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安倍首相の優れた外交手腕 (4011)
日時:2016年11月22日 (火) 00時54分
名前:童子

産経新聞 11月21日


   立ち話でおしまい、日米首脳 
       安倍晋三首相にとってオバマ氏とは何だったのか

               阿 比 留  瑠 比




 安倍晋三首相は20日 (日本時間21日)、訪問先のペルーの首都リマでオバマ米大統領とごく短時間、立ち話を交わした。 両首脳は、この4年間の日米同盟強化の取り組みについて 「双方が強い指導力を発揮してきた」 と互いをたたえ、感謝を述べあった。 ただ、おそらく最後の接触となるにもかかわらず、米側は正式な首脳会談も開こうとせず寂しい幕引きとなった。 首相にとってオバマ氏は、どんな大統領だったのか。  (阿比留瑠比)


 
 「これは大丈夫だ。 うまくやっていける」


 トランプ米次期大統領との初会談ではこう手応えを感じた安倍晋三首相だが、オバマ氏との関係は当初、ぎこちなかった。 オバマ氏がこの5月に現職の米大統領として初めて、被爆地・広島を訪れるほど両首脳の関係が構築されるまでの道程は、平坦(へいたん)ではなかった。



 「明日はオバマ氏とのガチンコ勝負になる」


 平成25年2月22日のワシントンでのオバマ氏との初会談前夜、再登板を果たして約2カ月の安倍首相は周囲に意気込みを語った。 首相は当初、1月中の訪米を目指していたが、米側が日程調整などを理由になかなか首を縦に振らず、じらされての会談実現だった。


 オバマ氏サイドに対しては、安倍首相の就任前から日米双方の左派・リベラル勢力によって 「危険なナショナリスト」 「歴史修正主義者」 などといったレッテルが刷り込まれていた。


 この訪米の際のオバマ氏主催の昼食会でも、安倍首相を含む両国要人がワイングラスを傾ける中で、オバマ氏のテーブルの上にはミネラルウオーターが1本置かれているだけだった。 オバマ氏はあくまで前評判通りの 「ビジネスライク」 に徹し、胸襟を開く様子はなかった。


 「初めの頃、オバマ氏は私を腫れ物に触るように扱っていた」


 安倍首相が周囲にこう振り返るように、日米両首脳には当初、明らかに距離感があった。 それどころか、この年12月に首相が靖国神社に参拝すると、米側が 「失望」 を表明するという日米対立まで起きた。


 「オバマ政権は全く戦略的でない。 あんな声明を出したって、中国や韓国の反日勢力を勢いづかせてかえって東アジアの緊張を高めるだけだ。 米国の世界戦略として全く意味がない」



 安倍首相は周囲にこう激怒したが、同時に日米関係の修復・強化の手も冷静に打ち続ける。

 安倍首相は、国際会議や各国首脳との個別会談などあらゆる機会を通じ、自身は自由、人権、法の支配など民主主義の諸価値を何より大切にしていることを訴え続けた。 また、首脳会談を拒否している中韓に対しても、「対話の窓」 は常に開かれていることを強調し、徐々に国際社会での信用を高めていく。


 一方、オバマ氏は 「世界中の首脳に友人がいない。 特に英国、サウジアラビア、イスラエル … と同盟国とは関係が悪い」 (外務省) といわれる孤立気味の大統領でもあった。


 26年6月にブリュッセルで行われた先進7カ国 (G7) 首脳会議では、ウクライナ問題を引き起こしたロシアへの制裁方針をめぐって首脳間でオバマ氏が孤立し、オランド仏大統領とは激しい口論にもなった。 そこに助け舟を出し、会議を軟着陸させたのが安倍首相だった。 周囲にこの時のことをこう明かしている。


 「イタリアのレンツィ首相にはハイタッチを求められ、オバマ氏には初めてハグ (抱擁) された」


 ようやくオバマ氏が、安倍首相への信頼を態度に表した瞬間だった。 さらに安倍首相は、安全保障と歴史問題の二つの面から戦略的に日米同盟強化を図る。


 安保面では、一時的に内閣支持率を約10ポイント犠牲にしてまで米国や英連邦各国からの要請が強かった特定秘密保護法と、集団的自衛権を限定容認する安全保障関連法を相次ぎ成立させた。


 歴史問題においては、米上下両院合同会議演説で米議会を魅了する 「和解」 のメッセージを発し、米国が歓迎できる戦後70年談話を発表した。 安倍首相はこの頃、「米国に対しては、歴史問題はもう終わった感がある」 と感想を漏らした。


 外交面での実績の積み重ねと、内政における高い内閣支持率の維持という強い政権基盤を示したことで、ようやくオバマ氏の広島訪問に持ち込んだのである。


 一方、トランプ氏とはどうなるか。 安倍首相は会談後、周囲にこう今後への自信を示していた。


 「トランプ氏と (外国首脳として) 最初に会えたのはよかった。 初接触は重要だ。 彼は基本的に、大統領就任までの会談要請は断っているということだ」


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