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雑多日記

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[65]『チベットわが祖国』 ダライ・ラマ:著 木村肥佐生:訳-------- 空市 - 2006年05月18日 (木) 22時18分 -

読みながら何度、涙が出そうになったか知れません。

チベットの最高責任者、ダライ・ラマ14世がその目でまざまざと見せつけられ体験させられた、中国の弾圧、周辺諸国からの助力を得られなかった孤独、さらには、当時の国連総会の無力さ。
その原因の一端を、チベット自身の閉鎖性にあったとも反省なされておられます。
そして、私のような政治の素人でも、はっきりとこれだけは言えます。
中国共産党のチベットに対するそれは、あまりにも愚劣で卑怯な政策であると。
そして彼等はこのような政治を行う国なのだと、寒気さえ覚えて認識しました。
そして、これほどまでの弾圧を受けながらも、ダライ・ラマが巻末に訴えた言葉は、非暴力による話し合いの解決です。
これがどれだけ難しい事なのか。それはご自身が何よりも痛感されているのだろう……と僭越ながら想像してしまいます。

これは、ダライ・ラマ14世の目で、そして言葉で書かれておりますので、第三者から見た本も読まねばとは考えています。
けれども、この著書は終始一貫して、現実に起こった事に対し非常に誠実に、虚飾なく書かれているとも感じられました。
普通の人間ならば文章の端々に感情的な罵詈雑言があってもおかしくはないのに、それを出来うる限り排し、冷静に、そして可能な限り相手を一方的な悪とはせず、自己も常にかえりみて一言一句に物凄く配慮を重ねながら言葉がつづられています。

チベット問題を知る上で、これは本当に、必ず手に取って頂きたい本だなと感じました。



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