| [51] 未来への道標] |
- ダイゴウジ・ガイ - 2006年05月31日 (水) 23時48分
第十話 「女執事のレジェンド(伝説)」前編
今は6月、その夏に入り始めた雨上がりの朝は・・・・・ 以上に蒸し熱かった・・・・特に執事探しなんかしてる僕等には!!
「ええい!!クソ!!ダメだ!ダメだ!何処行っても使えそうなヤツがいねえ!!」
この以上なまでの蒸し暑さにいらついていたのかアキトさんが大きく叫んだ。道を歩いている人が数人振り返る程大きな声で いらだっていたのは「熱い」と言う事だけでは無い、僕とアキトさんは 鳳華さんの執事探しをしており、候補者の家を訪ねて回っていたのだが アキトさんがどの執事にたいしてもOKを出さなかったのだ。 すでに20件近くを回った僕等は日射病で倒れそうだった。 どこの執事もアレじゃあ鳳華さんに絶対気に入られないとついさっきアキトさんがぼやいた。男性嫌いの鳳華さんを考えて言った言葉だ。
「しっかしあっちぃな!ハヤテ!ファミレス入ろうぜ」
「えっ!?僕お金なんて持ってませんよ?」
「俺のおごりに決まってんだろ!こんな暑苦しいんじゃ話しになんねぇし!行くぞ!!」
僕はアキトさんに引きずられる形で近くに見えていたファミリーレストランに連れて行かれた。
「ステーキセット二つとメロンソーダ二つ!」
「かしこまりました」
アキトさんは入ったとたんに僕の頼む物まで決めてしまった。僕は安い物で良かったのだが
「ちょ・・・・・良いんですか!?アキトさん!?ステーキセットなんか一つ2000円もするじゃないですか!!」
必死で安い物で良いと言う僕に対し、アキトさんが口を開いた。
「良いんだよ、どーせお前こう言う所マトモに入った事無いんだろ?それに俺達朝メシ食って無いんだゼ?これからも頑張らなきゃいけないのに、ちゃんと食わないとパワー不足だゼ?」
そんな事・・・・と僕が言いかけた所で、僕の胃がゴロゴロと鳴った。 流石に朝の7時から歩きっぱなしで飲まず食わずはキツイ
「ホラ!!来たぜ!遠慮しないで食え!食え!」
「それじゃあ、頂きます。アキトさんお金大丈夫何ですか?」
「ん?それなりにちゃんと給料も貰ってるからな!それにガンダム系のモンはマンガやらDVDやら小説やら全部買っちまったしなァ、ここんトコ使ってねぇから溜まって溜まって!」
アキトさんがサイフの中身を僕に見せながら言った。一瞬見ただけでも 40万円近くは入ってる事が判った。しかもキャッシュカードも持っている。用意周到なアキトさんらしい、そんな事を思っていたら僕はいつの間にか自分のステーキを食べ終わっていた。
「よおし!!そんじゃあ行くか!こうなりゃ最後のかけって事で!」
「この住所の所に行くんですか?」
「ああ、俺の知り合いで執事希望の子がいてね、まあホウカさんには男性嫌いを克服して貰おうと思ってたがこの際仕方ないか」
アキトさんに連れられて来たのはただ普通の一軒家だった。 まあアキトさんの話しを聞く限り女性である事は間違い無かった。 チャイムを二度押して、出て来たのはやはり女の子だった。 髪の色は黄緑で、身長は僕より低い
「あっ!!お久ぶりです!アキトさん!!」
「よ!こむぎちゃん!元気そーだね?」
「ハイ!!えーっと・・・・・アナタが綾崎ハヤテさん?」
そのこむぎと呼ばれた女の子はスグに僕に視線を移した。
「ハイ、そうです」
「そう、これからヨロシクお願いしますね!(苦手なタイプだな〜)」
僕はこの人の事を以前に一応アキトさんから聞いた事があった。確か 辻夏野こむぎさんだ、僕はおそるおそるアキトさんに尋ねた。
「あのう・・・・アキトさん?もしかしてこの人が・・・・・・」
悪い予感は当たる物だ。
「そう!こむぎちゃんにはホウカさんの執事をやってもらう」
続く

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