もったいない! これが、あんな阿鼻叫喚な感想の嵐にさらされるなんて、もったいない!! と、感じました。
もちろん、初監督らしいなぁ〜とヤキモキする所もありましたが、それ以上に知識と経験さえ積めば大化けするかもしれない可能性をヒシヒシと感じる仕上がりだと思いました。
私は大満足!
この方のアングルの撮り方が! 「3人目だ!!」と思わず叫んでしまいました。
1人目は、スピルバーグ監督。そして2人目はジョージ・ルーカス監督です。あ、もう1人いたや。本広克行監督も (^▽^)
なんだろう。うまく説明できないのですが、スクリーンでその映像が映し出された時、その映像の空間や奥行きの際限のない広さをぐあっと感じさせるって言うか……まるで、自分がその場所で、そのアングルの目線に立って見つめているような錯覚に陥らせるような映像の撮り方っていうか。
TV画面じゃダメなんです。スクリーンで観て初めて感じられるものって言うか。
なんだろう、本っ当にうまく言葉に説明しきれないのですが、ただ遠景を撮ればあの感覚が来てくれる訳じゃなくて、すんごく微妙〜な、背景と人物とのバランスがあるっぽい気がします。
ああいうのって計算された技術で撮ってるって感じがしないです。多分、監督さんそれぞれの感性とか勘なんだと思う。
んで、私の場合はあの感覚を体験したくてスクリーンで見ているようなものだから、もう!
吾朗監督には是非とも2作目3作目を撮って欲しいです。このまま、この方の可能性を潰してしまうなんてとんでもない! もったいないと、私は思う。
そりゃあ、ありとあらゆる監督さんの作品を網羅した訳ではないので、こういう映像を撮れるのはこの方達だけって事はないのかもしれないのですが、それでも私が今まで見てきた映画の中で、この感覚に陥らせてくれる映像を撮って下さった監督さんは、今の所この4人だけでした。
お父さんの駿監督ですら、この感覚に陥らせてくれるアングルは……残念ながらありませんでした。
ストーリー構成や見せ場の作り方などは、確かに初めてらしいつたなさを感じましたが、むしろそれはどっちかと言うと初々しくって微笑ましかったです。
ゲド戦記だからこそ、人によっては辛口な採点になってしまいそうだなぁ〜とは感じましたが、基本的に私の感覚ではジブリ作品と原作はかなり別物になってしまうという前提で観ているので、それはそれこれはこれで観ていました。
って言うか全然、これから成長の余地ありまくりの範囲。色々な脚本や映画の構成とかを勉強してほしい! と強く思いました。
そして、あの「負」の表情がまた良かった!
駿監督の映画では、たとえ怒りであれ悲しみ憎しみであれ、どうしてだか「陽」の表情になってしまうのが不満……ってまではいかないのですが……でも最近の作品では特に「陽」の色が強くてちょっとなぁ〜って気持ちでした。
あれはあれで作品によっては好きではあるのですが、でもなぁ。あんまり「陽」すぎると「ちょっと違う」って感じてしまいます。
んで、どうせ違う方が監督をされるのだから、いっそジブリ絵で「陰」の表情を観てみたいと思っていたので、「よっしゃー!」って気持ちでしたvv
そうそう。人間、「陽」の部分だけじゃなくて「陰」の部分だってあるんだから、そゆ所だって描き出してくれなくっちゃ!
あとそれから絵柄に関しても、ここ最近は描き込みが細かくってリアルすぎて目がチカチカしていたから、あれくらいが好きです。
なにせ、確かにツッコミたくなる部分もあったりもしましたが、自分的にはものっっすごくツボに入った作品でした♪
もうホント、次回作をマジで切望します。
良い素材を選んで、力をつけて、もう一回り成長した作品を見せてほしいなぁって! 思います。