私は森昌子さんがデビューしたときからのファンですが、それほどレコードを買ったわけではない。しかし、たまたま買った『おかあさんに捧げる歌』というLPレコードのなかの『愛する人に歌わせないで』という曲を聴いて衝撃を受けた。この歌は作詞、作曲 森田公一 歌 森山良子 で、かなり昔に発売された曲だが、森昌子の歌を聞いた時にはそのことは知らなかった。16才の時のアルバムだが、そのすばらしい歌唱は、とても16才の少女とはおもえないものだった。『愛する人に歌わせないで』は、反戦歌の部類に入るのかも知れないが、戦死した夫の残した幼子に語りかける母のせつない思い、悲しみがまざまざと浮かぶ----森昌子の歌唱力の凄さ、これが16才の少女の歌とは信じられない、いったいこの歌手は何なのか----しばらくは茫然としてしまってそれから何日間かは何をしているのかもわからないまま過ぎてしまった。彼女がこの歌を歌うのをテレビで見たことはない。おそらく、ショーなどで歌ったこともないと思う。ぜひ聞きたい、これは私の30年来の望みです。