| [70] 未来への道標]V |
- ダイゴウジ・ガイ - 2006年06月18日 (日) 01時46分
第十三話 「執事の鼓動は「ド根性」」
「んで、随分久しぶりだが、ホウカさんのトコの執事をやってくれるんだな?芽露ちゃん?」
「はい!!私頑張りますよ〜!!!」
あの後、芽露さんに引っ張られ、僕はお屋敷まで走って帰ってきた。 僕等がお屋敷に着く前にすでにアキトさんがこむぎさんとお話しを済ませて帰って来ていた。 そして僕が事情を説明し、芽露さんはやはりホウカさんの家に公式採用となった。
「とりあえず、コレがたいていの事が書いてある書類な、明日の朝の10時にホウカさんのお屋敷まで行ってくれ、二人の書類はもうあっちに送ってあるしね」
こむぎさんは少し緊張していたが、芽露さんは緊張などこれっぽっちもしていないようだ。
「よぉし!!明日は頑張るぞぉ!!あっ!!それじゃあ私はこれで失礼しますね!!そのこむぎちゃんって子にも会って来ます!!それじゃあバイバイ!!ハヤテ君、アキトさん!」
芽露さんが元気良く飛び出して行った。活発かつ男勝りな性格の人なんだ。アキトさんがチラっと僕の方を見て笑顔を作った。
「やっぱしお前に任せて正解だったな、センスあるゼ?しっかし驚いたなァ、まさか芽露ちゃんとはねぇ・・・・・」
「ええ、僕も初めはビックリしちゃって・・・・・・何か、僕が執事やってるって言うのを聞いて、良いなぁって思い始めたみたいですけど」
僕がその言葉を言い終えた直後、アキトさんが「ふぅん」と言って僕の顔を覗き込んだ。そのアキトさんの意味ありげな態度に対し
「何ですか?」
とごく普通に聞き返した。次のアキトさんの口から出た言葉に僕が赤面した事は言うまでも無いと思う。
「いや・・・・ただちょっとお前の事を心配しただけさ、気ィつけろよ?お前はただでさえモテるんだからさ?」
「んな!!な!!あえ!?何言ってるんですか!!!」
アキトさんが大笑いしながら顔を真っ赤にして反論する僕にツッコミを入れた。
「ハハハ!!照れンなって!!しかもお前初めの方日本語になってねぇよ」
なおも僕はからかって来るアキトさんに反論した。
「からかわないでくださいよ!!僕なんかいったい誰が好きになってくれてるんです!?」
例を挙げればたくさんいるけど、と言う言葉が喉まで出かかったが何とか飲み込んだ。自覚が無いってのもコイツらしい、と アキトは心の底からそう思った。ただこれ以上この話しを続けてやるのも少し可愛そうかもしれない
「ハハ、ワリィ!ワリィ!んじゃあまあ晩飯にしようぜ?腹減っちまったしなぁ」
そのアキトの言葉に対しハヤテは「そうですね!」と答えただけだった きっと心の中では話題がそれて良かったと思っているに違いないだろう。
「あのさぁマリア?」
「ハイ?何ですか?アキト?」
晩ごはんを済ませ、風呂から上がったアキトとマリアは久しぶりに話しこんでいた。二人の仲は恋人同士と言うよりまだ盟友と言う所だろう。
「いや・・・・単に髪は解いてる方が可愛いなぁ〜とは思ってたけど風呂上がるともっと美人だなと思ってさ」
「もう!!変な事言わないで下さい!冗談が過ぎますよ?」
「まあ冗談じゃなくて今のは本気なんだがな」
マリアは一瞬反応が送れたがアキトの言葉に意味に気付いた。
「下手ですよ?女の人を口説く練習ですか?私達恋愛経験とか無いですから、良く分からないでしょう?」
自分に言われたのだと言う事は分かったが、あえてマリアはアキトの言葉を流した。なんせ間が持ちそうに無かったのだ。
「練習なんぞお前でするか、やるとしたら本番だな」
「まずやるんだったらその星柄のパジャマをどうにかして下さい、似合いませんよ?」
「そうかあ?結構気に入ってるんだけどなあ・・・・・・」
こんな会話でも二人のコミュニケーションは完全にとれている。 マリアの事が好きなアキトにとって、彼女といられる時間が最も楽しいのかもしれない
続く

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