| [185] 未来への道標U]Y |
- ダイゴウジ・ガイ - 2006年07月06日 (木) 23時35分
第二十六話 「レクセンスを君に」
皆が胸の中に不安を抱くその中で、レク係の三人はどんどん話しを進めていた。そして
「ハ〜イ!!それじゃあやるゲームはの説明をしま〜す☆」
瀬川さんがいつものテンションと調子で元気良くバスいっぱいに声を響かせた。この時点で緊張感が無かった人物は バスの運転手さん以外にいなかっただろう、あと桂先生も
「これからやる物は、皆でしりとりしてもらいま〜す!!」
しりとり・・・・・良かった・・・・以外と普通だ・・・・この時僕は心の底から安堵していた。 そしてここまでの緊張に見舞われたのも人生最大かもしれない、しかし!!これで終わるハズも無かった。
「もし間違えてしりとりの最後に「ん」のつく言葉言ってしまったら、つまり負けた者にはこの特製激ニガジュースを飲んでもらう」
朝風さんがごく普通にその言葉を放った。多分罰ゲーム的な要素で用意したのだろうが何で修学旅行のレクで そんなIQサ○リみたいな事しなきゃいけないんだろう・・・・・
「んまああの三人だしどうせこんな事だろうと思ってたゼ、モヤ○トボールとかも用意してねえかな?」
アキトさんがいつもの状況を冷静に判断した時のボケをかます、随分と余裕があるらしい、そして何故か口元には不敵な笑みすら浮かんでいる その表情の意味を、僕はこの直後のお嬢様の問い掛けで気付く事になるのだが・・・・・・
「なあ?ハヤテ?しりとりって何だ?」
・・・・・なるほど、お金持ち+世間知らずのお嬢様ではしりとりを知っていなくても然程おかしくはない アキトさんの口元の笑みの意味はコレだったのだ。普通にしりとりを続ければ自分が負ける確率も低い、こんな大人数だ。 そしてお嬢様はしりとりを知らない、それは伊澄さんも同じだろうがアキトさんの後ろの席はお嬢様、つまりアキトさんの 次はお嬢様に来るようになっている(アキトさんの席は右側、つまり窓側でお嬢様も同じ、しりとりを言う順番は先に左の人から言って次に右の人、そして右側の後ろの席と言う順番になる、アキトさんの席は一番最初の席なので次は確実にお嬢様になる) ルールを把握できていないのなら、最後に同じカナの付く物を言いまくればお嬢様は敗北、あのジュースを飲む事になる。 あの不適な笑みはこの計算から産まれた物だった。
「それじゃあしりとりスタートで〜す!!まずは西園寺さん、しりとりからお願いします☆」
「それじゃあ私は「りんご」で、次は大道寺よ」
アキトさんの番だ。いったいどんなカナを連発するのか・・・・そう思っていたら突然アキトさんがワザとらしく大きく声を上げ
「あありんごかぁ〜!それじゃありんごの最後に付いてる文字は「ご」だから「ご」のついた言葉を言わないとなぁ〜!」
?いったいこれはどう言う事だろう?と言うか何だろう今のアキトさんの話し方は、必用以上に声が大きいし当たり前のルールを口に出しただけなんだけど しかし、辺りを見まわせば野々原さんやヒムロさんが笑いをこらえている姿やバス内の生徒からは「大道寺さんやっさし〜い!!」「ああ言うさり気無く助けてるのカッコイイよね!」 等の声が聞こえてきた。アキトさんはしりとりで「ゴマ」と答え、その横では西園寺さんが「助けるならもっと気付くように助けてあげないさいよ」と言っている。 助ける?そう言えば、あのワザとらしい叫びは思いっきりルールを説明して・・・・・そうか!!説明!!
「うむ!!ルールは分かったぞ!!アキトが偶々ルールを言ったからな!!では次は「マリオ」だ!!」
今まで、アキトさんはお嬢様をハメようと仕組んでいたのではないかと思っていた自分が恥ずかしい、ホントに優しい人なんだな・・・・・
「お〜い!次はハヤ太君の番だよ?早く!早く☆」
「あっハイ!!(マズイ早くしないと)そっそれじゃあ「オーメン」で」
今、僕はここで自分が起こした大失態に気付いていなかった。
「おい・・・・ハヤテ・・・・・「ん」がついてしまったぞ・・・?・・・」
「・・・・・あっ!!!」
やっぱり落ち付いて答えた方が良かった・・・・・この後バス中に僕の悲鳴と絶叫が響いたのは言うまでも無い
続く

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