀」
「ハイハイハイ、ここが吹奏楽部の部室な、できれば来たく無かったんだがな、俺は・・・・・・」
何か嫌な事でも思い返すようにアキトさんが呟いた。
「何かあるんですか?吹奏楽部って?」
何も知らない僕は、ヒムロさんに聞いて見た。吹奏楽部はかなり楽しそうに部活動しており、アキトさんが嫌がる何かがあるようにも見えない
「そうか・・・・・綾崎君はまだ知らなかったね、いや実は君が転校して来るちょっと前にこの学校の吹奏楽部に一人の天才少女が転校して来たんだよ」
ヒムロさんが必要以上に深刻そうな顔と話し方で僕に語り掛けた。 しかし、吹奏楽部に「天才少女」が来る事に何か問題があるのだろうか?
「その転入して来た方は、幼い頃から通常の三倍くらい音楽関係で英才教育を受け、今では数々のコンクールなどで優秀な成績を収め あの有能かつ天才ぶりは雑誌に取り上げられる程にまでなったと聞きます。」
ヒムロさんの後を野々原さんが変わって話した、しかしここまで聞いてもその「天才少女」がここの吹奏楽部に入る事は なんら問題無さそうなんだけど・・・・・・・僕が今思った事を聞いてみようと思い口を開いた時、お嬢様が僕に代わって質問した。
「私はそんな事聞いていなかったが、その聞く限り音楽面ではカンペキな者がここの吹奏楽部に入る事に何かしら問題があるのか?」
そのお嬢様の言葉に、アキトさんがいら立った口調で話し始めた。
「音楽面だけじゃあない、勉強面においての成績も優秀、しかも運動神経も悪くない上に美少女、全てがパーフェクトだ。 そう・・・・・たった一点を除けばな!!!!」
アキトさんが、大げさに手を振って以上なテンションで語った。 僕はその後たった一点とはいったい何なのかをアキトさんに問おうとした。 しかし、僕の言葉は後ろから聞こえてきた怒鳴り声にかき消された。
「あ〜!!もう!しつこいわね!!アンタのせいでもう20分も部に遅れちゃってるじゃない!!もういい加減にしてよね!!」
随分と、迫力のある人だ・・・・・どうやら男子生徒に何かしつこく言われていたらしい、コッチに走って来る僕が声をかけようとしたその時
「相変わらず、男子生徒の人気は高いようだな?西園寺奈津紀!!」
アキトさんが険しい表情と声でその走って来た女の子を引き止めた。
「あら、そっちこそマヌケな顔は三人そろって変わってないのね?ホント白皇で最も有能な執事三人がこんな連中なんてねぇ?」
「さっきも、男子にキツく当たっていたようだが、大方貴様に告白でもしたんだろ?さっきの男の子は?少しは話しくらい聞いてやったらどうなんだ? 貴様の本性も知らずに好意を持ってくれているんだぞ?」
何なんだこの人?さっきのはそう言う事だったのか?と言うかアキトさんにここまで言う人なんて初めて見た。 ん?待てよ?部に遅れてるって言ってたワリにココでアキトさんや僕等に嫌味を言ってやろうって気まんまんだよな? つまりもう急ぐ必用は無いって事か?だったら吹奏楽部って事しか考えられない、って事はまさか!!
「野々原さん・・・・もしかしてこの人・・・・・」
「ええ、さっきまで話題に出ていた天才少女とはこの人、西園寺奈津紀さんです」
続く

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